花組『巡礼の年』新人公演感想
こんにちは、くららです。
花組『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』新人公演を観劇してきました。

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新人公演のお稽古日数について

6月4日に初日の幕が開いて、新人公演はその17日後の21日でした。

始めの方のみんなが歌ったり話したりするところで、「練習期間が足りなかったのかな?」と思うほど、ちょっと私の耳にはしんどかったシーンもありました。その後良いシーンもいっぱいありましたが。

花組はビジュアル売りの組なので、本公演も決して耳福ではありませんが、新人公演を見ながら本公演の安定さを感じました。
(私が疲れ気味で私の座席の音響が悪かったかもしれません)

終演後のご挨拶は、102期の長であり、初主演の侑輝大弥くんが一人で担当されました。
ご挨拶は短かったですが、とても深く頭を下げて感謝の思いをあらわされていたのが印象的でした。

カーテンコールの時も深くお辞儀をされた後に

侑輝「明日、本公演がございましたら、この思いをいっぱいぶつけますのに…。明後日からの本公演、精進して参ります!」

それを聞いて、今回の新人公演の出来に後悔しているのかな?という思いがよぎりました。

終演後の新聞社のインタビューに
「課題しかないぐらい。早く東京での新人公演に向けて稽古を始めたい」と反省の言葉を述べられたようです。

コロナ禍で制限が多い中で、新人公演のお稽古をして上演することは本当に大変なことだったと思います。
宝塚の新人公演は、宝塚で課題を見つけて、東京でクリアして成長するという流れもあります。

花組は前回の『元禄バロックロック』の新人公演は、宝塚では上演出来ましたが、東京では中止になってしまいました。

その前の新人公演と言うと、2019年の明日海りおさん退団公演の『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』 になります。三年前です。

どうか『巡礼の年』は、しっかり満足できるお稽古が出来て、東京でも必ず上演できますように。心から願っています。

新人公演の配信が出来ていないのも花組だけです。そのためにも、絶対に。

主要4役についての感想

フランツ(柚香光)……侑輝大弥(102期)

173cmの長身で、新人公演プログラムの表紙のように、魅惑的な目と整った顔立ちが華やかで、「ビジュアルの花組」の申し子のようなだいや君。新公主演に初挑戦です。

本役のれい君とは違う髪形と役づくりでした。鬘は『元禄バロックロック』のコウズケノスケと同じ感じもしました。こういう髪形がお似合いなのでしょう。

濃い色気があって、ちょっとクセのある台詞回しで、ヒステリックな感じのリストでした。ロックシンガーのような格好良さは抜群!

しかしだいや君には申し訳ないけれど、柚香光くんの歌が上手だなと思いました。

星空美咲ちゃん演じるマリーとの二人のシーンは、比較的ピュアなリストで、それほどクセがなく、歌も美咲ちゃんにリードされて?聞きやすかったです。

眼力を活かした剣舞が決まっていました。

ビジュアル売りのスターさんですが、色濃い役の方が似合うような気がしました。
東京公演での進化も楽しみです。

マリー(星風まどか)……星空美咲(105期)

ヒロイン経験は数あれど、新人公演のヒロインは初めてという不思議な抜擢を受けている美咲ちゃん。
思っていた通り、新人公演の域を超えていて、一人だけ出来上がっていました。本役の星風まどかちゃんに寄せようとしながらも美咲ちゃん色も出ている感じ。

歌、芝居ともに上手で情感がこもっていて、声もとっても綺麗で、スタイルも抜群で、華があって、魅せ方を心得ていて、熱量も十分。
とても安心感があります。

しかしメイクと表情が乏しいことは、これからの課題かもと思いました。

ヒロイン属性がとっても高い娘役さんだと思います。
今後どういう展開になっていくのか?も楽しみです。

フレデリック(水美舞斗)……鏡星珠(106期)

106期の新人さんが2番手の役をどのように演じられるか、とっても興味がありました。
歌も台詞も上手で、滑舌も良くて、佇まいにとても品がありました。

ショパンという温厚で穏やで温かみのある人柄が滲み出ていました。
本公演では、柚香・水美の同期ならではの関係性が活かされていると思っていましたが、4期違いの鏡くんでも、あの包み込むような温かさを表現できるのですね。

お顔が整っていて、可愛くて、「キュート」という言葉がぴったりのアイドルタイプ。
身長は169.5㎝とやや小柄なようですが、花組の正統派路線に食い込んでいきそうな、とても楽しみな逸材だと思いました。

106期というと華世京くんですが、かせきょーくんに負けない路線として羽ばたいていきそうな予感。

突然の2番手の役に抜擢されて驚きましたが、ちゃんと理由があったのだなと納得しました。

サンド(永久輝せあ)……太凰旬(102期)

本役の永久輝さんは「男装の麗人」として演じられていますが、たおしゅんくんは声は高い女性の声で、ただ男装しているだけの、教養あふれる知的な女性として演じられていました。
娘役さんのように可愛かったです。

『元禄バロックロック』新人公演でのヨシヤス(本役:優波慧)の演技がとてもお上手でしたが、今回も役をとらえて表現することが本当に巧みだと思いました。

本役の永久輝さんと役へのアプローチが違いましたが、永久輝さんと同じように折々の心情がとっても伝わってきて、このストーリーの良いアクセントになっていました。

その他の配役について

エミール・ド・ジラルダン(聖乃 あすか)……美空真瑠(105期)

本公演では少年リストを可愛く演じられていますが、新人公演ではジラルダンを熱く力強く演じられていました。

ラップの場面では、とてもお上手で、良い空気を巻き起こしていました。
本公演では少しだけ歌っている美咲ちゃんが、今回はメインで歌っているので、それも迫力があって良かったです。
ラップの盛り上がりを見ながら、歌えて踊れる下級生が揃っている感じがしました。

デルフィーヌ・ゲー(星空美咲)……七彩はづき(107期)
ジラルダンと常に一緒にいるパートナーには、107期の次席入団の七彩はづきちゃんが抜擢されていました。
とっても可愛くて将来有望な娘役さんだと思いました。

ダグー伯爵(飛龍つかさ)……希波らいと(103期)

髭のイケメンで、落ち着いた演技を新規開拓中という感じで、まだ成り切れていない感じもしました。
どんな役を演じても華があります。

飛龍さんが歌っている部分を歌うのは、らいと君には課題だろうなと思っていたら、ソロ部分がとても短くなって、みんなで歌っているように聞こえました。

ラプリュナレド伯爵夫人(音くり寿)……美羽愛(104期)

本公演のショーでは、若手選抜シーンを卒業して別場面に出るほど、ダンサーとして活躍している美羽愛ちゃん。

「歌」が課題だと思います。今回は音くり寿ちゃんの難しい歌に挑戦していましたが、やはり課題が難しすぎたように思いました。
希波らいと君と同じで、本役さんのソロ部分が短くなって、みんなで歌っていたように聞こえました。

表情が豊かで明るいオーラに満ちているので、歌が少々ずっこけても気にすることなく、愛嬌と華でカバーという感じで、可愛いところが魅力です。

関西出身なので、セリフでお笑いを取るのはとてもお上手でした。
とっても度胸があって、怖めず臆せず演じることができるのは素晴らしいと思います。

音くり寿ちゃんは、迫力や威圧感を自然に出して、さらっと演じていますが、美羽愛ちゃんの演技を見ていてとっても難しいのだなと思いました
「娘役2」として活躍していた音くり寿ちゃんを継ぐの美羽愛ちゃんでしょうか?

娘役さん問題
花組には優秀な娘役さんが揃っているので、他の娘役さんにも活躍の場が与えられたら良いなと思います。
都姫ここちゃんは本公演では活躍していますが、今回の新人公演は目立った活躍はしていませんでした。概して生田先生の作品は、娘役さんの活躍の場が少ない傾向にあります。
ここちゃんは歌えるので、もっと活躍の場が与えられても良いような。
音くり寿ちゃんのような快演ができるのは、都姫ここちゃんや愛蘭みこちゃんのようなタイプかも?と私は勝手に思っています。(主観です)

ジギスムンド・タールベルク(帆純まひろ)……海叶あさひ(103期)
スカイステージの「TAKARAZUKAあにまるハウス#1」に帆純まひろくんと海叶あさひくんが出演していました。
二人はとっても気が合って、仲が良いようです。
海叶あさひくんは、本役さんの丸コピーという感じでしたが、とっても上手に演じられていました。

アツアツコンビ
ジョアキーノ・ロッシーニ(一之瀬航季)……夏希真斗(105期)
オランプ・ぺリシエ(都姫ここ)……愛蘭みこ(104期)

夏希真斗くんの、新婚の喜びにあふれた突き抜けたテンションの高さが面白くて良かったです。本公演のロケットでも目立っていてエネルギッシュです。

夏希くんと同じテンションの高さの愛蘭みこちゃんも、とってもチャーミングで魅力的でした。

ル・ヴァイエ侯爵夫人(美風舞良)……朝葉ことの(103期)
バウ・ワークショップ『殉情』のヒロインに抜擢されたので、朝葉ことのちゃんに注目して見ました。
吊り眉にしていて、声に厚みがあって、貫禄がある「ザ・侯爵夫人」という感じで、とっても存在感がありました。
やはり朝葉ことのちゃんは只者では無い。

帆純まひろさんの主演の方で、ヒロインの春琴を演じられます。楽しみになってきました。

レオ・フェステティクス伯爵(羽立光来)……青騎司(104期)
キリリとした眉毛がチャームポイントの青騎くん。
羽立さん演じるレオ・フェステティクス伯爵役はちょっと意外でしたが、とても上手に演じられていました。

アデル・リュサンド嬢(美羽愛)……二葉ゆゆ(103期)
可憐なゆゆちゃんが召使になると、ポワーンとした温かさが漂っていました。

少年リスト(美空真瑠)……稀奈ゆい(105期)
娘役なので華奢で可愛かったです。
真瑠くんのリストもとっても良いですが、幼い役は娘役さんの方が適合性が高いのかなと思いました。

なぜか2役を演じた希蘭るねくん
コルデー伯(春矢 祐璃)……希蘭るね(107期)
フェルディナン・フロコン(翼杏寿)……希蘭るね(107期)

希蘭るねくんは、107期の文化祭のA組の主役を演じて、整った顔立ちと華やかなオーラが話題になっていました。
ひとりだけ2役を演じていたので、107期のホープさんなのかな?

新人公演の演出は、中村真央先生!
昨年の宙組『シャーロック・ホームズ』の新人公演以来、2回目の新人公演演出だと思います。

現在宙組『カルト・ワイン』が大好評で、その作・演出の栗田優香先生も高く評価されています。
中村真央先生もいつか演出家としてデビューされることでしょう。
沢山いらっしゃる女性演出家の先生の活躍が楽しみです。

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