『BLUE・MOON・BLUE』と『ジャガービート』真琴・紫吹解説
こんにちは、くららです。
花組の休演者が昨日の公演から全員復帰できて良かったですね。
どうか後1週間、千秋楽まで駆け抜けていけますように。

齋藤吉正先生大劇場でのデビュー作品『BLUE・MOON・BLUE-月明かりの赤い花-』(2000年月組)は、なかなかスカイステージで放送されませんでした。
先日スカイステージで放送され、WOWOW「宝塚の招待」でも、真琴つばささん紫吹淳さんの副音声解説付きで先週の土曜日に放送されました。いろんなことを知ることができて面白かったです。

真琴つばささんと紫吹淳さんの副音声解説を聞いて、心に残ったことをご紹介したいと思います。

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公演プログラムの齋藤吉正先生の言葉にビックリ

現在上演中の『ジャガービート』も齋藤吉正先生の作品。

その公演プログラムの齋藤先生のメッセージで、『BLUE・MOON・BLUE』の意気揚々と迎えた初日終演後、客席の何とも言えない舞台との温度差に、やりきれない思いに苛まれたそうです。

至らなかったものばかりが思い出される作品ですが、今の私にはない“チャレンジ”が私にはありました」

作品を否定されるような謙遜さ驚きました。『BLUE・MOON・BLUE』は、そんな卑下するような作品ではなく今や伝説と言われる名作です。

齋藤先生が伝えたかったのは今ではできない若さゆえのチャレンができたということでしょうか?

スターたちもファンも大好きな作品

『BLUE・MOON・BLUE』がどれだけ愛されている作品かご説明します。

花組トップスターの明日海りおさんは、お友だちに借りてみた『BLUE・MOON・BLUE』で宝塚ファンになられたとか。
瀬戸かずやさんの『FOCUS ON』には明日海さんとビデオで「BLUE MOON BLUE」の鑑賞会をしながらの対談が写真付きで掲載されていました。

月組がお好きだった望海風斗さんも、退団前のコンサート『NOW! ZOOM ME!!』で“THE ALFEE”の高見沢俊彦さん作の「ENDLESS DREAM」と高橋城先生の「BLUE ILLUSIION」の2曲を歌っていらっしゃいました。

彩凪翔さんもコンサートで歌っていらっしゃいました。多分この年代のほとんどのスターさんたちは大好きなのではないかな?。

ファンたちも『BLUE・MOON・BLUE』が好きな人は多いです。
宝塚のショー作品として金字塔を打ち立てていると思います。
そして、大劇場のデビュー作として、この作品を作られた齋藤吉正先生はスゴイ!

但しこの作品が上演された初日、客席がついていけなかったのは、何となくわかります。それまでの宝塚の作品と比べて、ちょっと斬新で衝撃的すぎた!

「考えずに感じろ!」時代の先端を先走っていた感は否めません。

そういう作品なので、真琴さんと紫吹さんは本編を見終わった後に、最初にこれをやる時に「えっ?」「大丈夫かな?」「斬新すぎない?」と思ったと正直に話されていました。

でもそういうものだから、ファンには受けたのですね。そして伝説とまで言われる作品に。

現在上演中の『ジャガービート』も、トップの礼さんをはじめとして、上演するにあたり「大丈夫?」という戸惑いがあったと思います。礼さんの初日ご挨拶からも感じられました。

『ジャガービート』に通じるチャレンジ精神と中毒性

星組の『ジャガービート』も、あまりに衝撃的で、未だに賛否両論あるようです。
私は初めて『ジャガービート』を見た時衝撃を受けましたが、段々と嵌っていきました。中毒性があります。

お正月にNHKの放送を録画し、度々見ています。『ディミトリ』の新人公演を配信で見た後も、無性に『ジャガービート』が見たくなり、その録画を見て自分を中和させました。

今から23年前、『BLUE・MOON・BLUE』も同じように賛否両論あったのでしょう。そして好きな人にはたまらない中毒性のある作品!

齋藤先生は真琴さんに「この作品は、『ノバ・ボサ・ノバ』を越えると思うと仰ったそうです。

きっと星組の『ジャガービート』も、同じような思いでチャレンジされているのだと思います。
そのチャレンジ、ある部分では成功しているように思います。

『BLUE・MOON・BLUE』について

アルフィーの高見沢さんらしい「♪見果てぬ夢 届かぬ声 全ては蜃気楼~」というロック調の高音のテーマソングではじまります。(「ENDLESS DREAM」)

宝塚の高橋城先生も「BLUE ILLUSIION」というテーマソングを作っていらっしゃいます。

真琴さんの提案で、フィナーレで、この違う2曲を重ねて歌って、ばっちり合わさって感動されたとか。

「BLUE MOON BLUE」は、砂漠にたたずむ瀕死のゲリラ戦士(真琴)が、月明かりの赤い花(檀)に導かれて巡る幻覚を幻想的に描いた芝居したてのショーでした。

そのドラマティックな芝居仕立ての部分が、中東からアジアの神話や風俗に起因していて、よくわからないお芝居がかったレビュー・シーンとして展開していきます。
覚を想的に描いているので、「幻」の相乗でわからなくても当然かも。

この芝居仕立て設定で、神話などにのっとって、話が余計にわかりにくくなっているあたりも『ジャガービート』に似ています。

衣装替えが半端なく多く、衣装が派手・派手・派手。
宝塚では衣装替えに2分あったら「早替わり」とは言わないそうです。

この当時の特徴で、スターたちの頭の上に何かついています。「ジャガービート」の中詰めのように。当時は他のショーでもこれは「よくあること」でした。
その中でも、真琴さんと紫吹さんの斬新な鬘が見もの。強烈な印象。

真琴私たちギラギラに着飾っていたね

紫吹さん「どうかしている」自分の鬘などに終始ツッコミを入れていらっしゃいました。
昔の塩沢ときさんのに負けない大きさの時も。
その巨大な鬘の時は、ピルエットが回れなくて後悔されたとか。

真琴・檀・紫吹のトップ3の役

トップスターは、真琴つばささん。基本格好良い彷徨の兵士です。

赤い花はトップ娘役の檀れいさん。とっても妖艶。いろんな赤いドレスで登場されます。

2番手は紫吹淳さん蛇です。香盤表に「」とだけ書かれていたそうです。
ショックで先生に「蛇しか書いていないんですけど、フィナーレまで蛇なんですか?」とたずねると「いろんな蛇で登場してください」と言われたそう。

それで、鬘を変えてメイクを変えて、いろんな雰囲気の蛇を表現されていました。
最初の鬘は、「仏陀様と蛇の合体」by真琴。

下半身はぴったりしたタイツ仕様の衣裳が多く、爬虫類らしさを表現されていました。
スタイルが抜群に良いのでお似合いでしたが、紫吹さんは嫌だったそう。

フィナーレはコブラをイメージして、被り物も自分で考えてつくられたそう。

紫吹「家にあったネックレス全部くっつけました。めっちゃ重くて首が死ぬかと思いました」

すごくセンスの良い被り物でした。男役さんもご自分で髪飾りの延長の被り物を作られていたのですね。

紫吹さんが今見たら「どうかしている」と自分でつっこんでいる、様々な蛇も、この作品を面白くしている一つです。

娘役さん4人(花瀬みずか、叶千佳、西條三恵、白羽ゆり)

・プロローグは大人っぽいドレス
可愛いウサ耳、ミニスカート
・4人のダルマ
・4人のエトワール

真琴「まぁ可愛いどころだね、なんでウサギだったんだろう」

紫吹「月だからじゃ。月にはウサギがって」

真琴「イェスイェスイェス」

紫吹「多分、齋藤先生の趣味でしょう」

真琴「ちょうど今年ウサギ年だものね」

紫吹「再演やればいいんじゃない」

3年後の齋藤先生の2作目のショー宙組「満天星大夜總会」では、4人の可愛いパンダが登場していました。(音乃いづみ、和音美桜、咲花杏、華凜もゆる)

猫耳とかも今でも齋藤先生の作品に出てきますね。先生の趣味全開ということでしょうか(笑)

ハチャメチャなストーリー展開について

プロローグ後、男役も娘役もなぜか大きなアフロを被って踊っていました。
アフロの人たちがなぜいっぱいいるのか?ただ月組だから??

そこに、鮮やかな朱色の檀さんスーツにハットにショールの紫吹さん。見たことの無い唇の端から下に直角に下りている髭。超個性的。
蛇のメイクをするにあたり、眉を消そうかとも考えられたとか。
格好良くあることより、蛇に見えることに重きを置いていた紫吹さん。

真琴「これはどういう物語なの?」

紫吹「忘れちゃいました。蛇と花でグルなんですかね」

比較的いろいろと記憶している紫吹さんでさえ覚えていなかったのは、はじめから深い意味など無かったのかも??

アフロのシーンから、一転モンゴルの四角関係に

レイナ(真琴)ベル(紫城るい)ハカン(初風)ザキ(千紘れいか)4 人の登場人物。四角関係です。
レイナ(真琴)は、かつてベル(紫城るい)と愛し合っていた。
彷徨っていたレイナは、ベルとハカン(初風)の結婚式に遭遇。
レイナを愛するザキ(千紘れいか)はそれを見ている。

レイナとハカンの決闘となり、ハカンはレイナに刺されて亡くなる。
レイナとベルは逃げて二人っきりになった所に、ザキがやってきてベルの目を刺す。
するとレイナ(真琴)も自分の目を刺す。二人は愛しく抱き合って、終わり。

真琴「相手が目が見えなくなったから、私もと。そんな二人して見えなくなったら大変!」

紫吹「春琴抄の世界ですね」

真琴「イャイャ」

「ジャガービート」では、突然車いすが登場しましたが、それに近い唐突感!

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中詰は、真琴さんによると、『ノバ・ボサ・ノバ』のような高揚感だそう。齋藤先生は『ノバ・ボサ・ノバ』を常に意識して作品を作っていらしたのでしょう。

【紫吹さんの抵抗・こだわり】

紫吹「中詰というと、私は不思議な振りをつけられた記憶があるんですけど、抵抗があった振りがあって…」

紫吹さんが渋いダンスをしながら「you」と言うと同時に口から手指しする振りが一瞬入っていました。

紫吹「この「you」が私理解できなかったんですけど、ここで「you」て言えって言われたんです。やれって言われたからやったんですけど」

真琴「私の中の紫吹淳像では全然普通です」

紫吹「あっそうですか」

「あなた普通にあるよ。ねえ、皆さん」

口紅の色も、紫や銀色にして、全力で「蛇」に徹している紫吹さんには、終始爬虫類のイメージで通したかったのでしょう。
こだわり派の紫吹さんだからこそ、とっても納得できなかったのでしょう。

—————

レイナ(真琴)が彷徨っていたら、赤い花の檀さん女性っぽい蛇の紫吹さんに誘惑されて、蛇に恋したら最後蛇(紫吹)に噛まれてしまいます。
同時に、兵士の大和さんの銃弾に撃たれます

紫吹「ここに(噛むことに)命かけていました」

真琴「あざ~す」

浄化されて白の世界に(天国?)
そして赤い花が咲き、檀さんが赤い復活の女神となり、レイナは光の中で浄化されて、白い衣装で復活。

ずっと踊り続けるトップスター
真琴さんが踊りながら歌い、ジャンプもし続けています。

真琴「真ん中で踊る人だけ最後まであるんよ」

真琴さんだけセンターで歌うか踊るかずっとしています。

蛇の紫吹さん白い衣装に浄化されて途中から登場。
頭はモヒカンのまた特殊な髪型。

真琴「まだ飛ぶか。やぶれかぶれですよ」
真琴さんは踊り続ける自分に感動されていました。スゴイ運動量です。

前のシーンもずっと舞台に出ていて、この白い衣装に早替わりして、ずっと踊り続け。『ジャガービート』の礼さんは白の浄化の衣裳への早替わりは9秒とNHKのテレビ放映の時に仰っていました。真琴さんもきっと秒単位の早替わりだったでしょう。

紫吹私たちはしんどいけど、私たちがしんどい思いをしているのを見てお客様は一番感動するんですって

真琴さんは体力の限界に挑戦され続けていました。23年経ってその頑張り続けていた自分の姿に感動し続けている真琴さんが面白かったです。

最後真琴さんが、遼河はるひさん研ルイスさんにリフトされていました。
バラエティで遼河さんと共演する機会がある二人は、遼河さんの登場に大喜びされていました。

激しく踊った後も、真琴さんは「ENDLESS DREAM」を熱唱され、それで終わり。

ラストの「白の浄化の天国シーン」は、「ジャガービート」でもありましたね。これは齋藤先生に限らず、宝塚のよくある流れでもあります。

書き上げてみたら、『BLUE・MOON・BLUE』と『ジャガービート』は感覚的にとても似ていました。

今から23年前大劇場デビュー作で『BLUE・MOON・BLUE』を作られた齋藤先生は只者では無かったと思います。

そして宝塚は、各部門のプロのスタッフが充実しているので、新人であっても演出家の意図をくみとって、音楽、振付、衣装、大道具などいろいろなものが完璧に用意され、作品となっていくのですね。

齋藤先生の『BLUE・MOON・BLUE』を成功例を見て、感性の鋭い新人時代に、ショー作品を手掛けられるのも面白いのではないかと思いました。今度栗田先生が大劇場のショーにチャレンジされますが、さらに次に続いて行って欲しいです。

音声解説で興味深い内容はいろいろあったので、次回に当時の組内の状況などについて書いていきたいと思います。(ずっと書き続けていたら10000文字近くなったので、途中で切りました。)

『BLUE・MOON・BLUE』は、スカイステージで2月5日、10:45から放送されます。まだご覧になっていない方は、お見逃しなく。

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