雪組「蒼穹の昴」の初日を観劇してきました。
原田諒先生にとって、「蒼穹の昴」は人生を変えた一冊ともいうべき思い入れのある作品だそうです。
長編小説が、見どころをおさえてわかりやすく、ギュッとうまく宝塚仕様にまとめられていました。
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豪華絢爛な舞台
衣装とセットの豪華さは、ここ何年かで一番かもと思うほどのものでした。
VISAの協賛が無くても、ここまで贅沢な舞台をつくることができるのですね。
舞台装置について
貧しいシーンから一転幕が上がると、大階段を使った荘厳な紫禁城の太和殿が舞台いっぱいに広がっていました。大階段には赤い絨毯がひかれていて、とても中国らしい光景に圧倒されました。
解説を読むと、出来る限り本物に忠実に再現されたそうで、リアルで迫力がありました。
そして、その舞台上に組子が美しい中国の衣裳をつけて総出演しているので、さらに圧倒されます。
装置担当は、松井るみさんで、紫禁城だけでなく、水墨画を思わせるような背景であったり、様々なシーンの装置が凝っていて、ラストは紅い城壁が船に変わるセットが、とてもドラマチックで素敵でした。
衣装について
当時の男の人たちは、辮髪(頭髪を一部を残して剃った髪型)が原則だったそうですが、それは宝塚の男役さんにはふさわしくないのでやめて、その分衣装を忠実に再現されようとされたそうです。
衣裳の担当は有村淳先生。
生地は可能な限り中国から輸入して、刺繍は国内で長時間かけて行われたとのこと。
その分、衣装の模様や光沢が特別に美しく、今まで見たことの無い、衣装の数々でした。
宝塚の舞台では、見たことのある衣装に出会うのが通常ですが、新調で莫大な数の衣裳を揃えるのは、本当に大変で、莫大な費用もかかったのではないかと思いました。
刺繍するという細かい作業も加わっているので、余計に。
コロナ禍になって、宝塚の舞台は節約モードと思っていたので、今回の破格の豪華さには度肝を抜かれました。
中国風の音楽も荘厳でとても良かったです。
豪華絢爛な中国を味わうためだけでも、足を運ぶ価値があるように思いました。
さらに、浅田次郎先生の代表作であり、NHKドラマにもなった「蒼穹の昴」が、とてもわかりやすく、テーマをしぼって描かれています。
「蒼穹の昴」にこだわりがある方には、2時間半で演じられる内容はうすく感じられるかもしれませんが、私は2時間半でよくここまでわかりやすく描き、テーマを訴えられたと、原田先生の手腕に感動しました。
スチールについて
劇場ロビーのパネル入りは夢白あやさんまで24名。
24名全部埋まっていても、専科の6名の方が入られているので、今回パネルに落ちされた方も。
天月翼さんの本気過ぎる変貌ぶりにビックリ。パネル前でも天月さんを指して会話されている方が何人もいらっしゃいました。舞台上の天月さんは、スチールのままの安徳海でした。
⇒ スチール
適材適所のスターたちの活躍
彩風咲奈…梁文秀(リァン・ウェンシウ)
どんな衣装でも素敵に着こなす彩風さんは、裾の長い中国服も素晴らしくお似合いでした。
前回の『夢介千両みやげ』の夢さんとは全く違う、真面目な官吏の梁文秀を、情熱を秘めた抑えた演技で好演されていました。
この役も彩風さんの当たり役になるでしょう。
冴羽獠も夢介も、彩風さんが演じると当たり役になってしまう。
それだけ変幻自在な真ん中が似合う、演技派のスター。
新しい作品に出合うたびに、彩風さんの底力に驚かされます。
歌唱力の進化も、とっても感じました。
1幕ラストの魂の熱唱には心が震えるほどでした。
他にも、歌い上げで聞かせてくれるシーンが多くありました。
朝月希和……春児の妹、玲玲(リンリン)
「退団公演で地味な役?」と思っていましたが、原田先生は玲玲を素敵なヒロインに描いていらっしゃいました。
そして朝月さん演じる玲玲が、最高に可愛くて、健気で、やさしくて…。でも芯がある。
柔らかくて、どこか儚くて、可憐なかすみそうのような娘役の希和ちゃんらしさがいかされていました。
そして朝月さんも、とっても歌が上達されていて、美しい歌声を聞かせてくれました。
朝美絢……李春児(リィ・チュンル)
大きな瞳をキラキラさせた少年の明るい笑顔が、キュンとなるくらい可愛くてせつなくて、銀橋を渡りながら、「ちくしょう ちくしょう」と情感たっぷりに歌うところは、とっても印象的でした。
少年時代は、彩風さんとの身長差を大きくつくっていて、またその姿が可愛かったです。
朝美さんも歌がさらにお上手になられたようで、ソロも、彩風さんとのデュエットもとても良かったです。
京劇が見事!
槍を使う立ち回りはとても切れがよく、華と迫力がありました。
相当練習を重ねられたのだと思います。
難しい京劇に挑戦して、初日から見事にみせて下さることに、芸にかける凄まじい根性を感じました。
さらに痩せられたように思いますが、練習が過酷だったのでしょうか?
京劇は、朝美さんの一番の見せ場だと思います。
眞ノ宮るいさん演じる京劇の師匠の黒牡丹の立ち回りも、キレキレで素晴らしかったです。
「京劇のメイクはどうするのかな?」と思っていましたが、朝美さんは濃い美しいお顔なので、独特のメイクをしなくても、京劇の大きな衣装にお顔が映えて華やかでした。
被り物をとって頭に布を巻いた姿でもメチャメチャ美しい。
西太后付きになって漢服で登場されると、居並ぶ中で、朝美さんだけ「顔の美しさ」が際立っていました。
今回の李春児でも、卓越した朝美さんのお顔の美しさに感動しました。
和希そら…文秀の同志・順桂(シュン・コイ)
強い信念をもつ寡黙なクールな青年を熱演されていました。
『夢介千両みやげ』でも『心中・恋の大和路』でも、低音イケメンボイスを封じて高い声で演じられていましたが、今回は低音イケメンボイス全開。やはりええ声!
メイクも佇まいも、和希そらの格好良さを追求するような役だったので、男役・和希そらを堪能できました。
爆死前には、下手花道で歌っていて、「銀橋に行くかな?」と見守っていたら、銀橋を渡って1曲聞かせてくれました。(フィナーレの歌唱指導もあるので、銀橋渡りの歌は2回。)
その他のシーンでも、歌うと特別上手い。
お芝居も。最後は爆破して死にますが、和希そらくんの演技力も爆発していました。
爆死前には、阿片窟のシーンがありました。
雪組のお芝居には、かつてから阿片窟は何度も何度も出てきました。
雪組に組替したそらくんも、阿片窟を経験したので、より雪組生らしくなれたと思います。(関係ない?)
縣千…光緒帝(ツァイテン)
大階段を使った紫禁城のセンターに鎮座する縣千光緒帝の存在感は抜群でした。
品があって凛としていて、皇帝の説得力があります。
抑えた演技で、葛藤の中にいる縣くんも良かったですが、あまりに動きのない役だったのは、少し気の毒でした。
一禾あおさんが、科挙に3番目に合格した王逸役で、彩風さん和希さんと3人でのお芝居や歌があったり、凪七さんと演技したり、男役4番手かと思う程、活躍の場がある役でした。
個性的な譚嗣同を演じた諏訪さきさんも素晴らしかったです。
各役について書くとまた長くなるので、次回にします。
娘役さんについて
ミセス・チャン役の夢白あやさん、珍妃の音彩唯さん、とても綺麗でしたが、その他大勢に近い感じで、魅せ所はありませんでした。
今回は娘役は、朝月希和さんに華をもたせることに終始した感じでした。
フィナーレ
歌唱指導…和希そら
朝美さんは、お芝居の最後まで出演されているので、和希さんが歌唱指導でした。
和希さんの赤い衣裳は、中華風ではなかったと思います。
下手花道からせり上がって来て、イケメンボイスで聞かせてくれました。本当に歌に魅了されます。
こういうシーンでのキラキラオーラに、更に磨きがかかっていて、惹きつけオーラもドンドンあふれています。
ラインダンス
ちょっと見慣れない頭飾りが大きい、中華風の衣装で、音彩唯ちゃん中心の36人のロケット。
大人数なので、迫力があります。
華純沙那ちゃんは、後から真ん中に合流して、音彩ちゃんと華純ちゃんがセンターで足上げをしていたと思います。
(雪組の期待のふたりの娘役さん)
男役の群舞
金色の長い羽織りものがついている、ちょっと中華感がある衣装でした。羽山先生振付。
和希さんがわずかな時間で早替えして、しっかり大階段に板ついていることに感動。
専科の凪七さんも、男役群舞に入っていらっしゃいました。
3人のピックアップは、凪七、朝美、和希。
5人は、凪七、朝美、和希、諏訪、縣。
朝美さんと娘役さんたち
景徳鎮の陶磁器を模した娘役さんのドレスは可愛いのに、なぜか朝美さんの衣裳だけちょっと変でした。
もっと似合う衣装を選んでよと、見ている間思ってしまいました。
娘役さん二人のピックアップは、野々花ひまりさんと夢白あやさん。
二人は全く対等な扱いでした。
彩風・朝月の最後を飾るのにふさわしいデュエットダンス
ふたりが手をつないで、階段を降りてくるところからはじまりました。
朝月さんの柔軟性をいかした、しなやかなダンスを彩風さんがやさしく包み、幸せな空気に満ちていました。
リフトや様々な業があって、ダンスコンビに相応しい美しいデュエットダンスでした。
羽山先生の振り付け。
カゲソロは、羽織夕夏さん。
階段降り
千風カレン(エトワール)
↓
咲城・夢白・諏訪
↓
縣千(初一人降り)
↓
和希そら
↓
凪七瑠海
↓
朝美絢 (豪華白衣装 水色マント)
↓
朝月希和(豪華白衣装 ピンク色マント)
↓
彩風咲奈(豪華純白衣装 ゴールドマント)
今回羽根はなく、その代わりにフィナーレ用の豪華な特別衣装が、彩風さん、朝月さん、朝美さんの3人。他のみんなはお芝居の衣裳でした。階段飾りの下級生まで。
専科さんの階段降り
悠真倫さんだけ、エトワールで抜けた千風副組長さんの所に入って、奏乃はると組長さんと一緒に降りてこられましたが、後の4人の方は、階段降りは無しで、上手側と下手側からペアになって、2組に分けて出ていらっしゃいました。
ダブルトリオは舞台上の階段にいました。
・男役 霧乃・夢翔
・娘役 琴峰・愛空・華純・夢陽
並び
副組長・悠真・夏美・汝鳥・夢白・凪七・朝美・彩風・朝月・和希・縣・京・一樹・組長
専科の方が6名もいらっしゃるので、それぞれの立ち位置が後ろにずれて、組替して来た咲城けいくんが紹介されましたが、下手花道の端の方でした。
2日も観劇予定なので、詳しいことは次回に書きたいと思います。
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