トップスターより結婚「熱愛のカルナバル」から感じたこと
こんにちは、くららです。
昨日OGのラテンコンサート「熱愛のカルナバル」のことを書きましたが、今日はその中で私にはとても感動的だった「高汐巴さん(ペイさん) 寿ひずるさん(イーちゃん) 峰さを理さん(みねちゃん)の58期生の同期」のエピソードを書きたいと思います。

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ビバ!サンバカトリオ!!

初日は歌を披露のついでに軽いごあいさつ程度だったのですが、日曜日の夜の3回目は、各自のトークの時間が増えて、関西出身のジェンヌさんが多いので漫才や漫談を聴いているような楽しいものでした。
ペイさんのトークに、みねちゃん、イーちゃんが出てきて

「お待たせしました。三馬鹿トリオです!」と3人の楽しいトークが始まりました。

3人は1972年初舞台の後「バンビーズ」に選ばれて、関西テレビの「ザ・タカラヅカ」に毎週出演するために舞台はお休みしていました。(当時の有望新人が選ばれていました)
そして研2の4月、星組に配属になって、「同期生トリオ」として売り出されて、注目を浴びていきました。
9月の『この恋は雲の涯まで』新人公演で峰ちゃんが主役源義経、主要な3役をこの3人を演じるなど、当時としてもそれまでに例のない早期抜擢でした。

峰ちゃんは星組で新人公演主演を10回務め、「星組の御曹司」としてた大切に育成され、後に星組トップスターに就任しました。

イーちゃんは、1974年花組へ組み替え。『ベルサイユのばら』の小公子などでフェアリー型男役として活躍したのをはじめ、1978年宝塚バウホール開場第一作『ホフマン物語』の新人公演でホフマン役を演じるなど、「ホープ」として活躍。
1980年、雪組に組替えして、新トップスター麻実れいさんの下で2番手スターに。トップ娘役遥くららさんと3人で「ゴールデントリオ」と称され人気でした。

イーちゃんの昇進に合わせて組み替えし続けたペイさん

ペイさんは、1975年雪組へ組み替え。トップスターが汀夏子さんでペイさんとはタイプが違ったため、なかなか新人公演の主演に恵まれず、『ヴェロニック』でのバウホール初主演の方が先で、1979年1月『春風の招待』新人公演初主演。(研8)

1980年 イーちゃんが雪組2番手になるので、ペイさんは雪組から花組へ異動。松あきらさん、順みつきさんのダブルトップの下で活躍。

1982年 イーちゃんが花組トップスター内定のため、ペイさんは雪組へ異動。雪組2番手に。

しかし10月、突然、イーちゃんが歌舞伎役者坂東八十助氏(故坂東三津五郎氏)との婚約を発表し、12月31日での退団が決定。
花組組替え後初公演の『夜明けの序曲』(東京公演のみ・松あきらの退団公演)を最後にトップスターになることなく宝塚歌劇団を退団されました。
宝塚大劇場でお別れができなかったことは、残念に思っていらっしゃったそうです。

1983年 イーちゃんの突然の退団のためペイさんは花組へ異動。順みつきさん退団公演『霧深きエルベのほとり/オペラ・トロピカル』に出演。

1983年8月、バウホール公演『マイ・シャイニング・アワー』ペイさん主演。新生花組スタート
ラテンコンサートでは、この時の「アモール」を歌われました。

1983年9月、ペイさん『紅葉愁情/メイフラワー』で花組トップお披露目。

ペイさんの話では、「あなたはトップスターですよ」という話は劇団から一度も無かったそうです。

私はペイさんが雪組に異動したばかりの、やんちゃな頃からのファンでした。坊主頭に近いスキンヘッドにされたこともあったのですよ。
歌劇誌の「絵と文」での個性的な記事とか、岸香織さんの「聞いてちょうだいこんな話」に良くペイさんが登場して、「うそぶきペイ」と書かれていました。
その独特な個性は、その頃から現在まで健在です。
まさかトップスターさんになられるとは思っていませんでした。

短い期間に、雪組→花組→雪組→花組という異動に、ファンとしては翻弄されましたが、実に楽しいファン時代でした。

在団中に有名芸能人との婚約発表は前代未聞では?
順みつきさんはダブルトップ時代を経て、1作だけ単独主演で退団されましたが、当時は、トップスターは5年程就任されるのが通常でした。
イーちゃんは結婚相手を待たせるのが申し訳なくて、トップスター就任直前で退団の道を選ばれたのでしょう。

歌舞伎の世界に嫁がれて、頑張っていらっしゃいましたが、1997年に離婚されて、芸能活動を復活されました。
何かの時に「トップスターを経験しとけばよかったわ」と仰ったことも聞いたことがありますが、ラテンコンサートのトークではお孫さんがいらっしゃることを話されていました。
ペイさんと峰ちゃんは独身を貫かれているので、家族が増える道を選択されたことも良かったことでしょう。お二人は羨ましがっていらっしゃいました。

寿ひずるさんの涙

寿ひずるさんは、「シナーマン」を熱唱されました。素晴らしい迫力のある歌声でした。同期の髙汐巴さんと峰さを理さんがコーラスをされていました。
歌唱中に感極まった寿さんの歌が、一瞬止まった時もありましたが、気合を入れなおして素晴らしく歌い上げられました。

プロデューサーの高橋正人氏のTwitterによると、同期のふたりがコーラスに加わることは急遽決まったようで、そのことで歌唱中に寿さんは感極まって、歌い終えて袖にもどる時には、峰さんの腕にすがって声を上げて泣いておられたそうです。

イーちゃんに続いて、ペイさんがステージに登場されて、「キサス・キサス・キサス」と「アモール」を歌われました。

ペイさんが歌っている間も、イーちゃんは峰さんの腕の中で泣いておられて、
「ほら、ペイが歌い終わるよ」
と峰ちゃんがイーちゃんにやさしく声をかけられたそうです。

その後、同期3人の時が楽屋で持たれたことでしょう。

この3人が一緒に舞台に立たれたのを観たのは、2001年4月『桜祭り狸御殿』梅田芸術劇場(当時は「飛天」と呼ばれていました)以来です。
最後は、鳳蘭さん&汀夏子さん、瀬戸内美八さん&いーちゃん、ペイさん&森奈みはるさんさん、峰ちゃん&麻乃佳世さん、そして美吉左久子さん&大路三千緒さんのハッピーカップルが誕生して楽しい大団円で幕を下ろしました。
新専科の現役生、紫吹淳、匠ひびき、初風緑、汐風幸、伊織直加5人も二部のオープニングに出演して歌っていました。
約20年前ですが、それから宝塚も世間も様変わりしました。令和という新しい元号にもなりました。

イーちゃんの元旦那様の坂東三津五郎氏は、2015年2月21日、膵臓癌のため59歳という若さでご逝去されました。
トップスターになったペイさん、峰ちゃんとは全然違う人生をイーちゃんは途中から歩まれてましたが、また同期がそろって同じステージにたっていることに、万感の思いがあったことでしょう。

昨日のブログに、生死をさまよう大病から生還されてすばらしい歌声を聞かせてくださっている安奈淳さんのことを書きましたが、「何かを乗り越えた人」の強さをイーちゃんにも感じました。
イーちゃんだけでなく、OGさんたちお一人ひとり、順風満帆に歩んでこられた方はいらっしゃらないでしょう。ファンだってそうでしょう。
長く人生を刻んできた方には、それだけ感じさせてくれる何かを持っていらっしゃると思います。

現在宝塚大劇場で上演している雪組「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」のテーマは人生の哀愁。人生のアイロニー。
何十年という長い人生を歩んでいると、人生に勝者とか敗者とかなく、幸せの分量なんかもなく、人生とはそういうものだということがなんとなくわかってくる、というようなことを小池先生はプログラムに記されていました。

今回の「熱愛のカルナバル」を通しても、小池先生の仰っていることに通じることを感じました。

そして、人それぞれ様々な人生を歩みながらも「宝塚」という変わらないものがあることは、有難いことだと思います。
そしてタカラジェンヌには「宝塚」という原点の先に「同期」という深い濃い繋がりがあることもうらやましいと思います。

宝塚の現役生について思うこと

宝塚はどこよりも序列の世界で競争原理が働いています。
タカラジェンヌご本人たちよりも、それを応援しているファンの方たちにさらにそれは顕著で、劇団はその心理を巧みに操っているような気もします。
現在はスター候補がひしめいていて、何とか応援しているスターに0番に立ってもらいたい、トップ羽根を背負ってもらいたいというファン心理は良くわかります。

寿ひずるさんにも、応援していたファンは沢山いらしたと思います。
トップスターを目の前にして「結婚退団」されて、ファンの方々のお気持ちはどうだったのだろう、と思います。
私がファンだったペイさんは、イーちゃんの退団によって、ペイさんご自身が「棚からぼたもち」と言われたような突然のトップ就任だったので、ファンとしては嬉しい驚きでした。
その前にお茶会で意思表示されたことがあって、ペイさんのお気持ちも変わったことを感じていました。

今回のラテンコンサートに全回出演されていた姿月あさとさんも、トップスター就任は本意では無かった中、請われて就任されて大人気の中あっさりと退団されてすぐにご結婚されました。

現在でも、トップスターに執着の無いスターさんもいらっしゃるでしょう。
美弥るりかさんも、【週刊文春WOMAN】での対談記事を読む限りは、トップスターを目指すお気持ちでは無かったように感じました。

イーちゃんとペイさんの38年前のことを思い出して、現役のスターさんたちに思いを馳せました。

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