雪組新人公演感想『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
こんにちは、くららです。
雪組大劇場新人公演を観てきました。
独断と偏見にみちた感想を書きます。

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「こんな難しい公演の新人公演はどうなるのだろう?」と本公演を観るたびに勝手に心配していましたが、「ノープロブレム!」
前回の「壬生義士伝」の時にメンバーの実力の高さに圧巻されましたが、同じ感動を味わいました。
今回は99期が最後の新人公演ということで、余計にジーンとするものがありました。

新人公演担当は竹田悠一郎先生

前回「宙組オーシャンズ11」、雪組『ファントム』も担当されています。
月組「グランドホテル」で新人公演担当デビューをされてました。
最近は女性演出家の先生が多い中、男性演出家として新人公演のたびに存在感を感じさせてくださっています。

テンポのある演出
1幕の「少年期」がほぼバッサリカットされていたり、ところどころにも変更点を感じました。
しかしプロローグの男役のスーツで踊り歌うところは残して下さっていたり、「魅せ場」を心得てくださっていることが嬉しかったです。
「阿片幻想」シーンでは、マックスは火傷だらけで、コックアイとパッツィーも顔に怪我をしていることが本公演と違い、より伝わるものが深かったように感じました。

そのうち竹田悠一郎先生も、バウホールデビューされるのではないかと思います。
なんだか楽しみな先生です。

主要メンバーの活躍際立つ

本公演でも主要メンバーの活躍で構成されていますが、新人公演ではより5人(特に男役3人)の実力が素晴らしく輝いて感じました。

ヌードルス…諏訪 さき(望海風斗)

新人公演のプログラムには、
「ミュージカルナンバーは望海さんが歌われるからということでとても難しいのですが、自分の苦手な音域等、少しでも克服できるようお稽古を積み重ねたいです」と書かれていましたが、全く苦手など感じさせない、伸びやかな歌声で1曲、1曲感動を届けてくれました。
相当練習に励まれたのでしょうが、本番で素晴らしい結果を披露される力に感服しました。
お芝居の力も素晴らしく、卓越した表現力で引き込まれました。
話題の1幕ラストの薔薇のシーン、望海さんとは受ける印象がちがう、別の感動がありました。

望海さんの存在感が本公演を締めているように、すわっちの安定した存在感が新人公演全体を上昇気流で締めていたと思います。
新人公演最後の公演を「素晴らしい実力を証明する主演」で終えられたことを、とても嬉しく思いました。

ご挨拶をされている途中で、感極まって涙で声が詰まってしまう姿を見て、やり切った充足感でいっぱいなのだなぁと感動しました。
でもその後には、「東京公演に向けて今すぐにでも稽古をしたい」という発言まで飛び出して、真面目さ、ストイックさに驚きました。
そこまで上を目指していく姿勢をもっているから、素晴らしい結果を残されたのだなぁと思いました。
東京の新人公演は、さらに素晴らしいものになるのでしょうね。

マックス…縣 千(彩風 咲奈)

昨日ラジオ「ビバ!タカラジェンヌ」に出演して、新人公演への熱い意気込みを語っていましたが、「全力投球」で本気でぶつかっている勢いがすごくあって、貫禄一杯でスケール感がある「大物」を感じます。
狂気に満ちた迫力満点の迫真の演技が、最後は哀れを誘ってジーンと来ました。

本役の咲ちゃんとタイプが全然違うので、あがたくんは粗削りではありますが、マックス役に合っているように思いました。
本役で「少しとぼけたパッツィー」を熱演していますが、その延長線上で演じたマックスがうまく昇華したという印象をもちました。
メイクや髪型も工夫していて、スーツの着こなしも綺麗で格好良く、研5ながらも、研1から抜擢されつづけているので、「ベテラン」という年季が感じられます。
プロローグのダンスは、キレが良く飛びぬけています。
歌はまだ「ガンバリましょう」ですが、芝居力でそんなに気にならなくなっています。

ジミー…彩海 せら(彩凪 翔)

声も良く通り、善人にしか見えない美形の顔立ちの可愛い笑顔の下に「野望」があるという意外さがピッタリで、それを上手に演じていて、壮年期のとんでもない悪い男を、サラッと演じられる演技力には、脱帽!
巧みに老化していたこともビックリ。
歌が上手で聴かせる歌唱力があることと勘の良い台詞回しが流石で、実力と努力の人だとも思います。

「少年」が良く似合う、いつものあみちゃんでは全然なく、只者ではない存在感というか大物感をとても感じました。
そのあたり縣君に通じるものと同じで、雪組には101期に縣君、102期にあみちゃんがいることで、安定感を感じます。

デボラ…潤 花(真彩 希帆)

真彩ちゃんの役をするのは3回目だそう。
流石に歌は「真彩ちゃんがお手本」だと難しかったでしょう。
お芝居が丁寧で心情が伝わってきます。
「ハリウッド・ゴシップ」で女優さん役を演じたばかりなので、なんとなく重なる印象もありましたが、大女優然として好演していて、大人っぽい役が似合うと思いました。華やかで首が長いのでドレスが良く似合います。

キャロル…彩 みちる(朝美 絢)

キュートで色気もあって、娘役ならではの可愛いキャロルだったので、キャロルは娘役の方が合っているかな?と思いました。
あーさのキャロルも十分魅力的ですが、男役11年の経験値は隠せず、やはり男役の演じる娘役さんなので。
歌はやはりあーさの方がお上手。
男役さんの演じる娘役には迫力や華やかさなど、ならではの素晴らしさもあるので、比較することは適していませんね。
2人とも「芝居心」があって、お芝居上手だというところは共通点です。

その他の出演者たち

ファット・モー望月篤乃(奏乃 はると)
味わい深いお芝居をされていましたが、やはり美形が目立ちます。

コックアイ…眞ノ宮 るい(真那 春人)
ハーモニカが上手でしたが、本役の真那春人くんのような味わい深さが残らなかったかな。
ダンスはキレがあってやはり上手でした。

パッツィー…一禾 あお(縣 千)
明るさが一禾くんの特徴だと思いますが、その明るさを突き抜けた個性がいきていました。

ニック…星加 梨杏(綾 凰華)
眼鏡で人の良さそうな好青年ぶりが良かったです。
100期生のホープの1人として、次にはもう少し大きな役がついたらいいなと思います。

「充実している雪組」と言われますが、新人公演も本当に充実していると感じます。
しかし今回は「活躍する場」が限られていて、役不足の人も多かったことが、少し残念に思いました。

この充実している雪組に、今年中に「転換期」が訪れるのでしょうか?
続く新人さんも育ってきているので、次の別箱公演、全国ツアー、本公演では、もっともっとみんなが活躍できる場所が与えられるといいですね。

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