こんにちは、くららです。
元・宝塚総支配人として、『「タカラヅカ」の経営戦略』と『タカラヅカの謎』という2冊を上梓されている森下信雄氏の下記の記事にとても違和感を覚え嫌な気持ちになったので、今日は書いていきたいと思います。
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劇団とファンの心を甘く見ないで欲しい
森下信雄氏は、今から10年前に阪急電鉄を退職されて、それ以降宝塚歌劇団とは関係の無いお仕事をされています。
(2015年と2019年に宝塚関連の著書を出されました。)
1998年から2010年の当時の『宝塚のビジネスモデル論』が、今なお宝塚にそのまま通用すると思われているようです。
そして、ファンがその「ビジネスモデル」に見事に操られることで、宝塚の経営が成り立っていると信じていらっしゃいます。
この10年で世の中は大きく変化し多様化し、更にその変化のスピードが加速しています。
宝塚は「100周年」を経て、上手にその時代の変化にのって業績をあげていました。
そんな中で、コロナ禍に遭遇して、現在手探りの中でも前に進んでることで、ファンの期待にこたえ、夢や希望を届けてくれています。
過去の「完成されたビジネスモデル」は既に論外であり、ファンも簡単にそのようなものに操られるようなバカな存在ではありません。
劇団やファンを甘く見ないで欲しい!というのが、この記事に対する私の率直な思いでした。
コロナ禍で、宝塚は「ビジネス」より「心」をまずファンに見せてくれた
「暗い中でこそ宝塚の娯楽を」という宝塚の使命感を第一にしてコロナ禍の初期には、公演を続けていこうとされましたが、世間から問題視され非難を浴びました。
しかしそんな中でも、卒業生のいた星組の宝塚大劇場の千秋楽と雪組東京の千秋楽は行われました。
雪組の千秋楽公演は、有料チャンネルを通してですが、「雪組東京公演千秋楽の生中継」が無料で放送され、ファンへの利益度外視の大盤振る舞いをしてくれました。
そして卒業予定者は、公演が再開まで「退団延期」をして、退団セレモニーを優先されました。
さらに公演休止期間中、YouTubeやSNSを通して、スターのメッセージを配信したり、沢山の映像も無料で公開してくれて、ファンの「お家時間」に潤いを与えてくれました。
公演が中止となって劇団が一番経済的なピンチに遭遇している中、「ビジネス」より「心」をファンに見せてくれました。
そういう劇団の姿勢はファンの心を、さらに掴んだと思います。
自ずと物販等で劇団の利益に貢献する結果に繋がったのでは。
そこに「完成されたビジネスモデル」の存在などありませんでした。
コロナ禍でも、宝塚の底力を発揮中
そして、劇場の感染対策も万全に行って、いちはやく公演を再開して、舞台を通して夢や希望や元気を与えようとしてくれました。
残念なことに、公演が中止になった時もありましたが、ジェンヌさんたちは、感染しないために厳しい自己節制を行って、既に奇跡としか言えない半年以上全組の公演が無事に上演され続けています。
舞台の出演人数が制限され、以前のような人海戦術での魅せ方はできていませんし、生オケはありませんが、それをマイナスに感じているファンは、少ないと思います。
こういう厳しい条件下でも、最大限の良いものを届けようと、精一杯の舞台を見せてくださっていることが、何より有難いです。
そして、以前のような舞台が見れる日が戻ってくる日を、待ち望んでいます。
「何かが違う」という違和感が残ってしまっている。
私は、この「何かが違う」というファン心理が何より怖いと感じている。引用東洋経済オンライン
コロナ禍の制限下での舞台が従来のものと違うのは当たり前です。
コロナ対策をした公演が、「何かが違う」と感じて、ファン離れを誘発しかねないものになるという発想が、私には理解できないし、ファンのことを愚弄しているように感じました。
新しいビジネスモデルもいち早く展開中
ライブ中継はコロナ禍前も行われていましたが、新しくライブ配信が行われるようになりました。
その範囲は外箱公演だけでなく、ディナーショーにまで及んでいます。
今までは版権が厳しいと思われていた「ブロードウェイミュージカル」も、版権を得て、中継、配信、ブルーレイ化によって、ファンが喜ぶ努力もしてくれました。
常に新しいものを採り入れ、発展してきた劇団です。
コロナ禍でも、常に新しいことを取り入れて、新しい利益を作り出しています。
物販でも、様々な展開をみせていて、スゴイなと感動します。
多様化している時代に合わせて、既定のビジネスモデルを柔軟に変えることができるのが、今の宝塚歌劇団の強みだと思います。
OGの分野も新たに開拓中
昨日も書きましたが、宝塚は卒業して巣立っていく所でしたが、OGを起用したショーやコンサート等の企画・制作を行う「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」が設立されたことによって、卒業直後、OGのショーやコンサート等の企画・制作が行われています。
森下信雄氏のweb記事には、下記のように書かれていました。
ディープなファンは「ごひいき」が退団すれば、次に新しいひいき(若手)を発掘してファンを継続するという「再生産」の仕組みが機能していることが宝塚歌劇団の経営の大きな強みとなっている。引用東洋経済オンライン
昔流の考え方では、「ごひいき」が退団すると、次に新しいスターのファンに移行するのが「宝塚の経営の大きな強み」と思われていたのでしょう。
しかし実際は、新しい若手スターのファンに移行する人もいれば、卒業後も「ごひいき」を熱心に応援する人もいれば、宝塚ファンを一時的にやめる人もいれば、人さまざまです。
退団で大きく盛り上がっている人気を、「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の企画・制作する公演で継続するという新しいやり方も、ファンに歓迎されています。
そしてファンの継続を狙うのではなく、新しいファンが開拓できるよう、様々な趣向の違う魅力的なトップスターと舞台が用意されています。
コロナ禍以降、上演される作品は、とてもクオリティの高い傑作ばかりです。
夢や希望や元気を届けようと、コロナ禍で生徒とスタッフがより結集した結果、素晴らしい作品が生み出されているのだと思います。
これが多くの苦難を乗り越えて、107年続いてきた宝塚の「底力」です。
今回取り上げた記事のタイトルは「コロナ禍で問われる「宝塚歌劇経営」の底力」でした。
今一番大切なことは、「経営の底力」では無く、「関係性の底力」だと思います。
コロナ禍で、ファンと劇団の関係性は深まったように感じています。
記事には「ファン離れが心配」と書かれていましたが、ファンは簡単に離れていくことは無いと私は思っています。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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