初日感想雪組『双曲線上のカルテ』
こんにちは、くららです。
雪組『双曲線上のカルテ』初日を観劇してきました。

お芝居なのに、コンサート以上に和希そらを堪能できる2時間半でした。
こんな別箱公演見たことありません。

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気になる脚本について

「イシダ」は死んだと思って自由にアレンジしてくださいと樫畑先生に潤色・演出を託されたそうです。

初演と変わっていた所

初演の本筋に関わらない部分バッサリカットされていました。
・革命家3人の登場無し(彩凪翔さんの歌なども)

・入れ墨でC型肝炎マフィアの患者たちのシーンはなくなり、セリフでのみ説明

・初演では、末期がんのチェーザレ(桜路)とその妻ボーナ(杏野)の老夫婦だけなので、末期癌の告知をしないことをフェルナンド中心に病院側で決めていました。
今回は息子夫婦と孫を登場させて、息子たちの意志で告知をしないことになっていました。
初演ではチェーザレ(桜路)が遺書をピザの蓋の裏に書いていましたが、今回は手紙に書いて息子夫婦に送っていました。

・チャリティーコンサートの会場が、アニタのバーから病院の中庭に
出演者たちの余興シーンは全部カット。
アイドルではなく、「天使の歌声」の歌手アマーリア(白綺華)がパーティに招待されて、澄んだ素晴らしいソプラノ歌唱を聞かせてくれました。
アマーリアは出産まじかの妊娠中で、フェルナンドをはじめ病院全体が彼女の出産に協力していました。
(初演のアイドルニーナの自作自演の傷害事件より現実味がありました)

いろんな部分が樫畑先生の潤色によって、地に足の着いたナチュラルな展開になっていました。

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付け加えられた部分

原作では、自分の病状の進行を把握するために、フェルナンドは病院のレントゲン技師に自分のレントゲンを定期的に撮ってもらっていました。今回その話を取り入れ、そのレントゲン技師はアニータの兄と言う設定にもして、久城あすさんが演じました。レントゲンはどこででも撮れるものでは無いので、この設定を付け加えたことは現実味をおびて良かったと思います。

フェルナンドは、クレメンテ教授(奏乃)に用意してもらったモルヒネだけ使っていましたが、今回はそれに加えて治験薬も定期的に使っていました。

シリアスなストーリーであっても、院長夫人の五峰さんのお茶目なところや、院長の夏美さんの軽い演技や、登場人物の様々なやりとりので、クスッと笑ったり、ほっとする温かさがありました。

初演では後ろの十字が、赤と青にしか光らなかったのがグレーに光っていたのが落ち着いた雰囲気になっていて、舞台全体がシックに統一されていました。
クラリーチェの病気との闘いはダンスで表現されていたことも「宝塚歌劇」らしかったです。

初演の削られて出来た時間は、和希さんの歌にまわされていたように感じました。和希さんの歌の数々を堪能できました。

天国の入り口での質問はそのままだった

お前は自分自身の人生に喜びを見出せたか?

お前は他人の人生に喜びを与えたか?

初演では天使に語らせていましたが、今回は末期がんでなくなったチェーザレ(桜路)とボーナ(杏野)夫妻の孫が、まず劇中で語っていました。

そして、ラスト人生の重荷をおろして素足で踊ったフェルナンドに、先に天国にいるチェーザレ(桜路)が、この二つの質問をして、フェルナンドは「はい」とこたえていました。

私は舞台を観るということは、それぞれが舞台を通して感じ取るものだと思っているので、ストレートに「作品を通して伝えたい事」が語られることは好みません。

しかしこの「人生の喜び」という観念は、初演を作られた石田先生の強いこだわりなのだと思いました。
「フェルナンドの自死」という結果に繋がるので、石田先生は命の大切さを訴えるために、喜びのある人生の意義について語っておきたかったのでしょうか。

樫畑先生は、「どう生きるか」「どう生死と関わるのか」という重い題材の作品を、初演の余計なものをバッサリ切って、ストレートに届けてくれました。

こういう作品は、観る人の位置によって、受け止め方も様々で、こたえはありません。

樫畑先生の潤色・演出はとても良かったと思いました。
さらに最高のフィナーレがついていたことで、シリアスな重苦しさは吹っ飛びました。

そしてこの作品を「和希そらを魅せる」ことに徹しておられたことは大成功だったと思います。成長著しい和希さんは、難しいフェルナンドという役を難なく演じて、あらゆる魅力を魅せてくれました。

難しい重いテーマの作品なので、そこに直面したくない方もある程度いらっしゃると思います。「和希そら」という屈指のエンターテイナーに目を向けるという逃げ道も用意されていたことは良かったです。

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見たかった和希そら満載

和希そらの男役芸ここに極まれり

『夢千鳥』『プロミセス、プロミセス』『心中・恋の大和路』と数々の女性を泣かせる「ダメンズ」として爪痕を残してきた和希さん。

今回のフェルナンドは、秘密を抱えた影のある外科医で、勤務中にも酒場に出かけ、数多くの女性とつき合う常識破りの危険な男。モニカと出会ってからは、変わっていきます。

アンニュイでセクシーで、まとう危うい空気まで魅力的。

苦み走った表情で吸うタバコが良く似合う。(多分3回タバコを吸われていました)

深い声と落ち着いたセリフ回し。

ちょっとしたしぐさや目線の変化で、感情の振れ幅を的確に表現する磨きをかけた演技力。

そして和希さん主演の舞台を観る度に、色気がグーンと増しているのを感じます。

留まることのない「男役力」、本当に凄すぎる男役さんに進化しつづけていらっしゃいます。

歌唱力、ダンス力も、上達し続け、ますます表現力が豊かに。

留まることのない和希さんの全ての点での進化、深化には驚かされるばかりです。

お似合いのカップル 華純紗那さん

華純紗那さんは、純粋なモニカを屈託のない明るさで丁寧に演技されていました。喜怒哀楽の心がこもたナチュラルな表情がいいなと思いました。やさしいやわらかい声でセリフも明瞭でしたが、ナレーション部分はイメージと違う感じがしました。可憐なだけでなく、芯がある娘役さんだと思いました。

和希さんと華純さんは10期差。身長差が丁度よく、繊細な芝居のタイプが合っているお似合いのカップルだと思います。

和希さんは、モニカにだけは愛おしい目を向け、微笑む。そのギャップも萌えポイントかも。

ラストの裸足のダンス

白いシャツと白ズボンに裸足で、湖の中をたゆっている姿は、それまでの重荷をおろしたように思えました。ドライアイスが幻想的な雰囲気を醸し出す中でのコンテンポラリーダンスが圧巻でした。

豊かな表現力のダンスから、「和希さんの伝えたいもの」が伝わってくるような気がしました。

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その他の出演者

代役大健闘の眞ノ宮るいさん
フェルナンドの同僚でライバルのランベルト役(本役縣千)。代役とは思えない存在感で、眞ノ宮さんの生真面目さが役にいきていて、ピッタリはまっていました。

オペダンスで、トートのような格好で死神風に踊っていたのは咲城けいさん。今回眞ノ宮さんの代役です。初演では咲城さんのアントニーオを演じていた彩凪さんが踊っていました。

咲城さんのアントニーオは、初演に比べて、はやくから好青年の母親思いの息子として舞台に登場されていました。

眞ノ宮さんの本役は看護師でしたが、今回看護師としての見せ場はほとんどありませんでした。(代役だったためか?)

眞ノ宮さんの魅せ所はフィナーレと咲城さんが代役で入っているオペダンスのトートのような死神だけなのかな。看護師の本役に戻った時、実力ある眞ノ宮さんの無駄遣いのように思いました。

フェルナンドとランベルトが対立関係で描かれているように、ヒロインのモニカ(華純)と院長の娘(野々花)のクラリーチェも対立関係で描かれています。野々花さんには声を荒げるシーンもあり、強めの女性を好演されていました。

今回、最下級生にまで役がついていて、それぞれ活躍されていました。108期の水月胡蝶さんの活躍が目立ちました。

フィナーレ

和希そらを魅せるフィナーレ

和希さんの格好良さと色気と技術力が爆発していました。

和希さんが登場すると一瞬にして空気が変わります。

特にアップテンポなダンスで、「ダンサー和希」の本領が発揮されていました。

絶品の和希そら&華純沙那のデュエットダンス

プラズマダンサーの時のようなやさしい素材のお揃いの衣裳で、ダンサーの二人は、ピッタリ息が合っていて、二人が一つになったデュエットダンスでした。

ポーズごとにとっても決まっていて、大胆な業も軽々とやってのけ、高い回転リフトもフワッと美しすぎる。

華純さんは和希さんと目が合うと幸せの笑みを浮かべ、和希さんはやさしい眼差しで華純さんを包み込むように微笑み、二人の間に幸せいっぱいの空気が流れていて、見ているこちらまで幸せに満たされました。

まさに夢のデュエットダンス。こんな多好感あふれて、幸せを感じられるデュエットダンスは、なかなか見たことがなかったように思いました。

「こんな和希そらを見たかった」というフィナーレでした。

パレード前の主題歌のエトワールは、愛すみれさんでした。

そしてみなさんのご挨拶が終わって、和希さんの歌で締めくくられました。

カーテンコールでの楽しい和希そらさん

それまで痺れるほど格好良い男役を魅せてくれていたのに、ご挨拶になるとお茶目で面白くなるところが、和希さんの魅力の一つ。

(暗い中でメモにとっているので、読解不能部分が多く、ニュアンスです)

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ご挨拶1

「自分にとっての幸せとは、どう選択し生き抜くか、人それぞれ幸せの価値観は違うと思います。この作品を通して何かをお届けできたら。1回1回全力で務めてまいります。東京の千秋楽まで応援のほどよろしくお願いいたします。」

初回はとっても真面目なご挨拶でした。

ご挨拶2

「今日、皆さまの幸せの選択に、この観劇が入っていたら嬉しいです。もしかしたら自分の意思ではなく、連れてこられたという方も、1ミリでも来てよかったと思ってもらえれば!ゴキゲンに帰路におつきください」場内大爆笑。

「1ミリでも」という言葉を先日礼さんが使われましたが、和希さんも使われるんだ、と思いました。

ご挨拶3

「もうすぐ9月だと言うのに、まだまだ暑いですね。私はセミが苦手で、この季節になるとセミのなんやかんやなのですが。この作品に出会ってセミも一週間の命の中で、幸せの気持ちを模索しているかもと、全てに思いやりをもちたいと考えるようになりました。秋の虫にもやさしくしたいと思います」

ご挨拶4

「今回病院が舞台なのでナース服、白衣。こんなにも大勢の白衣集団はなかったと思います。白衣だ!メガネだ!萌えるだの、萌えないだの、そこもプラスαのオプションとして楽しんでいただけたら。私の白衣姿いかがですか?」

客席大拍手!

「拍手の強制すみません。本日2回目の人為的拍手になってしまいました。本日はありがとうございました。水分補給なり、なんなりしてお帰りください」

命の大切さ尊さに真っ直ぐに向かいあっている作品です。ともすれば暗い作品で終わってしまう所を、スターとして勢いのある和希そらさん主演によって、輝く良作になっていると思いました。

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