「心中・恋の大和路」初日感想
こんにちは、くららです。
雪組『心中・恋の大和路』無事に初日の幕が上がりました!
ドキドキしながら初日を待っていたので本当に幕が上がって嬉しかったです。

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初日の感想

出演者全員が適材適所熱演されていて、素晴らしい舞台でした。
特に和希そらくん夢白あやちゃん忠兵衛梅川そのもので、情感豊かに「ふたりの純粋な愛」をたっぷり充実した演技で魅せてくれて、心にしみて、この作品の世界にひきこまれていきました。

令和版『心中・恋の大和路』は、想像以上の素晴らしさで、心が震えるほどの感動を覚えました。

さらに和希そらくんと夢白あやちゃんの日本物の舞台化粧が綺麗で色っぽくて、所作や決めポーズなどの和物の基礎が板についていて自然体なことも素晴らしかったです。

歌劇誌の谷先生との鼎談で「型で見せる部分がとても多い、そこが決まると美しい」と語られていましたが、その型が見事に決まり自然で美しい動きになっていました。
「日本物の雪組」の出身ではない和物の経験値の浅い二人は、和物をこなすために並々ならぬ努力を重ねられたのだろうと思います。

スチール写真からでも、その美しさを味わえるかと思います。
スチール写真

この作品のカーテンコールは、幕が上がると中央にいる白装束のふたりが深く一礼して、その後また雪山へと向かっていこうとする中、幕がおります。

鳴りやまない拍手に対して、そのカーテンコールが3回繰り返されて終わりました。

挨拶の無いカーテンコールのことは知っていたのですが、コロナ禍で無事に幕が上がったので、「特別に和希そらくんの初日のご挨拶があるかな?」と期待していましたが、やはりありませんでした。

感動の余韻を残すためなのでしょう。
終盤からすすり泣きの声が多く聞こえてきました。
替えのマスクを用意していて正解でした。

そして会場がとても寒かったです。
会場の真ん中あたりでしたが、羽織物を用意していなかったら、舞台の雪山のように私も凍り付いてしまうのではと思ってしまうほどでした。

前回雪組では和物の「夢介千両土産」が上演されましたが、この作品の予行演習もあったのだなとと思う程かぶる印象も多く、またそれによって和物がとても自然に演じられていたように思いました。

役の感想

ネタバレしているので、ネタバレOKな方だけ続いて目を通してください。

亀屋忠兵衛…和希そら

忠兵衛の歌のソロから始まります。
儚げな表情に色香が漂っていて、低音のイケメンボイスの歌声がとっても響いて来て、まず1曲めから心を掴まれました。
(歌唱力が抜群で自由自在に歌えることは、心情がリアルに伝わってきてポイントが高かったです)

今までいろんな忠兵衛が演じられてきましたが、和希そら色の忠兵衛を見事に演じられたと思います。

『夢千鳥』で 白澤優二郎と竹久夢二、『プロミセス、プロミセス』でシェルドレイク役と、ダメ男を演じてきて、3作目の今作は、ダメ男の集大成と言えるような忠兵衛です。
世間知らずの甘ちゃんなダメ男が、恋に盲目になって身を滅ぼしていきます。

ぼんぼんらしい振る舞いに茶目っ気があって、思わず笑みがこぼれてしまいます。
弱さも含めて、なんとも言えない可愛げや愛嬌があって、愛すべき人物です。
そして、どうしようもない馬鹿で情けない男なのですが、共感できてしまう。

忠兵衛に共感できるのも、和希そらくんの芝居のうまさとその醸し出している個性と持ち味があるからでしょう。

そして演技が細やかなので、心情がとっても伝わってきます。

ダメ男第三弾集大成の和希そらくんの忠兵衛は、歴代の忠兵衛の中でもダメ男ぶりが一番だったのでは?と思いました。宝塚ではなかなか演じることのない「ダメ男」を演じ続け、ダメ男でも観客から愛されてきているので、大胆にダメ男ぶりを披露できていたような。

第1幕ラスト「封印切」
300両を持って堂島へ行こうか?梅川の受け代にしようか?と悩み唄う「石ころの歌」のシーンは、心の葛藤がとても伝わってきました。
友人である八右衛門の言葉に男のプライドを傷つけられて、八右衛門が必死に止めるのも聞かず三百両の封を引き破ってしまいます。

泣いているのか、笑っているか、その行動を起こさせているのは、怒りなのか、悲しみなのか。
最愛の梅川すらも足蹴にし、八右衛門をののしり、狂ったように小判をまき散らす姿は、狂喜に満ちていました。

その後の2幕の忠兵衛は、ダメ男であっても、男の意地を見せて、力強く梅川への一途の愛を貫き、どのシーンもずっしり構えていて、どの着物姿もカッコ良く、さらに魅力を感じさせてくれました。

落ちていく姿も、悲しくも美しかったです。

歌劇誌の鼎談で和希そらくんは、
「忠兵衛が見つけた真実の愛をしっかりと表現できたら、本気で愛した人と命が尽きても二人で一緒にいたいと選ぶ」と話されていました。

二人は最後まで本当に幸せだったのでしょう。

遊女・梅川…夢白あや

声がとっても可愛くて、特に甘えているような声が超絶かわいらしくて、梅川の性格も健気で無垢で、純粋で、そして色っぽくて忠兵衛が全てを捨てて愛してしまうのも無理はないなあと思える説得力がありました。

忠兵衛の父(汝鳥伶)とのやり取りに、梅川の情が深くて素朴で純真な内面がよく表れていました。

道行の途中、おみくじを無邪気にひくシーンが印象的でした。
純粋で一途に忠兵衛を愛していて、健気さがとても心に響きました。

時に幸せではない感情が表情ににじむ時、梅川がより美しくみえました。
夢白さんは悲劇が似合う娘役さんだと思いました。

忠兵衛の親友、丹波屋八右衛門…凪七瑠海

最後の『この世にただひとつ』を魂の熱唱が良かったです。
単純に歌が上手い、声量があるというのではなく、死にゆく二人とまわりの人々のの無念を全て背負っての絶唱は、壮絶な叫びのようでもありました。

歌舞伎では悪役ですが、宝塚では忠兵衛のことをひたすら思っている友人として存在していて、凪七さんの熱演がとても良かったでず。

声と歌が良い雪組生たち

出演者全員に見せ場があって、雪組生の実力の高さにも感動しました。和物の良さを堪能させてくれました。
出演者たちの声が全般に良くて、歌上手さんたちも多かったです。

印象に残った歌ウマさんたち

1幕の遊郭での千代蔵の愛陽みち(104期)ちゃん)の歌がとてもお上手で印象に残りました。
8年前は歌上手な透水さらささんが歌われていました。

道行で出会う歌の人たち
村娘(羽織夕夏)…伸びやかな良い声で気持ちが良い歌声でした。8年前は愛すみれさんが歌っていました。

町娘(莉奈&愛陽)…ハーモニーの歌声がとてもきれいでした。やはり愛陽みちちゃんが特別上手なように思いました。

女の子(華純沙那 106期) 独特の空気感の中で、幼ない女の子に扮して、物悲しく綺麗な歌声で舞台の中央を横断しながら場を制しながら歌っていました。
8年前は有紗瞳ちゃんが歌っていて印象的でしたが、華純沙那ちゃんも有沙瞳ちゃんのように只者ではない感があふれていました。

節季候・壮海はるま(103期)(宿衆の一人)
「♪ちょーろやちょろやちょろりやちょろや♪」お上手でした。

飴屋…一禾あお(102期)(宿衆の一人)
和物の化粧でキリリとした男前で、動きながらの歌もとってもお上手でした。
8年前は久城あすさんが歌っていました。

古手買い…悠真 倫(専科)(宿衆の一人)
「ふる~いふる~い」雰囲気をつけての歌は秀逸でした。
ご新造さんとの掛け合いも良く、ひょうきんな風をしながらも、忠兵衛を匿ってないかと疑って眼光鋭く覗き込んだり、緩急自在な確かな演技はやはり専科さんだなと思いました。

専科3名と共に最強の布陣(By 谷先生)

8年ぶりの再演ですが、続けて出演されているのは、専科の汝鳥伶さんと、愛すみれさん妃華ゆきのさん3名です。

谷先生が「専科3名と共に最強の布陣」と仰っていましたが、重要な役を以前より上級生が演じているケースが多かったです。
それだけ作品が重厚になったような気がします。

この先品はトップスター・トップ娘役が演じ続けていたので、今回研13の和希そらくん、研6の夢白あやちゃんは比較的若いですが、全く引けを取らない熱演と上手さでした。

同じ役を演じるのは
孫右衛門(忠兵衛の父)…… 汝鳥伶(専科) お一人のみ。
出番は少しですが、一挙手一投足、秀逸な演技で、親としての悔しさや辛さが痛いほど伝わって来ました。
汝鳥さんによって、見る側も切なさ物哀しさが高められて、ここからクライマックスに向かっていきます。

前回より上級生が演じている
丹波屋八右衛門…凪七瑠海(89期)【未涼亜希(84期)】

番頭・伊兵衛/忠三郎……真那春人(92期)【帆風成海(93期)】
8年前に演じた帆風さんより1年先輩の真那さんが演じています。
主人に仕える番頭の実直さとあきんどらしさが所作や風格にあらわれていてお上手で貫禄がありました。
後半、忠兵衛の友の忠三郎として少しの出番がありますが、緊迫しているシーンに真那さんが味方として出てくることに安心感がありました。

手代・与平……諏訪 さき(99期)【月城かなと(95期)】
新公学年内で抜擢されて月城さんが初々しく演じていた役にベテランの域の諏訪さんがチャレンジされていました。
初々しさは出しにくかったと思いますが、忠兵衛に対しての与平のやるせない心の思いがしっかり伝わってきました。
道行での迫力あるソロがとても良かったです。

飛脚宿衆
6人で行動を共にしていて一緒に日本舞踊を踊るシーンが多い役ですが、専科の悠真さんが加わることで全体を締めていました。
宿衆・藤屋(古手買)……悠真倫(専科)【香綾しずる(90期)】
宿衆・丸十(傀儡師)……天月翼(95期) 【透真かずき(91期)】

廓の女将・お清……愛すみれ(95期)【舞園るり(93期)】
遣手・おたつ……羽織夕夏(100期)【杏野このみ(94期)】
愛さんも羽織さんも、廓の玄人の女としての強さと情けが滲み出ていました。

ほぼ同じ学年で演じるのは
かもん太夫……妃華ゆきの(96期)【大湖 せしる(88期)】
花魁姿が良く似合っていてあでやかで華がありました。
梅川と対称的な役としての華と存在感がとてもあって、大門をくぐり抜ける時に、花魁から町娘の歩き方に切り替えて、普通の幸せを手に入れた女性としての対比から、余計に梅川の悲恋が浮き彫りになりました。

若侍・甚内……蒼波黎也(104期)【叶ゆうり(97期)】

幇間……希翠 那音(105期)【真條まから(98期)】
最下級生ですが、幇間役では度胸があって、蜆売りの声も良かったです。

丁稚・庄介……紀城 ゆりや(105期)【永久輝せあ(97期)】
男前で女中のおまんに好かれている丁稚の方で、8年前は永久輝せあくんが演じていました。
スター路線なのだなと思いました。

比較的若い学年で演じている
妙閑(忠兵衛の義母)……千風カレン【五峰亜季(専科)】

遊女・鳴渡瀬……莉奈くるみ(103期)【透水さらさ(92期)】
遊女・千代歳……愛陽みち(104期)歌 【桃花ひな(92期)】

女房・おかね……琴羽りり(101期)【愛すみれ(95期)】
早口でセリフをしゃべっても全部聞き取れて、滑舌と声がとっても良かったです。

女中・おまん……愛羽あやね(103期)【天舞音さら(94期)】
おてもやんメイクも似合っていて、嫌みの無い突き抜けた明るさが良かったです。丁稚の三太、庄介との明るい演技がこの作品の清涼剤のような役割をになっていました。

丁稚・三太……霧乃 あさと(106期)【真地佑果(96期)】
眉をそっておてもやんメイクでイケていない生意気な丁稚役を快活に演じていて、お芝居が上手だと思いました。

飛脚宿衆
出番が多く踊り続けていて、とても難しい役ですが、下級生が見事にこなされていました。
宿衆・伊勢屋(巡礼男)……麻斗海伶(101期) 【央雅光希(91期)】
宿衆・もず屋(巡礼女→節季候)……壮海はるま(103期)【大澄れい(91期】
宿衆・角屋(節季候→巡礼女)……真友月れあ(102期)【朝風れい(90期)】
宿衆・嶋屋(飴屋)……一禾あお(102期)【久城あす(94期)】

若い学年の新人さんを抜擢したいるのは、作品の継承を目指しているのでしょうね。

今日は「ODYSSEY」に行ってきます。
また帰ったら感想を書きたいと思います。
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