月組『チェ・ゲバラ』感想1
月曜日にドラマシティで月組『チェ・ゲバラ』を観劇してきました。

ポスターのインパクト以上に轟悠さんがゲバラそのものの、濃厚なリアルな男役でした。
そしてその朋友カストロ風間柚乃くんが好演したのをはじめ、各々の個性が炸裂した徹底した作り込みで、流石芝居の月組、とてもパワフルな舞台で、良作だと思いました。

何より、原田諒先生の作・演出が見事!
松井るみさんの舞台装置最新鋭の映像技術も採り入れられていて素敵でした。
スピーディーに話が展開して、休憩時間をを除いた2幕2時間もとても短く感じられ、惹きつけられました。

宝塚には「政治色」はタブーのようなところがありますが、真っ向から取り組んでチェ・ゲバラの理想と信念が深く訴えられ、現在の世界情勢のあり方、各個人に問いかけを与えてくれるものでした。
このような舞台は、宝塚が虚構の世界だからこそで、「政治色」はうすまり、「愛や理想」に転換されるような。(私の考え方であり異論があるかもしれません)
本当のリアルな世界では『チェ・ゲバラ』は、演じられないものだと思います。
この時代に『チェ・ゲバラ』を上演する、宝塚の懐の深さはスゴイです。

以前から確かなメッセージ性のある舞台をつくろうとされている原田諒先生の情熱が、この作品ではさらにアップしているように感じました。
そしてその情熱を受け止めて舞台の役として成立できるのは、芸歴35年のリアリズムの男役を追求し続けている轟悠があってこそ。

お恥ずかしながら、私はチェ・ゲバラについて、あまり詳しくありませんでした。(私に教養がないだけかもしれません)
サルトルに「20世紀で最も完璧な人間」と言わしめ
ジョンレノンに「世界で最も格好良い男」とに言わしめた、チェ・ゲバラの生涯を知る機会を与えてくれた宝塚に感謝しています。

轟悠の存在意義

轟さんは71期生、今年舞台に立って35年を迎えられました。
この舞台は轟悠さんが主演だからこそ成立し、宝塚の男役のリアリズムに原田諒先生と共にタッグを組んでチャレンジしているような作品です。

今年の2月にバウ『パパアイラブユー』を観劇した時に、すみれコードも含む「宝塚」の枠に果敢に挑まれ、品の良いコメディに仕上げられていた轟さんの力量の素晴らしさに感服しました。

宝塚一筋に、「宝塚の男役」であり続けることを愚直なまでに追求し続けていらっしゃいます。

『チェ・ゲバラ』のベレー帽と髭に覆われたポスター画像でも、宝塚の男役像とはかけ離れた風貌を自分のものとして撮影された完璧なビジュアルでした。
各組のトップスターには、とてもできない技量であり、それまで積み重ねてきた男役として経験値と技量とセンスがあるからこそだと思います。

原田先生はプログラムで下記のように記されていました。

その強烈な個性ロマンティシズム、そしてあえて困難な道を選び進み続けるゲバラの高潔な生き様は、轟悠にも通じるものがある。舞台生活35周年を迎えた今なお進化し続ける稀代の男役。ゲリラものと言う宝塚歌劇とは対極にある題材を具体化できるのも彼女の存在があればこそ。男役という虚構の存在と轟悠の追及するリアリズムをどのようにブレンドし宝塚男役の限界に挑戦できるか。

轟さんは「役として孤高の存在」を演じながらも、違和感なく若い共演者の中に溶け込んで演じています。
そして共演者の熱量が増し、それぞれが役をよりいきいきと演じていることを感じます。
今回も太い声と声量で、さまざまなナンバーを歌われていましたが、そのために惜しまない努力もされていると思います。

進化し続け極めようとしている姿は、無言でも共演者に伝わるでしょう。
轟さんが着れば戦闘服も粋な衣装となり、その着こなし一つも共演者の参考になっているようで、「ナウオンステージ」の話からも伝わってきました。

轟悠さんはただ宝塚に理事として君臨されているのではなく、「宝塚の枠」にチャレンジしている「男役」と言っていいと思います。
そういう面でとても意義がある働きをされていることを、あらためて感じました。
宝塚自体がチャレンジャ的な要素ももっているのですね。だからこそ105年間続いてこれた。

『チェ・ゲバラ』が魅せるのは恋愛では無く人間愛

今回は天紫珠李演じるアレイダ・マルチとの結婚に至る恋愛の部分などは、サラッとしか描かれていません。
人間愛を貫いた男不屈の精神と高い理想が話の筋です。
革命は大いなる愛がないと成功しない」今回描かれているのは、人間愛。
人間愛がテーマの舞台も深いものが伝わってきます。

花組生観劇

月曜日は花組のお稽古がお休みだったようで花組生が観劇にいらしていました。
前方の特等席でご覧だったのは、 高翔みずきさん、瀬戸かずやさん、航琉ひびきさん、音くり寿さん。
春妃うららさん、峰果とわさんたちは違うエリアでした。

来年1月5日から同じドラマシティで瀬戸かずやさん主演の『マスカレード・ホテル』が上演予定です。
下級生の音くり寿さんが、あきらさんと一緒に観劇していたのは、もしかして山岸尚美?と勝手に妄想してしまいました。
くりすちゃんは黒い大人っぽいレースのワンピースが似合っていて、映像等で見るより大人びていて可愛かったです。活発な山岸尚美役は、くりすちゃんに似合いそう。歌えるということが何より強み!
こんな時期に配役が決まっているわけでなく、私の単なる妄想ですので、あしからずご了承ください

だらだらと書いていたら長くなったので、配役別の感想などは次回に書きます。

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