宙組「プロミセス、プロミセス」初日感想
こんにちは、くららです。
宙組「プロミセス、プロミセス」の初日を観劇してきました。
原田諒先生ブロードウェイ・ミュージカルにハズレなし!

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「プロミセス、プロミセス」

不倫が軸になっている宝塚的ではない内容ですが、人の性を超えた人間愛に置き換わって、軽快な音楽に彩られた宝塚らしいカラッとしたロマンチック・コメディでした。

コメディで楽しいというだけでなく、心がジーンとしてピュアな温かい思いに満たされました。

フィナーレは無く、ダンスも少しで、お芝居と歌が中心でしたが、「宝塚を観た」という満足感はいっぱいです。
中盤からクリスマス色にも彩られていたので、この季節にピッタリだと思います。

スチール写真について
スチール写真
芹香、天彩、和希、紫藤の4名のものが販売されました。

芹香・天彩のお二人は、下村一喜さんによるポスター撮影のために、メイクはVOGUE JAPAN誌などで活躍されている鷲巣裕香さんが担当されたようで、ちょっと見慣れないメイクです。

特に公演プログラムに掲載されたものは、お二人とも釣り目気味で、1960年代のポップな雰囲気なのでしょうが、少々違和感がありました。

舞台では、ご自分でメイクされるので、キキちゃんは爽やかなイケメンでした。若返ったような印象でした。
和希そらさんは、スチール写真以上にうっとりするほど超イケメンで色気が駄々洩れ。

ネタバレ全開で書いていきますので、知りたくない方はここでストップしてくださいね。

芹香斗亜さんにピッタリの作品!

プロローグから最高!

開演前に幕が上がると「2階建てのチャックの部屋」が舞台の真ん中にデ~ンとあります。
開演ブザーのタイミングで目覚まし時計が鳴ると、2階のベッドのシーツの中からチャック役パジャマ姿のキキちゃんが登場!
(ずっとあのシーツの下にキキちゃんはスタンバイしていたんだ!と感激しました)

眠そうなキキちゃんが、時計を見て大慌てでベットから飛び出して、歯磨きを始め朝の支度をして、パンをくわえて部屋を出ます。
そして満員電車に揺られ、会社の自分の席に着き、仕事をして終業し皆が帰って行くまでが、バート・バカラックの軽快な音楽に合わせて、キキちゃんととみんなの動きと踊りだけで表現されていきます。

「稽古場情報」で、花宮沙羅ちゃんが「新鮮で楽しいです」と言っていましたが、今まで見たことの無い新鮮で楽しいプロローグでした。

このプロローグでも、キキちゃんの表現力が最高に生かされています。
何もセリフを言わなくても、心情まですべて手に取るように伝わってきます。

そして一転、キキちゃんの長セリフとなり、客席へ話しかけるような感じで、進行役もかねてストーリーは展開していきます。
グイグイとチャックの世界に引き込まれ、一生懸命なチャックを自然と応援したくなります。

随所にバート・バカラックのナンバーが織り込まれていて、セリフと歌の流れがとっても自然です。
そして歌えることは素晴らしい。キキちゃんの歌になると聞き惚れてしまいます。
膨大なセリフをまくしたてても、全部聞き取れて、滑舌もとっても良くなられたと思いました。

コメディセンスにあふれている粋なキキちゃんが存在するだけで、もう楽しい。

派手なスーツでも次々に着こなして格好良いのに、1幕終わりから2幕のはじめに毛糸の帽子を被っている時は、妙に似合っていなくて、可愛くてそれだけで面白さがあふれます。

お顔も格好良いのに、顔の表情がクルクルと変化して崩れて、その落差が面白い。

コメディに徹しても、宝塚の二枚目の線は保たれているところが、キキちゃんのスゴイところ。

チャックの役は、「存在感が無い」設定なのですが、これだけはスターのキキちゃんには少々無理な設定のように思いました。

人間味あふれるチャック
会社の重役から密会の場所として自分のアパートを提供するよう求められて、断れないお人よしの青年であるとともに、ちゃっかり自分の出世も願って出世する、人間としてのズルさもありました。
心の機微をリアルに表現できる繊細で緩急のある芝居力は、男役15年の賜物だと思います。

情けない所が多いチャックですが、フランとの愛を通して、最後は人間らしい「本当の自分」を取り戻していきました。
その時の熱唱が特に素晴らしかったです。

明るくて人間味あふれるチャックは、キキちゃんそのもののようにも思えました。
キキちゃんの代表作になることは、間違い無いでしょう。

舞台装置が面白い仕組み

舞台のセットがとっても洒落た面白い仕組みになっていました。
階段を少し上った高さの所が、アパートの1階で、階段を上ると寝室の2階です。

何気に2階のベットの上に注目です。
いつのまにかそこで芝居が始まっていたり、最後はキキちゃんとみねりちゃんが、ベッドから飛び出してきました。

宙組メンバーの適材適所の活躍

フラン役の天彩峰里ちゃん

妻子ある男性との恋に葛藤する女性の心を、上手に表現されていました。
自殺未遂に至りながらも、それを乗り越えて生きていこうとする熱さも。
まだ少し悩んでいるような面も見受けられたので、今後さらに進化していかれるだろうと思います。

2019年2月3月に、芹香斗亜さん主演のヒロインをつとめた『群盗-Die Räuber-』がスカイステージで放映されていましたが、その当時と比べて、芝居力がう~んとアップしたように思います。

美しい歌声は本当に素晴らしいです。
沢山のナンバーを披露されていましたが、『群盗』の頃はただ美しく歌っていただけでしたが、現在は難しい心情の変化を豊かに歌声で表現されていました。

シェルドレイク役の和希そらさん

次々と愛人を乗り換えていく超モテモテ設定の人事部長のシェルドレイク。

「夢千鳥」で、醸し出される色気に驚きましたが、今回のシェルドレイクから漂う男の色香はそんなものではありません。
スーツがとても似合っていて、ダンディで、顔だけでなく、立ち姿、歩き方、構え方、目線など、何から何まで色気にあふれていて超絶格好良かったです。

人事部長という立場の時の威圧感のある声と、女性に愛を語る時の声が違います。
愛人であったフランも、騙されていると気づいていても、甘い声で愛を語りかけられたら、ズルズルと抜け出せないでいましたが、その気持ちに共感できました。

「結婚」をにおわせながら愛人に愛を語り、家庭はしっかり守っているズルい男「女の敵」ですが、そのことにむなしさを感じながらも続けてしまう男のサガも感じました。

『シャーロック・ホームズ』 のレストレード警部では、太いもみあげが格好良さのあしを引っ張っていましたが、ストレートに直球で格好良さを表現したら、ここまでの破壊力があるイケメンなのだと感動しました。

シェルドレイクの低音ボイスの歌声もとっても素晴らしかったです。
チャックと粋に歌う場面もありました。

今回シェルドレイクは、踊るシーンがほとんどありませんでした。
歌唱力だけでもずば抜けているそら君。
雪組でも大活躍されることでしょう。

留依蒔世さんの存在感が抜群

1幕は役としての出番はありませんでしたが、アンサンブルとしてほぼセンターで踊られていました。メガネをかけた会社員だったり、雰囲気が独特なのでその存在感に視線を奪われました。

2幕冒頭のクリスマスイブの酒場では、マージ役で登場。(愛海ひかるさんの代役)
ソバージュで下着のような露出度の高い服にふくろうの毛皮を羽織ったセクシーでワイルドなマージは、「こんな女性見たことある」という、とってもリアリティ感がありました。
色気と強さがあって弾けていて、歌もバッチリでした。ソプラノもアルトも聞かせてくれます。歌はさらに進化されそう。
マージが怒って去っていく時に、勢い余って階段を踏み外しそうでドキッとしましたが、この勢いの良さは男役さんならではでしょう。

愛海ひかるさんの休演は残念でしたが、今後留依さんの役幅は広がっていくかも。

その後しばらくして、リーゼントで強面のフランの兄カールとして登場。
夜家に帰って来なかった妹のフランは、チャックにそそのかされたと勝手に思い込んで、怒り心頭でチャックのアパートにやってきます。
迫力満点で、チャックに殴りかかって、チャックは気絶に近い状態になってしまいます。

全く違う2役を演じてこその面白さも感じました。
キキちゃんはカールが登場した時に、「どこかで会ったことがある」というアドリブを入れていました。
このあたりのアドリブ、今後もっと面白くなっていくことでしょう。

最後のご挨拶では、カールの格好で、マージの毛皮のコートを羽織っていました。
あーちゃんも存在しているだけで、とっても味がある愛すべき雰囲気を醸し出されています。

隣人の医師のドレファス役の輝月ゆうまさん

専科生として初出演ですが、包み込むような温かい存在感は、特別でした。
キキちゃんとのユーモアのある絶妙な掛け合いを見せてくれ、短いですがソロ歌唱もあり、やはり歌もとってもお上手でした。
芸達者な輝月ゆうまさんは、今後も様々な組で活躍されるだろうなと思いました。

鍵を借りる重役の男性4名

浮気の情事のことで頭がいっぱいの「重役」という肩書の4人の中年・初老オヤジたち
とてもスケベ感があふれていて、この4人の醸し出す「男性のイヤラシサ」はスミレコード違反かも?と思う程、お上手でした。

その中でも抜群だったのは、
エッド……若翔りつ(99期)
不倫相手は、シルヴィア役の花宮沙羅(102期)

若翔りつさんのエロさは、本物の男性としか思えないほどでした。
そしてその相手役の沙羅ちゃんには、マリリンモンローのように演じてと先生の指導があったそうですが、とっても色気があふれていて、このカップルの何とも言えないエロさは一番でした。

このエッドとシルヴィアコンビだけは2幕も登場するのですが、シルヴィアのパワーはスゴイです!
若翔りつくん、花宮沙羅ちゃんは只者ではありません。

・ヴァンダーホフ……紫藤りゅう(96期)
不倫相手は、ナースの春乃さくら(102期)ちゃん。
春乃さくらちゃんは歌上手で有名ですが、紫藤さん相手にとっても色っぽい演技がお上手でした。

マイク……松風輝(92期)
不倫相手は、106期の風羽咲季ちゃん。濃いピンクのスーツにショートカットで、際だつ美人。
106期の文化祭のお芝居のヒロインを演じた渚ゆりちゃんと共に二人とも宙組配属になって、前回の公演では渚ゆりちゃんがリードしていましたが、今回は風羽咲季ちゃんの方が1歩リードかな。
副組長さん相手に怒っている姿が可愛かったです。(内心はドキドキだったかも?)

アイクルバーガー……澄風なぎ(99期)
「4人の重役」の1人として登場しますが、不倫相手とのシーンは無かったです。
澄風さんも同期の若翔りつさんに負けないイヤラシサがありました。

「4人の重役」が一緒に登場するシーンは何か所もあり、ナンバーも数回あったと思います。
この4人の存在が、この作品を大人っぽく人間ぽくしています。

シンガー3人
シンガーとして、次の3人が活躍していました。
・春乃さくら(102期)
・朝木陽彩(104期)
・美星帆那(105期)

風向日向くん(102期)は、バーのマスターとして少し目立つシーンがありましたが、ほとんどはアンサンブルとしての出演でした。
若手の中では、身長も高くお顔を覚えているので、目が引かれます。

素敵なナンバーがいっぱい

バート・バカラックの軽快なメロディーが、この都会的なコメディを盛り上げていました。

どこかで聞いたことのある、耳なじみの良い、バート・バカラックの楽曲が、この「プロミセス、プロミセス」からたくさん誕生していると言われています。

芹香・天彩コンビがギターを抱えて「恋よ、さようなら」 (I’ll Never Fall in Love Again)を歌っていましたが、この曲が一番馴染みがあり、「プロミセス、プロミセス」から生まれていたのですね。

宙組は歌ウマメンバーが揃っているので、コーラスも美しかったです。

歌ウマ兵庫県出身チーム

・芹香斗亜……兵庫県神戸市
・天彩峰里……兵庫県宝塚市
・輝月ゆうま……兵庫県神戸市
・留依蒔世……兵庫県尼崎市

・和希そら……兵庫県のお隣 岡山県出身

主要メンバーに歌ウマさんが勢ぞろいなのも、珍しいですが、さらに兵庫県出身者が揃っていることが、嬉しかったです。
無理やり和希そらさんも、兵庫県関係者に入れました。

宝塚歌劇団は、関西の劇団なので、私がファンになった昭和のベルばらの頃は4組のトップスターは全員関西ご出身でした。
それが現在はトップスターに関西の出身者はいません。
紅ゆずるさんが最後でした。

そのためにも、キキちゃんのトップ就任を待望しています。

配信も円盤化も無いの?

まだ発表が無いということは、配信は無いのでしょうか?円盤化も?

2015年6月7月の紅ゆずるさん主演の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』も、円盤化されず、音源も販売されませんでした。
しかし紅さんのサヨナラショーでは、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』からの歌が数曲披露されました。
そのサヨナラショーは、「ラストデイ」としても販売されています。

版権についての詳しいことは、よくわかりませんが、先ほど書いた「恋よ、さようなら」 (I’ll Never Fall in Love Again)は、とても馴染みのある曲です。CMでもBGとしても放送されています。
1曲としての版権は大丈夫だけど、作品としてのものは難しいのでしょうか?

2019年の雪組『20世紀号に乗って』は、「ルサンク」のみ販売されました。
コロナ禍前ですが、トップスターが出演する別箱公演の映画館でのライブ中継は、当時でも行われていました。
「ライブ中継」を期待していましたが、ブロードウェイ・ミュージカルということでダメで、さらに円盤化もされないということになりました。
望海さんが千秋楽で、円盤化されないので、「皆様の心に残して、伝えて行ってくださいね」と仰っていました。

タカラヅカニュースで、初日と千秋楽映像が少しだけ放送されましたが、その後は静止画のみになりました。
『プロミセス、プロミセス』もそれと同じなら残念ですね。
初日と千秋楽映像が少しでも放送されるなら、それを保存しておくと良いでしょうね。

幻の芹香斗亜さん主演作
新人公演初主演「愛と青春の旅立ち」…版権NG
バウ初主演「フォーエバー・ガーシュイン」…版権NG

キキちゃんの新人公演初主演とバウ初主演は、版権の問題で円盤化されていません。
3回目の東上公演「プロミセス、プロミセス」も、そうなるのか?

こんなに素晴らしい作品が、限られた観客の観劇だけで終わってしまうのは残念です。

初日の感激をお伝えできたらと思って書いていたら、今回も超長文になってしまいました。

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