こんにちは、くららです。
本日の星組『1789』、礼さんが復帰されて感動的な舞台だったようで良かったです。どうか千秋楽まで皆さん元気に完走できますように。
月組『フリューゲル』『万華鏡百景色』の感想を書くタイミングを逃していたので書きたいと思います。気になる話題にしぼって書いていきます。ネタバレしていますので、知りたくない方はここで終わりにしてください。
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鳳月杏さんについて
私と同じ長い宝塚ファンの友人と話題になるのは、鳳月杏さんはトップスターに就任されるのだろうか?と言うこと。
長年のヅカファンには、固定観念があるので「研19でトップスター?」と懐疑的です。私もそうです。鳳月さんのスターとしての扱いは、少々別格的なイメージも抱いていました。
観劇前の思い
月組『フリューゲル』『万華鏡百景色』の初日を観劇する前に、鳳月さんの公演スチールと公演プログラムを観ました。
鳳月杏さんのショーのスチールは付喪神(つくもがみ)のもの。被り物をつけていて、人をたぶらかす神なので、表情も無表情で、スチールとしては異色。大劇場のロビーのパネルを見ても、鳳月さんのものだけ、やはりちょっと違う、スター然とした雰囲気ではない。
公演プログラムのお芝居のスチールも秘密警察(シュタージ)の役なので眼光鋭く冷たい雰囲気。
このスチール写真で、「次期トップ候補」というより「別格ポジ」という印象をもってしまいました。
しかし観劇を重ねてみると
そして公演を観ると、お芝居『フリューゲル』では、シリアスでダークな部分を一身に担われていました。
そして秘密警察のヘルムートの結末が衝撃的で自死します。この展開に1回目は疑問に思いましたが、いろいろと考えたらこの結末が必要だったと思うようになりました。(後ろで詳しく書いています。)
ショー『万華鏡百景色』では、少女(花妃舞音)と骨董屋(梨花ますみ)の導入部分の後、本舞台には付喪神の男役さんたち。(夢奈、蓮、英、風間、礼華、彩海)、万華鏡に憑いていた付喪神の鳳月さんは、スポットライトを浴びて銀橋から登場。(この登場の仕方は、次期トップスターという感じ)
付喪神の男役さんたちが舞台上で踊っている時も、鳳月さんは一緒に踊らず特別な感じ。その後は付喪神として登場するのは鳳月さんだけ。
ラストのトップコンビのデュエットダンスも、鳳月さんが二人をくっつけるという感じでした。
存在感ある活躍をされていました。
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一番印象に残った鳳月さんの「地獄変」
そして鳳月さんには、芥川龍之介として登場した後、大正時代の「地獄変」(芥川の代表作)というこのショー最大の見せ場があります。
平安時代の伝説的な画師・良秀は、天下一の腕前として大殿様から気に入られていましたが、猿のように醜い容姿の老人で、傲慢で変わった性格のため、人々からは気味悪がられていました
良秀は自分とは似つかわない可愛い娘がいて、溺愛していました。その偏愛ぶりに、大殿様の父娘に対する心象は少しずつ悪くなっていました。
大殿様は良秀に「地獄変」の屏風絵を描くよう命じ、良秀は「見たものしか描けない」と、地獄絵を描くため、道端の腐乱死体をじっくり見てスケッチしたり、弟子を裸にして鎖で縛り上げたり、フクロウに弟子を襲わせるといった無茶苦茶なことをやっていました。
それでは足りず大殿様に、燃え盛る牛車の中で悶える女の姿を実際に見たいとお願いします。
大殿様は、牛車に罪人の女房を閉じ込め、火を放ち、燃え果てていく様子を良秀に見せることにしましたが、実際に牛車の中にいたのは、良秀の娘でした。
良秀は、娘なことに気づいてはじめとても悲痛な表情を浮かべ唖然としますが、もだえながら焼けただれく娘の姿を恍惚の表情で厳かに眺め取り憑かれたように「地獄変」の絵を完成させます。絵の出来栄えは凄まじいもので、皆が称賛した次の夜、良秀は自ら首を吊って死にました。
鳳月さんが、地獄絵図を描く良秀となり、牛車で炎にもだえる娘(天紫珠李)を見て絵を描いていく様を、激しい狂気をはらんだ迫力ある歌と踊りでみせてくれます。大きな赤い布で火を表す演出が見事でした。
大殿が蓮さん。
良秀の猿の部分を表現するために、「猿」が蘭さん。
男役さんが赤いドレスをまとって「業」を表現されていました。「業S」が夢奈さん、「業」が英さん、彩音さん、一星さん、瑠皇さん、彩路さん、真弘さん、七城さん、遥稀さん、和真さん、天つ風さん、一輝さん。
どのシーンも素晴らしかったですが、思い出すとこの「地獄変」が強烈に印象に残りました。
本題からそれますが、芥川龍之介繋がりでもう一つ紹介します。
江戸時代は、月城さんが花火師で、海乃さんが花魁。いつか二人で花火をみてみたい。(ラストのデュエットダンスで叶います)
明治時代の鹿鳴館で催された大夜会の「花火」に繋がります。月城さんがフランス人将校で、海乃さんが令嬢明子に転生。芥川龍之介の『舞踏会』をベースに展開します。
小説の明子繋がりで「大正時代」に。32年後の大正時代の明子は、白雪さち花さん。青年は彩海せらさん。
そして芥川龍之介が登場するという流れでした。
この時代の繫ぎ方に、栗田先生の奥深い才能を感じて感動・感激しました。栗田先生のセンスの良い才能は、他にもいろんな所で発揮されています。本当にこれからが楽しみな先生です。
名門の令嬢の明子(17歳)は、明治19年11月3日の夜に生まれて初めての舞踏会に出かけます。会場で明子は、フランスの海軍将校に踊りを申し込まれ、2人はダンスを楽しみ、その後バルコニーで花火を見ながら、夢のような夜を過ごしました。
32年後(大正7年)、老夫人となった明子は電車の中で知り合いの青年小説家と一緒になり、鹿鳴館の舞踏会のことを話して、青年は将校の名前を尋ね、夫人は「ジュリアン・ヴィオーと仰有る方でございました」と言うと、青年は興奮気味に「『お菊夫人』を書いたピエル・ロテイだったのでございますね」と言うと、夫人は否定します。
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鳳月さんのことを齋藤先生が「キャプテン」と表現
話がとびましたが、鳳月さんに話を戻します。
公演プログラムを見ると、齋藤先生が「クールでホットな組のキャプテン鳳月杏」と紹介されていました。
キャプテンの日本語の意味は、(特定の集団の)長,リーダー,主将,隊長,首長,班長(特定の産業界の)指導者、とのこと。
鳳月さんは、月組の中で上から組長、副組長さんに続く3人目の位置です。4人目は月城さんです。
月組の中では「長」「リーダー」の位置で、組子をまとめていらっしゃることに間違いないでしょう。
コロナの影響と変化を避けた人事で現在スターの番手が渋滞しています。
来年のカレンダーのメンバーが公表されましたが、新人公演の主演経験者が掲載される「卓上カレンダー」には、104期以降の新公主演経験者は次々に誕生しているのに、新規掲載者がいませんでした。ここでも人事の停滞が影響しているのでしょう。
トップが高齢化傾向にあって、スターが渋滞化しているように思える中で、宝塚史上初の研19のトップスターが誕生するのだろうか?と思いますが、舞台での鳳月杏さんの使われ方をみると、わからなくなってきました。
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お芝居の鳳月さんのラストシーンについて
秘密警察(シュタージ)のヘルムート役の鳳月さんは、ベルリンの壁崩壊によって、理想を砕かれ絶望して、拳銃を頭にあてた所で幕が降ります。
その直後、銃声と共に真っ赤なライトが幕に当たって、自死したことがわかります。
舞台はすぐに明るい方向に展開していきます。
初めてこのシーンを観た時は、ハートウォーミングな舞台にこのヘルムートの自死は必要だったのだろうか?と疑問に思いました。
でも、思いを巡らしているうちに、必要だと思うようになってきました。
ベルリンの壁崩壊によって、「明」だけでなく「暗」もあったことは知っておく必要があると思います。
プーチン大統領は、ベルリンの壁崩壊当時、ソ連国家保安委員会(KGB)の諜報員として東ドイツのドレスデンに駐在していました。
現地では、鳳月さんが演じていた秘密警察「シュタージ」の職員たちとも親しく交流し、ビールを飲み交わす中だったそうです。
プーチン氏が、ベルリンの壁の崩壊時に、大きな屈辱と恐怖を味わったことが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に繋がっているとか。ウクライナのゼレンスキー政権が親欧米で、NATOへの加盟を目指していたことが許せなかった。
一方風間さんは、NATOの諜報要員(スパイ)のようです。
きな臭い時代に、宝塚が作品を通して平和の大切さを語っている意義をとても感じます。
宙組『カジノ・ロワイヤル〜我が名はボンド〜』によって、スパイにも詳しくなりました。
ショーの中詰めでは、沢山の方が客席おりして、びっしりと通路を埋め尽くされ、劇場全体が弾んでいます。
コロナ禍前でも、こんなに長時間沢山のジェンヌさんたちの客席降りは珍しかったと思います。トップスターさんが、21列の後ろの通路にいらっしゃるというのも、大盤振る舞い!
お芝居でも広報チームが、客席から登場していました。
とってもとってもワクワクします。
でもコロナの感染は続いています。
明日からの雪組全国ツアー、2名の休演者が公表されました。(コロナかどうかはわかりません)
来週月曜日が初日の雪組『双曲線上のカルテ』は、初日に放送予定だった「ナウオンステージ」が9月12日(火)に延期になりました。
初日の幕が無事に上がりますように。
心から願っています。
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