雪組「蒼穹の昴」2回目観劇感想 各役について
こんにちは、くららです。
昨日「蒼穹の昴」を観劇してきました。

音楽が素晴らしいので調べたら、作曲・編曲は玉麻尚一先生でした。やはり!

原田諒先生の作品の音楽は、玉麻先生が担当されることが多く、宝塚では『ピガール狂騒曲』もそうでした。
原田先生の舞台は、ビジュアルだけでなく、心に響く胸に迫る音楽も、ストーリーも素晴らしいです。
そして、何よりも熱演している雪組生たち

画像の幕は、1幕前だけで、2幕は幕が降りたままで始まるので、撮影するなら1幕前です。

スポンサーリンク



各役についての説明と感想

前回、彩風さん、朝月さん、朝美さん、和希さん、縣さんの役について書いたので、今回はそれ以外の方に触れたいと思います。

娘役に見せ場が少ないのは残念ですが、男役さんは若手男役さんまで、活躍所がありました。

日本語での呼び方を覚えていたら、お話が理解しやすいので、主要な役の人にはそれぞれ舞台で使われていた呼び名を入れました。

重厚感ある専科の方々

天津総督府・李鴻章(りこうしょう)… 凪七瑠
(漢人将軍、内乱を平定し、直隷総督となる)

凪七さんは、ポスターのイメージとは違って、舞台ではお髭もスッキリしていて、少し年齢も下げた李鴻章で、とても格好良かったです。
全く別格感はありません。フィナーレでも格好よく男役群舞で活躍されていました。

コミカルな「忙しいソング」ナンバーから始まり、そこで李鴻章の存在感が打ち出されます。
軍人としての威厳があって、器が大きくて骨太な李鴻章役は、凪七さんの宝塚での今の存在と重なり、ピッタリだったと思いました。
銀橋渡りで1曲歌われました。ポスターの真ん中に位置されているように、スター格のあつかいです。
しかしこま切れ的な出番しかないのは残念。(2時間半にギュっと縮められているので仕方ないことですが)

白太太(パイタイタイ)…京 三紗
(老占い師、昴の星に導かれる宿命を梁文秀と李春雲に予言)

京さんの白太太の予言から、舞台は始まります。
劇場全体が照明によって、茶色と白の幻想的な洞窟のような雰囲気となり、ぐっとこの作品の世界観にひきこまれていきます。
白太太は要所要所であらわれますが、あらわれると空気が変わります。
京さんの温かみのある凄みが、この作品のクオリティをとても高めているように思いました。

日本公使館・伊藤博文…汝鳥伶
(初代内閣総理大臣 明治維新の立役者)
昔の千円札でお馴染みだった伊藤博文公が蘇ったかのような汝鳥さんの再現力でした。ホクロの位置が決め手!
セリフにとても重みがあり、一言で白を黒に変えるほどの説得力があります。

あまりに出番が短いので、1幕冒頭で居酒屋の亭主をされていました。もう居るだけで、特別な存在感。

京さんと汝鳥さんは同期で、専科の中で一番先輩ですが、特に専科の重鎮のお二人の役は、お二人が演じられたからこそ、舞台のクオリティが高まる価値があったと思いました。

もちろん、他の専科の方々も重厚で素晴らしかったです。

西太后(「ツーシー)…一樹千尋
(亡き清朝第9代皇帝・咸豊帝の側室 皇帝に代わり政を行う)

男役の時と同じ、太い眉を描いて、威厳にみちた西太后はピッタリでした。迫力がありました。
『桜嵐記』の後醍醐天皇の印象が強くて、私にその印象が残っているのもあるでしょうが、帝国の落日を迎えて、女性として孤独や哀しみの中にいる時は、太い眉は邪魔をしていたように思いました。
情感あふれる歌に心打たれました。

この役は、娘役さんが演じた方が適していたかもしれません。
新人公演では、夢白あやさんが演じます。

帝党(改革派)・楊喜植(ようきてい)…夏美よう
(大学者、改革派の筆頭、光緒帝の学問の師傅を務める。)
改革派の支柱となって、冷静に物事をみている切れ者感がありました。
主演の梁文秀たちの「師」という立場は、専科の方だからこそ余計に説得力があります。

后党(保守派)・栄禄(永禄)…悠真倫
(内務府大臣 西太后側近の権力者)
中が空っぽで、権力欲に振り回されている、滑稽さがとても良く表現されていました。

男役さんたち

后党(保守派)

李蓮英(大慈管太監(宦官)、栄の朋友で西太后の寵臣)…透真かずき(91期)
地位は高いが器が小さい、イライラして嫌味な演技がお上手でした。

崔玉貴(太監(宦官) 李蓮英の配下)…麻斗海伶(101期)
175cmの長身に悪い役が似合っていました。『Sweet Little Rock ‘n’ Roll』、『夢介千両みやげ』の新人公演など、最近悪役づいてきているように思います。

2役
醇親王(光緒帝の実父 咸豊帝の末弟)…叶ゆうり(97期)
髭をつけた気弱な醇親王。
柴五郎(日本公使館・駐在武官)…叶ゆうり (97期)
日清戦争で、格好良く軍服で闘う雄姿を見せてくれていました。軍服でせりあがってくるシーンも。

漢服と軍服の両極端の叶ゆうりさんが楽しめます。

天津総督府

袁世凱(李鴻章の幕僚)… 真那春人(92期)
自分は科挙派では無いというコンプレックスを抱えながらも、向上心が強い、お腹に一物抱えている人物を好演されていました。
深く描かれていないので、短い出番で表現されるのは難しいと思いますが、これからさらに深めていかれるでしょう。

帝党(改革派)

王逸(ワンイー) (科挙三等合格者)…一禾あお(102期)
新公主演経験者が演じるような長いセリフのある大きな役で、科挙に合格した彩風さん和希さんと3人のシーンでは、王逸のキャラクターを立てて二人と肩を並べて堂々と演じられていました。歌もお上手。
李鴻章の凪七さんとのシーンでは、王逸の一途な思いが李鴻章に伝わっていくのが良くわかりました。

番手の順番では、華世京くんが演じる役だと思いますが、一禾あおくんが抜擢されて、しっかりその期待にこたえていました。
新人公演では、2番手の朝美絢さんの李春児役です。
今回スチールが出ていないのは、残念でした。

本公演でここまでできる一禾くんが、新人公演でどう見せてくれるか、楽しみです。

康有為(カンヨウイ)(公羊学者)…奏乃はると(85期)
奏乃さんならではの、人の良さと胡散臭さが混ざった味のある役でした。

譚嗣同(タンストン)(康有為の弟子)…諏訪さき(99期)
丸眼鏡をかけた、朴訥で誠実な青年で、玲玲(朝月)に片思い。
譚嗣同は、心がやさしくて生真面目で一途で、諏訪さきさんもそういうお人柄なのだろうなと思う程、役にはまっていました。
自分の命を、信念の代わりに差し出せる強さを持っています。
譚嗣同の最後に泣かされます。

林旭(改革派の官吏) …紀城ゆりや(105期)
劉光第(改革派の官吏)…華世京(106期)
2幕はじめ、彩風さん和希さんの同僚として、紀城さん華世さんが一緒に芝居をして、それぞれの短いソロもあります。

紀城さんはお顔が整っていて華があります。

いつも抜擢続きだった華世さんは、今回は学年相応の役です。
新人公演の主演をするからかな?
その他大勢のシーンに出ていても、華世さんは目立っていました。

紀城さんは、新人公演で和希そらさんの順桂役。

この二人は、雪組期待の新人さんでしょう。
紀城ゆりやくんに今後新人公演の主演はまわってくるでしょうか。

富貴寺

安徳海(盲目の胡弓弾き)…天月翼(95期)
役者魂を感じる振りきった紛争のスチールで話題を呼びましたが、舞台でもとても存在感があり、胡弓を弾きながらの歌のソロもありました。
専科の方に負けていない熱演でした。

黒牡丹…眞ノ宮るい(100期)
(西太后が最屓にしていた京劇の花形役者、不治の病に罹り紫禁城を去った)
布の眼帯をつけたスチールに只者では無い感が漂っていましたが、陰のある格好良い役でした。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、京劇がキレキレでとても上手く、春児の師匠という説得力が満点でした。
最期のシーンは、ちょっととってつけたような感じがあったので、お芝居の深まりと共にもっともっと自然になっていくと思います。
北洋軍将校としても出演されていて、中堅スターとして活躍の場が広がっています。

紫禁城周辺

常蓮忠(光緒帝の御前太監)…桜路薫(95期)
貫録が有りました。記者でも目立っていました。

恭親王 (咸豊帝の弟 詳親王の兄)…日和春磨(101期)
髭がなかなかにあっていました。

鎮国公載沢((ツァイゾー))(西洋かぶれの満洲皇族 光緒帝のはとこ)…咲城けい
雪組初出演、シルクハットにスーツと一人だけ他の人と衣装が違って、胡散臭さもある不思議な存在でした。
爽やかなキラキラ笑顔で、華があります。
西洋酒場で、軽快なナンバーで踊っていましたが、歌は壮海はるまさん担当でした。
初スチール初階段降りで、新人公演は凪七瑠海さん演じる李鴻章役です。

ジャーナリスト

岡圭之介(「万朝報」の記者)…久城あす(94期)
時にはストーリーテラー的な役目を果たし、しっかり脇をかためていらっしゃいました。

トーマス・バートン(「ニューヨーク・タイムズ]の特派員)…壮海はるま(103期)
長身で、アメリカ人設定で一人だけ髪の色が違うイケメンで、あか抜けた存在でした。ソロで歌うシーンも何か所もあり、華やかに活躍されていました。貫禄と安心感があります。

新人公演では、汝鳥伶さんの伊藤博文役と眞ノ宮るいさんの黒牡丹役。
フィナーレの階段おりで、ずらっと娘役さんたちが1列に並ぶセンターで歌無しで降りてこられました。意味は無いのかもしれませんが、長身で中国物の中で、髪の色も違うので、目だっていました。

その他の役

蘭琴(ランチン)(春児の親友)…聖海由侑(103期)
先に宦官になっていて、春児(朝美)にすすめます。

出番がとっても多かったです。
整った顔立ちなので、舞台上にいると目立ちます。宦官役なので声も少し高めにされていて、お芝居が巧み。

新人公演では、前回に続いて縣千くんの役で、光緒帝です。

趙掌案的(京劇・南府劇団の立役)…星加梨杏(100期)
京劇の衣裳でのスチールでしたが、星加さんの京劇の見せ場は、プロローグでした。
その時のペアは多分霧乃あさとくんだと思います。

お芝居中は、「京劇の演目、今から別のなんてできないよ!」と銀橋でアタフタとする役で、その時に銀橋に出ていたのは新人さんばかりだったので、緊張されたのではと思います。

阿片窟のダンサー蒼波黎也(104期)くん
順桂(和希)が、阿片窟に火薬を買いに来た時に、蒼波だけくんが、火薬を渡すのを惑わすような爆踊りをしていました。ここではダンサーの和希さんがそんなに激しい踊りをしないので、その対比が面白いです。

娘役

隆裕(光緒帝の皇后 西太后の姪)…野々花ひまり(99期)
原作では醜いと表現されていますが、今回は「夢介千両みやげ」の時のようにな不細工メイクはされていないようでした。
器量よしには見えないぐらいの工夫はされていたのかも。2回続けてこういう設定の役です。

珍妃 (瑾妃の妹、光緒帝の寵愛受ける)…音彩唯(105期)
1幕の光緒帝と隆裕の結婚式では、光緒帝と側妃の珍妃が視線を交わして想いを交わし合って、光緒帝がデレデレいるのかツボです。光緒帝自身の結婚式なのに、側妃とデレていて良いのか、と思いました。縣光緒帝だから良いのでしょうね。
2幕の紫禁城で苦悩する光緒帝の側には珍妃がいました。時間が無いので、このくらいの描写でしか、光緒帝の寵愛は表現できないのでしょう。

徳齢(女官 容齢の姉) …千風カレン(90期、退団予定)
容齢(女官 徳齢の妹)…羽織夕夏(100期、退団予定)
退団者のお二人が姉妹の役で、銀橋で女官たちが歌う時もお二人がセンターでした。

西太后付き女官
杏野このみ(94期)、愛すみれ(95期)、白峰ゆり(95期)、妃華ゆきの(96期)、希良々うみ(100期)、琴羽りり(101期、休演中のため代役有栖妃華)

ミセス・チャン(謎の美女、西太后の孫)… 夢白あや(103期)
華奢でチャイナドレスがよくお似合いで、本当に華やかでした。
ミセスチャンのミステリアスさが際立ってましたが、何もミステリアスなことは起こらない。
沢山の登場人物の中にいても、目がひかれる、スペシャルな存在だと思います。

楊青筠(楊喜楨の娘)…華純沙那(106期)
原作では、文秀(彩風咲奈)の妻ですが、そこはバッサリカットされて、楊喜楨の居間で改革派の同志たちが話しあいする時に、娘としてほんのわずかですが登場していました。

退団の花束ゆめさん(103期)
1幕の市場の始まりのシーンで、町娘の花束ゆめちゃんが真ん中で歌っていました。
フィナーレの朝美さんと娘役さんたちのシーンで、朝美さんを3人の退団者(千風、羽織、花束)が囲むところがありました。
退団者として、もう少し活躍の場があっても良かったのにと思いました。

本当に娘役さんの活躍の場が無いので、今回退団する娘役さんは気の毒です。

トップ娘役の朝月さんも、出番は決して多くないですが、他の娘役さんたちとの比較論の中では、それなりに出番があって、幸せなラストシーンで良かったと思います。

毬と子ども

2幕市場のシーン
・男の子…愛陽みち(104期)
・女の子…琴峰紗あら(105期)、華純沙那(106期)

順桂(和希)のラストシーンは、女の子と爆弾と鞠が関わっています。

愛陽みちちゃんのソロ(手鞠歌)が流れます。

フィナーレについての補足

フィナーレは、ドラゴンの描かれた豪華な立て飾りが、舞台の上にデーンと置かれます。
男役さんの衣裳に、ドラゴンの刺繍があるのに気づきました。

和希そらくん歌唱指導

前回そらくんの紅い衣装は中華風で無いと書いていましたが、ドラゴンの刺繍模様が入っていました。

順桂は寡黙でクールなキャラなので、劇中殆ど笑顔を見せないので、フィナーレが始まった瞬間からキラッキラのニコニコスマイルが、眩しくて煌めいて見えます。

銀橋を渡りきった時に、ロケットガールたちが舞台上に登場します。
しかしその後も銀橋上手で何フレーズか踊られます。その振りが小粋でとってもいかしています。

男役群舞

黒い上下の中華服の上にゴールドの薄布を羽織って、黒い扇子を持って踊られます。

途中、彩風さんがせり上がってこられます。

彩風さんの上着にだけ、ゴールドのドラゴンの豪華な刺繡がありました。

そして番手スターのズボンの裾には、ドラゴンの刺繍が入っていました。(多分、朝美、凪七、和希、諏訪、縣?)、中の黒の詰襟の襟口にもキラキラなものが。

きっちり差別化されていました。そういうところを見ると、宝塚だなぁと一層感じます。

そしてフィナーレのシャンシャンが、「ベルサイユのばら」の時のような、花に1本ろうそくが立っているものでした。これも久しぶりに見る宝塚らしいシャンシャンでした。

ベルサイユのばらは、薔薇でしたが、今回は中国なので、赤と白の牡丹の花のように見えました。

ダラダラと書いていたら、とっても長くなってしまいました。

原作を知らなくても楽しめる内容になっていましたが、中国読みの名前に慣れていないので、名前をちょっと予習していると、より楽しめると思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
ランキングに参加しています。ポチッとバナーをクリックしていただけると嬉しいです♪
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村
いつも応援してくださってありがとうございます。

twitter


スポンサーリンク