『カジノ・ロワイヤル 』新人公演配信感想
こんにちは、くららです。
宙組『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』東京新人公演を配信で見ました。
宝塚では3月28日に新人公演が開催されて、約2ヶ月弱たっての東京新人公演。

宝塚では小道具を使ってのハプニングがいろいろと起きて、客席もドキドキでしたが、今回はスムーズに流れて良かったです。

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経験値の少ない105期主演3人の共通点

105期の主演が続いています。月組の『応天の門』の七城雅さん、今回の大路りせさん、そして先日の雪組大劇場公演『Lilacの夢路』の紀城ゆりやさん

新人公演がはじまって早々は、3組とも主演の3人ともすごく緊張されていて、「だいじょうぶかな?」と心配になりましたが、ストーリーが進むにつれて、段々と緊張から解放されて、本調子になって実力を発揮されていきました。

はじめに緊張してしまうのは、やはり場数、経験値の少なさからかな?と勝手に思っています。

特に今回の宙組の『カジノ・ロワイヤル 』の主演の大路りせさんとヒロインの美星帆那さんは、3回目の新人公演で、ヒロインと主演に抜擢!
おふたりとも中卒だったため、2019年の『エルハポン』に出演できなかったので、同期の中でも二人は「マイナス1回」です。

緊張しすぎると、一番反映するのが歌唱力です。不安定になります。
そして歌唱面の不安定さは、観客が一番感じやすいものです。

宝塚大劇場で、3月に宙組新人公演が開催された時に「新人公演らしい新人公演だった」と言う感想を多く拝見しましたが、主に歌唱面での印象を言われているのかな?と思いました。

そして今回の宙組新人公演は、105期生が多くの主要な役を担っていました。
同期間で「緊張」も伝染してしまったのかな?と思う程、はじまったばかりの頃は105期の方々に緊張を感じました。

105期は研5ですが、コロナ禍で約1年半新人公演を経験できなかったので、通常時期と比べたら新人公演の経験値は、マイナス2~3回。
経験値に比べて、役の責任が重いので、緊張してしまいやすかったかもしれません。(これは宝塚大劇場での月組、雪組の主演者にも言えることだったと思います。)

また、東京の新人公演は、宝塚の時より緊張しない傾向にありますが、「ライブ配信で生中継されている」ので、宝塚大劇場の経験値はあるものの、冒頭では105期生たちが緊張気味だったように感じました。

でも、段々と慣れて落ち着いていってからは、宝塚の時より皆さんレベルアップ、進化されていたように思いました。

そんな中で、経験値を重ねている長の期の亜音有生さん(103期)安定感は抜群でした。スターとしての華も。亜音さんが出てくると舞台の空気が変わります。

そして宝塚での新人公演の時も2役を演じた素晴らしさMVPとブログに書いていた真白悠希さん(104期)は緊張とは全く無縁の、余裕の上手さでした。

また、ボンド(大路)とルシフル(亜音)バカラのダンス対決ラストの殺陣も、ビシッと決まっていて格好良くて素敵でした。これらは新公レベルをはるかに超えていたと思いました。コーラスの宙組の良さも健在でした。

歌唱力だけで新人公演が評価されてしまう一面がありますが、私は一生懸命さがとても伝わってくる素晴らしい新人公演だったと思っています。 

ル・シッフル(芹香斗亜)…亜音有星(103期)

場数を踏んで、経験値のある亜音さんの存在が、最高に光っていました。
悪の雰囲気をまとったル・シッフルのビジュアルも、また釣り目気味で、片眉あげたりの冷酷な表情も、工夫されていて、とても良かったです。
歌もとっても上達されていて、安定した歌唱と安定のお芝居で舞台全体を纏めていらっしゃいました。
亜音さんがいるから、105期たちが主な役を占める冒険が出来たのだと思います。

そして亜音さんが、大路さんの最後のご挨拶を見守る姿に、「親心」があふれていて、宙組の頼もしい存在になられたなぁと感動しました。

大抜擢の105期

ボンド(真風涼帆)…大路りせ(105期)

立ち姿が美しく、スーツの着こなしもスタイリッシュでした。ダンスもキレが良く軽やかで、動きもシャープ。包容力と人間味のあるジェームズ・ボンドでした。

「究極の男役」と言われている真風さんが集大成を飾られたボンド役を、真風さんから直々に学んだことは、これからの男役道の大きな宝になると思います。

歌える歌と歌えない歌の差が大きく、真風さんの歌が難しいのもあるかもしれません。大路さんは歌が下手では無いと思うので、ボイトレを続けて、場数を踏んでいったら、聞かせる歌を歌えるようになると思います。

そして、キスシーンがとてもお上手になっていました。

デルフィーヌ(潤花)…美星帆那(105期)

可愛いくて幼さが残っているところが、未熟で純粋な大学生のデルフィーヌらしくて、そんな美星デルフィーヌのセリフは、より役にはまっているように感じました。今回もメイクがバッチリ決まっていて、美しかったです。

はじめはかたくて緊張されていましたが、段々と緊張から解放されて、歌も宝塚の時より上達されているように感じました。

今回は何もトラブルが起きなくて良かったです。宝塚の時は初めて大きな役に必死にチャレンジされているのに、小道具などのトラブルの不運に見舞われて本当に気の毒でした。

お芝居が終わってから、とても充実したお顔をされていたので、ご自分の課題を達成できたのかなと思いました。

ミシェル(桜木みなと)…泉堂成(105期)

桜木さんの大学生設定より、年齢を下げているのかなという印象。素直で気が弱くて、母性本能をくすぐるような、アナベルが虜になっていくのもわかる、かわいいミシェルでした。そしてミシェルがアナベルに少しずつ好意を抱いていくのが上手に表現されていました。

お芝居が本当にお上手だと思います。宝塚の時と同じく、歌が上達されていました。一番の聞かせ所の牢獄での歌が無かったのは残念。

アナベル(天彩峰里)…愛未サラ

圧がある濃い役を思い切り良く演じられていて、見てて気持ちが良いです。怖さを感じるほどの迫力もありました。
歌がお上手だと思っていましたが、クラブの歌手の所は少し緊張されていたのかも。
本役の天彩さんより、クセが強くて濃く演じられている印象でした。
全国ツアー『バロンの末裔』のクセの強いシャーロット役は当たり役でした。

新人公演のヒロインを経験して欲しいと思っていましたが、宙組から同期の2人目のヒロインも誕生したので、愛未さんは別格枠でいかれるのかも。器用で芸達者な方なので、活躍していって欲しい娘役さんです。

ヴェスパー(春乃さくら)…山吹ひばり

次に『大逆転裁判』の東上公演のヒロインが控え、ヒロインとして経験値を積んでいる山吹さんは、亜音さんと同じくらい、安定していて華やかで頼もしい存在でした。

公演毎に声質がエレガントになっている印象です。努力されているのですね。
舞台に立っているだけで華があって「ザヒロイン」。次期トップ娘役の春乃さんの役を山吹さんが演じることから、期待度が伝わってきます。

コメディセンスが光った芝居上手なロマノフ兄弟
グレゴリー(風色日向)…聖叶亜(105期)
アナトリー(亜音有星)…奈央麗斗(107期)
はやくから抜擢されていた二人の美形男役さん。出番がだいぶ削られていましたが、短い出番の中でも、とっても存在感を発揮されていました。

その他の印象に残った方

ルネ(瑠風輝)…鳳城のあん(106期)

3拍子そろった実力派で、研4なのに、とても安定感がありました。
格好良いのに、ルネのへたれた個性も良く出ていて、演技がナチュラルでスーツ姿が粋。
『MAKAZE IZM』でも、特別にコーナーを設けて推されていたので、新人公演主演も射程範囲の楽しみなホープさん。

芸達者な真白悠希さん(104期)

ドクトル(若翔りつ)役とM長官(松風輝)の2役を、色を全く変えて演じられていました。
イケおじM長官は、余裕のある大人で、とっても存在感があります。
化学者ドクトルはお茶目で歌も上手で、宝塚の時は気づきませんでしたが、映像紹介の所は真白さんのイラストになっていたのですね。
ドクトルのキャラの表現もセンスに溢れていて、この先どんな真白さんの演技に出会えるのか楽しみしかないです。

ロマノフ大公(寿つかさ)… 嵐之真(104期)

真白さんと同期の嵐之さんも芸達者でした。
イケオジだけど間の抜けた品のあるおじさんを好演されていました。
嵐之さんも声が良くて、芝居のセンスが抜群。路線男役さんとしても活躍して欲しい方です。

ジャン(優希しおん)…波輝瑛斗(106期)
宝塚での新人公演では、波輝さんの身体能力の高さに圧倒されっぱなしでしたが、今回ライブ配信でも新体操で鍛えた前方転回を3連続をはじめ、技が決まっていました。

葉咲うらら(106期)さんの「ヒッピー女(歌手)」今回も素晴らしい美声でした。

イリヤ(鷹翔千空)役の風翔夕(107期)さん、映像で見ても美弥るりかさんに似ています。とても印象に残る方です。

「ディーラー役(秋奈るい)」で、何度もアップで抜かれていたのは、108期の志凪咲杜さん。文化祭では「クラシック・ヴォーカル」披露の超歌ウマさん。推されているのかな?と思いました。

109期も歌で1番の輝星成さんが宙組に配属されています。宙組は歌唱面をさらに充実されていくようです。芹香さんトップ時代は、海外ミュージカル等が多いのかな。

新人公演担当の平松結有先生

色々端折って2時間半の作品を1時間40分作品に。スイスイとスピーディな展開に新演出されていて、簡潔で話に没頭しやすかったです。

真風さんの『アデュー』という別れの言葉が、大路さんには『さぁ、次の任務だ!』と変更になり、その背後の舞台の上には、出演者全員が揃ってそれぞれ盛り上がっていて、新人公演のエンディングとして最高の演出だったと思います。

平松結有先生の初めての新人公演担当は、2022年1月月組の『今夜、ロマンス劇場で』でした。病室のラストシーンで、とても余韻のある終わり方に変更されていました。

その時にセンスある先生だなと感じていましたが、今回の新演出は細部まで配慮が行き渡っていて、すごく才能がある先生だと思っています。

平松結有先生について

慶應義塾大学 総合政策学部ご卒業。

お名前で検索すると、学生時代のプロジェクト『 日本におけるミュージカルエンタテイメントの受容 -宝塚歌劇及び東宝作品『エリザベート』比較分析を通して-』という論文がヒットしました。

そして、慶應義塾大学公認のミュージカルサークルSTEPS Musical Companyで、脚本など手がけていらしたようです。

いろいろと演劇の経験を積まれていて、宝塚の演出家になるべくしてなられたのだなと思いました。新人公演で素晴らしい手腕を振るっていらっしゃるのも頷けました。

演出助手をされた作品

2023年 花組『ENCHANTEMENT!』

2022年
月組『今夜ロマンス劇場で』
月組『グレート・ギャツビー』
月組『Rain on Neptune』
星組『JAGUAR BEAT』

2021年
花組『PRINCE OF ROSES』
宙組『Hotel Svizra House』
宙組『Délicieux』
雪組『Fire Fever!』
月組『川霧の橋』(博多座)

2020年
雪組『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
雪組『NOW! ZOOM ME!!』
星組『Ray』(梅田芸術劇場)

先日宝塚の演出助手について調べた時に、バウホールで演出デビューするのは、入団して8年目ということでしたので、もうしばらく新人公演担当で経験値を重ねていかれるのでしょう。

前回は演出助手の山口絵美菜さんをご紹介しました。宝塚には、このように有望な演出助手の方が、沢山入団されているのですね。将来が楽しみです。

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