こんにちは、くららです。
花組『アルカンシェル』を観劇してきました。
「アルカンシェル(Arc-en-Ciel)」とは、フランス語で「虹」。
パリのレビュー劇場「アルカンシェル」で、レビューの灯を消すまいと奮闘する柚香さんたちを描いたハッピーエンドの作品です。
ここから先は、ネタバレ部分もあるので、それでも良い方だけお読みください。
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トップコンビ退団公演としては最高の作品
抱いていた先入観とは全く違う、レビューやジャズなどショーシーンが沢山あって華やかで、クスッと笑う部分もある明るい作品でした。
ダンサーの柚香さんの、様々な素晴らしいダンスが満載。(レビュー、ピエロ、コンテンポラリーダンス、ジャズ、ラテン等)。歌が得意な星風さんには歌を堪能させてくれるシーンもたっぷり。柚香さんの歌も良かったです。
柚香さんのピアノで星風さんがオペラを歌うシーンや柚香さんの「swing」のピアノ伴奏で、みんなが踊るシーンも。ピアノが本当にお上手。
そして柚香さんと星風さんの二人の息のあった恋模様もしっかり描かれていて、ラブラブシーンも沢山!ラストまでラブラブ演出でした。
更に今まで出演されてきた作品をいろいろと彷彿したりする演出も沢山あったような。
おふたりの魅力が輝く、ファンの見たいが満載の、退団公演としては最高の作品ではないかな?と思いました。
スターにあてがきされた退団仕様のため、人物などの書き込み等は浅く、「1本物大作ミュージカル・レビュー」として再演されるか?と言うとそれはちょっと違うような。その分退団作品としては喜ばれる要素がいっぱいなのでしょう。
松井ルミさんの舞台装置が洒落ていて、薄井香菜先生の衣装もライトを浴びると、とても素敵に見えました。
小澤時史さんの主題歌をはじめとした、曲がとても良かったです。1989年生まれの新進気鋭の作曲家の方のよう。(月組『グレート・ギャツビー』、雪組『Lilac(ライラック)の夢路』でもご活躍)
これから回を重ねるごとに、さらに見ごたえがアップしていくと思います。千秋楽は3月24日(日)、長丁場です。どうか完走できますように。
役について
主要な4人
マルセル(人気ダンサー、振付を託される)…柚香光
カトリーヌ(看板歌手、歌姫)…星風まどか
フリードリッヒ(ナチスドイツ軍の文化統制官)…永久輝せあ
思いが通じると大声で喜ぶかわいい男子的な所も初々しくて可愛いくて、天真爛漫さがある所も永久輝さんの魅力。
アネット(劇団員の歌手)…星空美咲
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その他の役
イヴ・ゴーシェ(ストーリーテラー)…聖乃あすか
ジョルジュ(劇団のスター歌手)…綺城ひか理
コンラート(ナチスドイツの文化統制官、ヒトラーのSS大尉)…輝月ゆうま
ぺぺ(劇団のコメディアン)…一樹千尋
イヴ(ぺぺの息子、劇団員)…湖春ひめ花(106期)
2幕では、湖春ペペが「フルフル」を歌うシーンも。少年役がピッタリ似合っていてかわいい。
主な役がとても少ないのは残念に思いますが、舞台上には沢山の出演者がいるシーンが多く、それぞれ活躍されているので、いくつ目があっても足りません。
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作品について
プロローグは、王道レビューシーンから
・黒燕尾、ハット、ケーンの男役さんたちずらり。柚香さんがセンター。
・羽扇子を持ってフワッと踊る可憐な娘役さんたち
・長身脚線美の7人のレインボーダルマと柚香さん
侑輝大弥(102期、173cm)、南音あきら(102期、174cm)、涼葉まれ(103期、170cm)、海叶あさひ(103期、173cm)、天城れいん(104期、172cm)、夏希真斗(105期、175cm)、光稀れん(108期、173cm)
侑輝さんの圧が強くて色っぽかったです。希波さんは次の出番があるため、このメンバーの中にいらっしゃいませんでした。
ポスターの赤い衣装の星風さん登場。「サ・セ・パリ」の曲でみんなで銀橋に。花組ならではの華やかさに満ちています。
たくさんの劇中劇(印象的だったシーン)
モンマルトルのピエロ(稽古場)
一樹さんの「フルフル」の歌で柚香さんのピエロのダンス。
・美羽愛…コゼット(トゥシューズの踊り子)
・希波らいと…中尉
ピエロ(柚香)は、コゼットに恋をするも、コゼットは気がつかず、中尉に一目ぼれして去ってしまい、悲しむピエロ。
「swing」(稽古場)
「稽古場映像」で柚香さんと永久輝さんが軽快なリズムにのせてスキャットを歌っていたのが「どうして劇場のダンサーとナチスの軍人が一緒に歌って踊っているのか?」と疑問でした。
永久輝さん演じるナチスのフリードリッヒは禁止されているジャズを秘かに上演すれば良いという広い考えの持ち主で、団員たちと楽しく歌って踊っていたのでした。
フリードリッヒは、ドイツ軍の命ずる「ウィンナ・ワルツ版」と大衆の求めている「ジャズ版」の二つのバージョンを作ることを進言し、マルセル(柚香)たちはそれを受け容れて作っていきます。
「美しく青きドナウ ジャズ版」
2幕
柚香さんが椅子に縛られて、髪を掴まれたり棒でいじめられたりするシーンも。
ラテンナンバー「ココナツ・パラディ」
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退団者4名
舞月さん プロローグは綺城さんと共に紳士A。1幕のはじめに演じる振付家のジェラールは、ユダヤ系のためコーエン(紫門)さんと一緒にアメリカに亡命していきます。そして2幕の終わりに見せ場がありました。
帆純さんも劇団員としてソロで歌ったり魅せ場が多くありました。ピエロ姿でハンドスプリングされてビックリ。柚香さんから銀橋で「一緒に舞台を作ってきた仲間じゃないか!」と声をかけられるシーンも。
愛蘭さんと美里さんは特別なシーンはありませんでしたが、劇団のダンサーとして可愛く目立っていました。
峰果とわさんの休演が残念です。公演プログラムには掲載されていたので、余計にそう思いました。
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フィナーレについて
Kaorialiveさん振付フィナーレ
・歌唱指導……永久輝せあ ピンクの衣裳とマントでせり上がってきて主題歌を歌われました。超絶格好良くて、心に染み入る歌詞と歌声でした。
・アクロバティックロケット ゴールドのダルマ衣装に虹色の装飾。虹色のキャップに白い羽根のヘッド。大きな虹の前でのアクロバティックなシーンも目立つロケットでした。怪我をしないように頑張って欲しいです。
Kaorialiveさんの振り付けは娘役群舞から最後まで
・娘役群舞 ピンクの衣裳の娘役さんたちに囲まれたピンクの柚香さん。娘役Sは星空さんですが、美羽さんと星空さんが一緒に柚香さんに絡んでいました。
・男役群舞 柚香さんはピンクの衣裳を脱いで男役さんたちと同じ赤い衣装に。エレキでの「愛の讃歌」でピコピコ激踊り。
柚香さんと永久輝さんで並んで踊り、手を取り合うシーンも。そこに聖乃さん、綺城さん加わって4人に。
赤いジャケットを脱ぐとゴールドの衣裳に。柚香さんがはけて永久輝さん中心の男役群舞に。
デュエットダンス 青い衣装に長いストールがついている流れが綺麗に見える素敵な衣装。はやめに銀橋に行かれたなと思ったら、再び舞台に戻って踊り、ラストは高速の回転リフトでした。
ソロダンス 柚香さんだけ1人ステージに残って、ソロダンス。大劇場舞台の床に触れて、
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パレード 階段降り
星空美咲(エトワール、小さい白い羽根)
↓
希波らいと・帆純まひろ・一之瀬航季
↓
美羽愛・綺城ひか理
↓
聖乃あすか
↓
永久輝せあ(白羽根)
↓
星風まどか(白羽根)
↓
柚香光(白羽根+孔雀+虹色、虹色衣装)
並び(下手から) 美羽・舞月・帆純・紫門副組長・輝月・星空・永久輝・柚香・星風・聖乃・一樹・美風組長・綺城・一之瀬・羽立・凛乃・侑輝
お芝居では、帆純、一之瀬、侑輝、希波の4人組で活躍しているのに、階段降りが侑輝さんだけ外されているのは残念。これからも希波さん抜擢なのでしょうか。そして娘役は美羽さんが引き続き「娘2」ということでしょう。
Wトリオ
珀斗星来(104期)、美空真瑠(105期)、夏希真斗(105期)、鏡星珠(106期)
七彩はづき(107期)、花海凛(108期)
新人公演で、七彩さんはヒロインの星風さんの役。花海さんは、星空さんの役です。
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たゆたえども沈まず
この作品の主題歌は「たゆたえども沈まず」。何度も何度も歌われるので、そのメロディが頭に残っています。この言葉が小池先生が一番伝えたかったメッセージかなと思います。
たゆたえども沈まず(Fluctuat nec mergitur)
16世紀から存在する、パリ市の紋章にある標語だそう。この言葉の意味は、パリを船にたとえて、どんなに暴風や荒波に煽られようとも絶対に沈まない。
たとえ、どんな苦境に陥ろうとも、みっともない姿を晒そうとも、絶対に目の前の苦難を乗り切ってみせる!絶対に沈まない!というパリ市民の心意気とプライド。
小池先生がこの作品を構想された時は、コロナ禍を暴風や荒波としてとらえられたのだと思います。「熱い舞台を待つお客さんのために」と奮起して、団員たちが一丸となって試練を乗り越えてきたことを伝えたかったのでしょう。そしてエンターテインメントには人々の心を動かす力があることも。
しかし昨年9月に悲しい出来事があってまだ解決していないので、宝塚は今も報道禍の中にあり、かつてない厳しい嵐が宝塚を襲っています。
宝塚もパリのように「たゆたえども沈まず」であって欲しいと、主題歌を聞きながら願いました。
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