今だから聞けた 真琴・紫吹副音声解説『BLUE・MOON・BLUE』
こんにちは、くららです。
『BLUE・MOON・BLUE-月明かりの赤い花-』(2000年月組)のWOWOW「宝塚の招待」での真琴つばささん紫吹淳さんの副音声解説の印象に残ったことの続きを書いていきたいと思います。

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紫吹さんの言葉

再演して欲しいけれど…

紫吹淳さんは23年前の中継を見ながら、シーンが変わるごとに『BLUE・MOON・BLUE』再演してら良いなと仰っていました。
でもある問題に行きつきました。

紫吹「これ再演やった方が良いですよね。面白くないですか」

真琴「全て同じ内容で?」

紫吹でも私の役やる人、イヤかも

真琴ですよ。りかちゃんを上回る蛇は誰も出来ないと思う」

紫吹さんは個性追求の職人気質タイプの方なので、「蛇」になることに徹していらっしゃいました。様々な鬘、気持ち悪さを誇張した髭、銀や紫の口紅や独特のメイク…。格好良さは敢えて捨ててしまっている感じ。

今は各スターさんについているファンは、それぞれのスターさんに「格好良さ」を求めています。2番手スターが爬虫類らしさを強調したに徹することは好ましく思わないような気がします。

個性ギンギンの紫吹さん

紫吹「宝塚はトップスターは別で、宝塚を知らない人は、誰が上級生で、下級生かはわからないんだから、喰われる者が悪い。下級生の時は、伸び伸びとやった者勝ちみたいな時代に育てていただいたから、こんな個性ギンギンになっちゃったのかな?」

真琴あなた可愛いから、その可愛さを全く逆にいっているのがスゴイ!」

紫吹「イヤ苦労しましたよ、四六時中。初舞台を踏んだ時に、背だけ大きくて顔がキューピーみたいな気持ち悪い男役がいるって言われたんですよ。もうどうしようと思って、新人公演のプロマイド撮る時はホッペタ噛んで撮りましたし、睫毛をつけたらビャッと咲いちゃうし、切れ長の目に憧れて薄目にしたり、どうやったら格好良い男役になるかずっと考えていました」

格好良い男役を四六時中考えていて、『BLUE・MOON・BLUE』の蛇なの?と思いましたが、それはある程度格好良い男役を極められたからこそ、2番手なので冒険されたのでしょう。

2番手時代が一番幸せだった

紫吹「【マミりか】と呼ばれていた時代が、私の中では一番キラキラしていました。自分がトップの時は荷が重かったので、2番手時代の方が、のびのびとできて楽しくて一番よかったなと」

私も以前から紫吹さんに対してそう思っていました。
紫吹さんのトップ時代も素敵でしたが、2番手時代の方が輝いていました。

ダンサートップには新作ショーを

紫吹さんはキレキレのダンサーです。
なのにトップ時代の新作のショーは、1本だけです。(長い春の果てにWith A Song in my Heart)

後は、1本物が2作「ガイズ&ドールズ」、サヨナラ公演「薔薇の封印」。
そして「和物ショーと洋物ミュージカル」。
東京でだけ「大海賊」新作のお芝居とショー「ジャズマニア」再演。

ダンサーのトップスターには、柚香光さんのように新作のショーを沢山上演することが、その魅力を活かせたように思います。

トップの柚香さんの演目に「1本物が少ない」と言われていますが、柚香さんはお披露目の「はいからさんが通る」以外は、毎回魅力的なショー作品を次々と上演されていて、とても恵まれているのではないかな?と感じています。

相手役選びも大切

そして13期下研3映美くららさんが星組から組替して来て相手役になりました。映美さんはとても可愛くて3拍子揃った娘役さんでした。

でも紫吹さんと映美さんのコンビは、脳外科医と少女の恋を描いた『長い春の果てに』が象徴しているように、可愛い映美さんの魅力を活かす演目になってしまいがちでした。

小顔でスタイル抜群の紫吹さんスタイルよりも可愛さが魅力の映美さんの並びは、微笑ましい雰囲気ですが、大人っぽくない。どちらかというと大人っぽさが魅力の紫吹さんには、合っていないように私は感じていました。

二人は4.5作組んでいましたが、紫吹さんの魅力を活かしきれていなかった印象を私は持っていました。サヨナラ公演の「薔薇の封印」は紫吹さんの個性が出ていましたが。

真琴つばささんの下で、2番手として紫吹さんの個性的な魅力が爆発していたと思います。

真風さんと星風さんのコンビ時代も、演目を星風さんに合わせる傾向にあったので、真風さんにも星風さんにも、次の相手役さんと組むチャンスがあってよかったと思います。

トップスターの相手役選びというのは、本当に大切だなと紫吹さんのトップ時代に感じていました。映美くららさんも本当に可愛くて、一生懸命頑張っていらして、どの作品も素敵でしたが。

研5の大和悠河さんが大抜擢

『BLUE・MOON・BLUE』の本編のラスト、真琴さんが主題歌を熱唱されている時に、赤い花の檀さんが登場して、さらに兵士役の大和悠河さんが銀橋で銃を構えています。その大和さんに向かって真琴さんは熱唱されます。

真琴「未来のスターが前に居るって感じだった。第二のお前は俺だそみたいな」

紫吹「なるほど」

この公演は2月からの公演だったので、大和悠河さんはまだ研5でした。
研4でバウホールの単独主演も終えていた大和さんは、この公演から月組4番手に躍進していました。

3番手初風緑(74期)
4番手大和悠河(81期)
汐美真帆(77期)・大空祐飛(78期)・霧矢大夢(80期)

ショーの中で、特別な衣装をつけて登場したら、真琴さんは「ガイチ(初風緑さんの愛称)?」と言ったら、大和であったことが2回程ありました。もう大和さんは衣装からスター仕様でした。
この時点で下級生なのに、後にトップスターになった大空さんも、霧矢さんも抜いていました。
汐美さん、大空さん、霧矢さんは、3人で一緒のことが多かったです。

そしてショーのラストでトップスターが「お前は次のスターだぞ」という演出。
早期抜擢の月組ならではのものです!

大和さんはとても性格が良くて、真琴さんや紫吹さんから愛されていたようで、大和さんが登場するたびに、真琴さんも紫吹さんも「素直」「初々しい」など声をかけていらっしゃいました。可愛がられていたのですね。

現在の宝塚で、研5でこんな大役に、ましてやショーの最後に「継承」をイメージさせるようなシーンはあり得ないでしょう。

いやいや、今度研2の一輝翔琉さんが新人公演の2番手に抜擢されています。
研1の雅耀さんも、アイドル的なスターとして輝いています。
月組のキラキラスターの早期抜擢の歴史は繰り返すかも?

真琴さんはこの公演で退団決意

真琴「実はこの公演の時に退団しようと考えていた時期で、いろんなことがあって、りかちゃんが東京にいなかったのもあるし(ベルリン公演出演のため)、『辞めたい』と言いに行っているんですよ。退団を考えた節目の時期の公演です」

真琴「でも退団公演で蛇に見送ってもらうのは…」

紫吹「イヤですよ、私だって。あんな格好でお花を渡すのは(パレードも白いコブラ風でした)」

真琴「すごく若手の人たちが汐美真帆さん、大空祐飛さん、霧矢大夢さん、そして大和悠河さんたちがある程度若手として力を持ってきた時期で、あっ行けるかなという確信も」

この時期はトップスターが退団の決心をして、劇団に告げに行っていたようです。
真琴さんの同期の愛華みれさん稔幸さんもそういう話をされていました。

紫吹さんが新専科生に

この作品は、宝塚大劇場大劇場が、2月19日~4月3日。
東京の1000days劇場が5月12日~6月26日でした。

紫吹淳さんは、ドイツ・ベルリン公演(6月24日~7月7日)に主演で出演されるため東京公演は出演されませんでした。

「新専科」制度
その年の6月1日付けで「新専科」制度が導入されて、当時の2番手、3番手は専科に異動しました。もちろん紫吹さんも。
第1期の月組生としての最後は、この「BLUE MOON BLUE」の宝塚大劇場公演でした。

紫吹さんは、ベルリン公演で喉を傷めて、しばらく静養されたそうですが、専科生として宙組で「ALL ABOUT RIKA」というご自分のコンサートを開催されました。

その後は専科生として月組の東京宝塚劇場こけら落とし公演「いますみれ花咲く/愛のソナタ」に出演。紫吹さん主演「プロヴァンスの碧い空」を月組生と共にル・テアトル銀座(東京)で再演。

その後、月組生となって真琴さんのサヨナラ公演「愛のソナタ/ESP!!」に出演され、その後月組トップスターに就任されました。

東京で2000年1月2月にこけら落とし公演を行ったため、真琴さんのサヨナラ公演は宝塚大劇場で5月18日〜7月2日でした。

真琴さんが退団を決意されたのは、新専科制度の発表された時期と重なっています。
「若手が育ったから」と話されていましたが、「紫吹さんにトップを譲りたい」という思いもあったのだろうなと、話を聞きながら勝手に思いました。

現在はトップに就任する時に、「〇作」という青写真があるようで、当時の「鐘が鳴ったから劇団に相談する」というのと違うのかもしれません。

約20年前のように、自分から退団を決意して劇団に告げに行く方が、トップスターの新陳代謝がはやいかもしれませんね。

公演中に怪我をした檀れいさん

真琴「檀ちゃんが、この公演のお芝居で階段から落ちて、足切っちゃったのよ」

紫吹「えっ知らなかったわ」

真琴「早変わり最中に聞こえてきて、もう心配だったんだけど。足のすねか切れて、血だらけになってしまったらしい」

紫吹「そうなんですか。タカラジェンヌって出ちゃいますからね、それでも平気で」

真琴「足を出していたから(ダルマ姿)、その時どうしたんだろうと思って。檀ちゃん転びましたって、いっせいにまわってくるのよ、連絡網が」

檀さんも血を流しながら舞台に立たれていたお話を退団後にテレビ番組でされていたのを聞いたことがあります。終演後に何針も縫われたそう。

怪我をしても舞台に穴をあけないタカラジェンヌのド根性。大事に至らず良かったですが、相当痛くてお辛かっただろうと思います。縫っても傷の痛みは続いたと思います。まして踊ったりするのですから。

今でも怪我で休演される場合、代役が立つまでは無理をして舞台に立たれていることがあります。
命がけで舞台の自分のつとめを果たしていらっしゃることに頭が下がります。

この宝塚大劇場公演で退団した千紘れいかさん

千紘れいかさんは、劇団四季のオーディションを受けたということで、この宝塚大劇場公演の千秋楽で、退団の挨拶無しで退団されました。
そのことが在団中に芸能活動したことに対しての劇団の懲罰だったようです。

千紘さんは、ショーではたっぷり出番があって活躍されていました。演出の齋藤先生の愛ですね。
ただしパレードの階段下りで千紘さんの歌は無かったです。パレードの並びは紫吹さんの隣であったのに。

真琴「あつはすごい芸達者だったね」

紫吹「優秀でしたよね。何やっても」

パレードの階段降り(歌無し)の姿を見ながら

紫吹「貫録ありますよね」

真琴「ああいう人は貴重だよね。ずっといて欲しかったな」

出演者たちが千紘さんの千秋楽のご挨拶をする機会を願ってもそれは叶わなかったそうです。

真琴さんが舞台挨拶で、千紘さんに餞のような言葉を贈られたとか。これが真琴さんにできる精一杯のことだったのでしょう。

元歌のお姉さんのはいだしょうこさん(千琴ひめか)も、在団中に芸能活動を行ったということで、バウホールで挨拶も無しで退団することになっていたそうです。
その時は、共演者や組長の尽力で退団挨拶をすることができたそうです。

当時の宝塚は、在団中に芸能活動に対しての懲罰をファンに見せていましたが、現在はそういう例はありません。
多分ファンを幻滅させないように配慮されているのでしょう。

紫吹さんの言葉・タカラジェンヌの原点

紫吹さんはあるお医者様から、下記のような言葉をかけられたそうです。

あなたたちの仕事は医者も治せない病気も治せる。
医学的には無理だと言われていたのに、宝塚を見て元気になったり、そういう方がいるんだよ

紫吹「すごい仕事をさせてもらっているのだなぁと、宝塚の持つ力ってすごいですね」

本当にそうだと思います。

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