華優希ちゃんと原田先生の送る言葉と私の思い
こんにちは、くららです。
最新の「歌劇6月号」は、「華優希サヨナラ特集」が組まれていて、植田景子先生、小柳奈穂子先生、原田諒先生、御織ゆみ乃先生の「送る言葉」が掲載されていました。

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原田諒先生の送る言葉について

どの先生のものも、華ちゃんの卓越した演技力や人間性を賞賛され、退団を惜しまれていましたが、心にドーンと響いたのは原田諒先生のものでした。「知性と根性」というタイトルの1ページ以上の長文に、先生の思いの限りがつめられていて、日ごろ私が感じていることと同じだなとも思いました。

『とかく技術ばかりが優先されがちの昨今の宝塚において、点数ではつけられない情感と知性をもった娘役―それが華優希である。』から、原田先生の文章ははじまりました。

私は長く宝塚を観劇していますが、「実力が~」とファンが実力を声高に叫ぶようになったのは、宝塚100周年を過ぎた最近のことと思っています。
その実力至上主義ファンの批判が、華優希ちゃんに集中してしまう傾向にありました。

一般的に宝塚ファンが言う実力という範囲は、歌とダンスの技術の面だけで、演技やその他のものは入っていません。

原田先生も『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』を花組で上演することが決まってから、「華優希にブロードウェイ・ミュージカルのヒロインがつとまるのか」という意見が先生のもとに多く寄せられたと書かれていました。華ちゃんの耳にも心無い言葉は入っていただろうとも。

先生ご自身も華ちゃんについては、期待と不安が半々だったそうです。
特に華ちゃんの演じるビリー役は、ブロードウェイの歌姫ケリー・オハラが素晴らしい歌唱力を聞かせていて、この作品の一番の見どころだったので、私自身も「大丈夫?」と心配しました。

しかし華ちゃんは見事に演じました。原田先生も絶賛されていました。
ビリーは華ちゃんのあてがき?と思えるほど、ボーイッシュな役にはまっていて、その恋心がせつなくて、ビリーに魅了されました。
歌もダンスもタップの技術も問題なく、とってもチャーミングでした。

苦手なタップダンスを、「はいからさんが通る」の時からお稽古していたと、同期の朱紫令真くんとの対談で語っていました。
音楽学校の時は、華優希ちゃんの表現では「タップの成績は死ぬほど悪かった」そうで、音楽学校の時もタップの自主練に励み続けていたそうです。

華ちゃんの退団会見の最後の言葉が、「最後の日まで精進して、一つひとつの課題に取り組みたい」でした。

とにかく苦手なことには、努力、努力でがむしゃらに根性をもって頑張ってチャレンジしてきた華ちゃん。

タップだけでなく、歌もダンスも。『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』で、その努力は見事に実っていました。

実力とは?

「歌劇6月号」の同期生との卒業対談では、宝塚のヒロインらしくないビリーの役がつかめなくて悩んでいた時に、同期が全力で励ましてくれたと語っていました。知性的に役をとらえていくタイプのようです。

華ちゃんの前向きで真摯で嘘の無い、芯のあるキャラクターは、同期だけでなく、花組生全員から愛され、応援されているようです。
退団を前にして、多くの方々のそういう発言を目にしました。
華ちゃんの、誰からも「愛される」キャラクターも、宝塚では重要な要素だと思います。
そういう人柄は、舞台の上でも人の心を惹きつけます。

同期生の話では、予科の頃の華ちゃんは「三つ編みも下手」で「お団子も、えっ大丈夫?」という感じたったそうですが、今や誰よりも自分に似合った髪型を整えることのできるプロ舞台化粧の美しさも、卓越しています。
「昨日より今日は超える」という姿勢で髪型や化粧を努力してきたと話されていましたが、娘役としてのこういう技術も、実力の一つでは無いでしょうか?

特に華ちゃんの演技力は長けていて、憑依型の芝居巧者です。情感が豊かで情熱があります。
元雪組トップ娘役の咲妃みゆちゃんに通じるものを感じます。

みゆちゃんは、今年の『菊田一夫演劇賞』を受賞し、ますますの活躍が期待されています。

咲妃みゆちゃんの演技力は在団時から高く評価されていましたが、華優希ちゃんについては、演技力を評価する前に、歌とダンスの技術不足を指摘する人が多い傾向にありました。
咲妃みゆちゃんもダンスは得意ではありませんでしたが、そんなに叩かれていませんでした。

最も人気のあった明日海りおさんの相手役急に大抜擢されたことが、厳しい批判の嵐をあびてしまうことになったのかもしれません。
その前のトップ娘役さんが技術的に優れた仙名彩世さんだったことも。

特に花組のトップ娘役に対して、ファンは厳しい目を向ける傾向にあります。
明日海さんが華ちゃんに対して優しかったので、それが余計に。

華優希ちゃんは、歌とダンスの技術不足だけをとって、「実力が~」と心無い言葉を浴びせられていましたが、芝居力、ビジュアル等長けていた部分は多かったと思います。

私の勝手な思い

先生たちの「送る言葉」を読んでいて、娘役として花ひらいて更に活躍が期待される「今」、退団してしまうことを残念に思われていることを感じました。

柚香光くんがトップスターの花組は、「ダンスの花組」として売っています。
プレお披露目公演が、ダンスコンサートの『DANCE OLYMPIA』だったことからもわかります。

それで、ダンスが得意とは言えない華優希ちゃんが退団してしまう結果になってしまうのは、残念です。

トップスター、トップ娘役が、「歌、ダンス、芝居」のすべてに優れている必要はないと思います。

それぞれのスターさんが、得意な分野で、光れることが一番魅力的です。

昔の宝塚は、スターさんたちが適材適所の活躍をしていたように思います。

退団後の華ちゃんに期待

原田先生は、下記文書で締めくくっておられました。
『華優希-未完の大器である。宝塚出身であることを誇りに、その情感と知性、そして根性をもって、演じることをどうか続けて欲しい。それは天が貴方に与えた類い稀な才能だから』

私も、華ちゃんには芸能活動を続けて欲しいと思います。
咲妃みゆさんのように評価されるようになるのでは?

そして原田先生は、紅ゆずるさん主演のブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』の潤色・演出をされます。
(明治【8月】、御園座・新歌舞伎座・博多座【9月10月】)
紅ゆずるさんも在団中は、「実力が~」と叩かれることがよくあって、ファンとしては哀しい気持ちを味わっていました。

退団後もブロードウェイ・ミュージカルの主演をされるということは、原田先生をはじめ、評価されているからです。
この暗い時代に紅ゆずるさんの明るさとコメディセンスは貴重です。

私は最初に紹介した「実力だけが正義?」という記事をかつて書いていましたが、今回原田先生の送る言葉を読んで、さらにその思いを強くしました。
実力至上主義のファンの方を批判する気持ちは全くありません。
いろんな考え方のファンがいても良いのではないかな?と思うのです。
いろんな実力のスターが活躍できる宝塚であって欲しいです。

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