『殉情』一之瀬・美羽観劇感想
こんにちは、くららです。
一之瀬航季・美羽愛主演の『殉情』を火曜日に観て来ました。

帆純まひろ・朝葉ことの主演バージョンも観劇しましたが、キャストが変わると、作品から受ける印象も全く違っていて、興味深かったです。

帆純・朝葉バージョンでは、佐助は狂気さえはらんでいて、春琴には凛としたプライドがあって、谷崎潤一郎の原作に近い、耽美的な胸が痛くなるような世界が繰り広げられていました。

一方、1期ずつ下の、一之瀬・美羽バージョンは、笑顔がかわいい純愛カップルで、悲壮感があまりなく、見守りながら応援したくなる思いでした。

全く違う世界観で、どちらも面白くて良かったです。

スポンサーリンク



笑顔が魅力の一之瀬航季さん

一之瀬さんの魅力は、何と言っても笑顔だと思います。

173cmの長身を小さく折り曲げながら、どんな厳しい言葉を投げかけられても春琴に素直に従い、笑顔を絶やさない明るい佐助でした。

「一之瀬さんの屈託のない笑顔」には、真面目で朴訥で、包容力があって温かさにあふれていて、その笑顔をいかした佐助を演じられていました。

ひたすら春琴(美羽)のことを思い慕い続けている佐助の純愛が伝わってきて、そのいじらしさに応援したい思いでいっぱいになりました。

和物が似合う凛々しいお顔立ちに、恋に恋するキラキラとした瞳が印象的でした。

長身でがっしりした体格の一之瀬さんと、華奢でお人形さんのような守ってあげたい美羽さん。
二人が並んだ時に、この体格差は佐助と春琴の関係性に活きていました。

がっしり体型の男役さんは、少なくなっていますが、珠城りょうさんに似た一之瀬さんのような男役さんも、たのもしいなと思いました。
お顔がもう少しシュッと引き締まったら、さらに良いような。

歌もお上手でした。一之瀬さん色の佐助は大成功だったと思います。

ヒロイン力満点の美羽愛ちゃん

鼻筋が通った整ったお顔立ちなので、目をつぶっていても美しくて可愛くて、目をあけるとさらに美しくて可愛い。

2幕終わりの紫色の御高祖頭巾姿がとても似合っていて、本当に美しかったです。

劇中の「器量良し」という設定にとっても説得力がありました。

「ナウオンステージ」で、関西弁が嬉しかったと仰っていましたが、関西出身の「生きた関西弁」なので、キツイ言葉を言っていても、耳にやさしい可愛い感じに響いてきました。ネイティブな関西弁の力を感じました。
美羽さんの可憐さが、キツイ言葉さえ可愛く思わせてくれているのかもしれません。

そして春琴の役づくりが、朝葉ことのさんが意地っ張りできつさが全面に出ていたのと比べて、佐助のことが大好きという素直になれない恋心が心の底に絶えずあっるように受け止められました。

歌が課題かなと思っていましたが、ソロを美しい声で聴かせてくれました。
とても努力された成果を感じました。
デュエットになるとまだ不安定でしたが、これから更にお上手になっていかれるでしょう。

ダンスがお得意なので、日本舞踊も可憐に舞われていました。

しかし、所作や日本舞踊、芝居力、歌唱力など技術的な面でいうと、朝葉ことのさんがやはりお上手でした。
朝葉さんは原作に忠実な春琴だったと思います。

しかし宝塚の舞台に慣れて染まりきっている私には、美羽愛ちゃんに「宝塚のヒロイン力」をとっても感じました。
そして宝塚の作品には、ヒロイン力のある美羽愛ちゃんのような娘役さんが適しているように感じました。(このあたりは、人によってそれぞれだと思います。あくまでも私の主観です)

花組では星空美咲さんが群を抜いて抜擢されて、活躍されているので、美羽愛さんはその次という位置ですが、今回の春琴を見て、これからヒロイン候補として頑張っていかれるような気がしました。

現在活躍中の若手娘役さんたち

現在抜擢されて活躍されているきよら羽龍さん(月組、104期)。
105期の4人、星空美咲さん(花組)、音彩唯さん(雪組)、詩ちづるさん(星組)、山吹ひばりさん(宙組)。

(詩ちづるさんの「阪急で行きましょ」ポスターの紅葉編が貼られていて、メチャメチャ可愛いです。)
この5人の共通点は、抜群に歌が上手なことです。

それに対して、美羽愛さん(104期)は、歌だけ弱いかな?という印象でしたが、今回は歌唱力もクリアされていました。
今回はソロ歌唱が短かったので、また多くなったり難しくなってくると、結果は変わってくるかもしれません。
美羽愛さんは、誰にもない愛嬌というか、愛くるしさがとっても魅力だと思います。

106期の花妃舞音さん(月組)、華純沙那さん(雪組)は、歌は下手ではありませんが、抜群にお上手なわけでもありません。
今度の星組の新人公演のヒロインに、107期の藍羽ひよりさんが抜擢されています。
とっても可憐な娘役さんで、歌についてはまだわかりません。

最近の傾向として、歌が上手な娘役さんが抜擢される傾向にありましたが、今後はどうなっていくのかな?と興味深く思っています。

その他の配役

マモル役の鏡星珠くん(106期)

私が観劇した日は雨でした。登場するやいなや、雨のアドリブを出して来て、一瞬で客席の心を掴み、舞台に引き込んでいました。

まだ研3なのに、その舞台度胸と「間のセンス」に驚きました。やはり大物!?
アドリブは滑ることの方が多い中、こうしてがっつり掴み込むことはなかなかできることではありません。Twitterを見ていたら、毎回冒頭のアドリブで観客の心を掴んでいるようです。

今どきの「郷土史を専攻する大阪の大学生のYouTuber」という設定ですが、鏡くん演じるマモルは、とても真面目な青年で、ナチュラルに演じていて好感がもてました。

華がある顔立ちで、舞台に立つととても華がありますが、今回は現代バージョン担当で目立ってはいけないので、輝きは少し抑え目な気がしました。

『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』の新人公演で、2番手水美舞斗さんのショパンを演じて、3拍子揃った実力と度胸の大物ぶりを発揮してくれました。これからもとっても期待できそう。

芸者のお蘭……糸月雪羽(100期)

和物のお化粧がとっても綺麗でお似合いで、お蘭姐さんという感じのベテラン芸者を、しっとりとした色気と、嫉妬などの様々な感情を緩急自在に織り込みながら、見事に演じられていました。

声が良くて、伸びやかな綺麗な歌声が素晴らしかったです。

音くり寿さんと仲良しだったということで、いとちゃんの素敵な芸者ぶりを見ながら、音さんを思い出してしまいました。
音さんに負けない、実力派の娘役さん。
これからも益々活躍していって欲しいです。

千吉……太凰旬(102期)

天城れいんさんや、以前に演じた方に比べたら、ちょっと大人っぽい千吉でした。
ユーモアたっぷりで、お芝居の間が良く、利太郎(峰果)との憎めないコンビが最高でした。

最後は悪役ですが、鋭い目線がきいた、サイコパスぶりも流石。

「アホボン」の利太郎……峰果とわ(98期)

上級生なので、帆純、一之瀬両方バージョンにご出演。

愛らしいハチャメチャぶりが、以前より増したように思いました。ご本人がとても楽しそうに演じられているので、その気持ちが伝わってきます。

最後の方だけ急に悪くなりますが、それをもご愛嬌といった感じ。

珀斗星来くん(104期、白雪さち花さんの妹)は、帆純、一之瀬両バージョンに、同じ富松役で出演されていました。代役なのかな?
お姉さんと面差しが似ていて、イキイキとした少年役がはっちゃけていて良かったです。

女中の初音夢ちゃん(105期)は、やはりお芝居が上手だなと思いました。琴美くららちゃん(103期)との女中コンビも良かったです。二人のお化粧は、前回の鈴美梛・稀奈コンビほど、おてもやんメイクになっていませんでした。そのあたりも良かったと思いました。

脇を固める上級生は、帆純、一之瀬の両チームに出演されています。そのため帆純チームの公演中は、上級生の方々が舞台に出演されていたため、3週間お稽古があいて、その間先生もいらっしゃらない自主稽古をされていたそうです。

自主稽古中、自分のやりたい、舞台で届けたい気持ちが溢れてきて、満タンの思いを放出しようと、一之瀬チームは舞台に立っていらっしゃるようです。そのパワフルなエネルギーは皆がイキイキと舞台に立っていることから感じられました。

主演の佐助と春琴だけでも、帆純チームと一之瀬チームは全く違いましたが、その他の出演者一人ひとりも全く違いました。

新人の竹田先生が、生徒の個性と思いを尊重して演出していらっしゃるのを感じました。

帆純チームを観劇した時に、私は竹田先生が原作から変更している点についていろいろと書いてしまいましたが、ワークショップという括りなので、決まりごとはなく、主体性を重視した体験型の公演で良いのだなと思いました。

本日千秋楽を迎える花組全国ツアーでも、ワークショップの『殉情』でも、108期の研1さんまで出演して多くの新人さんたちが活躍されています。

花組は新人公演が中止になる残念な経験を重ねてこられましたが、今回の別箱公演はそれらを挽回できるくらいの良い経験になったのではと思います。

これからの花組も楽しみです。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
ランキングに参加しています。ポチッとバナーをクリックしていただけると嬉しいです♪
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村
いつも応援してくださってありがとうございます。

twitter


スポンサーリンク