花組『二人だけの戦場』の初日観劇感想
こんにちは、くららです。
花組『二人だけの戦場』を観劇してきました。
脚本等大きな変更が無かったと思いますが、29年前の名作がさらに「芝居の花組」によって素晴らしく蘇っていました。

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『二人だけの戦場』の再演に大感激!

始まる前は「2時間半のお芝居は長いな」と感じていたのですが、ひきこまれていって1幕も2幕もあっという間でした。ストーリーは知っているのに、ラストではジーンと涙がわいてきました。本当に心に響く良い作品です。

そして初演に比べて、主演コンビのラブラブをより強く感じました。初演は一路真輝さんと花總まりさんが主演として初めて組んだ作品でした。柚香・星風トップコンビは、コンビとしても経験値を重ね、息もピッタリすぎる程合っているので、そのあたりの印象が違ったのかなと思いました。

見終わった感想は、「よくぞこの作品を再演してくださった」という感謝でいっぱいです。
さらに言えば「よくぞ柚香さん率いる花組で」と言う言葉を付け加えるのがふさわしいと思います。

柚香・星風・永久輝のお芝居トリオ

「宝塚でこんなリアルな芝居が見れるのだ」と驚きました。まるで映画を見ているよう。
今回、公演プログラムの柚香さんと星空さんの写真には、「宝塚っぽさ」があまり無いなと感じました。
舞台もそんな感じで、リアリティのある自然な演技でした。

柚香さん繊細な演技力には定評がありましたが、今回さらに進化して、もう手の動きや立ち方や視線だけで、人となりや思いや葛藤がドーンと伝わってきました。

星風さんも、柚香さんと同じレベルでリアリティあるお芝居をされ、柚香さんとの息のあったお芝居には、グイグイとひきこまれていきます。
スチールで星風さんのライラを見た時から、意志の強い真っ直ぐな女性と伝わってきましたが、舞台の上でも純粋で芯が通った魅力的な女性でした。

「柚香・星風」の舞台で息づいている自然な掛け合いの芝居によって、民族が異なるために「許されない恋」の苦しみや悲しみや葛藤が手に取るように感じ取ることができました。

そして永久輝さんの演技力も負けていない。
永久輝さん演じるクリフォードは、柚香さん演じるシンクレアの親友ですが、生真面目で優秀なシンクレアとはタイプが違います。士官学校卒業の時は嬉しさのあまり仲間たちを足蹴にしてボコボコにしてしまうような荒っぽさや、ちょっとお茶目な面も。気性も荒いよう。それで気の毒な目にあってしまう、コメディタッチなシーンもありました。

軍事裁判では、シンクレアを助けるために気迫をみなぎらせて弁護します。ここが永久輝さんの芝居力の真骨頂!
状況を説明するストーリーテラー的な面も担っていて、セリフや動作に緩急つけながら、時に感情を爆発させ、膨大なセリフのある難しい役を巧みにこなされていました。

柚香さんと永久輝さんのお芝居の掛け合いも、息が合っていました。

もちろん、歌やダンスもありますが、芝居に重点をおいた作品なので、「柚香・星風・永久輝」の芝居の充実ぶりから、「芝居の花組」になったなと思いました。それで冒頭に「芝居の花組」と敢えて書きました。

「うたかたの恋」のルドルフでも、繊細で深みのある柚香さんの芝居力に圧倒されましたが、今回もそれ以上に「すごいな」と感動しました。そして星風さんには、マリーより今回のライラの方がぴったり合っていて、星風さんの柚香さんに負けない芝居力がいかせていたと思いました。

柚香さんのビジュアルも最高

「真っ白な軍服姿が拝めますよ」と勝手に宣伝していましたが、士官役なので白い軍服もネイビー系の軍服もありました。軍服も装飾が無いスマートなものでしたが、素敵に着こなされていました。柚香さんは「はいからさんが通る」では、日本兵の渋い軍服でも最高に格好良かったのですから、軍服の着こなしはピカイチです。

そして革のロングコートに独特な帽子がとっても格好良かったです。この姿は公演プログラムの表紙になっていました。この帽子をこんなに格好良く着こなせる人はそんなにいないと思います。

衣装ではないですが、最後はロマンスグレーのイケおじ柚香さんにも出会えます。

衣装は全て永久輝さんとお揃いでした。ラストシーンは違いますが。
同じ時に士官学校を卒業して、同じ地に赴任したからでしょう。
軍服も、ジップのニットの私服のようなものまで、少し色が違うだけでお揃いでした。
永久輝さんも、軍服をはじめ、どの衣装も素敵に着こなされていました。

フィナーレは、柚香さんだけ白軍服でした。これは初演の一路さんと同じでした。

希波らいとさん覚醒!?

今回目を奪われたのは、ライラ(星風)の兄を骨太にワイルドに演じていた希波さん!178cmの長身で、肩まで黒髪を伸ばし、格好良くて、芝居も良く、色気まで感じられ、スターとしての華と存在感がありました。柚香さんと永久輝さんと3人で歌うシーンもあり、歌も上達されていました。堂々たる3番手!

初演と同じように、妹のライラ(星風)と踊るシーンがあり、肩のあたりまで上げての高いリフトもこなし、ダイナミックに踊られていました。1幕ラストは、三空凜花さんとの「シンクレアとライラ」の関係性を表現したダンスナンバーも凄く素敵でした。
「うたかたの恋」の新人公演主演のルドルフは役が合っていなくて少し残念に感じていましたが、着実に成長されていることを感じました。さらにどんどん成長されていくのだろうと思います。

凛城きらさんのハウザー大佐が魅力いっぱい

ハウザー大佐は、柚香さん演じるシンクレアの上司です。凛城さん自ら「スカイレポート」で、クスッと笑えるおじさんギャグで笑いを誘うと仰っていましたが、ダジャレを連発して、沢山笑わせてくださいました。

シンクレアとクリフォードが新しく着任した時の、凛城さんの歌って踊る「ハウザー大佐ナンバー」も楽しかったです。

包容力があって温かみのある凛城さんの存在は、いつも正塚先生の作品の中で、良い味を醸しだしていらっしゃいます。ロマの少数民族の議長のシュトロゼック(高翔)とも親交が深く、理解しあった仲で、高翔さんと共にお芝居に厚みも加えていらっしゃいます。

カーテンコールで柚香さんがダジャレも

カーテンコールダジャレ1
「皆様にお目にかかれて嬉シンクレア〜!」と嬉しそうに柚香さん。
その後につかさず「星風さんが考えてくださいました」と。
舞台上の出演者たちも大笑いの中、星風さんは恥ずかしそうに笑っていました。
さらに、凛城さんと手で「イイね!」ポーズをしながら、「上官の背中を見て育っております」と得意顔でした。

カーテンコールダジャレ2
次のカーテンコールでは、柚香さん「千秋楽までよろしクリフォード!」と。

「さっき緞帳おりたあと横で彼(永久輝さんを指して)がつぶやいてました」

永久輝さんのことを「彼」と表現するのも、柚香さんらしい。

本編のお芝居でも、柚香さんのダジャレが一言あって、クスッと笑った記憶があります。詳しくは覚えていません。

今回のお芝居の中で、クスッと笑いが起きる所が沢山ありました。これはアドリブなのか?脚本なのか?2回目以降を見てみないとわかりませんね。

裁判シーンは別として、出演者みなさん茶目っ気があって、深刻な内容ですがお芝居では楽しい雰囲気が漂っています。
もう少し暗い作品だったと勝手にイメージしていたので、これは意外でした。

フィナーレはご挨拶の延長の短め

初演と同じで、最後のご挨拶を兼ねて、役のままそれぞれが踊ってはけていく感じでした。

始めに下級生の娘役さんたち、次に下級生の男役さんたち、上級生の男役さんたちとか、目まぐるしく過ぎていったので、はっきり記憶に残っていません。
リフトしていたシーンもあったような。

永久輝さんが出てきて、永久輝さんセンターの士官たちの群舞になりました。そのはじめに永久輝さんと綺城さんがアイコンタクトをとっていたのが印象的でした。

そして柚香光さんが白色軍服姿で出て来て、星風さんが椅子に座ったうしろ姿状態から、短いデュエットダンスがありました。本当に短いカジュアルなものでした。

出演者全員が敬礼ポーズで幕

敬礼ポーズ出演者が最後舞台に並んで、幕が降りる前に敬礼をされました。ドキンと印象的でした。

綺城さんの出番は少ないけれど

綺城ひか理さんは、シンクレアを目の敵にして、終始楯突く兵士のノヴァロ役でした。悪い雰囲気をまとって好演されていました。

カーテンコールでは、柚香さんが綺城さんに「おかえりなさい」と声をかけられました。
そして「長身の美男子!」と。
綺城さんは謙遜して顔を横にふっていましたが、隣の永久輝さんは大きく頷いていました。

綺城さんのスチールは販売されました。最後の並びも永久輝さんの隣でした。綺城さんのスチール写真はカタログでは顎髭があるように見えましたが、実際に公演プログラムを見ると色を濃くしてあるだけで、髭を剃った後を表現されているのかな?と思いました。実際に舞台でも髭無しでした。

今回は上級生順に役がついていたので、綺城さんの出演は後から決まったのかもしれません。次からはもっと大きな役がつくように思います。

並び 高峰・峰果・舞月・高翔・希波・星風柚香・永久輝・綺城・凛城・航琉・朝葉・羽立・春妃

若手男役さんについて

初演では、研3安蘭けいさんが「作家」と「ロマの少年のシーク」役を演じていらっしゃいました。
今回その役は、99期の高峰潤さん。
「作家」は、小説を書き上げるために、シンクレアにインタビューする役で、最初と最後にセリフも出番もあります。「ロマの少年のシーク」役も出番がかなりあって目立つ役です。

この役は安蘭さんが研3で演じていたので、新進若手男役さんが演じるのかな?と思っていました。
花組のホープと思われる、天城れいんさん(104期)と、鏡星珠さん(106期)が出演されています。
今回103期の希波さんは、大きな役がつきましたが、天城さんと鏡さんはそれほど推されていないということなのかな?と不思議に思いました。
天城さん、鏡さんは、綺城ひか理さんが演じたノヴァロの手下の役でした。

今回活躍していた娘役さんは、カフェの女主人のエルサ役の朝葉ことのさん(103期)。歌も芝居も本当に完璧でした。
その恋人役がラシュモア軍曹の羽立光来さん(94期)。歌も聞かせてくれ、出番もたっぷりあって、印象に残る良い役でした。

リサ役の愛蘭みこさんには、歌うシーンもありました。永久輝さんのコメディタッチなシーンで、愛蘭みこさんだけどうしてもペアになれないというオチもあって可愛かったです。

5月3日から聖乃あすかさん主演『舞姫』も始まります。

各組新人公演で105期が主演しています。月組⇒宙組⇒雪組⇒星組 まで決定していて、「次の花組は?」という状態です。105期の美空真瑠さんは新人公演で4番手(現3番手)の聖乃あすかさんの役まで演じたことがあります。

今度は104期の天城さんが新人公演の主演に抜擢されるかな?と思っていましたが、今回の役つきをみたら、わからなくなりました。「105期ムーブ」で美空真瑠さん抜擢されるのでしょうか?『鴛鴦歌合戦』は和物なので、美空さんに合っている気もします。

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