「文藝春秋」原田氏の手記を読んで
こんにちは、くららです。
現在話題になっている、宝塚の元演出家 原田諒氏関連のことについて、偏っているかもしれませんが、「イチ宝塚ファン」としての私の思いを書かせていただきたいと思います。

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年末の文春の報道を信じてしまっていた

昨年12月28日に、週刊文春に宝塚の演出家・原田諒氏が、劇団の演出助手Aさんに対してセクハラを行っていたという記事とともに、宝塚の生徒に対してパワハラを行っていた記事が出ました。トップスターとトップ娘役のお名前まで掲載されていたので、そのまんま記事を信じてしまい、私は原田氏に対して憤慨しました。

「蒼穹の昴」は素晴らしい舞台でした。原田氏の脚本・演出家としての実力は認めます。しかし生徒へのパワハラが日常茶飯事に行われ、生徒たちが苦しめられながら舞台がつくり上げられているのなら、そんな演出家は、宝塚には必要ないと当時は思いました。

そして11月19日に演出助手のAさんが総務部に辞意を伝えて後、劇団が聞き取り調査を行ってセクハラが発覚し、東京公演中の12月5日から原田氏を宝塚歌劇団及び東京宝塚劇場を出禁にし、12月9日付で原田氏を宝塚の親会社である阪急電鉄に異動させ、12月26日に退団という迅速さを評価していました。余程原田氏は、宝塚に害を与える存在なので迅速な処分に至ったのだと。

瞬時に社会的に抹殺された原田氏に対して気の毒な気持ちを抱きながらも、抹殺されるだけの理由があったと信じて疑っていませんでした。

しかし原田氏の言い分に耳を傾けると、そうでは無かったようなのです。

最近の原田氏のこと

原田氏は、事実無根のハラスメントを理由に退団を強いられたのは不当として、劇団に対して、従業員としての地位確認と未払い賃金などの支払いを求めて4月7日付けで提訴されました。もう1か月以上前のことです。

原田氏の希望は、宝塚歌劇団の演出家に戻りたいこととか。

原田氏は「一日でも早く、愛着のある宝塚歌劇団の演出家に戻りたい」と話した。同歌劇団は「内容を確認し、適切に対応したい」としている。引用読売新聞オンライン

そして5月10日発売の月刊「文藝春秋」に原田氏が手記を寄せられていました。読んでみました。

内容は、12月28日の文春報道を正反対に覆すものでした。ご自分の正統性を主張されています。

原田氏はの言い分を鵜呑みにすることは出来ませんが、「週刊誌報道って何なのだろう?」とまずそこに疑問を感じました。

今回原田氏が手記を寄せた「文藝春秋」は、「週刊文春」と同じ株式会社文藝春秋が発行しています。同じ会社から正反対の内容が出版されることが疑問ですが、こういう形は、今回のみならず、今までもよくあった例のようです。

「週刊文春」でスクープされて、「文藝春秋」で弁明する。まずこういうメディアの有り方がまかり通っていることがおかしいと思います。

そして「文春砲」で社会的に抹殺された方は多いです。原田氏もその一人。
たった1回の週刊誌の一刺しで、人生が狂ってしまうなんて。
抹殺される程、酷い行いを行っていたのなら仕方がないです。
しかし事実では無い報道で、人生を狂わされたらたまったものではありません。
さらに物事は捉える視点で見え方が大きく変わります。このあたりが今回の重要なポイントです。

原田氏は泣き寝入りをせず、手記でご自分の正統性を主張され、劇団を提訴という形で行動を起こされました。裁判を前提に「手記」を記されているので、手記の内容に間違いは無いのでしょうが、ご自分に都合のように書かれていることも確かだと思います。

とても文才があって、説得力のある書き方をされているので、ついつい「それが真実なのかな」と思えてしまいます。このあたりは注意しながら読まなければならないと思いました。

手記の内容

「週刊文春ありき」で事が進んでいった

演出助手のAさんのセクハラ被害は、その母親が知るところとなり、大事になっていきます。

劇団は原田氏の言い分は聞かず証拠も調べず、「週刊文春に訴えるぞ」というAさんの母親の脅かしのもと、それを避けたいがために原田氏の処分、異動、退職へと急速に駒を進めていきました。

「とにかく文春に載るとまずいから」の一点で、退職させられとは。信じがたいことでした。

結局文春で報道され、原田氏は退職し、その後の外部の仕事も中止になり、双方踏んだり蹴ったりの結果となりました。

劇団の原田氏への迅速な処分は、これ以上生徒への悪影響がないためと間違った解釈を勝手にしていた私は驚きました。

それほど、劇団は文春報道が怖いのか?

「事なかれ主義」でいきたい歌劇団の体質を思い知らされました。

文春は取材をしないのか?

「×曜日までに文春の記者に連絡を取れば翌週号に載せてもらえる」と書かれていました。

文春は文春なりに取材、精査して、週刊誌に載せているものだと思っていました。

一方的にリークされたものを、速攻で記事にするとは?!

年末の記事では、原田氏の生徒へのパワハラ記事もあって、ファンはそちらの方でショックを受け、動揺しました。
あの記事は、取材したものでは無かったのか?

原田氏はトップスター、トップ娘役に罵詈雑言を吐いたと報道されたことは、事実無言、大いに心外である、と手記で書かれていました。

「演出助手へのセクハラ」だけでは、記事として宝塚ファンの心を捉えないので、ファンに衝撃を与えるために文春が適当に付け加えられていたのでしょうか?
あの記事で、どれだけファンはショックを受け、スターのことを心配したことでしょうか。あの部分が無ければ、ファンもそんなに動揺しなかったし、見向きもしなかったかもしれません。

文春は、取材して証拠のあるものしか載せないと言われていました。
ネタに信憑性は無くても、ファンの興味をひくために載せるのか?
ファンの心をもてあそぶ報道の仕方に怒りを覚えます。

今年になって宙組の記事が出て、信憑性が無くても面白半分に記事にすることを学びましたが…

セクハラ報道の否定について

原田氏は、演出助手のAさんに対して、一切セクハラ行為は無かった。事実無根と主張されていました。

セクハラ発言に対しても、ポイントを抑えて、説得力のある否定の仕方でした。
演出助手のAさんとのLINEが掲載され、Aさんの人となりが感じられる内容でした。

その後のAさん側の要求がいろいろと書かれていて、Aさん側が常軌を逸しているようにも感じられました。(手記を読む限りは)

そして、Aさん側の言いなりになる劇団が、本当になさけないと言うか、信じがたい稚拙さでした。原田氏の主張が、真実であれば。

人は宝ではないのか?

原田氏は2003年に宝塚に入団されています。約20年在団して、下積み時代を経て、人気演出家として活躍されていました。宝塚のエース級の演出家のお一人でした。

そんな貴重な演出家を、いとも簡単に解雇する劇団が信じられません。解雇の仕方も手順を踏んでいなくて、半ば脅かされての結果のようでした。ここは原田氏に提訴されても仕方が無いと思います。

一方助手のAさんは、9月に入社して11月から12月の出来事です。多分試用期間中でしょう。演出助手Aさんの言い分が、ベテラン演出家の言い分より優先される?ここも信じがたいことでした。

前にも書いたように、原田氏に何か表にあらわせない問題点があって、宝塚の生徒を守るために、こういう流れになったのなら納得できます。内部事情を全く知らない私は、表面的な面でしか物事を捉えることができません。

「人材は宝」だと思います。特に宝塚のように経験値を重ねていく業界では、実力と経験値のある生徒やスタッフは、何にも代えがたい宝。いとも簡単に原田氏を切ったように、生徒も大切に扱われていないのだとしたら、とても辛い嫌な気持ちになります。

今回の件を第三者として見る限り、劇団の上層部の方たちは「文春砲」をあびないことが第一優先、つまりはご自分たちの保身を第一優先して、劇団の未来を担う演出家を簡単に切ってしまったように感じました。(私の知る範囲の中での主観です)

宝塚歌劇団の管理職は、阪急電鉄本体からの出向者が多いと聞きます。木場理事長は長く宝塚歌劇団に携わっていらっしゃいますが、そうでない管理職の方も多いとか。

宝塚の生徒さんたちやスタッフの方々は、宝塚愛をもって、観客に喜びを届けたいと全身全霊で、舞台に臨んでいらっしゃいます。それを感じるから長くファンをしています。

その上の上層部の方々に宝塚愛が無いなら、本末転倒と言いますか…

小林公平氏、小川友次元理事長には、宝塚愛が、そして人情があったと思います。

原田氏の宝塚愛

手記では、ご自身の宝塚愛も沢山語られていました。

『蒼穹の昴』での朝月希和さんのサヨナラショーは、原田氏が出がけられたそうです。

あのショーを観た時に、朝月さんの宝塚で歩んでこられた軌跡を上手にピックアップして魅せてくれて、朝月さんや雪組への愛を深く感じました。原田氏がつくられたのなら、原田氏の宝塚愛は本物だと思います。

そして『蒼穹の昴』で、朝月希和さんが退団されるので、李玲玲役を原作より出来る限り増やしたつもりだったが、常の公演より少なく、ご自分の力不足であり、情感溢れる演技でヒロインとして演じてくれて、感謝でしかないと書かれていました。ラストのシーンは、朝月さんに花を持たせていらっしゃって、私は良かったと感じました。

『蒼穹の昴』の稽古中は、週二度のPCR検査をすれば必ず陽性者が出る状況で、延べ10日は稽古を休みにせざる得なかったそうです。そんな状況の中でも、初日からあの素晴らしい舞台に仕上がっていて、宝塚の生徒さんたちとスタッフの方々のプロ意識の高さに感服しました。ひとえに皆に共通の宝塚愛があるからこそ、奇跡の力で舞台をつくりあげていけるのだと思います。

原田氏は次々に賞を受賞されて、『蒼穹の昴』も大きな賞が射程範囲だったのだと思います。そのあたりから奢りが生じて、周りと不協和音が生じていたかもしれません。年末の生徒へのパワハラ報道は、そのあたりのことから生じているのかも。

そして、演出助手Aさん側を応援した劇団幹部の演出家の存在もあるようです。

このあたりのことは、裁判で明らかにされていくのでしょう。

原田氏は本当に宝塚に戻れるのだろうか?

原田氏は、読売の取材に対しても

「一日でも早く、愛着のある宝塚歌劇団の演出家に戻りたい」とこたえていらっしゃいました。

手記の中で、木場理事長、制作部長、総務部長と個人を特定して、不利な立場になるようなことを赤裸々に綴っていらっしゃいました。そんな方たちと、もう一度同じ職場で仕事をすることは難しいと思います。

それらの幹部の方たちが一掃されてからの復帰を願っていらっしゃる?

原田氏の名誉回復のために裁判をされることは必要なことだと思います。

でも手記は必要だったのだろうか?まるで宝塚に喧嘩を売っているようにも感じられました。社会経験のある大人だったら、このような手記による影響力や顛末が理解できるとも思います。

今回の問題は、他にも様々な問題を露見してくれました。

各企業、団体など、コンプライアンスが厳しくなってきていますが、それを報道する株式会社文藝春秋には、コンプライアンスは必要ないのか?全く異なる内容を雑誌が違えば、同じ会社が掲載しても許されるのか?

週刊文春は現在、総力上げてジャニーズ潰を行っています。死者に鞭を打っているような思いも残りますし、今までジャニーズ問題を避け続けてきた日本のメディアの弱さも露見しています。ジャーナリズムの質が問われているような気がします。

私は年末の原田氏に関しての報道を鵜呑みにしてしまったことは、愚かだったなと反省しました。それと共に、情報を受け取る側が、自分でもっと冷静に受け止め、判断していくことが大切だと思いました。

今回のことで、生徒さんたちも少なからずショックを受けていらっしゃると思います。
そんな中でも、全身全霊で舞台に立っているタカラジェンヌを応援していきたいです。

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