こんにちは、くららです。
昨日星組公演『シラノ・ド・ベルジュラック』の初日を観て来ました。
前日に大阪府民に対して医療体制がひっ迫していることから「不要不急の外出を控えるよう」呼びかけていました。
が、初日の会場はほぼ満席状態でした。(観劇を中止した方もいらっしゃるかもしれません)
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「不朽の名作」といわれるロマンチックな悲喜劇に、宝塚らしいアレンジが加えられたミュージカルでした。
さらに「ザ宝塚」の素敵な衣装で彩られていて、衣装は有村淳先生、センスが流石でした!
見たことのある衣装もいたるところで使われていて懐かしさも味わえました。
クスクスという笑いどころとジーンと切なくなる感動を味わえるまさに「悲喜劇」。
流れる音楽も綺麗で素晴らしく、とても素敵な良作でした。
配役の感想
シラノ・ド・ベルジュラック……轟 悠
轟さんのシラノのつけ鼻は、特殊メイクの専門の方が15分かけていらっしゃるそうです。
ポスター通りの鼻筋の通った高い鼻のシラノなので、格好良いだけで、「醜くい」というイメージは皆無です。
プログラムの裏表紙には、哀愁漂うシラノ全身が写っていて、やはり「素敵なおじさま」。(とても魅力的なショットです)
外部の吉田鋼太郎さんや鹿賀丈史さんが演じていシラノは、存在感のありすぎる大きな付け鼻でしたが、美を魅せる宝塚では、この鼻が限界なのでしょう。
舞台では、轟さんの押し出しのある圧倒的な演技力と存在感と迫力で、つけ鼻が醜くなくても、シラノという人物が見事に演じられていました。
シラノは、剣の腕前と詩の才能を持つ、正義感にあふれる文武両道の騎士。
しかし生まれ持った大きな鼻がコンプレックスで、想いを寄せる従妹のロクサアヌへの恋心をじっと胸の奥に押し隠し、生涯見返りを求めることなく純粋に愛し続けていく。
シラノは、出ずっぱりで膨大なセリフの量で、歌もかなりあって、ダンスも。
さらに「剣豪」なので、殺陣シーンも数か所あり、舞台上でも動き回っています。
「熱い若い星組生たち」の真ん中で、轟シラノは堂々と真ん中をつとめられていました。
美貌においても体力においても、轟さんには「年齢の限界」というものが無いようです。ただ、声だけは、少しだけ。
見ているうちに、誰もがシラノを愛し、涙し、応援したくなっていく魅力的な人物でした。
轟さんの「当たり役」がまた一つ増えたように思いました。
宝塚の出版物などでは、第一線を退かれようとされていますが、舞台においては轟さん主演の別箱公演を今まで通り続けて下さることを、切望します。
クリスチャン……瀬央 ゆりあ
長髪の金髪をなびかせた、「オスカル」のような容姿端麗な青年。しかし口下手で文才がない。
最初に登場して、その美男子ぶりを印象付けてくれます。台本の期待を裏切らない格好良さです。
「寝顔まで色男ときてやがる」と周りに言われる中、舞台の真ん中で美男子の寝顔を見せるシーンもありました。
美男子だけが取り柄とみえながらも、クリスチャンも純粋な心の持ち主。
クリスチャンの純朴さが、このお話を深めてくれます。その難しい役目も十分に担えていたように感じました。
ロクサアヌ……小桜 ほのか
美貌のヒロインを優美に芝居心を生かして演じていました。
ソロ歌唱が圧巻の素晴らしさ。声も美しく、所作もきれい。
ただビジュアルが、今ひとつヒロイン向きなのかどうか…。
その他配役
ラグノオ……極美 慎
ソロナンバーの見せ場があって、歌もなかなか良かったです。
シラノの友人役なので、出番が多く、頼もしい存在になっていました。
華やかな存在感が、作品に弾みをつけています。
ド・ギッシュ伯爵……天寿 光希
悪の匂いを漂わせる悪役風ながらも、隠せない滑稽さに思わず笑ってしまう。それが「ドクトル・ジバゴ」のコマロフスキーと違うところ。
2幕では1幕の悪さを回収した良い人に。
芝居上手だと思いますが、演技に特徴があって「ワンパターン」になりがちなところが、少し気になりました。
リニエール……朝水 りょう
詩人で酔っぱらいの軽妙な役どころが合っていて、歌声も久しぶりに聞けました。
物売り娘……華雪 りら
短いシーンですが、轟さんと1対1のシーンも。
星蘭ひとみちゃんの後を継ぐ「美貌の娘役」というと、やはり華雪りらちゃん。華があります。
モンフルウリイ役とガスコン青年隊の役の2役をやっていた碧海さりおくんは、やはり目立っていました。
ガスコン青年隊の希沙薫くんも。
ふたりは今度「ロミオとジュリエット」で「愛」を演じます。
下級生一人一人まで、短い歌唱や見せ場がありました。みんなとてもイキイキしていました。
フィナーレがある!
涙でシンミリして幕が降りたところで、ミラーボールが回って光に照らされて、幕が上がりフィナーレがはじまりました。
瀬央ゆりあくんがキラキラした青色の衣装で歌唱指導。(1幕冒頭と同じ歌だけど、アレンジが全然違う)
月組公演 『All for One』の衣装をつけたガスコン青年隊を思わせる男役さんたちの群舞。
真ん中はキラキラの瀬央さん。
星組生のエネルギッシュさが、ズトーンと伝わってきます。
この熱さの他の組との違いは、真ん中に礼真琴くんがいるか、いないかは関係ないよう。
そして、一人だけ真ん中でキラキラ光り輝いている瀬央さんには、紅ゆずるさん風味が感じられました。
轟さんと小桜さんのデュエットダンス
長髪の轟さんと、髪をおろした小桜ちゃんは真っ白の衣装。ワルツで小桜ちゃんがクルクルまわります。
最後は、小桜ちゃんの手の甲に轟さんが口づけ。
振付は全編平澤先生。
轟さんのデュエットダンスは、長らく見ていない気がします。
終わりに
轟さんの主演の舞台では、通常「フィナーレ」がつきません。
(コメディの 『パパ・アイ・ラブ・ユー』では、病院の職員たちのクリスマスの余興といった感じのフィナーレはついていましたが)
コロナ禍なので、宝塚ファンに「宝塚」をより楽しめるように、フィナーレをつけて下さったのかな?と思いました。
劇中の2幕で、ロクサアヌがラグノオを伴って、敵中を突破して「ガスコーニュ青年隊の場」に食料を積んで陣中にやってくるシーンがあります。
戦場を通ってくるので、外部の公演では、ロクサアヌは戦闘風の衣装を着ていました。
しかし宝塚では、ドレス姿のままでした。ロクサアヌの腰元もドレスでした。
このあたりが、リアリティを越えた「宝塚ならでは」。
演出の大野先生は、あえてそういう作り方をされるような思いがしました。
公演プログラムの大野先生のメッセージに、昨日書いたブログの記事に通じる面白いものがありました。
コロナで、「とうとう失業か」とも思われたそうです。
しかし『シラノ・ド・ベルジュラック』の原作の初演は、コレラとインフルエンザの欧州流行に挟まれた束の間の小康時に行われ、
本物のシラノが活躍していた時代(17世紀)は、ペストが流行していた。
そのような時を通っても、現在『シラノ・ド・ベルジュラック』が上演できるのは、困難に打ち克ち、演劇や文化を繋ぎ続けてくださった方がいたからこそ。
宝塚歌劇団も、戦争をも乗り越えてきた劇団。
コロナ禍の逆風にさらされている中、対策を講じて何とか上演を続けていこうと、不断の努力を続けている劇団の姿勢に、敬意を抱かずにはいられず、その劇団の一員であることを、誇りに思われたそうです。
コロナ禍での、宝塚の不屈な前向きな姿勢は、本当にスゴイことだなと、大野先生のメッセージを読んでも思いました。
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