望海風斗&真彩希帆
「20世紀号に乗って」も「ファントム」も近年稀にみる『宝塚の枠を越えた大成功』と言われるのは、望海風斗&真彩希帆というコンビだからと思います。

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望海さんがトップコンビの理想は「戦友」と

【トップコンビ】やっぱり戦友ですよね。お互いに刺激しあいながら高めていけるのが理想。
今は現状に満足することなく、共に苦しみながら良い作品を創る努力をしていきたいなと。
引用:宝塚グラフ4月号「IDEAL望海風斗」より

望海さんと真彩ちゃんは9年の学年差があります。
9年の学年差がある中、舞台をつくるために「戦友」という立ち位置にお互いが持っていけているところがこのコンビの凄いところです。

そこには、望海さん懐の広さ奢らない謙遜さを感じます。
そういう望海さんの包容力に包まれて、真彩ちゃんもひるむことなく精一杯がんばることができているのだと思います。

「男役」になりたくて宝塚を目指し、身長が足りないということで娘役になったと、真彩ちゃんは公言しています。

どうして宝塚には男尊女卑の考えがあるのか

「娘役は一歩下がって男役の添えもの」という文化がある宝塚では、そういう強い娘役は、時に批判の対象になってしまいます。

宝塚のファンはほとんどが女性なのに、どうして「男役と娘役の関係性が平等」であってはならないのか。
とっくの昔に世間で消え去っている「男尊女卑」の発想が、女性の文化である「宝塚」では根強く残っていることが、くららには以前から不思議でした。
男役がトップスターで、宝塚が男役中心であることに何も反論はありません。
ただ娘役が一歩下がって、出しゃばらない方が良いという伝統的な流れが当たり前としてあることが不思議なのです。

その流れに反して、娘役として一人で輝ける愛希れいかの存在が愛されたように思います。
そして現在雪組のトップコンビのあり方も、5組ある中での一つの特長として、いいなと思っているのです。

星組の紅ゆずる&綺咲愛里は、宝塚の伝統的な流れのコンビで、それも素敵です。
いろんなコンビの形があっていいのが、多様性のある世の中でのありかたの一つかなと。

「20世紀号に乗って」のリリーは強い女性

現在上演している「20世紀号に乗って」は、リリーを通して「女性の自立と自我」も描かれています。
オスカーに舞台女優として一から育てられたリリーですが、オスカーと別れた後、映画女優として成功して大女優となっています。
しかし決められた台本通りに決められたコマ割りの演技しか求められていないこと。枠の中でしか仕事ができないことに物足りなさを感じています。
リリーの本心がわかっているオスカーは、その辺りをついて、互いに反発しながらも復縁という伏線につながっていきます。

だからリリーはオスカーと対等な強い女性でなければならず、真彩の女性としての強さ、したたかさがこの話を面白くしています。
そして望海の学年差のある「イケメンおじさん」的な部分が、オスカーとリリーの関係性にピッタリです。
この話を二人のトップコンビで上演することを決めた原田諒先生の見事な選択だと思います。

真彩ちゃんは声が綺麗で歌えるというだけでなく、間の取り方が抜群のコメディアンヌで、日本の中で一番リリーに適している女優ではないかと思います。
そして、どんな歌でも瞬時に歌い方を変えて歌いこなせる抜群の歌唱力と芝居のうまさと渋さと色気があり、まじめさを笑いに変えることのできるセンスをもつ望海もオスカーに宝塚の中では一番適しています。

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戦友の「20世紀号に乗って」

お二人のセリフの量と歌の量と難しさは尋常ではなく、さらにタップやダンスの場面もありました。

「ファントム」の千秋楽が2月10日で、「20世紀号に乗って」の初日が3月22日です。
東京で千秋楽を迎えて、本拠地宝塚に戻り、また東京で初日を迎えるまでのお稽古期間はとても短かったでしょう。

分厚い脚本と分厚い難しい楽曲の楽譜を渡され、短期間で披露するだけではなく、観客を爆笑させるまでのコメディに仕上げていくことは、尋常では考えられない高い高いハードルだったと思います。
「戦友」という関係性の二人だったからこそ、共に苦しみながら良い作品を創る努力をしながら、高めあってきたのではないでしようか

昨日の観劇時に、望海さんが客席から真彩に投げた花束が客席に落ちてしまって、それをいとも簡単に舞台上から飛び降りて拾った真彩ちゃんの気概は、この「戦友」設定だからこそと感じます。
終演後、「舞台から飛び降りるなんて危ない」と真彩ちゃんのことを叱る人があったかもしれませんが、真彩ちゃんは「命がけ」ぐらいの気持ちで体を張ってこの舞台にかけているのだと思います。
そんな強くて明るくて前向きな真彩希帆ちゃんがくららのお気に入りです。
そして真彩ちゃんを包み込んで、二人で素晴らしい舞台を仕上げてくるだいもんも。

この雪組コンビからの、期待の上をいく「果し状」的な舞台の見せてくれ方が楽しみでしかありません。

今度このコンビで全国ツアーに行くなら「風と共に去りぬ」がぜひ見たいです。
スカーレット2のいない、単体スカーレットで。
娘役が単独のスカーレットを演じたのは、2004年 宙組『風と共に去りぬ』の全国ツアーの花總まりさん。レッドバトラーは和央ようかさん。
雪組のトップコンビで演じたなら、また宝塚の枠を越えた「風と共に去りぬ」と言われるのではないでしょうか。

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