こんにちは、くららです。
宙組で絶賛上演中の『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』。
様々な感想がありますが、1本物ではなく、この作品とショーの2本物だったら、ファンの受け止め方も変わっていたのではないかと勝手に思っています。
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1本物の退団公演について
退団公演が1本物というのは、2006年の宙組の和央ようかさん退団公演『NEVER SAY GOODBYE』以来17年ぶりのことでした。
昭和のベルばらの頃から見ている私のような古いファンは、「大スターは特別な1本物作品で退団していく」という固定観念が残っています。
過去の1本物退団公演について振り返ってみたいと思います。
私が宝塚を観るようになったのは昭和の「ベルばら」からなので、その時からのものを記しています。来年は「ベルサイユのばら」50周年と言われています。
ということは、「私は50年間宝塚を観ているのか。半世紀も!」とブログを書きながら改めて思いました。
ベルばら4強の退団公演
花組 安奈淳さん『風と共に去りぬ(スカーレット篇)』(1978年)
脚本・演出 植田紳爾。(原作マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』)
1974年の『ベルサイユのばら』の大当たりを受けて、植田紳爾先生の大作第二弾として宝塚版『風と共に去りぬ』が各組で上演されました。
上演前には「トップスターが髭をつける?」という大髭論争がありました。
1977年に『風と共に去りぬ(バトラー篇)』(月組、星組)で、榛名由梨さんと鳳蘭さんが主演のバトラーを演じられ、1978年は『風と共に去りぬ(スカーレット篇)』(雪組、花組)では、汀夏子さんと安奈淳さんが主演のスカーレットを演じられました。
小柄な汀さんと安奈さんは、トップスターでありながらスカーレット役でした。劇団はこの公演で安奈淳さんが退団することは想定外だったと思いますが、研13の安奈さんは退団を選ばれ、退団後すぐに外部の舞台で活躍されるようになりました。
「えっ女役で退団?」とファンには衝撃が走りました。なかなかシュールな展開でした。
雪組 汀夏子さん『去りゆきし君がために』(1980年)
作・演出 植田紳爾。
退団する汀夏子さんのためにつくられたスペインもの作品で、最後次期トップスターの麻実れいさんの腕の中で、汀さんが命をひきとりました。「アディオス」という言葉をこの公演で覚えましたよ。
星組 鳳蘭さん『白夜わが愛』(1979年)
脚本・演出は植田紳爾。(原作は五木寛之氏「朱鷺の墓」)
鳳さんはこの公演前に専科に異動されていましたが、星組のこの公演で退団されました。
専科 榛名由梨さん 星組『戦争と平和』(1988年)
1982年、大地真央さんに月組トップを譲る形で専科へ異動されました。
榛名さんは星組トップ娘役の南風まいさんと一緒に『戦争と平和』が退団公演でした。
脚本・演出 植田紳爾。(原作トルストイの『戦争と平和』)
それ以降の1本物退団公演
花組
★松あきらさん『夜明けの序曲』(1982年)
作・演出 植田紳爾、酒井澄夫。
それ以降、1983年に退団された順みつきさんから、2019年に退団された明日海りおさんまで、1本もので宝塚を卒業していった花組トップスターはいらっしゃいません。
月組
★涼風真世さん『グランドホテル』(1993年)t
脚本:ルーサー・ディヴィス
演出:トミー・チューン/岡田敬二/ニキ・ハリス
2本物でした。間違って掲載していたことをお詫びいたします。
★天海祐希さん『ミー・アンド・マイ・ガール』(1995年)
脚色:小原 弘稔
脚色・演出:三木 章雄
天海さんはトップ就任時に退団公演を自分で決めたと仰っていました。
天海さんの退団公演が海外ミュージカルになったのは、想定外のことだったのでは?と思います。
★紫吹淳さん『薔薇の封印』(2003年)
作・演出:小池修一郎
紫吹さんの退団公演のために小池先生が書かれたオリジナル1本物でした。
★彩輝直さん『エリザベート』(2005年)
潤色・演出 小池 修一郎
雪組
★杜けあきさん『忠臣蔵』(1992年)
脚本・演出:柴田侑宏
旧宝塚大劇場での最後の作品でもありました。
★一路真輝さん『エリザベート』(1996年)
潤色・演出 小池 修一郎
宝塚での『エリザベート』の初演でした。
星組
★瀬戸内美八さん『オルフェウスの窓』(1983年)
脚本・演出 植田紳爾(原作池田理代子『オルフェウスの窓』 )
★峰さを理さん『別離の肖像』(1987年)
作・演出 植田紳爾。
★日向薫さん『紫禁城の落日』(1991年)
作・演出:植田紳爾。
現在星組全国ツアー『パッション・ダムール -愛の夢-』のラストで瀬央ゆりあさん中心の白燕尾の「All By Myself」シーンがありますが、日向さんの最後のショー『ナルシス・ノアール』からです。退団公演が1本物の中国物だったので、そのショーは「プレ退団公演」を意識されていたのかもしれないなと思いました。
★稔幸さん『ベルサイユのばら2001』(2001年)
脚本・演出:植田紳爾
この年は東京宝塚劇場ができたので、『ベルサイユのばら2001』が星組と宙組によって東西の劇場で同時に上演されるというイベント的なスケジュールが組まれていました。そのため稔幸・星奈優里トップコンビの同時退団でしたが、最後のフィナーレでしか二人の場面はなく、退団公演としては少し残念な気持ちが残りました。
今後も記念イヤーに退団する場合、稔さんのように退団公演用の演目が選べないこともあるかもしれません。
宙組
★和央ようかさん『NEVER SAY GOODBYE』(2006年)
作・演出 小池 修一郎
★真風涼帆さん『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』(2023年)
作・演出 小池 修一郎
振り返ってわかったこと
1本物の退団公演を担当されていたのは、大御所といわれる植田紳爾先生、柴田侑宏先生、小池修一郎先生でした。(柴田先生は1作のみ)
小池先生は、2007年に花組トップスター春野寿美礼さんの退団公演『アデュー・マルセイユ -マルセイユへ愛を込めて-』の2本物芝居作品をつくられてからは、それ以降全て1本物をつくられています。
但し、2014年月組『PUCK』の再演は2本物のお芝居でした。
宝塚では、小池先生は大御所といわれる存在なので、「1本物作品」が定着してしまっているようです。
今回の『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』が2本物であったら良かったのにとファンが思っても、大御所の小池先生が2本物を手掛けられることは無いのでしょう。
今まで、中村一徳先生、小柳先生、生田先生、稲葉先生が1本物作品に挑戦されたことがありますが、まだ定着していません。
現在宝塚では「1本物」というと、海外ミュージカルの『エリザベート』『THE SCARLET PIMPERNEL』『ロミオとジュリエット』などファンにとても歓迎されています。今度の『1789 -バスティーユの恋人たち-』も。
1本物というと、それらの壮大な作品をイメージしてしまうので、今の宝塚では昔ほど「1本物のオリジナル作品」は歓迎されず、敬遠されているような感じがします。
退団公演は、お芝居とショーの2本物と決めてしまう方が良いのかもしれませんね。
2024年は『ベルサイユのばら』が上演されると思います。運悪く『ベルサイユのばら』が稔幸さんのように退団公演になってしまうスターさんもいらっしゃるかもしれません。
巡り合わせなので仕方ないですが、そうなって欲しくないと思います。避けられないなら『ベルサイユのばら』が驚くばかり進化して楽しめることを期待したいです。
さてこれからの退団公演は、どうなっていくでしょうか?そして『ベルサイユのばら』は?
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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