『Memories of 音くり寿』に感動
こんにちは、くららです。
昨夜『Memories of 音くり寿』を見ました。

白い透き通るような美肌に、退団される方特有の後光がさしているようなキラキラとした輝きがあって、眩しくて、笑顔がとってもチャーミングな音くり寿ちゃんでした。

今までの役に対して、とても的確に自分の思いや考えを話されていました。
そして何でも出来るのに、謙虚にご自分のことを見つめていらして、とても聡明で、更に音くり寿ちゃんのことが好きになりました。

『元禄バロックロック』のツナヨシを演じた時の話で、元々男役に憧れて宝塚の世界を夢見ていたので、男役さんの気分になれたのも嬉しかったそうです。身長が延びていたら、男役・音くり寿もあったのかもしれないということが意外でした。

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宝塚大劇場千秋楽の日とご挨拶

千秋楽の日は、緊張して全然眠れなくて、幕が上がるまでも異常に緊張していたとか。
しかしお芝居が始まると、良い意味で集中できたそうです。
ショーでは、リアルな感情をのせて表現するのも良いかなと「卒業公演」として臨んでいたので、色々なシーンで様々な思いがあふれてグッときても、変に抑え込まず、見える景色を大切に心に刻もうとされたそうです。

【ご挨拶】
卒業を決めた日から、より一層、いろいろなことが愛おしくて、尊くて、楽しくて、面白くて、湧き上がる感謝の気持を表現したい、お伝えしたいと思って、精一杯舞台をつとめてまいりました。

今、階段を降りてきて、大好きで信頼する共演者の方々(舞台の左右の出演者に目を配りながら)、目の前のお客様、ここにいらっしゃらなくても、想いを寄せてくださる方々の温かさを感じて、とっても幸せです。

東京公演もさらに精進を重ね、自分の限界を超える作業をまだまだ続けたいと思います。

最後に、今まで教え、導き、支え、そして応援してくださいましたすべての皆さま、本当にありがとうございました。

まず感謝の気持ちを伝えることと、自分の素直に感じたことをご挨拶で言おうと思っていたので、その場の空気を感じながら、心からの挨拶をされたそうです。

大抜擢とそのあと

研2の終わりに最下級生で、『Ernest in Love』(梅田芸術劇場・中日劇場)のセシリイを、城妃美伶さんと役替わりで演じました。超大抜擢!
その直後、『ME AND MY GIRL』でヒロインのサリー(本役:花乃まりあ)を 城妃美伶さんと2部に別れて宝塚と東京で上演。

『ME AND MY GIRL』の音くり寿ちゃんの元気溌剌なピュアで可愛いサリーの映像が流れました。
普通なら静止画なところ、映像が放送されたのは、東宝で上演されて版権があるからなのかな?
それとも宝塚で上演予定があるから??

『雪華抄』では、専科の松本悠里さんの踊りのシーンで、カゲソロを担当。当時研3です。堂々とした素晴らしい歌声でした。
その時の経験が自分の中の財産となっているそうです。
同時上演の『金色の砂漠』でもオーディションで選ばれてカゲソロ。第三王女シャラデハにも抜擢。

はやくから抜擢されて、努力と実力で応えてきた音くり寿ちゃんでした。

しかし研3の終わりの芹香斗亜さん主演『MY HERO』の東上Wヒロイン(朝月希和さん)のマイラ・パーカーだけは、後悔が残る唯一の作品だそう。

『ハンナのお花屋さん』のアナベルは、当時の自分と近すぎる役で、怖くなるほどだったそう。
特に「誰かに必要とされることって、とても素敵なことよ」と言われたセリフがとても響いたそうです。

そして「舞台に必要とされる人材になりたい」と、心に強く思って、その後歩んできたそうです。

この「ハンナのお花屋さん」では、2期下の舞空瞳さんが、タイトルロールのハンナ役でした。そしてこの作品の裏が、『はいからさんが通る』で、同期の華優希さんヒロイン紅緒を演じました。

ふたりの娘役さんが台頭していく中で、音くり寿ちゃんの抜擢が終わって、いろいろと葛藤があったと思います。

「舞台に必要とされる人材になりたい」という思いで、さらに努力を重ね、自分を磨き続けてこられたのですね。

音くり寿ちゃんのその思いとその思いの結実した舞台は、宝塚ファンにはしっかり伝わり、心をとらえていました。

だからこそ、宝塚ファンのほとんどの人たちが、音くり寿ちゃんの退団をとても惜しんでいます。
それはトップ娘役さんに対する思いより強いかもしれません。

転機となった『蘭陵王』のヒロイン

華優希さん舞空瞳さんが全国ツアーのヒロインとして出演している裏では、音くり寿さんが凪七瑠海さん主演の舞台のヒロインを演じました。

このタイミングで、ヒロインの役をもらえるとは思っていなかったので、出来るはずがないと思ってしまい、はじめは表現が凝り固まっていたそうです。

研2の時に大抜擢された『Ernest in Love』の木村先生の演出だったので、怖いもの知らずでぶつかっていた頃を知っている先生が「あの頃のお前はどこにいったんだ」と叱咤激励してくれたそう。

また主演の凪七瑠海さんとの出会いもあって、舞台人として人として考え方がガラッと変わった転機となった作品になったそうです。

「表現したいものを制限かけずに演る」ことが、もう一度チャレンジしてみることなのではないか、と改めて気づいて、宝塚での折り返し地点というか重要なポイントになったそうです。

「もう一度チャレンジしてみること」と表現されたので、その裏にはチャレンジをやめて「退団」という思いもあったのかと勝手に思いました。

そこから音くり寿ちゃんの怪演とも言える演技に繋がっていきました。

蘭陵王の洛妃は素晴らしかったです。もちろん主演の凪七さんも。瀬戸かずやさんも、 帆純まひろさんも…。
『蘭陵王』は、なんとなく地味な印象になっていますが、宝塚の名作と言ってもよいと思います。

『花より男子』三条桜子『マスカレード・ホテル』片桐瑤子
「どこまでやっていいのだろう」と葛藤がある中、自分の表現に制限をかけないで、やってぶつかってみようと役に向き合って突き詰めていって、役者として興味深く、役者として血が騒いだそうです。

音くり寿ちゃんは、はじめは「宝塚」という枠に制限があると思っていたようですが、宝塚でも制限はかける必要はないと演じることで、役者魂が培われていったように思います。
音くり寿ちゃんの演技は、「怪演」と表現されるようになりました。

音くり寿ちゃんの達成感

『元禄バロックロック』のツナヨシ役では、演出の谷貴矢先生から
「花組には音くり寿がいるから、これかぁって付けたからヨロシク!」と言われたそうです。

「演出家の先生からそんなことを言ってもらって、こんな幸せなことはないな」と、とても嬉しかったと。

最後にツナヨシが、その場をかっさらってしまう役でした。
最後一人で長々と喋るセリフが毎回緊張するものの、そこから痺れるような何かが得られたそうです。

宝塚は序列の社会で、ストーリーや出番も序列に従っていますが、演出家の先生が娘役2番目の音くり寿ちゃんに、そんな重要な役を振るのも音くり寿ちゃんの役者魂を信頼してこそでしょう。
また、谷先生がそういう役の振り方をされるのも、従来の形に縛られない、新しい感覚をお持ちだからでしょう。
座付きの演出家の先生だからこそできることで、そこが宝塚の面白さだとも思います。

『The Fascination!』では王道のレビューで「娘役さんをやっている」という達成感があって、花組で良かった、娘役で良かったと思われたそうです。

次の『TOP HAT』では、退団を決めていたと話されていたので、『元禄バロックロック』『The Fascination!』でやりきった感を味わって、退団を決められたのだろうと思いました。

千秋楽のご挨拶で、花組生たちのことを、「大好きで信頼する共演者の方々」と表現されていました。
この言葉を聞いた時に、音くり寿ちゃんは「生徒」ではなく、「役者」という精神で舞台に立っているのだと思いました。

そのあたりからも、宝塚を卒業して、広い世界に旅立っていかれるのも、必然だったのかもと思いました。

新人公演インタビューから感じたこと

『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』の新人公演で、音くり寿さんのラプリュナレド伯爵夫人 を演じる美羽愛ちゃんが、音くり寿さんからのアドバイスについて話されていました。

「誰よりも気高く!プライドをもって」
「誰よりもフランス代表!品を忘れてはいけない」

と、「誰よりも…」とアドバイスを受けたそうです。
そのアドバイスは、音くり寿ちゃんらしいなと思いました。

舞台に立つ時は、常に「誰よりも…」という気持ちを持っていらっしゃるのでしょう。
こういう精神から、あの舞台のビリっとした空気が醸し出されているのだと思います。

今回、美羽愛ちゃんは、すごくたくさんのアドバイスを音くり寿さんからもらったそうです。
それは、美羽愛ちゃんの財産になることでしょう。

音くり寿さんは、「花組の娘役」としてのプライドもすごく持っていらっしゃいます。

このブログを書いた2年半前は、花野じゅりあさんの言葉を心に刻んで頑張っていると話されていました。

昨日発売された『歌劇8月号』には、「宝物を胸に、今旅たちの時」というご挨拶とチャーミングなポートが掲載されていました。
そこには、「花組の娘役としての誇りを持って舞台に挑み続けることができました。」と書かれていました。

音くり寿ちゃんが先輩方から引き継いだ「花組の娘役としての誇り」は、美羽愛ちゃんをはじめ、花組の娘役さんたちに受け継がれていることでしょう。

残念なことに花組の最後の舞台は現在中止中ですが、予定通り幕が上がって、これ以上1日も欠けることなく卒業の日を迎えられますように。
タカラジェンヌとして最後まで幸せな日々を過ごせますように。

そして今後の役者人生が素晴らしいものになりますように。
音くり寿さんの選んだ道を応援していきたいです。

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