美弥ちゃんと涼風真世さんとやりきった感
前回美弥ちゃんの「宝塚おとめ」の素敵な写真に触れましたが、今回は「演じてみたい役」について触れてみたいと思います。

「宝塚おとめ」の2014年版から2018年最新版まで、美弥ちゃんが演じてみたい役としてあげてきたものは、

『ロスト・エンジェル』メフィストフェレスです。それ以前は「色々な役を演じてみたいです」とか「どんな役でも挑戦してみたいです」と書かれていました。


『ロスト・エンジェル』メフィストフェレス
とは、1993年 涼風真世 主演のバウホール・退団公演での涼風さんの役です。(1993年5/30〜6/12)
涼風さんの退団公演の宝塚大劇場での「グランドホテル」と東京宝塚「グランドホテル」の間にバウホールで公演されたものです。

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『ロスト・エンジェル』は小池修一郎氏の「天使と悪魔」の作品

悪魔にだまされた天使のメフィストは人間界に行って、嫉妬や憎悪のある人間と契約を交わしては、悪魔にしていました。
天使のようなアンジェラ(麻乃佳代)と出会ったメフィストは、アンジェラと恋に落ちたマイク(天海祐希)の心の隙に入って、悪魔の契約を交わします。

しかしアンジェラがマイクをかばって悪魔との契約を交わそうとするため、アンジェラを好きなメフィストは
「天使は悪魔になってはいけない」と言って、二人を助けます。
もともと天使だったメフィストは、大好きなアンジェラを自分と同じ目にはあわせたくなかったという、愛の物語。
ラストにメフィストにも羽根が突然現れて、天使に変身という落ちがあったそうです。

悪魔をイメージしての涼風真世の黒服、黒髪の長髪が格好良く、マイケル・ジャクソンのような雰囲気も漂わせていました。

宝塚での「エリザベート」上演のきっかけになった作品

92年にエリザベート初演がウィーンで行われました。
小池修一郎氏がウィーンを滞在中に、現地のCDショップで店員からおすすめとして購入したのが現地の「エリザベート」のCD。
それを聞いた小池氏は、それらの楽曲をとても気に入って、ウィーンの関係者に頼み込んで楽曲の使用の許可を願ったそうです。
その結果、4曲だけ使用の許可が下りて、それらの楽曲4曲をを使って作られたのがこの93年に上演された「ロスト・エンジェル」です。
この作品の成功が、96年の雪組の「エリザベート」の上演に繋がったといわれています。

現在宝塚は「エリザベート」を上演するための契約を結んでいるため、その前の試作であった『ロスト・エンジェル』は契約上再演することができないようです。
美弥ちゃんのやってみたい公演は、今や幻の公演なのです。

美弥ちゃんもそれがわかっていながら、ずっと「宝塚おとめ」にあげ続けていたのは、涼風真世さんへの『リスペクト』『あこがれ』だと思います。
涼風真世さんは、フェアリー的な独特の男役像をつくり、美弥ちゃんにもそれに通じるフェアリー的な魅力があります。
そういう点で涼風真世さんそのものが、ファンとしての憧れであり、かつご自身の男役像としての憧れだったのでしょう。

美弥ちゃんと涼風真世さん

美弥ちゃんが小学3年生の時に、テレビで月組公演『川霧の橋/ル・ポアゾン 愛の媚薬』を観て、ショーの涼風真世に魅了され、宝塚の世界を知ったそうです。
初観劇は、月組宝塚大劇場公演『PUCK/メモリーズ・オブ・ユー』。それ以降東京宝塚劇場で観劇する際は、涼風さんの楽屋の入り出待ちをしていたとか。

涼風さんの役というと、
2013年5月、『ME AND MY GIRL』(梅田芸術劇場メインホール)で、ジャッキーとジェラルドを凪七瑠海と役替わりしていました。
ジャッキーは涼風さんが若手の頃に演じていた役です。

2014年9月~12月、月組で涼風さんの代表作である『PUCK』を上演しました。美弥ちゃんは涼風さんの役ではありませんでしたが、久世星佳さんが演じたダニエル役でした。
その前、7月~8月、『THE KINGDOM』(ドラマシティ、日本青年館)で、凪七瑠海とW主演でヘアフォール伯爵を演じました。
W主演するほど番手があがってきたので、2014年4月発売の「宝塚おとめ」から、美弥ちゃんの演じてみたい役は『ロスト・エンジェル』メフィストフェレスと書かれるようになりました。
演じてみたい役が主演なので、主演が射程範囲になるまで、明らかにすることを遠慮していたのかな。
「涼風真世さん」という目標を明らかに示せる自信がついたのかな、と勝手に妄想しています。

2017年1月~3月、新生月組の2番手として『グランドホテル』で涼風さんの退団公演のオットーを演じました。
涼風真世さんのファンで、目標としていた美弥ちゃんにとって、退団公演で演じられたオットーを演じると言うことは、最高の喜びだったと思います。
この公演の前には、美弥ちゃんは涼風さんからスカイステージで声をかけてもらって、大感激・興奮していたのを覚えています。
美弥ちゃんながらの最高のオットーを演じて、大絶賛をあびました。

今日の大劇場千秋楽の「サヨナラショー」でも、グランドホテルのシーンがあったようで、美弥ちゃんの思いが伝わってきますね。

2018年8月~11月、『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフを見事に演じられました。
先にも書いたように、美弥ちゃんが憧れつづけた『ロスト・エンジェル』では、エリザベートの代表的な楽曲が4曲使用されています。
直接涼風さんとは関係ありませんが、それらの楽曲にふれながら「涼風真世」さんへの思いがあったでしょうね。

スカイ・ステージ・トーク リクエストDX「涼風真世・美弥るりか」が実現

今年になって美弥ちゃんが涼風真世さんをリクエストしての対談が実現しました。(録画は昨年のものでしょう)
小さい頃から涼風さんの大ファンだった美弥ちゃんは、涼風さんの舞台の魅力や印象的だった役などについて熱く語っていました。
2017年の月組公演『グランドホテル』では、涼風さんと同じ役を演じることになって、あまりにもその公演を観すぎていたので、真似になってしまわないように気を付けたと当時を振り返って話されていました。
美弥ちゃんが涼風さんを見つめる目が、ファンと同じ乙女の目で、どれだけ好きなのか伝わってきました。

2008年4月、バウワークショップ『ANNA KARENINA(アンナ・カレーニナ)』でアレクセイ・カレーニンを演じました。
そして今年の1月、『Anna Karenina(アンナ・カレーニナ)』バウホールで主演のアレクセイ・ヴィロンスキー伯爵を演じました。
大変な人気公演となり、ライブビューイングで全国各地で上演されるほどでした。
美しく麗しく色気があり、儚い、「麗人」美弥るりかでしか演じることのできない見事なアレクセイ・ヴィロンスキー伯爵でした。

その千秋楽のごあいさつで、くららは美弥ちゃんの「やりきった感」を感じてドキリとしました。
そして後日退団発表となってしまいました。

最後のショー演出家の先生とも涼風真世さんつながり

今日千秋楽を迎えたショー『クルンテープ 天使の都』の演出家藤井大輔先生は、美弥ちゃんと同じ涼風真世さんの大ファンだそうです。
繊細で妖精のような雰囲気をもち、かつエキゾチックな風貌が魅力だと美弥ちゃんのことを評価されていました。
このショーの「一蓮托生」の珠城りょうとのデュエットダンスは、涼風さんをオマージュして美弥ちゃんとりょう君のためにつくられていたシーンだと思いました。

フェアリー的な男役の集大成として素敵な足跡が刻められたと思います。
このシーンでの薄いパープルの衣装が美弥ちゃんにとてもよく似合っていました。
大劇場千秋楽の入りのお洋服も、パープルのボウタイのついたブラウスに、ホワイトの袖のすそが広がったフェアリー的なジャケットをお召しになっていて、涼風真世さんに通じる美弥ちゃんの魅力にあふれていました。

今日のサヨナラショーでは、白色で、すそにかけて紫のグラデーションの素敵なお衣装だったそうです。
そして同期のかちゃ(凪七瑠海)から渡されたお花は、トップスターの珠城りょう君からのものと合わせると、また白と紫のグラデーションになる素敵な花束だったようで、様々なところでセンスの良さが光っていますね。

紫は美弥ちゃんカラーですね。「宝塚おとめ」を見ても、どの年のものにも好きな色に「紫」は、入っていました。
美弥ちゃんは「麗しき紫の君」ですね。

話が紫にそれてしまいましたが、「涼風真世」さんを通して美弥ちゃんの宝塚人生を追ってみましたが、「やりきった」という思いを抱いていらっしゃると思います。

退団に向けての各紙のインタビューを通しても、また美弥ちゃん自身の清々しい晴れやかな表情からも、宝塚でやりきった充実感をとても感じています。

今日もフェアウェルパーティーが終わるのは、明日になった時刻だと思いますが、あさって水曜日から「ディナーショー」がはじまります。
今日の「サヨナラショー」のお稽古も大変だったと思いますし、さらに「ディナーショー」のお稽古も大変で、全く休む間もないお忙しい毎日になることと思います。

お体に気をつけて、6月9日の大千秋楽まで美弥ちゃんの素敵さをファンにいっぱい注いでください。

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入団時から美しかった美弥ちゃん、美しさの変移