110周年に向けて脚本力について思う
こんにちは、くららです。
本日は雪組『Lilacの夢路』『ジュエル・ド・パリ!!』の大千秋楽でした。
東西公演、無事に完走できて良かったです。7名の退団者(白峰ゆり、星加梨杏、日和春磨、真友月れあ、涼花美雨、天咲礼愛、菜乃葉みと)と雪組生の笑顔が輝く素晴らしい千秋楽でした。

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『Lilacの夢路』について思うこと

でも『Lilacの夢路』の脚本の今一歩感は、宝塚大劇場で初日の幕が上がった時と変わらずでした。

舞台の画面は綺麗で、雰囲気も良く、セットと照明も素晴らしい。
玉麻尚一氏、斉藤恒芳氏、小澤時史氏の楽曲も最高。
謝先生の振り付けは、独自性があって格好良く、演出も変化があって面白い。

しかしただただ脚本が…
謝先生のメッセージが沢山詰め込まれすぎていて、説明が長く、ご都合主義に展開していき、整合性が無い部分も。

また、台詞がおかしい所が多い感じも…。以前から宝塚の作品の日本語が変なことは時々気になっていました。宝塚には、脚本を校閲する部門はないのかなぁと思い続けています。

トップスターの彩風さんをはじめ雪組生たちの熱量と技術でねじ伏せて、目と耳で楽しめる舞台になっていました。

話の展開を重視せず、深く考えず「考えるより感じろ」という思いで観劇したら、とっても楽しめる作品でした。

宝塚の舞台は駄作でも、観劇を重ねると「スルメ」のように味わい深くなりますが、申し訳ないですが、この作品は「スルメ」のような深さには、私の中では達しませんでした。

新人公演担当は、演出補野口幸作先生でした。
主演の紀城ゆりやさんの開幕のご挨拶の時に、野口先生の名前があがると客席から歓声と拍手が起こっていました。野口先生に期待されたのでしょう。
「本公演とどこか違うかな?」とワクワクと観ましたが、何も変更点はありませんでした。
1本物を短縮するわけでは無いので、大御所先生の作品を若手の先生が変更することは難しかったのでしょう。
新人公演の観劇中、男性のいびきがずっと聞こえていました。

野口先生はショー中心に担当されていますが、花組の『花より男子』、宙組の『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』と芝居も担当されているので、新人公演用に潤色されても良かったのでは?と身勝手に思いました。

ショーの『ジュエル・ド・パリ!!』が宝塚らしくて、雪組生たちの魅力にあふれていたので、楽しく通うことはできました。

今年に入っての宝塚の本公演は、『Lilacの夢路』だけでなく、「もう少し脚本が良かったら」と思う作品が、月組、宙組、雪組と続いたように私は個人的に感じていました。

「宝塚の脚本力って、とても重要」と、あらためて思わされています。

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『宝塚100周年』の芝居作品

最近『宝塚100周年』の頃のことばかり書いていますが、記念すべき年だったのに、この2014年も脚本力不足」をとても感じました。

1.星組『眠らない男・ナポレオン —愛と栄光の涯(はて)に—』

100周年の一作めは、「宝塚から世界へ発信する小池修一郎氏のオリジナル超大作ミュージカル」と銘打って、作曲に『ロミオとジュリエット』のジェラール・プレスギュルヴィック氏を招き、日仏コラボレーションでの創作ということでした。

豪華な装置と衣装、そしてジェラール氏の音楽というお膳立ては整っていたにも関わらず、初見時何も訴えてくる感動が無く、「アレ?」と思いました。
そして観に行くたびに、いろいろと変更されていました。

小池先生の台本が遅れていて、舞台が開幕してからドンドン変更が重ねられていって、出演者たちは大変苦労されたようです。当時の星組生たちの語り草になっていました。

東京公演の時は、それなりに改善されていたようですが、宝塚100周年の第1作目を飾る「宝塚から世界へ発信する」超大作ミュージカルには全く至らなかったように思いました。

あまりに大作をつくるぞ!と気負い過ぎて、墓穴を掘ってしまったように感じました。(勝手な主観です)

2.花組『ラスト・タイクーン —ハリウッドの帝王、不滅の愛— 』

蘭寿とむさんの退団公演で、生田大和先生の宝塚大劇場デビュー作でした。

スーツ姿の蘭寿さんはとても格好良かったですが、生田先生の脚本は、まとまりと山場がなくて評判が悪かったです。特に「退団公演」という配慮がなくて、蘭寿さんファンには特に不満があったようで、作品に対してとても怒られている声を耳にしました。

3.月組『明日への指針 -センチュリー号の航海日誌-』

月組100周年記念公演
『宝塚をどり』
『明日への指針 -センチュリー号の航海日誌-』
『TAKARAZUKA 花詩集100!!』

3本立てなので、お芝居石田先生作・演出『明日への指針』35分の短編ものでした。短い時間に月組生が全員を出演させて、上手に話がまとめられていて、明るく楽しくて爽快と、評判良かったです。

35分という短い時間と、90分では、難易度が全然違うのでしょう。

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4.宙組『ベルサイユのばら—オスカル編—』

脚本・演出/植田紳爾
演出/谷正純

「オスカル編」ということで、女性的な面も繊細に描かれていました。これが良かったのかどうかは?

凰稀オスカルは、2013年の『ベルサイユのばら』 -フェルゼン編-にアンドレ役の柚希礼音さんと特別出演した時の方が好きでした。

5.雪組『一夢庵風流記 前田慶次』

壮一帆さんの退団公演で、隆慶一郎氏の『一夢庵風流記』を大野拓史先生が脚本・演出。
傾奇者として名を馳せた、豪放磊落な前田慶次が、壮一帆さんにピッタリで、“松風”という歌舞伎の馬【演者が前足、後ろ足にそれぞれ入っている】まで登場して、とても評判が良かったです。

【作・演出】より原作のある【脚本・演出】は、評価が高くなります。

6.星組『The Lost Glory —美しき幻影— 』

【作・演出】植田景子先生で、専科の轟悠さんが特別出演され、柚希礼音さんとW主演第一次世界大戦後の好景気に沸くニューヨークを舞台に、シェイクスピアの「オセロー」をイメージモチーフとして、男女の愛憎のドラマを描いたミュージカル。男役の主役を二人立てて、それぞれに見せ場を作り、最後にきれいにまとめられた無難な作品に仕上がっていました。
退団が近い大人気のトップスターが、単独主演でないという点で、不満や批判の声が多かったように記憶しています。

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7.花組『エリザベート-愛と死の輪舞-』

トート役の明日海りおさんのトップお披露目公演で、超チケット難公演でした。

潤色・演出/小池修一郎

エリザベート ……蘭乃はな
フランツ …… 北翔海莉(専科)
ルキーニ …… 望海風斗
ルドルフ …… 芹香斗亜/柚香光

8.月組『PUCK(パック)』

作・演出/小池修一郎

1992年、涼風真世主演作品の再演でした。

小池先生の作品は、花組、月組と続いていたのですね。お正月公演も小池先生だったので100周年は3作小池先生の作品でした。

9.宙組『白夜の誓い —グスタフIII世、誇り高き王の戦い—』

作・演出/原田諒

宝塚大劇場で観劇した時は、話の筋がわかりにくかったです。
原田先生の脚本が膨大で、1時間半に収まりきらないので、様々な場面で前後を削って、なんとか時間内に収めたためだとか。

そして東京公演に向けて、トップスターの凰稀かなめさんが原田先生に違和感のある部分の改良を申し出られ、その結果東京の公演はわかりやすい話の展開になったそうです。

原田先生というと、昨年退団されるまで、「大物演出家」というイメージでしたが、2014年頃はトップスターの意見を尊重されていたのですね。
原田先生の大劇場公演デビューは、2012年4月の宙組『華やかなりし日々』(主演大空祐飛)で、この作品は2作目でした。

今まで、トップスターの意見を取り入れて、作品が改良されたという話は、凰稀かなめさんのこの話しか知りません。

舞台は生ものなので、舞台に立って肌で観客の反応を感じている演じる側の意見も、脚本に取り入れて改良していくことは大切なことだと思います。

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「カフェブレイク」で芹香斗亜さんが語られていたこと

先日、テレビ番組「カフェブレイク」に出演された芹香斗亜さんが、カジノ・ロワイヤル〜我が名はボンド〜』のフィナーレの歌唱指導でのことを話されていました。

お芝居中、芹香さんではなく、真風さんが歌っていた「イルカが人を愛するように」を歌っていらっしゃいました。

芹香「大劇場の最初の頃は、なかなか不思議な顔をされて(笑)、こっちから映したいぐらい、「あっっ、イルカの生態について歌っているの???」という顔をされていたんですけど、最近は皆様予備知識をもって「あっイルカだね」っていう感じで観ていてくださっているんですけど。小池先生いわく、あれはラブソング、世界に向けてのラブソングでもあるのかなぁと思うので、心をこめて歌わせてもらっています」

大劇場の初日から「なんで芹香さんがイルカの歌なの?」と不思議がられていました。観客の反応は、スターさんにしっかり伝わっているのだなと思いました。

真風さん宝塚大劇場の千秋楽のご挨拶の中で、わざわざその事にふれて、『今の時代だからこそ、「人と人がイルカのように愛し合えば地球が一つになれる」そんななかなか言葉にできない思いを伝えられる、こんな素敵な作品を宙組の仲間と作れますこと、ご覧いただけますこと、本当に幸せに思っております。』と語られていました。この真風さんの言葉を通して、芹香さんがフィナーレの歌唱指導でこの歌を歌われている意味がよく伝わってきました。

観客の反応を肌身で体感されているスターさんたちの思いは、脚本が改良されていくことに、しっかり取り入られていったら良いと、芹香さんの話を聞いても思いました。

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脚本のチェック機関はないのか

私が勝手に思っていることですが、脚本が出来上がったら、それをチェックする仕組みがあったら良いなと思います。

多分お稽古と同時進行で脚本も変わっていくのだと思いますが、「日本語の校閲」も含めて、違う視点でとらえてのアドバイスも入った方が良いかと。

宝塚の演出の先生たちは、本当に潤色がお上手です。そういう視点で他の先生の作品を捉えたら、良いアドバイスがうまれてくるような気がします。

『ベルサイユのばら』についても、時代と共に脚本が様々に変化しています。今年に入って昭和の「ベルサイユのばら」(月組、花組、星組)がスカイステージで放送されているのを見て、原作の漫画に忠実に描かれていることに驚きました。

時代に合わせて、スターに合わせて変化してきたのが宝塚の『ベルサイユのばら』の特徴ですが、今一度原点にもどって来年の『ベルサイユのばら』を制作していただけたらと願っています。

普段は宝塚と無縁の生活を送っていても、『ベルサイユのばら』を楽しみにしていている友だちがいて、チケット入手を頼まれています。

昨年から『ベルサイユのばら』が様々な所で話題になっているので、来年宝塚の『ベルサイユのばら』が大きな話題になることは間違いありません。

『ベルサイユのばら』は宝塚の代名詞とも言える、とスターさんも話されていました。
宝塚110周年を飾る宝塚の作品が、心から楽しめる作品になることを願っています。

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