『ガイズ&ドールズ』観劇感想

こんにちは、くららです。
ハッピーミュージカルの「ガイズ&ドールズ」を10日に観劇しました。
その後宙組の「FLY WITH ME」、スペクタクルリーディング「バイオーム」と、全く異なるものを見て、「ガイズ&ドールズ」の感想をブログにアップするタイミングを失っていました。

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「ガイズ&ドールズ」の観劇は、私にとって、とても衝撃的でした。(良い意味で)

ブロードウェイの気鋭の3人のクリエイターの衝撃

宝塚と同じ2幕、休憩時間を含めて約3時間でした。
惹きこまれていって、飽くことなくアッという間に終わった感じでした。

「ガイズ&ドールズ」をこんなに夢中に観れるなんて思ってもいませんでした。

今回の帝劇版は、宝塚版と印象が大分違いました。

宝塚版 過去3回

1984年月組 大地真央・黒木瞳
2002年月組 紫吹淳・映美くらら
2015年星組 北翔海莉・妃海風
全部見ていますが、7年前の印象が強いです。

4人の主役の2カップルのうちの明日海さん望海さんを観にいったという目的を抜きにしても、2組のラブストーリーという印象が強かったです。(笑いどころいっぱいのミュージカルなところは変わりありません。)
それが新演出の狙いどころなのかな?

マイケル・アーデン新演出

「リバイバルすると決めた作品では、完全に生まれ変わらせることを目指す」そう。
とてもテンポが良く話が流れていきました。(セリフのテンポもはやい感じ)
作品の古き伝統を残しつつも、今の時代の観客にマッチした感じがとってもしました。

オープニングは、オーケストラの演奏と共に、フィルム映画のようにクレジットが映し出されるクラシカルな感じからスタートしました。「何を見せてくれるのだろう」とワクワク感が高まりました。

演出のマイケル・アーデン氏については全然知りませんでしたが、ブロードウェイの舞台にも立っていた俳優さんで、現在は演出家としてその手腕が高く評価されている方のようです。39歳とお若い。
舞台機構のデイン氏、振付のエイマン氏とは、いつも3人でチームを組んで舞台製作に臨まれているそうです。
7月には、東急シアターオーブ10周年ガラ・コンサートの演出も務められるとか。

デインの舞台機構の衝撃

帝国劇場は、世界でも類を見ないほどの舞台機構が備わっているそうです。それらが最大限に活かされ、盆とセリの使い方が斬新で、舞台がとっても立体的でした!

盆が回転しながらビルがにょきにょき出現してきたり、回転しながら階段が出現してきて、その階段がセリ上がったり下がったりすることだけで、地下鉄の階段になったり飛行機のタラップになったり、舞台転換さえ舞台の一部という感じで楽しめ、ワクワクする驚きと感動がありました。

梅田芸術劇場を飛ばして博多座で上演されるのも、舞台機構の問題があるのかな?と思いました。

エイマンの振付

躍動感あふれるアクロバティックなダンスに驚いたり、オーソドックスな素敵なダンスもあって、緩急の効いた振付とそれを魅せるアンサンブルのみなさんが素晴らしかったです。
エネルギッシュでダイナミックなダンスに、ブロードウェイ感をとても感じました。
OGの輝生かなでさんも活躍されていました。

そして舞台の上でアンサンブルの人たちが、テンポよく動いてイキイキと生きているライブ感が出ていました。

持ち味が活かされた配役

明日海さん望海さんを中心に語ります。
望海さんは大絶賛、明日海さんは…という感じな観劇の感想をいくつか拝見して、違和感を覚えました。
お二人とも同じくらい役にはまっていて、大健闘されていて、お二人の帝劇ヒロインデビュー大成功だと私は思いました。

しかし、サラとアデレイドは、水と油くらい、役が全く違います。
同じ視点で比べられるものではありません。

明日海りお……救世軍軍曹のサラ

明日海さんの魅力は透明感とした佇まいと、スターとして誰よりもがあることだと思います。
そしてお芝居がとても繊細丁寧

元トップスターで、清純な役をこなせる方はなかなかいませんが、明日海さんは希有なお一人だと思います。

その持ち味が、今回のサラという役にピッタリで、明日海さんの魅力が役と相まって爆発していたと思いました。
清楚で瑞々しくて、それでいて溌剌としていて大胆さもある。
華奢な体に赤い救世軍の制服がとっても似合っていて、ハバナでのワンピース姿も可愛かったです。

ハバナで、酔っ払って弾けるシーンは明日海さんの本領発揮!
そしてサラのこの姿は、酔っ払ったためだけではなく、サラの中にある本質でもあると思いました。
サラの複雑な心の変化を、手に取ってわかるように表現されていて、本当にお芝居がお上手で繊細です。

そして宝塚では在りえない、生キスシーンもありました。
体当たりで役にチャレンジされていました。

宝塚時代から明日海さんの歌唱力には定評がありました。
今回高音部がほんのわずか出にくいだけで、地声での歌唱は抜群にお上手です。

宣伝で歌番組に出演されて「はじめての恋」を披露されると「高音部が××」などと批判されていましたが、舞台にのると「高音部がどう」など、私はそんなに気になりませんでした。

ミュージカルって、全体を楽しむものなのに、歌唱のわずかな部分が及第点に及ばないからといって、それを大問題のようにつつくのも如何なものかと思いました。
それだけ注目されたスターだからなんでしょうけど。

私が観劇したのは、初日の翌日でした。
それ以降、高音部もドンドン伸びやかに歌われているそうです。
芯の強い明日海さんは、千秋楽まで進化され続けることでしょう。

ananのインタビューで「普通に女性の役として呼んでいただけたことが、何よりも嬉しかったです」とこたえていらっしゃいました。
退団後のミュージカルは『ポーの一族』のエドガー、『マドモアゼル モーツァルト』モーツァルトと、男役色が満載でしたものね。

今回のサラを経て、これから舞台でも女優さんとして素敵に活躍されていくだろうなと思いました。

望海風斗……アデレイド

ナイトクラブ「HOT BOX」の人気ショーダンサー役です。
最初の出番のショーで、かわいいひよこちゃんたちの中に、望海さんを捜しましたがいません。
カウントリーガールとして、金髪三つ編お下げの髪のほとんど露出のないワンピース姿でキュートに登場されました。
「望海さんのアデレイドは、露出控えめなの?」と思いきや、それを脱いだら肩出し超ミニワンピース姿でセクシーなお姉さんに変身!

その後も、攻めた衣装の大胆さにビックリし続けました。
黒のブラに網タイツでガーターベルトという、下着のような姿も。
もっと驚いたのは、真っ白なファーのロングショールで胸元を巻いて、後ろ姿ですが黒いブラを外してしまったこと!

最後は、ウエディングドレス姿がお似合いでした。
何着お着替えされたでしょうか。
まるで望海さんのファッションショー的なところもありました。

露出の多い衣装でも、カラッとしていて、いやらしさが全く感じられません。
衣裳のデザインは、宝塚でお馴染みの有村先生なことと、品格のある望海さんだからでしょう。

屈指のコメディエンヌ
望海風斗さんは、キュートでコメディセンスが大爆発していました。
プリプリと歩くだけで、何故か笑いが起こってしまう。

芝居上手だなと改めて思いました。
笑いの間が良くて、一番笑いをかっさらっていたと思います。

14年も結婚を待たされている女性の焦燥感も感じられました。
ネイサンの浦井健治さんを相手にすると、年上な感じがしました。実年齢は少し浦井さんが年上。
そして、ちょっと頭が弱いアデレイドにも見えませんでした。
おバカにふるまっていても、しっかりしていて、包容力があるのは、長年男役をされていた名残なのかもしれません。
ちょっと前まで、ギャング側でブイブイ言わせていましたものね。

深みのある圧倒的な歌唱力は今回も健在で、抜群でした。
「風邪こじらす」では、声色が違っていて、望海さんの声の巧みさも感動ものです。

10ヶ月前の昨年の8月の望海さんのはじめてのコンサート「spero」の時は、スカート姿も控えていらしたのに、この短い期間で、ここまで大胆な姿を披露される女優さんになられるとは。
順調に女優人生を歩まれていることを嬉しく思います。

同期愛

サラ・アデレイドのデュエットも最高
同期の2人の息ぴったりのハーモニーも、すごく良かったです。
明日海さんはアルトの歌声なら望海さんに引けを取っていません。

2人のシーンは、楽しそうで、本来の2人にもどった感じもありました。
特に2人を観にいっているファンだから、余計にそう感じたのもあるでしょう。

そして今回の作品の座長的な立場の井上芳雄さんの妹さんは、89期の初輝よしやさん。

公演プログラムの「あなたが最近、”愛”を感じた瞬間とは」の質問に、井上さんは「同期愛」と回答されていました。
89期生たちと繫がりのある井上さんは、「89期の兄貴」と自称されているとか。明日海さんと望海さんが同期という関係性だけでなく、井上さんとの「同期のお兄さん」との間係性も、この作品に良い絆を深めているように思いました。

今回の作品は、二つの対比が際立っていました。
救世軍とギャングたち。
そしてサラとアデレイド。
サラが制服と外套とワンピースだけなことに対して、アデレイドはファッションショー的に衣装をひっかえ取替していました。
これも役の対比を際立たせるためだったのかなと思います。

個性の全く違う、明日海さんと望海さん。
今回はその個性の違いの極をとっても味わい、楽しませてもらえました。

未沙のえるさんの復活がうれしい!

未沙のえるさん……カートライト将軍

抜群のコメディーセンスと演技力で、名脇役として様々な宝塚の舞台を支えてきた未沙のえるさんが抜群の存在感で出演されていました。
厳しいながらも、ちょっととぼけた味のある演技は未沙さんの真骨頂です。
しかしその辺りの演技は、宝塚の時と比べたら、少し控えめだったかも。

大地真央さんと同期なので、宝塚退団後は共演されることが多く、私が観劇した大地さん主演の『夫婦漫才』では、長屋の近所のおばさん役で、取り立てて未沙さんの独自の個性が活かされていなくて、勝手に勿体ないなと思っていました。

昨年7月に久世星佳さん、憧花ゆりのさんとともにライブプレイショー『NONSTOP DREAM』を開催されたり、宝塚、東宝関係の表舞台に戻ってこられたような感じがしていて、嬉しく思っています。
この先のご活躍も期待しています。

終わりに
今回の「ガイズ&ドールズ」を観劇して、時代に合わせて新しくなっていることをとても感じました。
宝塚大劇場の舞台は初日があいて、日々進化・深化していきますが、今回の「ガイズ&ドールズ」も観る度に進化・深化しているそうです。
とってもチケット難な公演で、かつ東京と福岡でしか上演されないので、ライブ配信に期待したいですが、版権の問題があって難しいでしょうね。
なんとかブルーレイ化されることに期待したいです。

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