同じ轍を踏まない配慮の宝塚
こんにちは、くららです。
花組の宝塚大劇場での千秋楽は、「無観客」であったことを除くと、本当に良い千秋楽でしたね。
特にサヨナラショーが最高でした。
「華優希サヨナラショー」というタイトルでしたが、ご一緒に退団される瀬戸かずやさんに、トップスターのような見せ場が沢山ありました。
役がつかず苦闘した下級生時代の心境のメッセージを組長さんが紹介されました。
そんな中でも頑張り続けられた先に待っていた最後の雄姿が最高に輝いていました。

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華優希ちゃんも、当初は出番や役に恵まれない時があって、東上公演の「はいからさんが通る」のヒロインの紅緒に抜擢された後から、トップ娘役コースを驀進されていきました。
実力不足を批判する厳しいファンの洗礼を浴びていましたが、努力し続けた結果、及第点の歌やタップをサヨナラショーで披露され、華優希の宝塚人生の努力の集大成を見ることができました。お化粧の美しさは、本当に一人だけ群を抜いています。花組で伝承されていくと良いですね。
今日は、同じ轍を踏まないよう配慮されていると感じていることを、3つに絞って書いていきたいと思います。

2番手退団について

「2番手さんのサヨナラ公演」というと、2年前の3月~6月、月組の『夢現無双』『クルンテープ 天使の都』の美弥るりかさんの退団公演のことを思い出しました。劇場内の雰囲気があまりよくありませんでした。

2年前の月組

珠城りょうさんが月組トップスターに就任された『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』の時から、美弥るりかさんは2番手羽根を負って階段おりをされました。珠城さんより5期上の上級生2番手でした。
それから『All for One』、『カンパニー』『BADDY』、『エリザベート』 と4作上演された後
2019年1月に、バウホールで美弥さん主演の『Anna Karenina』が上演され、ライブ中継も行われました。(1月24日が千秋楽)

その5日後の1月29日の月組の集合日に、4名の月組生と一緒に、美弥るりかさんの退団が発表されました。
2019年6月9日(月組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団と。

月組の2番手に就任されてから、美弥さんは自己プロデュース力に優れていらしたので、麗しい男役像がファンの心を魅了し、ファンがドンドン増えて大人気になっていかれました。
そして、トップスター就任を熱望されるファンが多かったので、突然の退団発表は、衝撃的なものでした。

美弥さんクラスの人気スターさんが退団される場合は、他の退団者と同じ集合日ではなく、トップスターやトップ娘役に準じて、心の準備ができるはやめの発表が良いと思います。

宝塚大劇場と東京宝塚劇場の千秋楽に「サヨナラショー」が開催され、大劇場公演と東京公演の合間には、ディナーショーも開催されました。
これらの催しと、美弥さん主演『Anna Karenina』公演とライブ中継が、退団に向けての劇団からの餞別だったと思います。

しかし、退団公演の『夢現無双』が「宮本武蔵を描く」作品だったので、美弥さん演じる佐々木小次郎の役の比重が軽すぎました。
美弥さんのサヨナラ公演なのに、美弥さんの活躍をあまり見ることができず、ファンの方々はショックを受けられているようでした。ファンへの配慮が欠けていました。
ショー『クルンテープ 天使の都』は、2番手として美弥さんの見せ場はありましたが、ファンが望んでいたのは、もっと0番に位置するような最後の雄姿を見ることだったと思います。

今回の花組は、『アウグストゥス-尊厳ある者-』でも、ショー『Cool Beast!!』でも、瀬戸かずやさんは「2番手」以上の活躍をされていました。2年前にこのような至れり尽くせりの配慮があったなら、全然違っていたと思います。

ご贔屓ファンは、そのスターが0番で大羽根を背負ってスポットライトをあびる姿を思い描きながら応援されています。

2年前と同じ轍を踏まないよう、今回の花組では、最大の餞で飾られていたので、幸せに満ちていました。

下記のように、当時の小川理事長は、「出世ナビ|日経 STYL」で語っていらっしゃいました。

「どんな組織も同じですが、全員がトップになって卒業できるわけではないですよね。でも、トップではなくてもやりがいをもって舞台に立って、ここから巣立ってくれるようサポートしていきたいですね」引用:「出世ナビ|日経 STYL

今回の2番手退団の瀬戸さんへの餞は、理想的な2番手退団モデルひな型のように思います。

「2番手退団」というのは、たいてい「上級生2番手」の場合に起こります。
トップスターにとっても、お世話になった先輩が最高の餞を受けて卒業されていくことは、喜ばしいことでしょう。

演目の関係もあるので、必ずしも同じようにはできないでしょうが、そういう配慮があるか、が大切でしょう。

トップスターも、2番手も、トップ娘役も、また他の特別な位置も限られた人しか就任できません。
どの位置での退団になっても、スターもファンも満足して幸せに卒業していけることが最善ですね。

若手のトップスター就任について

珠城りょうさんは、研9年でトップスターに就任されました。
近年では、「天海祐希研7」に次ぐスピードでした。
新人の頃からの映像を見ても、はやくから出来上がっていて、男役らしい体格や容姿にも恵まれているので、期待されて早期就任の白羽の矢が立ったことは頷けます。

しかし「男役10年」と言われるように、経験値が男役を熟成させます。
現在研14の珠城さんは、今なお熟成され続けていて、まだまだ先が見てみたかったというのが私の本音です。もっと就任が遅かったら良かったのにとさえ思ってしまいます。
若くしてトップに就任されたことで、並々ならぬご苦労も多かったことでしょう。

トップスターには適齢期があり、「男役10年」を経て、「男役」が出来上がってからの就任の方が最善だと思います。

月組では、当初暁千星くんが、珠城さんに次ぐような早期抜擢を受けていました。
しかし途中から、突出された扱いは受けなくなりました。
学年にふさわしい位置で、実力と魅力とスター性を磨き続けて、熟成されています。

早期就任トップスター排出という、同じ轍を踏まないように、スターの育成が変わってきたと感じています。

事情優先の反感をかう人事

音月桂さんは、VISAのイメージキャラクターに就任していました。
そのため、当時雪組2番手だった彩吹真央さんが、トップスター水夏希さん退団の1作前に退団されました。
その後音月さんは、水さんの退団公演で1作だけ2番手を経験して、トップスターに就任しました。

この人事は、彩吹さんに人気があったため、ファンの大きな反感をかいました。
トップ就任1作目の「ロミオとジュリエット」のダブルの相手役が、当時騒がれていた期の研1さんの抜擢だったことも。
さらに『仮面の男』の作品が物議をかもしたことも。

音月桂さんは、歌唱力抜群の期待の男役さんでしたが、トップ就任後4作2年という短さで退団されてしまいました。
イメージキャラクターだったことを優先しての人事が、誰も幸せにしませんでした。
劇団の采配が悪かったと思います。

さらに当時、インターネットが普及して、情報が簡単に拡散されるようになりました。
ファンの心理を考えていなかった劇団の采配は裏目に出ていました。

花組の永久輝せあくんは、VISAのイメージキャラクターに2019年11月から就任しています。
ちょうどその時期に花組に組替しました。組替するだけでも大きなプレッシャーだったと思います。
それに誰からも羨まれる「VISAのイメージキャラクター」となったので、精神的にさらにしんどかったことでしょう。

そこで爆上げとなったら、もっともっと精神的にきつかったと思います。
まずは花組になじんでいくことが優先され、番手も上がらないスローペースです。

「VISAのイメージキャラクター」は、いつかトップスターになるであろうことは周知のことです。
しかし音月桂さんのように、2番手を退団でどかせてトップに就任するという、反感をかうようなやり方をすると、音月さんの二の舞になってしまいます。

現在、ひとこちゃんの2期上の「95期のスターたち」が重用されています。
その次に、スローペースで上がっていくことが、同じ轍を踏まないやり方だと思います。

なが~く宝塚を見てきていますが、最近の同じ轍を踏まない配慮をしている宝塚は良いなと思っています。

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