チャレンジと伝統と品格・理事長新春インタビュー雑感
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

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スカイステージの「理事長新春インタビュー」を見ました。

小川理事長は、雪組の「望海風斗&真彩希帆」コンビの「ファントム」を最高の作品と仰り、「20世紀号に乗って」では二人の真髄を魅せてくれたと仰り、などなど雪組のお二人のお話になると頬がゆるむのを感じました。ファンと同じようにお二人がお好きなのですね。

そして星組「礼真琴&舞空瞳」ペアには、「ロックオペラ・モーツァルト」を経て、大きな期待を寄せていらっしゃるのを感じました。
その期待値からか、1月1日なのに、星組の別箱公演と全国ツアーの主な配役が公表されました。
私の予想していたものと違い、「意外」と思いつつも、「理事長新春インタビュー」を聞いていたので腑に落ちるところがありました。

星組全国ツアーと東上公演の意外な配役

全国ツアー『エル・アルコン-鷹-』
ティリアン・パーシモン……礼 真琴
ギルダ・ラバンヌ   ……舞空 瞳
ルミナス・レッド・ベネディクト……愛月 ひかる(今回発表)

愛月ひかるくんについて
2007年安蘭けいさん主演の初演では、二番手の「金髪のイギリス海賊・ルミナス」は、柚希礼音さんが演じていました。

礼真琴くんと愛月ひかるくんの二人のイメージからいうと、役は反対の方がピッタリだと思います。
しかし「礼真琴君憧れの主演」作品ですから、真琴くんがダークヒーローティリアン役。
そうすると、愛ちゃんにルミナス役は振られないだろうと単純に考えていました。

前回の全国ツアー「アルジェの男」で、礼真琴くんはダークヒーローのジュリアン役でした。
愛ちゃんは、ジュリアン以上にダークで人間としてどうしようもない悪役のジャックでしたから。
こっちやんと愛ちゃんと並ぶと、どうしても愛ちゃんが色濃い役を担当するようにイメージを抱いてしまいやすいです。

しかし、配役発表では、愛ちゃんはイメージを覆して、全国ツアー組でルミナス役を演じるということでした。
「へぇ~そうきたか!」という配役ですが、イメージを覆す配役の方が面白いとも思います。

『シラノ・ド・ベルジュラック』
シラノ      轟 悠
ロクサーヌ 小桜 ほのか(今回発表)
クリスチャン 瀬央 ゆりあ(今回発表)

瀬央 ゆりあくんについて
瀬央 ゆりあくんは、2018年の轟さん主演『ドクトル・ジバゴ』で、パーシャ(のちにストレリニコフ)役で出演していたので、続けて出演しないだろう、と思っていました。
しかし前回は主な配役は、轟さんと有沙瞳ちゃん二人だけで、せおっちは役が大きかったものの、2番手という位置づけではありませんでした。
そして今回は、理事の東上2番手という位置でした。

前回の礼真琴くんの全国ツアーは、同期が一人も帯同しませんでした。
専科から2期先輩の愛ちゃんが参加することから、二人の関係性を深めるためにも、敢えてこっちゃんの同期を全ツ組にしなかったのだろうと勝手に思いました。
そして、トップスターとして初めてまわる今度の全国ツアーは、まだ1度も全国ツアーに参加していない同期の瀬央ゆりあくんも参加して楽しく回るのではないかなぁと。
この予想は見事に外れました。

せおっちは「理事作品東上2番手」のチャンスの場が与えられたのです。
『シラノ・ド・ベルジュラック』は有名作品なので、クリスチャン役も注目を集めるでしょう。
せおっちの更なる成長のための良い糧になるでしょう。

昨年の轟さん主演『チェ・ゲバラ』で100期の風間柚乃くんのカストロ役が素晴らしかったので、「クリスチャン」という美青年役は、100期の極美慎くんが良いのでは無いかと思っていました。しかし100期生が東上2番手になれるほど、宝塚の世界は甘く無いのです。風間柚乃くんの場合は代役でした。この話はあとの「クオリティ」に繋がります。

小桜ほのかちゃんについて
「主演娘役の登竜門」と言われている轟理事東上公演の主演ヒロインは、99期 小桜ほのかちゃん
「ロックオペラモーツァルト」のアロイジア役で3拍子そろった実力、とくに卓越した美しい歌声が素晴らしかったです。

2015年12月スカイステージで『うたごころ。#2「真彩希帆・小桜ほのか」』で、真彩ちゃんとともに「ウィンター・ワンダーランド」を素敵にデュエットし、一人で竹内まりやのクリスマスソング「すてきなホリデイ」をとても可愛く歌っていました。
その時から「歌が上手で魅力的な娘役さん」と注目していました。
その後「桜華に舞え」で、新人公演初ヒロインーを演じ、『ベルリン、わが愛』新人公演でのレーニ・リーフェンシュタール(本役:音波みのり)が本役さんの上をいく個性的な役づくりが印象的でした。
歌の実力があってもすぐ抜擢につながるわけではありませんが、歌の実力が重用される傾向の中で、活躍の場が広がっていくのは嬉しいことだと思います。

「うたごころ」では、『うたごころ#10「美園さくら・風間柚乃」』の二人が歌が上手かつ雰囲気つくりが抜群で、衝撃を受けるほど素敵と思いました。
そしてさくらちゃんは現在トップ娘役、風間くんもスター街道を進んでいます。

「La Belle Voix~娘役の美しき歌声~」シリーズは娘役さんの美しい歌声を堪能できる番組が、スカイステージで今年から始まりました!
毎月3人の娘役さんが美しい歌声で宝塚の名曲を歌う番組です。
初回は、月組の麗泉里(98期)ちゃん、天愛るりあ(102期)ちゃん、白河りり(103期)ちゃん。3人とも素晴らしい美声でした。舞台でも活躍していって欲しいと思います。

小川理事長がインタビューから感じること

沢山のお客さんに来ていただいていますけど、大事なのは作品のクオリティだと思っています。今年もそこにさらにこだわっていきたいと思っています。
若手の演出家も出てきました。若手のスターも出てきました。やっぱりクオリティを高めていかなければならないので、歌劇団で鍛えて良いものをお客さんに観ていただく、そして感動していただくという基本はしっかりやっていきたい。
宝塚で大事なのは品格、品格が無いと宝塚では無いと思いますので、人間性、人としてのことを教えて、生徒さんにもキャッチして、作品としてのクオリティと品格をさらに上げていって、110周年を迎えたいと思っております。

理事長の言葉の『歌劇団で鍛えて良いものをお客さんに観ていただく』に注目しました。
若手の演出家も、若手のスターも出てきたけれども、歌劇団で鍛えてを重視されているということ。

「作品としてのクオリティ」のために、それなりの鍛える年数が必要と思われているようです。
以前の宝塚では、スターの芽が出ると、トントン拍子に抜擢されていったりしていましたが、抜擢に実力が伴っていない場合も多々ありました。
それなりに積み重ねた「経験値」がクオリティを保つために必要だというお考えは、その通りだと思います。

そのため、今は大役の「男役の若手抜擢」に対して慎重であることも感じていました。
代役でなければ、『チェ・ゲバラ』で、まだ新人公演学年内である風間柚乃くんが大役を演じることも無かったでしょう。
極美慎くんも、役としては「クリスチャン」に最適だと思いますが、クオリティを担保することは難しいでしょう。
まだ歌唱力など発展途上中です。

その分冒険のゆるされる「新人公演」や「バウのワークショップ」では、大抜擢はさかんになるのでしょう。

演出家の先生についても、「龍の宮物語」でデビューされた指田珠子先生が好評でしたが、だからといってすぐに大きな仕事を任されることは無いでしょう。
2020年の本公演や外箱公演の演出家の先生の名前をみても、ベテランの先生方が名前を連ねていらっしゃいます。

2013年にバウ『月雲の皇子 -衣通姫伝説より-』で演出家デビューされた上田久美子先生は、翌年2014年に『翼ある人びと -ブラームスとクララ・シューマン-』で東上公演を担当され、その翌年に2015年『星逢一夜』で大劇場デビューされました。これは類まれな才能をもっていらっしゃるからこその異例な出世でした。
他の演出家の先生はバウホールデビューから、東上公演、大劇場というステップアップに時間がかかっていらっしゃいます。

ここで「クオリティ」と書くと、また「技術的実力」ととらわれそうですが、宝塚はトータルの質だと思います。
男役については、研究を重ねた「魅せ方」というのもクオリティの一つでしょう。

そして「品格。人間性、人としてのこと」も大切だと仰っています。
人間としての「品格」とともに、宝塚では舞台人としての「品格」が、そのまま客席に伝わります。
上級生を大切にするのは、「品格」の大切さを伝承するためもあると思います。
このあたりが小川理事長になっての特色だと思います。これが今は功を奏しているとも。

スカイステージの大晦日の特別番組では、花組と星組の95期の若いトップスターの組に上級生の瀬戸かずやさん、天寿みつきさん、愛月ひかるさんがいらっしゃることは、組の構成として良かったなと思いました。
以前はトップスターは、幹部部屋に入るほどの上級生がなることでビラミット型が形成されていましたが、そうでない場合はトップスターの上に2番手の上級生がいるということも、クオリティを保つための手段の一つなのでしょう。

どのように作品選びをされていますか?
お客さんから見て、感動する作品、楽しい作品ですね。アニメから色んなジャンルがありますが、宝塚でやると宝塚になるんですね。
私は新しいものにチャレンジしていきたいと思っている、伝統、魂があるので、形にとらわれなくても、そこをしっかりと演出家の先生がた、スタッフ、生徒たちが伝統を受け継いでいるので、新たなものを創り出していく、常にチャレンジしていくことができる。
大事なことは何かというと、そこは魂であったり宝塚の品格であったりですね。

宝塚は「新しいもん好き」で常にチャレンジャーだと感じています。
でもそれは、宝塚に105年続いてきた伝統があり魂があり品格があるからこそ。
「新しいチャレンジ」と「伝統」の微妙な塩梅の上に宝塚があるからこそ、宝塚は飽きない、魅力的な存在なのだと思います。

新年になって「宝塚歌劇公式Instagram」が開設されたようです。
そして研1生、研3生、研5生は新しい成績順で、公式ホームページに掲載されています。
星組の稀惺かずと君、宙組の亜音有星君など、大躍進していました。
(公式ホームページで、「スター」→「〇組」を選ぶと、学年順、成績順で名前が表示されます)
新しく入れ替わった成績順が、公式ホームページにすぐに反映されるのが、シビアな宝塚でもあります。

大劇場のお正月公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』も、また今までなかった新しい宝塚の作品ですね。
初日のチケットがゲットできなかったので、今日観劇予定です。
今年も宝塚によってワクワクいっぱいの1年になりそうです。

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