OSK春の踊り初日観劇と荻田氏と翼和希くん
こんにちは、くららです。
昨日大阪松竹座でのOSK「春のおどり」の初日を観て来ました。

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創立100周年「春のおどり」

劇団創立100周年の大切な記念公演でしたが、関係者に23人のPCR検査陽性者が確認されたため、5日から13日まで中止になって、昨日やっと初日の幕があきました。(16回公演が6回公演になってしまいました)

100周年のお祝いに相応しいOSKならではの華やか光り煌めく、渾身のレビューでした。

記念公演が上演できて本当に良かったです。
OSKの未来への希望が、今回の舞台で永遠に繋がったように思いました。

トップスターの楊琳さんが最後に
「皆様、帰ってまいりました。待ち望んだ初日を迎えることができました」と晴れやかな笑顔でご挨拶をされました。

コロナのことを「コロリン」と話す、大らかで天真爛漫なスターさんです。
踊っている時の幸せそうな笑顔がとても魅力的です。

前トップで特別専科の桐生さんも特別出演されていましたが、圧倒的な存在感と包容力あって、桐生さんの温かい微笑みにも癒されます。

2022年「春のおどり」について

第一部の和物レビュー「光」

演出を山村友五郎氏(植田紳爾氏の長男)、尾上菊之丞氏と藤間勘十郎の3名が担当の異色コラボ。
それぞれの演出家の色が違っていて、セリすっぽん花道が駆使して使われていて、1時間5分があっという間に過ぎて行きました。見応えのある和物レビューでした。

和物ですが、鬘ではなく基本地毛で、和物化粧でもありませんでした。
記念公演ですが、コロナ禍なので簡易にされたのかな?と思いました。それともこのスタイルの和物がこれからのスタンダードになるのでしようか?。

歌舞伎の振付師の藤間勘十郎氏は初めてのOSK演出ということで、歌舞伎のはしごの立ち廻りが採用されていましたが、花道ではしごを立てて、その上に愛瀬さんが乗ってポーズをするという演出は、ドキドキヒヤヒヤものでした。
歌舞伎では若い男子が勇ましく支えていますが、OSKでは男役の格好をしていてもやはり女性で、元々筋肉がありません。ましてや愛瀬さんは高所恐怖症とか?あのシーンは必要だったのかな?と思いました。

それ以外はとっても良かったです。
写楽翼和希くんが主役のようなシーンが長かったのですが、花魁姿で登場した楊さんが黒燕尾の紳士に早変わりするというサプライズもあって、声を出してはいけないのに、思わず「わあっ」と声が出てしまいました。

最後、清らかで眩い月の光の中での凛とした楊さん始めとするスターさんたちに、未来に繋がる希望を感じました。

格調高く華やかで煌びやかな第一部の和物レビューでした。

洋物ショー「INFINITY」

荻田浩一氏演出による見応え満載のショーでした。
様々なものが「これでもか」と詰め込まれていますが、全然重すぎず、飽きることなく最後まで惹きこまれていきました。
各シーンの繫ぎも「わぁ」と感激するほどつくりこまれていました。

OSK日本歌劇団の100年をたどるかのような「ビバ!OSK」「アルルの女」「ジャストダンス」などの名曲の数々が散りばめられていて、フィナーレは「虹色の彼方へ」。
OSKに詳しくない私でも、古き良き時代のOSKに出会ったような気分になりました。そして昔にとどまっていないのが、タイトルが「INFINITY・無限」であることからもわかります。
未来に繋がる躍動的なOSKを感じました。

「OSKと言うとラテン!」だそうで、冒頭はラテンから始まりました。
宝塚ではラテンと言うと男役さんの見せ場が中心ですが、OSKでは男役さん娘役さんが対等で、娘役さんたちはダルマ姿で脚が大胆に出た衣装をつけていて、このあたりに宝塚との差を感じました。

最後は美しい桜満開の背景の前で、出演者全員が桜色のパラソルをもって『桜咲く国』を歌う恒例シーンで、「今年も見ることができて良かった」ととっても幸せでした。

退団者や上級生に配慮して愛のつまった温かい公演

3名のスターさんが7月の京都の公演で退団されます

公式ホームページでは、お知らせのコーナーで、退団のお知らせと共に、各スターさんの功績と魅力が愛情込めてたっぷり記されていました。

・虹架路万(2006年初舞台 男役)
・愛瀬光(2008年初舞台 男役)
・遥花ここ(2011年初舞台 娘役)

1部2部ともに餞別と思えるようなシーンが何か所もありました。
特に男役の虹架さん・愛瀬さんには、衣装でも差別化されていたりして、スターにそんなに詳しくない私でも、「退団されるお二人だな」とすぐにわかるシーンが何か所もありました。

そして上級生にもそれぞれ魅せ場があって、「一人ひとりのスターを大事にしている」手厚さを感じました。

ブラボー荻田先生!

荻田先生は、2008年に宝塚歌劇団を退職され、外部で活躍されています。
今回は「春のおどり」は、3回目の登板です。
昨年の2回目を見た時に、宝塚と外部で培われてきたレビュー演出の才能が、爆発的に発揮されていることを感じて、凄いなと思ったものでした。
今回は、それを更にうわまって、もうレビューの天才!としか言葉が出ません。

コロナ禍で100周年記念公演と言えども予算がかけられなかったと思います。
その低予算のシンプルさの中で、創意工夫されていて、松竹座の舞台機構を上手に利用されてのフォーメーションが見事でした!
お洒落なさくらの舞台装置が効果的につかわれていて、また照明の使い方も天才的。
“さくら”をテーマにした衣装の数々も、黒にピンクが映えて素晴らしかったです。

宝塚時代から、荻田先生は踊れる人にはダンスシーン、歌える人にはソロと、適材適所に活躍の場を振られていましたが、今回もそれが顕著でした。
外部の先生なのに演者の魅力を熟知されているなと思います。

場面と場面の繋ぎもすごく配慮されていて、そこも「見せ場」になるのがスゴイです。

今回の「春のおどり」プログラムの座談会で、荻田先生は『伝統を一度疑ってみる』という表現をよく使われていると、スターさんが語っていました。
荻田先生は、そういう言葉を使いながらも、オマージュしながらOSKの歴史をたどって、現在、未来に繋がる素晴らしいレビューに仕上げていらっしゃいました。
そのあたりの新旧を上手に散りばめて処理できるセンスが素晴らしいと思います。

荻田浩一先生は、「OSKらしさは何か」を常に考え追求していらっしゃるそうです。
宝塚時代は「オギー色」と言いましょうか、独特のノスタルジックな世界観をお持ちのように感じていました。
劇団を離れて客観的にレビューをご覧になるようになって、「OSKの春のおどり」の演出にあたっては、そういう固定観念的なものが取り払われ、レビューの原点に立っていらっしゃるように私は感じています。

宝塚時代の荻田先生の作品しかご存知ない方は、今年の「春のおどり」を見たら、「これが荻田先生の作品?」と思うのでは?

荻田先生とOSKとの付き合いは長くなっていますが、未だに「OSKさん」とお客さんのような呼び方をされています。
荻田先生は、常にOSKらしさを考え追求されているようです。そう言う言葉の陰には、育って来た宝塚色との対比を感じます。まだ宝塚に思いを残していらっしゃる?と感じたり。(私が宝塚ファンだからかも)

宝塚がすみれで、OSKが桜です。
そのため荻田先生の「春のおどり」は、桜がふんだんにモチーフに使われています。
そのに傾注されるのは、すみれへの思いがまだあるからのような。(私の勝手な憶測です)

現在の宝塚の演出家の先生たち
宝塚の座付き演出家の方々は、作風がワンパターン化していて、時にそこから脱出しようされますが、空回りになってしまって、なかなかバーンと新しいものを打ち出せない状態の先生が多いように感じています。
「井の中の蛙」という表現はわるいですが、同じ場所だとどうしてもマンネリ化してしまうのも仕方ないでしょう。

豪華な衣装と舞台装置
そして「宝塚らしさ」というものは、豪華な衣装と舞台装置などで表現されています。
ファンの私も、そこに宝塚らしさを感じています。

荻田先生は、シンプルな中で「1時間の洋物ショー」をしっかり魅せてくれています。
そこには、豪華な衣装と舞台装置などを削ぎ落とした本物があります。

星組の御園座の「王家に捧ぐ歌」で、木村先生が豪華な衣装や舞台装置を省いて、作品力と出演者の力で勝負しようとされています。
作品と礼真琴くんをはじめとする役者によって、大成功となるでしょう。

「豪華な衣装と舞台装置こそ宝塚」なのですが、そこに頼りっぱなしにせず、作品力をあげていくことを演出家の先生たちが原点に立ち戻って考えていく時でもあるかな?と思います。

宝塚を卒業して外部に出られた荻田先生は、作品力で勝負するレビュー作家になられました。

もし荻田先生が宝塚で再びショーの演出をされたら、かつて同じ釜の飯を食っていた宝塚の演出家の先生たちの大きな刺激になるような気がします。

何よりも私は、荻田先生が宝塚でどんなレビューを魅せてくださるか、が楽しみです。

荻田先生が宝塚でレビュー作品を手掛けられるなんてことは、難しいでしょうか?

次期トップスタは翼和希さん?

春のおどり松竹座「春のおどり」のポスターを見てください。
真ん中にトップスターの楊琳さんが立っていらして、左側に元トップスターで昨年特別専科に異動された桐生麻耶さんが座っていらっしゃいます。
そして右側には、翼和希くんが座っています。
このポスターを見た時に、「次期トップスターは翼和希くんということ?」と思いました。

イープラスのSPICEで、「OSK Star Keisho」という連載がはじまりました。
第1回は桐生麻耶さん。
第2回は楊琳さん。
そして次回は翼くんと予告がありました。
「やはりね」と思っていました。

そして昨日「春のおどり」を見て、もうそのことは間違いない確信になりました。
1部でも2部でも翼くんはトップスターに次ぐ活躍をしていました。
第一部では「写楽」を演じていて、とっても一人の出番が長かったです。

第二部でも、男役メンバーが揃っている時に「翼くんいないな」と思ったら、その後のシーンで花道から歌いながら出てきました。
プログラムを見たら、年功序列で掲載されているので、翼君の抜擢はわかりませんが、舞台を見れば一目瞭然です。
最後の手を挙げてのご挨拶も、トップ娘役二人の前だったように記憶しています。(間違っていたらごめんなさい)

翼和希くんについて

7月に虹架路万さんと愛瀬光さんが退団されるので、男役の中では華月奏さんに続く2番目になります。

トップの楊琳さんが、2007年初舞台の 83期。
翼和希くんは、2013年初舞台の89期。
その差は6年です。
2013年が初舞台は、宝塚では99期生と同じで、4月から研10になります。

トップスターにははやいので、まだまだ楊琳さんがトップスターとして活躍されると思いますが、既に次が決まっている、というのもわかりやすくて良いでしょう。

楊琳さんは宝塚受験で合格しなかったので、OSKを目指されたのは有名な話ですが、翼くんも宝塚受験をされたようです。宝塚受験スクールの先生のブログに翼くんのお名前が良く出てきていました。

アイドル的な華のある美形
ダンスも上手。
そして歌が圧倒的に上手。
どんな曲でも素晴らしく聞かせてくれます。テクニックも出来上がっています。
OSKの中で一番歌が上手かも。

宝塚の中でも、礼真琴さんに近い歌唱力だと思います。
「翼和希」ということで「和希そら」くんと同じくらいの歌唱力は絶対にあります。

歌い継ぎで、翼くんが歌うと、その前後の人の歌のアラが目立ってしまいます。

トップスターの楊琳さんはダンスの人なので、ショーのはじめ楊琳さんの後、翼くんが歌い継いだので、特に感じました。

3年前の「春のおどり」の時に、近くにOSKは初めての方がいて、終演後に「あの格好良い人だれ?」と聞かれていました。
ベテランのファンの方は、迷うことなく「つばさくん」とこたえていました。

その他大勢の中にいても、ピンスポットが当たったような光を放っているスターさんです。
そして歌が超上手なのですから、これからのトップスターを約束されてもおかしくないと思います。

宝塚の試験官は、こんな逸材をどうして逃してしまったのでしょう。モッタイナイですね。
でもOSKに行けば見えるので、OSKで楽しみたいと思います。

公演プログラム「若手3人対談コーナー」
翼和希くんと共に、椿りょうくん、唯城ありすちゃんが対談していました。
若手の唯城ありすちゃんも舞台で抜擢されていました。
歌もダンスもお得意のようです。

OSKでは、この3人が次世代を担うスターなのでしょう。

OSKと関西フィルハーモニー管弦楽団が夢の共演

興味深いお知らせがありました。
100年前、OSK日本歌劇団の前身である松竹楽劇部は、大阪市中央公会堂から始まったそう。
新たな時代の門出を祝うコンサートとして、杵屋東成・杵屋勝禄、関西フィルハーモニー管弦楽団との夢の共演が実現するようです。
9月11日(日)16:00
9月12日(月)13:00/16:00
【場所】大阪市中央公会堂大集会室
【出演者】劇団員全員

今回「春のおどり」は、松竹座で6公演、その後3月25日から新橋演舞場で6公演を予定。
京都・南座で、7月9日から『陰陽師』と今回の2部の洋物ショー『INFINITY』が“レビューin Kyoto”として上演予定です。

宝塚の舞台も素敵ですが、今年の「春のおどり」は、100周年の記念公演だけあって、特別に感動しました。おススメです。

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