スターとファンの関係
こんにちは、くららです。
前々回のブログで、「宝塚のスターシステムの闇の部分もある」という表現を使っていました。
ここだけ読むとマイナスに見えてしまいますが、実際はプラスの方が大きいと思っています。

今日はその「スターとファン」の関係を書いていきたいと思います。

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望海風斗さんの言葉

NHK総合『林家正蔵の演芸図鑑』に、望海風斗さんが1月30日、2月6日と2回に渡って出演されました。正蔵さんの優しい語りかけの中で、望海さんは今まで聞いたことのない心のうちを話してくださいました。
ピュアで気さくで親しみやすい望海さんのお人柄が滲み出ていました。

ファンの思いが原動力

トップスターになれたワケは?

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一番はファンの方の思いです!

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下級生の頃から長く応援しているファンが
真ん中に立つ姿が見たい」と言われて
当時は「まだ自分はそんなんでは無い」と思っていたんですけど。

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ファンの方の思いが強ければ強いほど、自分自身がやらなきゃあという気持ちにさせてもらいました。
逃げずに向き合えました。一番はファンの方の思いです!

遅咲きだった望海さん
望海さんの入団時の成績は2番。
花組に配属されて、研1の『天使の季節』新人公演でジョルジュ(本役:蘭寿とむ)に抜擢。
研3でバウホール『くらわんか』で、 貧乏神(華形ひかる・朝夏まなとと役替わり)徳兵衛(朝夏まなとと役替わり)と抜擢。
組配属早々から、男役群舞で抜擢されていて、花組の同期の中では路線でしたが、「御曹司」という抜擢のされ方では無かったです。

研7の時に「太王四神記」で新人公演初主演。つづいて「外伝ベルサイユのばら」で2度目の新人公演主演。(新人公演の最後の2回が主演)
研10の時に「Victrian Jazz」でバウホール初主演。

新春カラーポート掲載は、研9。同期の明日海さんは研7。
写真集「パーソナルブック」の発売は2015年。明日海さんは2010年でした。
(花組だった朝夏まなとさんは、新春カラーポート掲載は研7、「パーソナルブック」発売は2011年で、明日海さん級の抜擢でした。)

私は正直に言うと、100周年(2014年)までは、明日海さんはトップスターに就任されると思っていましたが、望海さんがトップスターに就任されるとは思っていませんでした。

100周年前頃より、「歌唱力」が重視される傾向が出てきました。
そして100周年にスカイステージで、「Brilliant Dreams+NEXT 望海風斗」が放送されました。
熱心な宝塚オタクの、望海さんの気さくで可愛いお人柄が大ブレイクしました。
花組最後の「エリザベート」でのルキーニの熱演と抜群の歌唱力も、大ブレイク!
ここから望海さん大旋風が巻き起こり、雪組2番手を経て、トップスターに就任されました。

望海さんが下級生の頃、花組はスターが詰まっていました。
1期先輩の朝夏まなとさんが抜擢されていたので、望海さんには不利でもありました。

でもファンの方たちの「真ん中に立つ姿が見たい」という思いを受け止めて、「頑張らなきゃあ」と芸の道に真摯に向き合われてきたからこその、「トップスター・望海風斗」だったのですね。

ファンの熱い思いは、スターの頑張る原動力と言っても良いでしょう。

もちろん、ファンの熱い思いだけでトップスターになれるわけでは無く、望海さんご自身が真摯に努力を重ねられた結果です。

退団してからも、望海さんは、テレビ番組でファンの方々への感謝の思いを話されて、ファン冥利に尽きますね。

望海さんは大階段の退団のご挨拶でも、ファンの方へ「見つけてくれてありがとう」というニュアンスのことをはじめ、感謝を語っていらっしゃいました。

私のようなライトファンにでは無く、熱心に応援されていたファンの方々に向けてのものだと思いました。

コロナ禍で、お茶会も入り待ち、出待ちも無くなって、直接ファンの方々とスターさんが話をする機会が無くなっています。
そのため、千秋楽のご挨拶で、熱心なファンの方々への感謝を語られるスターさんが増えました。
そのご挨拶を聞いて、私は部外者ですが、スターさんは宝塚人生をファンの方々と共に歩まれたことを大切にされているのだなあと感じていました。

望海さんの秘話1

受験の時のコンプレックスは身長
望海 「男役さんは170cmの方とか多くて、私は足りなかったので、お稽古と共に骨をちょっとずつ伸ばしてと、整体に通っていました。縮まった骨を延ばしてスキマをつくろう、人の手を借りて何とかと思っていました。」
男役さんを志す方は、ここまで努力をされていたのですね。

望海さんの受験生へのアドバイスは、本人がどれだけ宝塚に入りたいか、宝塚の舞台に立ちたいかが大切。くじけそうな時も、諦めない気持ちと好きな気持ちを一番に持ち続けて向かってもらいたい、とのことでした。

望海さんの秘話2

在団中は外を歩く時、常に男役という意識があって、いつどこでファンの方に見られても『いやだ幻滅』と思われないよう、恥ずかしくないよう男役を常に意識されていたそうです。
そのため、洋服を選ぶ時に、店員さんがスカートを持って来て、鏡の前でスカートを体に当てようとするだけで、恥ずかしかったそうです。
退団後はスカートも全然大丈夫になったそうです。
在団時の望海さんのこの徹底ぶりが魅力でした。

愛月ひかるさんの言葉

昨年12月に退団された愛月さんは、ディナーショー「All for LOVE」でファンの方々への思いを語っていらっしゃいました。

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振り返ってみると宝塚人生いろいろあったなと。
特に専科へ出たタイミング、辛くなかったと嘘になるけど、私の気持ちを私以上に考えてくださる皆さんが葛藤された期間だったと思います。
短い期間で8か月ではありましたが、この期間に他組の生徒さんが出演してくださった『宝塚巴里祭2019』や『ロマンチックコンサート』、そして今の星組との出会いともなった『アルジェの男』。私にとって濃密な時間でした。その期間が無ければ今の私は存在していないと強く感じています。

「私の気持ちを私以上に考えてくださる皆さん」とは、ファンの方々のことですね。
ファンの思いや期待を知ってるがゆえに、専科に異動されることは、辛くて悔しかったと思います。

そうだからこそ、深い宝塚愛を持っていた愛ちゃんは、ファンの方々の思いを背負って、常に前向きに頑張られたのだと思います。

愛ちゃんにとっても、熱いファンの方々の存在は、頑張っていく原動力の一つだったでしょう。

どのスターさんにとっても、ファンの存在は頑張れる力になっているのでしょうね。

応援しているスターのトップ就任を夢見るのは当然のこと

応援しているスターの「真ん中に立つ姿が見たい」という思いは、自然な思いです。

前々回にブログにマイナス要素のように書いたのは、その思いが行き過ぎて、他のスターの足を引っ張ったりしてしまうことです。

波乱のダブルトップ体制

大分昔(1980年頃)の話ですが、宝塚の最後のダブルトップ体制だった、花組の松あきらさん順みつきさんのファン同士の争いは忘れられません。

お目当てのスターが登場すると、側にいたら耳を抑えたくなるほどの爆竹拍手をし、もう一人のスターの登場シーンでは、舞台を観ずにそっぽを向いていたり、客席には険悪な雰囲気が漂っている時もありました。
私は客席の様子しか知りませんが、その他の所でもすさまじかったようで、しまいにはスターたちも巻き込まれていったとか。

松あきらさんの退団公演の時には、順さんは外部出演されていました。その後順さんは1作だけ単独トップをつとめて退団されました。

劇団は、これ以降ダブルトップ体制を取ることは無くなりました。確かダブルトップ体制をとることは無い、という宣言のような文面を見た記憶があります。(間違っていたらごめんなさい)

龍真咲さんと明日海りおさんが、「ロミオとジュリエット」「ベルサイユのばら」と、役替わりで主演を務められましたが、「トップと準トップ」という設定だったのも、昭和の波乱のダブルトップ体制があったからです。

私の好きなハウステンボス歌劇団(正式名称 歌劇 ザ・レビュー ハウステンボス)では、若手のスターが初トップを務める時は、「ダブルトップ体制」をとっています。
初心者マークの2人が、助け合ってトップスターとして頑張っている姿は初々しくて応援したくなります。

現在の宝塚のようなトップスター候補が詰まっている状態では、ダブルトップ体制も良案のような気もします。
しかし今後も宝塚では、このダブルトップ体制はファンの応援がヒートアップしてしまう心配があるので、実現することは無いのでしょうか?

望海さん「宝塚は竜宮城」

退団についての話

退団はどこで(どの時期)決めた?

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何歳でとか、何年でとか辞める決まりはありません。
次にトップになる人がいるので、「いつまでやろう?」と考えて、2017年に就任したので、2020年が一区切りかなと思ってはじめました。

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トップに立ってみて、あまりにも過酷で責任がそれまでと全く違っていて、こんな大変なことをトップさんは毎公演されていたのかと思い知りました。
いろんな人の思いを受けて、羽根を背負って、舞台に立てているのがスゴイ幸せだなと思ったのと同時に、それだけ自分自身が誰よりも楽しまなきゃあいけないし、誰よりも舞台に真摯に向き合わなくてはこれはバチがあたるぞと思って。
こんなの1公演でも尽き果ててしまうというか、自分を使い切る、大変なことを皆さんされていたのだなと思って、一公演一公演、全力で向き合わなければいけないし、自分にも限界があるので。

どのトップスターさんも、一公演一公演限界に挑戦しながら、素晴らしい芸を魅せてくださっているのですね。

昔の宝塚では、みんなが踊りきったところで、手を広げてオーラのあるトップスターさんが登場して、その場をかっさらうという光景があったように思います。

現在のトップスターさんたちは限界に挑戦し続けているアスリートのようです。

宝塚は望海さんにとって何?

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宝塚は私にとって竜宮城です。いる時はそこが全ての世界で本当に楽しい時間でした。

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いざ卒業して見たら、年齢も出るじゃないですか。
すみれコードで守られてきていたので、そこから出てみると、守ってくれるものがなくなって。
自分はいい大人であって、すごい速度で進んでいる社会に馴染んでいかなければなりません。

振り返ったら宝塚もキレイな世界も遠のいていて、あんな素敵なすごく良い所に20年近くいたんだなぁと。

当事者だった卒業生からも「あんな素敵なすごく良い所」「竜宮城」と言われるのは、唯一無二の夢の世界で、ファンと同じですね。
当事者からもこういう言葉が出るのは、嘘偽りなく宝塚が愛の集団だからだと思います。

宝塚の創設者の小林一三氏は、ファンのことを「お友だち」と称していらっしゃいました。
スターとファンの関係も、今の良い関係がずっと続いていくと良いですね。

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