月組『今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』観劇感想
こんにちは、くららです。
月組公演を観劇してきました。
お芝居はとっても楽しい心を温めてくれる作品でした!
ちょっと切なくてじ~んと涙が浮かんできて、心が洗われるようでした。

感想はネタバレが沢山なので、ネタバレしても良い方だけ読んでくださいね。

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『今夜、ロマンス劇場で』について

映画と似ていた所

ほぼ映画どおりに話は進行していきます。

映画では、健司(月城)と美雪(海乃)が仲良くなっていく「かき氷」、「藤棚」、「公衆電話」のシーンが美しくて印象的でした。
宝塚版でもそれらのシーンがもれなくありました!

そして映画では、ヒロインの美雪役の綾瀬さんがクラシカルな衣装を25着着替えられていたとのこと。宝塚では早替わりが伴うのでそこまで出来ませんが、可愛い衣装をアレコレと着替えられていて、素敵でした。

セリフのイントネーションは映画と同じ?
美雪は「今日からお前はわたしのしもべだ」と健司に言い放ち、ずっと命令口調で喋りますが、その海乃さんの口調が映画の綾瀬さんに似ていました。

成瀬塔子役の彩みちるちゃんの話し方も、映画の本田翼さんのものに似ている感じがしました。

きっと映画を見ながら役作りをされたのだなと思いました。

男役さんは、根本から役づくりが違うので、そんな印象はありませんでした。
看板俳優俊藤龍之介役の鳳月杏さんは、映画の北村一輝さんとは違う独自の役づくりで、大スター然としているのに妙にコミカルで異常に面白く、役者としての器の大きさを感じました。

宝塚のオリジナル

月の精霊ディアナの存在
宝塚で上演すると、映画より更にメルヘンで、ファンタジーで、ロマンチックになっていました。

宝塚版では、「お転婆姫と三銃士」の映画の中の人たちが、フィルムの中だけでなく、舞台にも登場します。

「お転婆姫と三銃士」の映画の中の人たち
大蛇丸(暁)、従者狭霧(礼華)、従者雨霧(天紫)、三銃士【狸吉(蓮つかさ)、虎衛門(英かおと)、鳩三郎(柊木絢斗)】、ばあや(夏月都)、じいや(春海ゆう)。

そして、その人たちから全幅の信頼を得ているのが月の精霊ディアナ(晴音アキ)

月の精霊ディアナが当たり前に存在できる世界観が、宝塚ならではの夢夢しさだと思いました。

月城かなとさんの演技力

映画では老年の健司を80歳過ぎた加藤剛さんが演じられていました。
トップお披露目公演で、月城さんがそんな老年の役を演じられるとは、誰も思いませんよね。
それがとっても自然体で、老年の健司を演じられていました。
(「桜嵐記」でも楠木正儀の老年を演じられていましね)
声だけで歳を取ったのがわかりましたし、見るとさらに。
本当に芝居巧者です!

健司は、宝塚のトップスターが演じるにふさわしくない、さえない素朴な青年です。
その役を宝塚一の美形の月城さんが演じて、全く違和感がなく、実直さ誠実さの感じられる朴訥な青年で、応援したくなるような魅力があって、そこが月城さんの役者としての才能だと思いました。

老年で最期を迎えようとしている時の、健司(月城)と美雪(海乃)の演技には、思わず涙が流れてしまいます。多分皆さん同じでしょう。

この前に回想のダンスシーンがあって、この後映画の中に戻って華やかな舞踏会となります。
ここで、月城さんはリアル王子様になって登場!
なんとキラキラ輝いていて美しい王子さまよ。

この舞踏会には、出演者全員が役のまま列席していて、トップコンビ二人を祝福しています。

健司が新しいこれから向けての思いを話します。歌います。
それがそのままトップコンビの新しい歩みにも繋がっていました。

大団円で、みんなに囲まれて、祝福されてに幸せなそうな月城さんと海乃さん。
お披露目公演にぴったりの作品でした。

映像が何度も効果的に使われていて、その巧みさに「わあっ~」と声をあげそうになるところもありました。

コロナ禍だからこその作品

『今夜、ロマンス劇場で』の映画が上演されたのは2018年です。
その頃「新型コロナウィルスによって全世界が一変してしまう」なんて誰も想像だにしていなかったと思います。

コロナ禍は、人と人との繋がりをあらためて考える良い機会となりました。

「人のぬくもりに触れると美雪は消えてしまう」という課題は、コロナ禍の今だからこそ、より身近に感じるものです。

健司と美雪は、「純愛」によって、この課題を乗り越えていきました。

手で触れてぬくもりを感じることよりも、「心」なのですね。

そして、この作品で、小柳先生が大切にされている言葉があります。

「見つけてくれて、ありがとう」

健司と美雪は、互いに「見つけてくれて、ありがとう」と感謝し合います。
それが主題歌「今夜、ロマンス劇場で」になっています。

確かなものは何もなくても、思いは伝わる

健司と美雪は、「思い」があるだけで、何十年という時を一緒に過ごしてきました。

『FULL SWING!』について

トップコンビの大人な持ち味に合ったショーでした。
大人のジャズの世界を魅せるために、舞台全体の色目が抑えてあるので、目に訴えてくる力は弱いです。

特に昨日スカイステージでのフィナーレからの生中継を見て、色彩豊かな豪華な舞台を見慣れているので、物足りなさを感じました。
実際に生で観る方が良かったです。

三木章雄先生は2015年のお正月公演、雪組早霧せいなさん主演『ファンシー・ガイ!』から7年ぶりに本公演のショー作品に登板されています。

ショーの魅せ方などは年々変化し、進化してきているので、どんなに出演者が熱演しても、今の感覚の客席には、昔の感覚での魅せ方では、訴える力が弱い部分があるように思いました。

月城かなとさんのジャズの歌声は、どの曲もとっても素敵でした。

暁千星くん大チャレンジ中?

芝居、ショーともに見て感じたことは、ありちゃん(暁千星)のチャレンジです。

「今夜、ロマンス劇場で」オリジナルキャラクターの「大蛇丸」

映画と同じでは役が少ないので、ありちゃんが活躍するために、この役を膨らませてつくったのだろうなと思いました。

「大蛇丸」について
ビジュアルは、トート風です。
大蛇丸の従者の狭霧(礼華)と雨霧(天紫)は、黒天使風。
大蛇丸は美雪の隣国の王子で、美雪を自分のものにしようと求婚しています。しかし美雪は嫌悪感でいっぱいのよう。映画の中で、大蛇丸を気の毒なほどコテンパンに叩いたり暴力をふるっていました。
拒否されても、「ヌルヌルネチネチ」手の指を気持ち悪く動かしながら、言い寄っていました。

大蛇丸は「人のぬくもりに触れると美雪は消えてしまう」という重要な美雪の秘密を健司に教えます。
タンゴを1曲歌い、従者の狭霧(礼華)と雨霧(天紫)がデュエットダンスを踊るシーンもありました。役としての比重は、今までの本公演の役に比べて重くなっています。

鳳月さん演じる京映の看板スター「ハンサムガイ」俊藤龍之介が明確な2番手だと思いますが、大蛇丸は3番手というより、2.5的な位置のような気がしました。

下級生の頃はとっても推されていましたが、「95期推し」に流れが移っていました。

しかし今年から「暁千星を推していくよ」ということで公演プログラムの扱いが準2番手的な特別感があるものになり、活躍の場を沢山つくっているのかな?と思っています。

しかし、1回しか見ていませんが、あまりにもショーで踊らせすぎのように思えて、「若いと言っても大丈夫?」と心配になってきました。

皆と同じシーンに出ていても、ありちゃん一人だけくるくる回ったり、ジャンプしたり、特別に運動量が多いように見えました。

そして今回は、芯になる場面が何箇所もありました。

何と言っても第2場の「ノマド」
5分程、踊り続けていました。
はじめはソロダンスで、その後若手男役さんたちも加わりますが、ありちゃんとは振りが違っていて、一人だけ運動量の多い難しそうなダンスを踊り狂っていました。

フィナーレのトリプルデュエットダンスでも、ありちゃんだけ彩みちるちゃんと海乃美月さんをリフトしていて、海乃さんに対しては高速の回転リフトを長くやっていました。

歌のシーンも沢山あって、よく響く声がとっても魅力的でした。

ロケットボーイとして黄色いスーツの時は、クルクルと回転した後も歌っていました。

多分98期筆頭の男役さんなので、トップスター候補として、これからもっと頑張って欲しいと思われて限界にチャレンジするような形をとられているのでしょうが、人間には限界があります

限界突破を続けることで伸びることもあるでしょうが、今のようなやり方は、限界を突破して故障につながることもあるでしょう

ありちゃんファンの私は、ありちゃんの活躍がとても嬉しかったですが、躍らせすぎが心配でした。

私の杞憂かもしれません。3日も観劇予定なので、もう1度見て、ショーの感想を書きたいと思います。

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