宙組「FLYING SAPA」感想
こんにちは、くららです。
花組の公演中止は、とても心が痛い残念なことでした。
予定通り6日から公演が再開され、新人公演もいつか開催されますように。
そしてみなさんのご健康を心よりお祈りします。

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昨日は宙組の「FLYING SAPA」を観劇してきました。
今朝のスカステニュースで初日映像が流されていました。
登場人物の正体や謎を徐々に舞台を観ながら解明していくことを楽しむ作品なので、「ネタバレ禁止」とか。
ネタバレしないよう書きたいと思います。わかりにくかったら、ごめんなさい。

見れば見るほど味わえる作品

観終わった後の感想は、「疲れた~!でも面白かった!」
知らない世界観のなか、話がテンポよく思いもしない内容でドンドン進んでいくので、それを追いながら理解するだけで、観客側の頭もフル回転です。
「巻き戻してもう1度聞かせて!見せて!」というシーンも数多くありました。

水曜日にもう1度観劇予定なので、そこで補完しようと楽しみにしています。
見れば見る程面白くなる作品だと思います。

上質なメッセージ性の高いチャレンジ意欲作

宝塚の小劇場作品は、社会に対しての問いかけ等、メッセージ性のある作品が時々上演されます。
今回の作品には、上田久美子先生の思いがいろいろと込められているように感じました。

私が受け止めたメッセージ

・個人情報が大手組織に集約されそれを気にもしていない「情報化社会」の人々への警笛
・社会のあり方 人間、共生、困難への挑戦
今の世の中に対しての社会風刺的なものを感じました。
星組で上演中の『眩耀の谷』のテーマに通じるような部分も。

世界中の全く異質な人々と共に人類全体の問題に向かっていくことは、ますます難しくなっていきそうです。」と上田先生は公演プログラムに記されていました。
コロナ禍でさらに人類の課題は山積みです。

人との直接の接触が困難な中、今はデジタル化が代替手段になっています。
そのことは、今回の上田先生の情報化社会に対しての警笛と少しずれますが、人との接触を避けて「デジタル化に移行」し続けていることも、今後弊害は出てくるでしょう。
今の時点では、デジタル化に頼るしかありません。

一流の制作スタッフの方々

・作・演出……上田久美子先生
SF構想10年以上、満を持して豊かな才能をフルに発揮して本作をつくられています。
どれもこれも発想が本当に面白い。
真風さんにロングコートを着せてマシンガンを持たせるのをはじめ。宝塚的で無い素材を通して真風さんのカッコ良さを次々と引き出されていることは、スゴイ。

・作曲……三宅純さんが楽曲を提供
宝塚で聞いたことのない世界観の楽曲というより、混沌や不安が音になって溢れている、不思議な世界観。

・映像……上田大樹さん
宇宙らしい映像演出がとても素敵でした。

「FLYING SAPA」は、従来の宝塚の舞台とは全く趣が違う、上質な作品に仕上がっていました。とても新鮮に感じました。

「FLYING SAPA」は「宝塚風」を封印

一般に「宝塚風」と思われることが、いろいろと封印されていました。
「宝塚を観るぞ!」と思って足を運ばれると、ガッカリされると思います。

・恋愛中心ではない。
恋愛関係はありますが、それ中心に進んでいきません。

しかし、最後は無理やり宝塚的なラブで終わったのは、意外な落としどころでした。
ここで「やはり宝塚なんだ」と無理やり納得。

・衣装は、日常着に近い飾り気のないデザイン。鬘もいつもと違う。
但し有村淳先生担当なので、日常着でも品があります。
まどかちゃんは、タンクトップでお腹だしの時も。タカラジェンヌなので全く下品に見えません。

・ほぼストレートプレーである。
振付はついていますが、ダンスシーンは少ないです。フィナーレもありません。
宇宙風の雰囲気を出した振り付けが、とても面白い。

芝居だけなので、魂のこもった熱演シーンも数多くありました。
活舌の良し悪しがとてもわかります。

・歌が無い 
コーラスはあります。
芹香斗亜くんの素敵な歌が1曲あります。最初は静かにささやくようなところからはじまり、フランス語、ヘブライ語、英語の後、日本語で段々と音量も大きくなって郷愁漂う素敵な歌が歌われます。
お母さん役の松風輝さん演じるテウダのユダヤの子守歌も所々で印象的に歌われていました。

・劇中拍手をしない。
話がドンドン展開していくので、拍手をする間がありません。
拍手をしたのは、開演挨拶の時と、幕が降りた時と、カーテンコールの時だけだったと思います。

話の中に宝塚的で無い刺激的な設定やシーンがありますが、別箱は子どもは観劇しないと思うので、話の筋の上で必要なことに目くじら立てることも無いかなと思いました。

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真風涼帆さんの男役芸は宝塚の真骨頂

宝塚的で無いと書きましたが、男役さんが男を演じているので「宝塚」です。
この作品の見どころは、「真風涼帆の自然な男役芸」も一つだと思いました。

アンニュイな雰囲気さえカッコイイ、真風さんのような男役はなかなかいません。
一般の男の人のロングコートを着て、舞台の上で佇んでいるだけで、絵になる、そういう男役さんもいません。
そのロングコートにマシンガンまで持って戦わせるのですから、カッコイイが何乗にもなります。

制作発表会では、「寝ているか、アンニュイな空気を発しているか、コーヒーを飲んでいるか、くらい」と仰っていましたが、それは始めの方の話で、後半になるほど熱演続きでした。
普段の舞台で、熱い真風さんを見る機会はあまり無いので新鮮でした。
熱演の連続のエネルギー消費量は相当なものだと思います。
2回公演の時は体力的にとても大変だろうなと心配になりました。

上田久美子先生の配役・あてがきの巧みさ

ミレナ……星風まどか
自暴自棄に本能の赴くままに行動する女性
まどかちゃんの普段のイメージとかけ離れていますが、コケティッシュに熱演していました。
まどかちゃんの熱演ボルテージもすごく、初めての挑戦では無いでしょうか?良かったです。

ノア……芹香斗亜
反政府運動の活動家で精神科医
主演2人と比べると、それまでの殻を破るほどの熱演は必要とされていませんでした。人間らしい普通らしさが良かったです。
キキちゃん一人だけに用意されていた歌がとても良かったです。

イエレナ……夢白 あや
お嬢様のような名前ですが、「男役?」と思うような黒ジャン黒パンツでショートカットのカッコイイ女性!
星風まどかちゃんと出番は変わらないような、2番手娘役。
太い声も出て、とにかくお芝居が自然で上手。
上田先生の指導は厳しかったのでしようか?大きな役の抜擢に見事にこたえていました。
良い意味でイメージが覆されました。いつトップ娘役に抜擢されても大丈夫そう。

テウダ、少年……松風 輝
少年役も、母親役のテウダも自然で、子守歌もお上手。芸達者。
あえて重要な女性役を振られたのは、上田先生に信頼されているのですね。

スポークスパーソン101……紫藤 りゅう
宙組に組替えして初めての舞台。とっても宙組に馴染んでいる様子で全く違和感がありません。
組替え前の『ロックオペラ モーツァルト』のローゼンベルグ伯爵も上手でしたが、今回の役もロイヤル感が漂って活舌がとても良く、長い説明セリフも聞き取りやすく、存在感が抜群で印象的。

期待の105期娘役……山吹 ひばり
はじまりの出番から、数多く出番があり、夢白ちゃんの幼い役まで演じていて、期待されていることが良く分かりました。
「アナスタシア」の新人公演ヒロインに抜擢されるのかな?

103期の亜音有星くんは、そんなに大きな役がついていませんでした。
「アナスタシア」の新人公演主演は、まだ無理なのかな?

「FLYING SAPA」は、宝塚では異色の作品ですが、私はとても気に入りました。
お蔵入りせず、上演されて本当に良かったです。

最後のご挨拶で、真風さんが下記のように話されました。
「時代がどんなに変化しようとも、希望は失わないようにしたいと思います。」

3月29日の初日から4カ月待って、やっと上演できるようになりました。
どうか無事に千秋楽まで公演を上演し続けることができますように。
多くの方々が「FLYING SAPA」の感動を味わうことができますように。

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