ありちゃんの言葉と「クオリティ重視主義」と95期
こんにちは、くららです。
今年の理事長新春インタビューで「大事なのは作品のクオリティ」と仰っていました。
そしてありちゃん(暁千星)の「Brilliant Dreams#140「暁千星」~stage~」を見ました。
理事長の言われていた「クオリティ重視主義」の意味を再認識しました。

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「Brilliant Dreams#140「暁千星」~stage~」から感じること

新年早々、1月1日から「Brilliant Dreams」に登場したのは、月組の暁千星くん(ありちゃん)!
その中で語られたことに、早期抜擢に対するありちゃんの悲痛な思いの発言がありました。

視聴者から寄せられた「印象に残っている役」として、『1789-バスティーユの恋人たち-』の ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンがあげられると、ありちゃんは苦笑いして、

私の中ではちょっと見れない。
あの時はいっぱいいっぱいで周りの皆さんを困らせてしまった記憶しかなくて、役の気持ちとかじゃなくて、緊張の方が強くて、どうしたらいいのだろう、どう見えているのだろうとかが大きくなってしまったので。
いろいろアドバイスいただいたんですけど。
DVDは見たんですけど、自分のとこだけは飛ばして。

2015年4〜7月、ありちゃん研4の時です。
自分で「見ることのできない」ほどの、痛い思いの残っている作品なのですね。

私も何度も観劇しましたが、幼過ぎるありちゃんのフェルゼンは、芝居が巧みな月組生の中で一人だけ浮いているように見えました。
「どうしてこの役を?」と不思議でした。クオリティの高い月組生のお芝居の中で、その部分だけ学芸会。
観劇客の違和感以上に、やっていた本人が一番辛かったのですね。
月組では早期抜擢によるこういう「場違いなシーン」は、よくあるあるでした。

ありちゃんは月組のホープ

ありちゃんは、98期首席入団、初詣ポスター起用の期待の新人。
当時は1年間「組まわり」があったので、月組の舞台に出演したのは研2の5月、『ME AND MY GIRL』(梅田芸術劇場)から。
その年の12月、北翔海莉さん主演『THE MERRY WIDOW』で、ありちゃんは北翔さんのお付きの役に大抜擢。
丸い黒ぶちメガネをかけて、多くの台詞もこなして、長い脚で伸びやかに踊る姿は衝撃的すぎて「スゴイ有望新人」と私は印象づけられました。何よりもスターとしての華がありました。

それから抜擢コースが用意されましたが、ショーで素敵に踊ることができても、男役には熟成期間が必要!
本人の持ち味を無視した番手優先の抜擢は、舞台のクオリティも下げていました。

2017年1〜3月研5での『グランドホテル』のラファエラとエリックの朝美絢くんとの役替わりも「自分の中では消化不良で終わってしまった役」とありちゃんは番組の中で語っていました。
エリックの方は、ありちゃんの持ち味が活かされていましたが、ラファエラ役はとても難しい役です。
ありちゃんラファエラもそれなりに役作りを健闘していたと思いますが、朝美絢くんの方がまず外見からラファエラに適していて、さらにその切なさというか心象表現が巧みでした。

小池修一郎先生には、この朝美絢くんのラファエラ役が好印象だったので、現在大劇場で上演中の『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のキャロル抜擢に繋がったと仰っていました。
そしてキャロルは、原作とは全く違った「良い人」として先生のイメージの中で広がって、大きな役になっています。このあたりのことは後に書きます。

ありちゃんは、当初は「早期トップスター就任」を狙っていたのでは?と思われるほどの抜擢続きでしたが、本人としては「抜擢についていけない自分のふがいなさ」を感じていて、決してそれが喜ばしいことでは無かったのですね。
以前に月組で抜擢され続けていた大和悠河さんも退団してから、与えられる役についていけない自分のことを語っていました。

朝美絢くんと月城かなとくんがトレード組替えして、ありちゃんが月城かなと君の下に位置した時から、ありちゃんは楽になったのでは、と感じました。
2018年2〜5月、『BADDY』での等身大の可愛い王子は、「男役道」を極めたいと思っていたありちゃんには、ちょっと不満があったのかなとも思いますが。

2018年6〜7月、『THE LAST PARTY』では、れいこちゃんが主演の2番手で、AKATSUKI/アーネスト・ヘミングウェイがとても良かったと思います。

昨日、鳳月杏さん主演の『出島小宇宙戦争』で、ありちゃんは2番手リンゾウ役を演じること、シーボルト役を演じる風間柚乃くんは番手外であることが発表されました。
2人にとって、ちなつさんの下で学べる良いチャンスになるでしょう。

【余談】
ありちゃんの話を聞いていると、本当に純真な心で頑張っていることを感じます。
小池先生も語っておられましたが、宝塚のスターさんたちのピュアさは、本当に世間一般ではなかなか出会えない、天然記念物のような100%の純度だと思います。
そしてそのピュアなスターさんたちの思いが「お客様に楽しんでもらう」という1点に向かっていて、その宝塚を楽しませてもらえるのは、本当に有難いと思います。

クオリティ重視主義

小川理事長の「クオリティ重視主義」は、北翔海莉さんトップ就任による成果を受けての体制変化だと思います。
北翔海莉さんは、三拍子そろった実力がありながらも、ビジュアルの凰稀かなめさんの宙組トップ就任によって専科に異動されました。
しかし、みっちゃんは専科異動後もスキルを磨き、各組で様々な公演に出演して、その実力を存分に発揮し、クオリティの高い舞台を魅せ続けて下さいました。
それに対するファンの満足度の高さ、感動が「SNS」時代も相まって、ファンの意向がうねるような形で実体化されてトップスターに就任されたのだと感じています。
さらにトップに就任すると、常に最高のものを届けようとするみっちゃんの姿勢が、組子達のモチベーションを高揚し、クオリティの高い舞台を魅せ続けてくれました。

一方「男役10年」と言われる中、早期抜擢傾向のある月組では、研9の珠城りょう君をトップスターに抜擢しました。
明日海りおさんが退団記者会見で「珠城は苦労している」と仰るほど、この就任後は安泰とは言えませんでした。
これからトップスター珠城りょう君の真価が発揮されることを信じています。

先ほどあげた「暁千星くんの早期抜擢の苦悩」からもわかるように、キラキラ光るスター性やビジュアルよりも「年数を重ねた男役芸」の貴重さを大事にする流れになったのだと思います。
以前の月組なら、「暁千星トップスター就任」というのも早めにあったのかもしれませんが、これからは年功序列だと思います。

ありちゃんは、もうしばらく「スターとしての器」を磨いていく時です。
スター性は十分なので、歌や芝居の「クオリティ」が万全に整ったら、今よりもっともっと大きなスターになることは間違いありません。
時間がかかっても、いつかトップになる時を楽しみにしています。それよりも、今はありちゃんの成長過程をみるのが楽しみ。

話がそれましたが、実力者北翔海莉さんの成功と早期抜擢の不発のあたりから「年長男役重用」の傾向になったのだと感じています。
女性が「男役」を極めていくためには、それなりの年数が必要であり、年長者ほど「男役芸」を身につけ、指導能力などもある。品格もある。
そのあたりから、瀬戸かずやさん鳳月杏さんが重用され東上主演されている所以だと思います。
そして昨日「マスカレードホテル」の初日の幕が上がりましたが、評判が良いようです。
年長者の重用によって95期男役が後回しにされているよう見えますが、それも作戦だと思います。

95期スターの猶予期間

スターとして注目されているのは、95期のスター候補たちです。
敢えて東上公演を95期のスター候補に振らなかったのは、現在の「猶予期間」を長くして応援期間を長く設けたいというのもあると思います。
宝塚はトップスターに就任すると、あとはカウントダウンで退団時期が近づいてくるだけです。
タカラジェンヌは期間が限られたスターですが、89期のスターたちは、研17になる今年に退団される方が多かっです。
何となく研18あたりが区切りとされているように思えます。
95期のスターたちについても、できることなら後6年は続けて研17位まで在団して欲しいというのが、劇団の本音では無いでしょうか?

先月発行された、元宝塚の支配人の森下信雄氏「タカラヅカの謎 300万人を魅了する歌劇団の真実」を読みました。
強固な「ファンクラブ」の存在が宝塚の隆盛を支える一つの原動力になっている、と書いてありました。
「私設ファンクラブ」の是非が語られたりすることがありますが、今の宝塚では、それが無くなることは、宝塚の隆盛を考えるとあり得ないようです。
多くのファンがいる95期のスターたちは、宝塚の隆盛を支える原動力の一つとして、貴重な存在だと劇団は思っていることでしょう。
さらにファンを増やしていく期待も大きい。
95期に続くスターたちが少なすぎます。
現在トップ候補と考えられるのは、97期永久輝せあくん、98期暁千星くん。次はもう100期。

持ち味の違う個性的なトップスター像
多様化している今の時代、トップスターの持ち味がそれぞれ違うのが特徴であり、今後もそれを際立たせるていくことが、宝塚が目指していくところだと思います。
トップスターに際立った売りが無く、OGたちがその没個性を嘆いていた頃が長くありました。
「自分の売り、魅力」を心えて、魅せていくのが、これからのトップスター像だと思います。

望海風斗さんと明日海りおさんの『ドン・ジュアン』は全く違いました。この差が二人共が大スターであった理由だとも思います。

明日海りおと望海風斗『ドン・ジュアン』の個性の差がスゴイ!


ライバルがひしめく中にいる95期生は、89期の二人と同じように「自分の魅せ方」が自然に出来ていると思います。

95期のスターたちの今後の妄想

花組 今朝「ダンスオリンピア」の稽古場風景が流れましたが、やはりマイティ(水美舞斗くん)は、花組にとっても、柚香光くんにとって貴重な存在。
『Dream On!』での素晴らしいショースターぶりを観てから、今後に期待しています。

雪組 『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』を観劇すると、朝美絢くん演じるキャロルの役の大きさに驚かれると思います。
イメージからキャラクターをつくる小池先生の創造意欲をかきたてる魅力があるスターなのだと思います。
『壬生義士伝』の斎藤一も大きな役として存在していました。『はばたけ黄金の翼よ』のファルコも改心する良い役に書き換えられていました。
アイドルとして見られがちですが、彼女の真価は芝居力と歌
昨日ブログにあげた105期の音彩唯ちゃんとは10期違い。彼女がトップ娘役に就任するとしたら、その相手役はあーさでは?(勝手な妄想ですのでおゆるしください)

星組 最後の新人公演で主演のチャンスをつかみ、人間味あふれる人柄で「紅ゆずる」さんを彷彿させるせおっち(瀬央ゆりあ)
成績優秀者が重用されている中で、成績下位でもトップになれる「宝塚ドリーム」をせおっちで再びみたい。

時間がなくなったので、尻切れトンボで終わります。ごめんなさい。

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