こんにちは、くららです。
今日は宝塚バウホールでの「マノン」の千秋楽でした。
昨日は配信で「マノン」を見ました。
出演者たちの熱演が素晴らしかったですが、「良い作品を観れた!」と感動したかと言うと、そうでもありませんでした。
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「マノン」という作品が、愛月・有沙主演に合っていたのかな?という思いと、「なぜ今マノンを再演?」という思いが残りました。
実際に劇場に足を運んでいたら、熱量のこもった演技に心が動かされたと思いますが、画面を通してなので、比較的客観的に見てしまったので、私の偏った思いが沸いてきたとも思います。
出演者についての感想
宝塚版では、情熱の国スペインを舞台に移しています。
愛月ひかるさんのロドリゴについて
幕開きは舞台の真ん中に愛月ひかるさんが後ろ姿で立っていて、情熱的なスパニッシュダンスから始まりました。
キレのあるダンスとゴールドに輝く衣装が映え、立ち姿が美しい。
ため息が出るほど格好良いところから始まりました。
恋におぼれ情熱のままに突っ走る若きピュアな青年を愛月さんは、好演されていました!
「色濃い専科」というか、悪役の多かった愛ちゃんですが、『エル・アルコン-鷹-』のルミナス・レッドに続いて、爽やかな二枚目の白い役です。
年齢設定は16、17歳ぐらいの、大人になりかけの神学生。レッドより更に若い役です。
体格もよく、貫禄があって、すっかり大人の男役が定着しているので、十代の役はかなりのチャレンジだったと思います。
愛ちゃんも、「はつらつとした十代の感じを出すのに、エネルギーがいる」と「ナウオン」で話されていました。
しかも、無分別に一途に恋におぼれて、破滅していく役
ロドリゴは、マノンにおぼれて賭博にまで手を染め、どんどん道を踏み外していきます。
愛ちゃん自身、「歌劇7月号」の中村先生との鼎談でも、「一見ちょっと理解しがたい部分があり」と話されたり
「ナウオン」でも、綺城ひか理さんとのお話の中で、「私本人としては(愛より)友情をとると思うんですけど」とか
「お客様にもなんでそんな女にいくのさ、と感じる方もいらっしゃると思いますし、私も最初見た時は、イヤイヤと思いましたけれども、ラストまで見ていただいたら、その彼の生き方が清々しいものに映ったら、正解なのじゃないかなぁと思います」と話されていました。
私の感想は、愛ちゃんが最初に見た時の感想のままでした。途中からロドリゴに共感できなくなりました。
愛ちゃんの渾身の演技を実際に観劇した方々は絶賛されていたので、映像で表面的な部分しか見れていない私の感想です。
有沙瞳ちゃんのマノンについて
ヒロイン経験も豊富で、歌や演技の安定感も抜群で、「男を狂わせる魔性の女」はピッタリでした。
しかし、無邪気で世間知らずの16、17歳ぐらいのお嬢様という設定は、演技力に長けていても、少々無理があったように感じました。
クセのある役がピッタリというイメージが私に根付いているからかもしれませんが、マノンのピュアさ、屈託のなさが、映像を見ている私にはあまり感じられませんでした。
劇場に足を運んでいないので、私の抱いている先入観が邪魔をしたのでしょう。
天飛華音くんのレスコーについて
今回、重要な役・マノンの兄レスコーに抜擢された天飛華音くん(102期)。最近お顔が締まってきて「2枚目」が似合うようになってきました。
『エル・アルコン-鷹-』のキャプテンブラックに続いて、9期先輩の愛月さんに対して、兄貴風を吹かす、年齢設定も上の役です。
「ナウオン」でも、この役に苦闘したことが語られていましたが、芝居を動かしていくマノンの兄役は、なかなかの重責だったことでしょう。
観劇された方の感想では、初日から日ごとに役に迫力が増していったそうで、落ち着いたセリフ回しと、安定した歌唱力は流石だと思いました。声が魅力的です。
はじめは、ロドリゴにたかり、賭博の道に誘いこむワルいやつでしかありませんでしたが、次第にロドリゴに心を動かされて、最後は身を挺してまで2人の最後を切り開こうと変化していきました。そのあたりとても好演されていました。
しかし、愛月ひかるさん主演の作品で、年上役が9期後輩の天飛華音くんという配役には、無理があったように感じました。
綺城ひか理さんのミゲルについて
友人のロドリゴを常に心配し、力になろうとする誠実で優しい青年。実直な抑えた演技に心を打たれましたが、役不足に感じたので、フィナーレのショーでは歌って踊って思い切り弾けている姿が良かったです。
ミゲルの歌は今回新たに作られたそうで、やはり歌がお上手で、聞きごたえがありました。
他の出演者について
朝水りょう君(96期)は、「アルジェの男」の総督・ボランジュ役で、“イケオジ”として、話題をかっさらっていましたが、今回のアルフォンゾ公爵も、ドシッとした渋い大人の男なイケオジが素敵でした。とても存在感があります。
ロドリゴの温かい家族たち
父親役の大輝真琴さんは、毅然とした態度で息子に接しながらも、息子への愛が伝わってきました。
母親役の紫月音寧さんは、息子を心から心配して母性愛にあふれていて、気品のある好演でした。
兄ホアン役の桃堂純さんは、この公演で退団されますが、177センチの長身にロングコートがとてもお似合いで、台詞も出番も多めで、有終の美を飾られていました。
この温かい家族や友人のミゲルもいるのに、「どうして破滅の方向へいくの?」と思わざるをえませんでした。
フィナーレで救われる
まず、綺城さんがさわやかに歌い踊って、次にスパニッシュの群舞となり、愛月さんを中心に「星組の熱さ」が打ち出されて、最後は愛月さんと有沙さんのロマンチックなデュエットダンスで、宝塚らしさに魅了されて幕となりました。宝塚は「フィナーレ」があれば、どんなストーリーであっても昇華されます。天飛華音くんのキレキレのダンスもやはら素晴らしく、目がいきました。
新人公演の代わり的配役?と思える部分
天飛華音くん(102期)は、重要な役・マノンの兄レスコーに抜擢されていました。
華音くんは好演し、日々の進化も凄いと評判でしたが、主演の愛ちゃんより9期下の華音くんに、年上設定の2番手の役を任せるのはどうなのかな?と思いました。
初演はロドリゴ役の瀬奈さんが、研10。
レスコー役の蘭寿さんは研6で、現在の天飛華音くんと同じ学年でした。
初演でも4学年の差がありましたが、今回は9学年の差です。
そして瀬奈じゅんさんのバウホール初主演作でした。(東上しています。はしていません。)間違っていました。申し訳ありません。
研15の愛月さんにとって今回の作品は、バウホール作品でもありますが、東上2回目の作品です。
バウ・東上公演は、チケットの入手も難しく、ほぼ観客は宝塚ファンでしょう。
そのため、作品の出来上がりより、期待の新人の育成を重視しているのかな?と思ってしまいました。
天飛華音くんは、初日から日々進化していて、迫力も増しているということなので、東京公演では更に良くなって、学年差の違和感は無くなっているかもしれません。
雪組「ほんものの魔法使」の華世京くん。(106期)
星組「マノン」の天飛華音くん。(102期)
花組 「銀ちゃんの恋」の星空美咲ちゃん。(105期)
雪組の華世京くんの場合は、新人の初々しさや緊張感が、ニニアン役とあいまって良い味を醸し出していました。舞台度胸が飛びぬけていました。
星組の天飛華音くんも、主演の愛月さんと9期の差が感じられない熱演で頑張っています。
現在お稽古中の花組の星空美咲ちゃんは、舞台経験が浅いので、「落ち目の美人女優の小夏」にチャレンジすることは荷が重いと思いますが、頑張って欲しいと思います。
抜擢された新人さんたちは、 「火事場の馬鹿力」のような、心理的な限界を超えた、極限状態に追いつめられたようなところで、持っている力を出し切って頑張っているのかな?と思っています。
そういう力があるからこそ、抜擢されているのでしょう。
最初から完成された舞台でなくても、日々進化していくことに期待しての抜擢なのかな?
「マノン」は共感できる作品かな?
本心で生きているロドリゴですが、一生懸命生きていくことが、賭博で稼ぐことに繋がるのが、なんとも。働いたことが無いので、それしか選択肢が無いのかもしれませんが、「働けよ!」と思わず言ってしまいました。
コロナ禍の現在は、特に「心のままに生きれない」時です。
みんな何かしら我慢の積み重ねの中で生きています。
「マノン」は、「本心で生きてるよ」という訴えのメッセージが込められた作品とのこと。
みんなが我慢を強いられている時だからこそ、「本心で一途に生きている姿」に心が打たれるのか?
私は、逆なように感じています。
この作品が今、求められているものなのか?共感できるものなのか?
なんで、「マノン」を、この時代に再演したのだろう?
愛月ひかる&有沙瞳という二人なら、もっとふさわしい過去の作品がいくらでもあっただろうと、勝手に思ってしまいます。愛ちゃんの真骨頂を味わえる役は、ロドリゴではないような。
私は配信で見ただけで、実際に舞台を観ていません。本当の舞台を観たなら、愛月ひかるさんをはじめ皆さんの熱のこもった舞台を通して、感じ取るものは全く違ったかもしれません。
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