星組『ディミトリ』新人公演配信感想

こんにちは、くららです。
星組新人公演『ディミトリ』を配信で見ました。

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新人公演配信雑感

宝塚大劇場で観た時は、初日の幕が上がってから2週間余りでの上演だったので、それなりに見応えがあったものの、成長途上と感じる点も否めませんでした。

その日(11月29日)から1か月と20日
おのおのが成長されて深まった舞台を見せてくれ、新人公演ということを忘れるほど、集中して観ることができました。

「ダンスは東京公演の課題かも」と感想に書いていましたが、天飛華音さん、碧音斗和さん、稀惺かずとさんたちの戦場でのジョージアンダンスが素晴らしくなっていました。お稽古に励まれたのですね。

中でも一番成長を感じたのは稀惺かずとさんです。全ての点で良くなっていて、その進化に驚きました。(詳細は後ろに書いています)

そして「長の期の長&3回目の主演」として、今日が新人公演の最後になる集大成をつとめた天飛華音さんのご挨拶がとても良くて、一つ一つの言葉が心に染みました。
休演している茉莉那ふみさん(108期)のことも気遣っていらっしゃいました。

天飛華音さんの座右の銘は、ミュージカル「RENT」の歌詞「No Day but today」とのこと。
自分たちが生きてるのは、そして大切なのは、未来でも過去でもなくて今日、この瞬間なんだ!

新人公演にかけている新人さんたちのパッションがドーンと伝わってくる新人公演でした。

「星組ステージトーク」で語られていたこと

宝塚の新人公演後の天飛華音さん(102期)と藍羽ひよりさん(107期)のトークを、宝塚友の会のページで配信を見る前に聞きました。
Q お互いを例えると
藍羽ひより…小さな爆弾 by天飛
不器用ながらも一生懸命ついて来てくれていて、何が飛び出てくるかわからない感覚的なものを持っている。

天飛華音…優しい太陽のような方 by藍羽
普段から優しくて、周りを包み込んでくれて、太陽のように照らしてくれる。

天飛さんは、研2で初ヒロインを演じる藍羽さんは不安でいっぱいだろうから、自分が引っ張っていかなければと思われたそです。そして包容力を養っていきたいとも。

藍羽さんは、「本当に包み込んでもらいました、下級生みんな天飛さん大好きです」と話していらっしゃいました。

研2の藍羽さんが初ヒロインに全力でチャレンジできたのも、相手役が新人公演主演3回めの経験値がある大きな器の天飛さんだったからでしょう。

「幼なじみ設定」なので、天飛さんは藍羽さんに、ドンドン話して欲しいと話され、キャッチボールを大切にされているとのこと。お芝居にその対等な関係性があらわれていて、6期違う藍羽さんがのびのびと演技されていました。

意外にも、2人とも猪突猛進型だそうです。
そういう点も相性が良かったのかもしれません。

結婚式のダンスが大変
綺麗な衣装だけどすごく重たいそうで、舞台稽古では衣装に振り回されたそうです。このダンスが東京での課題と話されていました。

本役の礼・舞空コンビが飛びぬけたダンサーで、専門の先生にジョージアンダンスを直伝で教えてもらって踊られているので、同じように踊ることは難しいと思います。礼・舞空コンビは神業の域です。
宝塚の時は「どうしたの?」と思ってしまう出来でしたが、東京では雰囲気で踊られていました。

ディミトリ(礼真琴)…天飛華音(102期)

天飛さんは「私は原色発信型なので、ディミトリのうすい紫色の繊細な芝居は自分とかけ離れている」と最初は思われたそうです。

儚げな美少年のディミトリを演じるにあたって、抑える演技、芝居を落とし込んで力を100%抜くというようなチャレンジをされていると話されていました。

ディミトリという人物を表現するために、天飛さんらしさを抑えて、印象が弱かった点もあったように思いましたが、それも役創りでしょう。やさしい声でやさしい眼差しの一歩控えた演技も良かったと思います。

宝塚の時は、はじめの歌がすごく緊張されたそうで、「緊張に負けないように東京は頑張りたい」と話されていましたが、東京もはじめの歌は緊張されていたように感じました。
後になるほど歌が良くなっていったように思いました。
多分どの歌も礼真琴さんの歌なので、とても難しいのもあるでしょう。

天飛さんは、再開場面での赤ちゃんの抱き方が雑と言われたそうで、東京では愛情のある抱き方をされていました。

マントの紐を結んで、伝書鳩を飛ばす所は、宝塚の時よりスムーズにされていましたが、鳩のリュックに手紙を入れることはタイミングが合わず出来なかったようでした。

セリフを言い、歌いながらのこの一連の動作を、難なくこなされている礼さんがすごいのだと思います。

歌、ダンス、芝居、全てにおいてレベルが高くて完璧な礼さんの役に新人公演でチャレンジすることは、あまりにもレベルが高すぎるのだと思います。

このクオリティで礼さんの役をできる天飛さんは、すごい実力派です。

天飛さんの新人公演を卒業したこれからの活躍が楽しみです。

次から礼さんの役の新人公演の主演をする実力派は?
確かな実力がなければ、星組の新人公演の主演はつとめられないでしょう。

ルスダン(舞空瞳)… 藍羽ひより(107期)

宝塚の新人公演で研2でヒロインを難なくこなしているのを見て、「ニューヒロイン誕生!」と感動したものです。

その時よりクオリティを上げて、少女から国を背負う女王へというルスダンの成長過程を人間味のある的確な演技で見せてくれました。

品のある顔立ちの美人で、ヒロインにふさわしい綺麗な声。演技も上手で、惹き込まれていきます。
テレビの大きな画面で見ると、藍羽さんはいろんな人に似ているな、と思えることも不思議でした。

宝塚の時は歌が上手だと思いましたが、配信で聞くとすごく上手ではありませんでした。でも思いを込めて歌われているので、スッと耳に心地よく届いてきます。

女王の説得力があり、窮地に陥って凛々しくなっていく後半の演技が本当に巧みでした。 情感豊かでなりきり度が高く、 野々すみ花さん咲妃みゆさんのような演技派の「女優」というイメージをやはり今回も持ちました。

ジャラルッディーン(瀬央ゆりあ)… 大希颯(105期)

175cmの長身で体全体が大きくて、「漢」という感じの立役者。王者の貫禄と威厳があって、「帝王ジャラルッディーン」にまさにピッタリでした。

良い声で歌も上手で、芝居も的確。
目の使い方やバーンとはったりが効くところもスゴイ。
最後のシーンでの包容力も抜群でした。
まだ研4とは到底思えません。

105期の期待の新人、7人の一人です。

105期「神7」?7人の男役ホープ

アヴァク(暁千星)… 稀惺かずと(105期)

まず、宝塚の時より髭が顔にしっくり馴染んで男らしくなり、メイクも渋くなっていました。
声も太く力強さが感じられ、滑舌が良くてセリフまわしが上手。
アクの強い黒さが良い塩梅で表現されていました。

宝塚の時も歌はお上手でしたが、「仕える王は私が選ぶ」という打ち込みの曲が、歌声がリズムに負けてしまっていたように感じましたが、今回はリズムに歌声が乗っていました。

キレの良いダンスも決まっていました。
動きを大きく派手に力強くして、裾の長い衣装を着こなしていらっしゃいました。
改心シーンもわかりやすくて、良かったです。

本役の暁さんのように、存在に華があります。
宝塚の時よりアヴァクの押し出しがとても強くなって、役として活きていた印象をもちました。

1ヶ月と20日で、これだけ進化されるのは、すごい努力家かつセンスも良いのだろうなと感じました。

大希颯さんと同じく、105期の期待の新人、7人の一人です。

ギオルギ(綺城ひか理)…碧音斗和(104期)

リーダーシップがあって、優しさが滲み出ている若き王として風格と包容力のある演技は、周りの皆から慕われている説得力がありました。

ディミトリ(天飛)・ギオルギ(碧音)・バテシバ(瑠璃)の3人での歌唱シーンも素晴らしかったです。

物乞い(美稀千種)… 鳳真斗愛

目に殺気があり、表情の作り方が上手で、出てくる度に空気が変わります。
歌もお上手で、迫力があり、本当にすごい実力者です。

ミヘイル(極美慎)… 奏碧タケル

顔が綺麗でミヘイルにピッタリ。
お得意のダンス力がベッドの上のダンスに活かされていました。
歌はお得意ではないよう。

アン・ナサウィー(天華えま)… 紘希柚葉(104期)
歌も上手で、軽妙な役どころをうまく表現していて、本役さんより落ち着いている感じでした。

チンギス・ハン(輝咲玲央)… 世晴あさ(104期)
178cmの長身ですごく強そうな迫力があって、悪そうな顔が上手で、余裕が感じられる大物感がすごかったです。

バテシバ(有沙瞳)…瑠璃花夏(103期)
宝塚の時は、はじめは高音が危うかったですが、今回は最初から綺麗な声の安定した歌声で、耳に心地よかったです。
しとやかで、色気もあって、ギオルギ王から愛されているのもわかる魅力がありました。

カティア女官長(水乃 ゆり)…詩ちづる(105期)
台詞回しが的確で、大人っぽい硬質な女性を上手に演じられていました。華というか存在感があるので、端にいても何か曰くがあるのかと思ってしまうほどです。

タマラ女王(白妙なつ) …水乃ゆり
ドレス姿が誰よりも美しい。

お菓子屋…都優奈
お菓子屋さんのソロの歌声だけでは、あまりに勿体ないですが、今回娘役の役が少ないので、残念です。

リラの精(小桜ほのか)… 紅咲梨乃(102期)
リラの精(瑠璃花夏)…綾音美蘭(104期)
リラの精(詩ちづる)…鳳花るりな(105期)
3人とも歌がお上手で、星組には歌上手な娘役さんが本当に多いなと思います。

宝塚大劇場の新人公演で課題を見つけ、東京の新人公演でその課題をクリアするという、従来の新人公演が星組では久しぶりに実現しました。
やはり東西で新人公演が出来てこそ、意義があるのだと思います。

17日は花組の宝塚大劇場の『うたかたの恋』の新人公演に行くつもり満々でしたが、残念ながら中止になってしまいました。
花組は2019年に『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』の新人公演を東西で上演して以来、東西2回の新人公演は実施できていません。
その間、宝塚でだけ『元禄バロックロック』と『巡礼の年〜リスト・フェレンツ』の新人公演が上演されました。
『うたかたの恋』は宝塚での上演は中止になったので、東京では絶対に上演できることを願っています。

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