小池修一郎先生と望海さん「ONCE~」秘話
こんにちは、くららです。
今日は「歌劇」7月号の発売日てした。

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小池先生の特別寄稿

心を深く打たれたのは、巻頭言にあった小池修一郎先生の「特別寄稿〜演出家より〜“幕はもう一度上がる”」でした。

演出家の世代交代?

1955年3月17日生まれの小池先生は定年を迎えられ、「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」が歌劇団理事としての最後のお仕事だったそうです。

「歌劇団理事としての最後のお仕事」という言葉に戸惑いを覚えました。
予定されていた星組の「ロミオとジュリエット」は、【潤色・演出/小池 修一郎 演出/稲葉 太地】となっていました。
小池先生がお忙しいので稲葉先生がお手伝いをされるのかと思っていましたが、小池先生は監修という立場になられるのでしょうか?

1本物大作というと小池先生が担当されていました。
しかし昨年は『CASANOVA』で生田大和先生が、『I AM FROM AUSTRIA』で齋藤吉正先生が1本物を担当されました。
今年は小柳先生が『はいからさんが通る』で1本物。
若い演出家の先生たちに世代交代している流れを感じます。

宝塚歌劇団はタカラジェンヌが魅せる世界なので、前面に出るのはタカラジェンヌ。
今までも演出家の先生の去就について公表されることはありませんでした。
定年を迎えて歌劇団理事でなくなっても、酒井澄夫先生、岡田敬二先生方はご活躍中なので、小池先生が変わらず歌劇団でご活躍してくださることを信じています。

宝塚の隆盛に大きく貢献された小池先生

小池先生の作品を思い出してみると、
『エリザベート -愛と死の輪舞-』
『ロミオとジュリエット』
『オーシャンズ11』
『スカーレット・ピンパーネル』
『1789 -バスティーユの恋人たち-』
『るろうに剣心』『ポーの一族』

小池先生の作品が、宝塚の人気作品の大半を占めています。
さらに宝塚で初演した小池先生の海外ミュージカルが外部で上演されるという流れも作られました。
小池先生の海外ミュージカルは、宝塚だけでなく日本のミュージカル界の人気作品になっています。

それまで「女性の宝塚歌劇団」は芸能界でも特殊な位置づけでしたが、小池先生の作品を通して、外部のミュージカルと共有できる存在であることを世に知らしめました。
小池先生のミュージカル作品を上演する宝塚歌劇団の価値観がグ~ンと上がったと思います。
そして現在の宝塚の隆盛は、小池修一郎先生がいらして作品を通して大きく貢献されたからこそと言えるでしょう。

「日本のミュージカル界の巨匠」が宝塚歌劇団所属の演出家であったことの意義は大きかったと思います。

星組の『ロミオとジュリエット』が上演予定であることから、今後も変わらず小池先生の作品が宝塚で上演されていくことは間違いないでしょう。
「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」のような新作を手掛けられなくなるのでしょうか?

「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」について

小池先生は歌劇団理事としての最後の仕事だったので、多くの方々を公演に案内していらしたそうです。
しかし公演が中止になって、見てもらえないことが断腸の思いだったそうです。
特に望海さんをはじめとして雪組生の熱演の舞台は35年間の演出家生活の中で最も誇れるものの一つと思われていたので、公演中止になった悔しさは並大抵ではなかったそうです。

東京公演は、新型コロナウィルスの影響で大半の公演が中止を余儀なくされました。
何公演上演できたのだろうと調べてみました。

公演が上演されたのは下記16公演だけです。
初日  2月21日(金)~ 2月28日(金)11公演
2回目 3月10日(火)11日(水)   3公演
3回目 3月22日(日)千秋楽     2公演

2度目の中止はキツかったそうです。
望海さんも千秋楽の時に、小池先生と肩を抱いて泣いたと仰っていましたね。
小池先生は当時のことを、特別寄稿に克明に記されていました。

再開2日目の夜の部終演後に緞帳中で、プロデューサーから再度の中止を無念の思いを込めて伝えると、望海は天を仰いで涙を堪えた。
その後気丈に耐えている彼女の姿に私は打たれた。
既に退団を発表した入魂の演技を多くのお客様に観ていただくことができない。(中略)
私は思わず近寄り望海の肩を抱いたが、彼女は微かに頷いた。
「大丈夫。負けはしない」と彼女は無言で語っていた。
私は安心した。彼女の小さな頷きが無ければ、私自身、どこかで泣き喚いていたかもしれない。(引用歌劇「7月号」) 

1回目の中止の時も、カーテンコールで望海さんが「やるせない気持ち、悔しさでいっぱいです」と仰ったことがweb記事になっていました。
2回目の時もどんなにお辛かったでしょう。

小池先生も望海さんも「区切りの時」を前に集大成として渾身の思いを作品に注がれていた中での「公演中止」という無念さ…。

観客が公演を観れない残念さとは比べられない、演者やスタッフさん側の無念さというのは私などには想像できない奥深いものだと思います。
簡単には割り切れないでしょうし、そこを乗り越えていくために、本当にご苦労されたと思います。

東京千秋楽の公演がスカイステージで生中継されました。
宝塚大劇場で何度も観劇していましたが、東京千秋楽の舞台はそれ以上の迫真の舞台でした。素晴らしかったです。
多くの方々が映像を通して心に焼き付けられたと思います。
しかし届けたかったのは生の舞台でしょう。

小池先生へのインタビュー記事をご紹介します。

記者は「再演の可能性は?」と聞いてみた。「それは決まっていませんし、作品がどこまで評価されるか分かりませんが、とにかく(演者に)キャリアが相当ないとできないと思います。逆に言うと、本当に望海は、よくここまで自分を熟成させてくれた。それがうれしいし、研さんの積み重ねに感謝します」(引用:スポーツ報知

小池先生は望海さんが演じてこその「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」と考えていらっしゃるようです。

小池先生はこれから予定された公演が可能な限り、順次上演されていくことを、阪神・淡路大震災の時に比べて「令和の宝塚は確実に進化している」と書かれていました。

予定された作品を上演するために、様々な方々の心血が作品に注がれています。
その心血を無駄にしないよう、経歴など関係なく、平等に予定通り作品を上演していくことは、一人ひとりを大切にしているので、次につながるステップでしょう。

一番人気が高い望海さん大御所の小池先生を優先して、公演再開では「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の再演という選択肢もあったてしょうが、それをしないのが「分け隔ての無い」宝塚愛だと思います。

小池先生ご自身も断腸の思いで中止になった区切りの公演を、望海さんが在団している時に再演して欲しいと思うのは当然だと思いますが、そういう思いを通されない小池先生の宝塚に対する愛を感じます。

小池先生の特別寄稿も愛にあふれていました。
歌劇団理事をやめられると立場が変わられるのでしょうが、これからも小池先生が宝塚の作品に関り続けてくださることを願っています。

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