「散る」に意味ある?星組「斜陽の国のルスダン」
こんにちは、くららです。
次回の星組公演のお芝居のタイトルが、下記に変更になりました。

『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』
─並木陽作「斜陽の国のルスダン」より─

宝塚には「察してね」案件があります。
宝塚の情報は小出しに公表されていくので、明確な発表がある前に、察して心の準備をしていく場合があります。
スターの退団については、よくあることですね。

タイトル名が、トップ娘役が演じるルスダンから、トップスターが演じるディミトリになったこと。
「曙光に散る」とあるので、「トップスターの退団公演」と察している方がいらっしゃるとか?

私は「斜陽の国のルスダン」を読んでみました。
今回は何も察しなくても良い案件のように思いました。

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トップスターの退団発表時期について

トップスターの退団が正式に発表されるのは、前作(退団1公演前)の宝塚大劇場千秋楽の翌日が多いです。
最近では明日海りおさん(花組2019年11月24日退団)、龍真咲さん(月組2016年9月4日退団)、柚希礼音さん(星組2015年5月10日退団)、北翔海莉さん(星組2016年11月20日退団)、紅ゆずるさん(星組2019年10月13日退団)、朝夏まなとさん(宙組2017年11月19日退団)がそうでした。
状況によっては、違う場合も多くあります。
珠城りょうさん望海風斗さんの場合は、コロナ禍であったためイレギュラーでした。

私が記憶しているイレギュラーは壮一帆さんの時です。
壮一帆さんは、2014年8月31日に退団されました。
前作の東京宝塚劇場千秋楽が2月9日で、退団発表はその3日後の2月12日でした。
通常の退団発表時期に比べると大幅に遅かったので、不意を突かれたような感じでとっても驚きました。

しかも退団公演のタイトルは「一夢庵風流記 前田慶次」と「My Dream TAKARAZUKA」で、退団を察する文言が、どこにもありませんでした。
ポスターには「散らば花のごとく」というキャッチコピーが記されていて、退団感いっぱいでしたが、このポスターが公表されるのは退団発表があってからでした。

気になる礼真琴くんについて
もし退団されるならば現在上演中の『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』の宝塚大劇場の千秋楽が5月30日(月)だったので、その翌日の5月31日に発表があったはずです。

この公演の宝塚大劇場公演が3週間ほど調子になったためその影響があるかも?と言われているようですが、私は退団は無いと思います。

どの組よりも、組におけるトップスターとしての存在感がひと際強い礼真琴くんです。
ショー『Gran Cantante!!』は、礼真琴くんのワンマンショーに感じるほどです。
しかも星組では2番手が明確になっていません。

万が一退団されるなら、しっかりと次期体制への備えがされているはずです。
暁千星くんが月組より組替してきましたが、まだ2番手の経験をしていません。
組替後2作目でトップスターに就任ということは全く考えられません。

それに小説を読んで、今回のタイトル変更の意味が伝わってきました。

「斜陽の国のルスダン」

並木陽氏の小説「斜陽の国のルスダン」は、同人誌としてネット販売されていました。
本の価格が730円プラス送料が730円でした。
ちょっと高いなと思いましたが、Kindleの電子書籍で読むのは目が疲れるので、書籍を購入しました。

表紙の絵は歴史漫画を描いているトマトスープ先生作。
ルスダン女王をとても魅力的に描いていらっしゃいます。
ルスダン女王のまわりの各コマは、ストーリーをなぞっているよう。

ルスダンとディミトリ
当初この作品が上演されると発表された時は、並木陽氏の小説のタイトルそのままに、「斜陽の国のルスダン」(仮)と表記されていました。

この小説は表紙をルスダン女王が飾っているように、ジョージア王国の王女ルスダンが主役として描かれています。
人質として送られてきた隣国のルーム・セルジュークの王子ディミトリは、ルスダンと共に育ち、ふたりは互いに心を寄せ合っていました。

本来ならば王女と人質という関係の2人は結ばれる間柄ではありませんでしたが、ルスダンの兄のギオルギ王がモンゴル軍との戦闘に敗れてしまい、ディミトリがルスダンの夫となるようにと遺言を残して亡くなりました。

そしてルスダンは突如女王となり、侵略の危機におののくジョージア王国を背負うことになります。
ディミトリはルスダンの夫でありながらも、隣国のイスラム国出身ということで直接政治に関わることが許されず、ルスダンの良き相談相手として支えていきます。
しかしその後二人の仲が引き裂かれいって…。

宝塚では、主役はトップスターです。
そのため、ディミトリが主役なので、タイトルが ルスダンからディミトリに変更になったのは頷けます。

対になる言葉

【斜陽】
「斜陽の国のルスダン」
斜陽とは、西に傾いた太陽のことです。
夕日の斜めにさす光で、衰亡に向かっていることをあらわしています。
小説の冒頭に、ルスダンが後続にグルジアの運命を託して毒を煽ろうとしているシーンが描かれていました。「斜陽の国のルスダン」の姿そのものでした。

【曙光】
「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」
曙光とは、夜明けに東の空にさしてくる太陽の光です。
物事の前途に明るいきざしが見え始めた時に使います。

西に落ちる光の反対なので、【斜陽】【曙光】対の言葉とも言えます。

生田先生が対となる【曙光】をタイトルにつけられたことを「なるほど」と思いました。

曙光に散るとは

ディミトリは、ある事情があってルスダンに幽閉されてしまいますが、「ルスダンとその国のために生きる」決意は何ら変わりませんでした。
ジャラルッディーンに助けられて、ルスダンの敵方と行動を共にしますが、それは愛するルスダンのためでした。
ディミトリは最後にルスダンへの愛を貫いて、ルスダンとジョージアのために曙光となって散っていきます。そのディミトリの行動によって、ルスダンとジョージアは生き延びます。

そして、ディミトリの魂がルスダンの元へ帰還してきます。満開のリラの木の下でした。
ルスダンと目に見えないディミトリが触れ合っている所に、リラの花びらが後から後から降り注ぎ小説は終わりました。

紫の花とは

紫の花は、リラの花のことです。私たちの馴染みのある言葉を使うと「ライラック」です。
ジョージアの首都トビリシでは5月に、まばゆいほどリラの花が咲くそうです。
リラは4月~6月に開花する落葉小高木のことで、とても可愛らしい見た目をしています。

リラの花が咲くトビリシの5月からこのストーリーは始まりました。
そして、ストーリーの最後、ルスダンと目に見えない形で戻って来たディミトリが触れ合っている所に次から次に降り注いできた花びらも、そのリラの花びらでした。

リラの花で始まりリラの花で終わるストーリーのタイトルが「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」に変更になったことから、ディミトリとルスダンのラブストーリーであることがより明確に伝わってきます。

この公演で星組本公演デビューする暁千星くんの、は夜あけ、あけがたを意味しますが、今回のタイトルには何ら関係ないと思います。

配役について

この小説を星組の生徒さんたちを思い浮かべながら読むと、とっても面白かったです。

美貌の若き女王ルスダンに、舞空瞳ちゃんはピッタリです。ディミトリと別れて心まで冷たく凍てついた雪山の女王のようになって、人間離れした美しさは一層増すとか。そういう女王も似合いそうです。

ルスダンに愛を尽くす美青年ディミトリの礼真琴くんも、とってもイメージが湧きます。

ルスダンの兄で、妹思いで愛の深いギオルギ王は、瀬央ゆりあくんがイメージにあいます。

モンゴルへの抵抗に生涯を捧げた亡国ホラズムの王、英雄とも讃えられているジャラルッディーンは、浅黒い肌に口ひげをそろえ、背が高く精悍な体格で、気性が激しく武勇で、誰もが思わずひざまずいてしまうような圧倒的な高貴さをもったカリスマ性ある敵役とか。
黒い役が似合ってきている暁千星くんにピッタリの役のような気がします。

大きな裏切りを働いたディミトリに対して「ジョージアとホラズムに二重の裏切りを働いた貴公のことを、後の世の人は悪く言うだろう。だが貴公があくまでジョージアの王配として生きたこと、このジャラルッディーンが見届けた」という言葉かけをします。
懐の深い大物で、格好良い存在として描かれそうな気がします。

ルスダンを慕う、明るい栗色の髪と青い瞳の白人奴隷のミヘイルは、極美慎くん
イヴァネ・ザカリアンは、輝咲玲央さん
アヴァク・ザカリアンは、綺城ひか理さん
タマラ女王は、有紗瞳ちゃん

兵士や部下の役が多いので、男役さんには役がいろいろとありそうです。役がなくて困るのは娘役さんの方。

生田先生の作品は娘役さんの活躍率が低い傾向にありますが、華やかな活躍の場があったら良いなと思います。

見どころは?

ジョージアの民族衣装
ヨーロッパとアジアの文明が交差していたジョージアでは、東西のさまざまな影響を受けていて、それは民族衣装にも反映されて、独特な民族衣装が残っています。

これらの衣裳は、世界的なデザイナーや映画監督など芸術家のインスピレーションにもなったそうです。日本では、宮崎駿アニメの「風の谷のナウシカ」で登場する衣装のモデルとなったことでも知られています。

宝塚ではどのように舞台衣装として表現されるのか?ワクワク!します。

ジョージアのダンス
ジョージアンダンスの特徴は脚を休みなく動かし続けたり、跳躍しながら全身で回転したりする、目まぐるしい動きのダンスです。
あまりにも早く回転し、膝をついて回りながら立ち上がったりと、とにかく激しいダンスです。

礼真琴くん、舞空瞳ちゃん、暁千星たちが驚くようなダンスを魅せてくれそう。

結婚式のシーンや王宮から抜け出て祭りを楽しむシーンは、宝塚らしい華やかなシーンになると思います。

この作品は歴史に忠実に描かれています。時代に翻弄されて、本当に残酷だったと思いますが、ディミトリとルスダンは斜陽の国の中で、曙光を信じて懸命に生きていました。
苦しいストーリー展開ですが、宝塚では素敵なラブストーリーとして楽しませていただけるだろうと期待しています。

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