OSKと宝塚『春のおどり』編
こんにちは、くららです。
今日は、先日観劇したOSK日本歌劇団『春のおどり』について、書いていきます。
宝塚ファンの方には、「OSK」について興味の無い方もいらっしゃると思うので、宝塚と関連付けながら書いていきますね!

OSK『春のおどり』は、道頓堀の松竹座の「春の風物詩」のようになっている公演です。
OSKの総力を結集して『OSKの一大イベント公演』と言って感じで行われます。
1幕が和物レビュー1時間、2幕が洋物レビュー1時間、幕間休憩が35分間。両方ともショー作品であるところがOSKらしさです。

昨年の4月の『春のおどり』は、コロナによって延期になってしまって、9か月遅れで1月28日にやっと初日の幕があがりました。

現在宝塚で上演中の雪組公演は、芝居、ショーともに、頭をフル回転しながら観劇してしまいますが、OSKの『春のおどり』は、誰にもわかりやすく、親しみやすく、肩の力を抜いて楽しむことができました。

昔の宝塚の作品で味わっていたような「古き良き宝塚」が感じられるような、原点復帰のレビュー作品だと思いました。
もちろんOSK独自の良さにも満ちていました。

とても洗練されていました。9か月の休止期間に、練り直しされたからなのかな?本当に1幕も2幕も楽しめました。

『春のおどり』というタイトルと宝塚

春のおどり』というタイトルは、宝塚でも春の初舞台生披露の公演で使われることが良くありました。
しかし、2003年の望海風斗さんら89期生の初舞台「花の宝塚風土記 -春の踊り-」を最後に使用されていません。

2002年に近鉄の傘下を外されて苦境にたっていましたが、2004年4月「NewOSK日本歌劇団」として旗揚げして、66年ぶりに大阪松竹座で「レビュー 春のおどり」が上演されました。

2004年に松竹座で「レビュー 春のおどり」が行われるようになったから、宝塚は「春の踊り」というタイトルを使用しなくなったのだと思います。
同じ関西の劇団として、旗揚げして新たに頑張っていこうとしている「OSK」を尊重したのでしょう。
「良い話」ですよね。(他に事情があったのかもしれませんが、私は美談として解釈しました)

横澤英雄氏は、「宝塚のレビュー演出家」ですが、定年退職後、「OSKの復活」のために尽力され、レビュー作品を多く演出されていました。
宝塚に所属されていた頃も、OSKの作品を手掛けられていました。

他にも、「OSK」の危機的状況の頃、宝塚が協力していた話も聞きます。

昔宝塚の演出家だった荻田浩一氏が洋物レビューを演出

2幕の洋物レビュー「Victoria!」は、荻田浩一氏が「作・演出」されていました。
オールド宝塚ファンには懐かしいお名前で、ファンからは「おぎー」と言った愛称で呼ばれていましたね。
2008年に宝塚歌劇団を退職され、外部で活躍されています。

宝塚では、お芝居よりショーで活躍されていたように思います。
「レビュー春のおどり」の荻田氏の演出は、今回が2回目です。
1回目の時は、OSKに慣れていらっしゃらなかったように思いますが、OSKとのお仕事を沢山されてからの2回目の今回は大絶賛されています。

宝塚で培われてきた荻田氏のレビュー作品の才能が、今回の「春のおどり」で、爆発的に発揮されているように感じました。
松竹座の舞台機構を上手に利用されてのフォーメーションが見事!
舞台装置、衣装、振付、照明、演者の魅力、全てを完璧に把握しての魅せ方が素晴らしかったです。

特に、緑の枠のセットがセリから少しずつ上がって来て、そこにピンクの衣装の美男美女のスターたちが立っていて、最後は3階建ての豪華なセットにピンクのスターたちがあふれていて、まさに桜の花が満開!という華やかさに、ワクワクしました。

総踊りで幕が降りてから、再び幕が上がり、フィナーレとなる高揚感も最高でした。
ビバ!OSK」という近鉄時代の懐かしい曲も披露されました。これは先に説明した横澤英雄氏の作詞だそう。

最新の「Every Little Star(エブリリトルスター)」も、荻田浩一氏が手がける新作レビューショー
1月9日からRevue Cafeで上演されていて、 ロングラン上演される予定です。
3月21日までは、若手の椿りょう、穂香めぐみ、壱弥ゆう、琴海沙羅の4人が出演。そのためこの4人は、「春のおどり」には出演していません。
それ以降も出演者を変更して上演が続けられる予定。キャスト1人ひとりを、それぞれ銀河の星々に例えて、バラード、サンバ、日本の歌謡曲などをモチーフにしたオリジナル楽曲のメドレーが聞けるよう。

これからOSKは、荻田氏のレビューが主流になるような予感。いやそうなって欲しい!

トップスター桐生麻耶さんのトップラスト公演

この公演はトップスター桐生麻耶さんトップとしてラストステージです。
桐生さんは「唯一無二の男役」と称されていて、175cmの長身で大柄で、歌声も踊りもダイナミックな方。
そして、ユーモアにあふれた軽妙な愛らしさも魅力的で、正統的な役も、悪役も可愛い丁稚役もできる唯一無二の独特の個性
その個性が最大限に活かされたステージでした。

桐生さんは、劇団解散の危機を乗り越え、再結成の「NewOSK日本歌劇団」の立ち上げメンバーとして劇団を牽引してきた方でもあります。大学生を経験して初舞台を踏んで25年ということなので、お若くはありませんが、舞台の上では、誰よりもはちきれていらっしゃいます。

2018年8月1日付でトップスターに就任され、2019年の「春のおどり」がトップスターお披露目公演で、その翌年の「春のおどり」がトップスターラスト公演というのは、あまりに短すぎるトップ在任期間でしたが、「特別専科」に異動されて、その個性を活かして、脇で固めて魅せてくださる予定のようです。
(コロナによってトップ交代は、宝塚と同じように、8か月延期されました。)

ショーシーンで、微笑ましいトップ交代シーンだと感じたのは、舞台後方で、桐生さんが次期トップの楊琳さんに耳打ちして、何かを渡すような仕草をして、楊さんは受け取ります。
そして楊さんは晴れやかな笑顔で前に向かって歩きながら、上着の内ポケットに、大切そうに仕舞いこむ仕草をしていました。
桐生さんは、楊さんに渡したものは、何だったのでしょう?

日本物レビュー「ツクヨミ~the moon~」

尾上菊之丞氏が、構成・演出・振付をされていて、「チョンパ」で始まる和物レビューですが、お芝居仕立てにもなっていて、月をテーマに日本の3つの時代の主役を桐生さんが演じられました。

・飛鳥時代の「悪役」蘇我入鹿。
・戦国時代の「独眼竜」伊達政宗。
・江戸時代の「愛されキャラ」堀部安兵衛。

次期トップの楊琳さんは、水先案内人のような「ヒトヒラ」の通し役と、出雲阿国役で女役。
顔立ちのはっきりした美人なので、出雲阿国役の女役も、目を見張るほど綺麗でした。
伊達政宗と愛憎交えて決闘するようなシーンもあり、二人のラブシーン的なドキッとするシーンも。
ここが「トップスター交代劇」の見せ場のようでした。

日本ものですが、衣装も音楽も振付も「和洋折衷」なロックテイストな感じで、新しい感覚も満載でした。

江戸時代の「高田馬場」では、出演者全員に見せ場があり、コメディタッチな演出が最高でした。
真ん中がコメディエンヌの桐生さんなので、周りが何をやっても面白くて、笑いが尽きない!

演出の尾上菊之丞氏は、OSKのお仕事をされるようになってまだ4年余りということですが、「座付き演出家」のように、桐生さんをはじめ、それぞれの個性を引き出し、さらに和物レビューのエッセンスが散りばめられたステキな作品でした。

コロナ対策を万全にしていたOSK

座席券を販売する時点から、ディスタンスに配慮され、前後左右に空席があくよう50%以下の配席だったので、チケットの払い戻し制度は用意されていませんでした。
「花道」はせり上がりで使うだけで、使用されず、下手の舞台と客席の際の狭い場所から、登場されていました。

私は花道のせり上がりに近い席が「至近距離でスターを見れる」ので、大好きでそこを選ぶのですが、今回も「近すぎるスター」にトキメキ続けました。
ただし今回は感染予防のため、花道に面した列や、せり上がりのすぐ近くは全部空席設定で、本当にスターが近すぎる席には座れませんでしたが。
OSKのスターさんのスラックスは、プレスしたてのように「折り目」がピシっと入っています。これがOSKの男役さんの衣装のこだわりなのかなと思っています。

ディスタンスを保つために、デュエットのリフトが無かったことは、残念でした。
OSKの方々のダンスはダイナミックで迫力があって、リフトも軽々とダイナミックにまわされることに、「スゴイな!」といつも感動します。
今回は出演者同志のディスタンスを配慮したためか、リフトは封印されていました。
でもダイナミックなダンスは健在でした。ラインダンスも、宝塚とは脚の上げ方のタイミングが違うようで、迫力があります。

舞台全体でも、かなりディスタンスを配慮していたように感じました。

OSKも公演期間が縮小で残念

宝塚の別箱公演の上演期間がとても短くなっていますが、OSKも同じで、今回の『春のおどり』は、残念なことに上演期間がとても短いです。

松竹座で、1月28日(木)~1月31日(日)まで、8公演
新橋演舞場で、3月26日(金)~3月28日(日)まで、6公演

座席数を50%以下にして、東西合わせて、たったの14回しか上演しないのは、「本当に勿体ない‼︎」の一言につきます。
通えるものなら、何度も見続けたい素晴らしい公演でしたが、残念です。

14公演では、全く採算がとれないと思うのですが、「OSKの経済面は大丈夫?」と心配になりました。
宝塚歌劇団以上に、経済面のひっ迫度合いが厳しいのでは?と心配になります。

楊琳さんのトップお披露目となる「レビュー夏のおどり」は、
松竹座で6月12日(土)~20日(日)まで、9日間上演されることが、公表されました。
多分その後の、新橋演舞場での公演も長くなるかな?と思います。

随分長くなってしまいましたが、2021年の「OSKの春のおどり」は、とても楽しめる作品でした。
宝塚が好きな方は、「OSKの春のおどり」もきっと好きになられるのでは?
私は「桜の会」という公式ファンクラブに入っています。
スター直筆のはがきが送られてきたり、特別なグッズがもらえたり、一般販売より1日はやくチケットが購入できたり、「宝塚友の会」に比べて、会員数が圧倒的に少ないので、特典が多いです。

宝塚とOSKのスターの序列で面白い発見があったので、この続きは次回書いていきたいと思います。

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