紅ゆずるさんのやさしさ2
昨日紅ゆずるさんは、元々やさしい心根を持っていらしたことを書きましたが、そのやさしさは、宝塚での試練によってさらに磨きがかかったようです。

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苦難の時ほど笑顔を絶やさない紅ゆずる By斎藤義正先生

 

その軌跡は数々の試練との戦いでした。宝塚大劇場星組公演『LUCKY STAR!』この公演は第88期生初舞台公演でした。私はこの作品にて演出助手を勤めていました。その中に一際美しいスタイルを持ち、切れ長の瞳で美しいマスクの女の子がいました。当時の振付担当の大谷盛雄先生の厳しい稽古の中でいつもターゲットとなる生徒がその女の子でした。悔し涙も流しました。何度も自信を喪失したことでしょう。ある日の稽古が終わった後、僕は大谷先生に質問しました。
「スターになれる子いますか?」先生か答えた生徒はいつも先生が叱っていた生徒でした。「あの子は間違いなく卜ップスターになる!」その子の名は紅ゆずる。
 
その予言は的中しましたがその栄光を手にするまでの道程はいばらの道も少なくありませんでした。けれど彼女は苦難の時ほど笑顔を絶やしませんでした。それは時に痛々しくなる程に…。多くの経験が彼女自身を大人へと成長させ誰よりも心根が優しく人を思い遣れる“人”にさせていったのでしょう。(引用:斎藤義正<キラールージュ公演プログラム>

役に恵まれなかった時代

初舞台のロケットでの、さゆみさんの無邪気な笑顔の可愛さは特別です。八重歯がかわいい。(トップ画像参照)
「大好きな宝塚」に入って、初舞台での、喜びが伝わってくる素敵な笑顔です。
ルックスの良さは、はやくからファンの目を惹き、話題になっていたようです。

新人公演の最初の役は「死体役」

今でもすごく覚えているのは、
新公の配役発表があった日、
「私なぁ次の新公 死体の役やねん」

とか
次の香盤発表があった日
「プロローグ出たら最後まで出番ないねん。私だけないねん」

今思うと
たくさん悔しい思いしてきたんだよなぁって
同期の扇けい(元花組在団中は、扇 めぐむ)さんブログより引用させていただきました。

『ガラスの風景』では、コモ湖畔で殺された遺体が発見される場面がありましたがその遺体の役だったのでしょうか。出番があるとは言え、新公初の役としては、悲しい思いが漂ったでしょう。
ショーの途中「自分だけ出番が無い」というのは、とても心が痛い状況だと思います。でもさゆみさんは、そこで腐らず、前向きに笑顔で乗り越えられたのでしょう。

殿堂の「Memories of 紅ゆずる」には、2005年バウホール公演『それでも船は行く』の船員と2005年10月『龍星』の達懶の写真が掲示されていました。
私はそれらの公演を観劇したと思いますが、紅さんのことは全く知りませんでした。

新公初主演前のチャンス

2008年4月、バウワークショップ『ANNA KARENINA』アレクセイ・カレーニン役
オーディションの当日、高熱のため出席を断念していたら、植田景子先生より「公平に見たいのでオーディションをさせてください」と電話があったそうです。
そしてオーディションで、壱城あずささんが演じたコスチャ役を演じたら、植田先生よりカレーニン役もやってと言われてやり、カレーニン役に抜擢されました。

オーディション当日に欠席していたのに、わざわざ植田景子先生が電話をかけてきてくれて機会を設けてくれ、カレーニン役に抜擢されてバウで演じたからこそ、次の2カ月後の 『THE SCARLET PIMPERNEL』の新人公演主演パーシーに抜擢されたとも言えます。
植田先生が別の日にオーディションをしようと思われなかったら、カレーニン役は無かったわけです。
カレーニン役が無かったら、『THE SCARLET PIMPERNEL』の新公主演も無く、「紅ゆずる」というスターの芽は息吹くことが無かったかもしれません。

初めての紅ゆずる新公主演を支えた安蘭けいさん

それまで新公の役で、大きな役を演じていなかったのに、最後の新公で主演を演じるというのは、劇団としても大きな冒険だったようです。
「パーソナルブック2015 vol6紅ゆずる」に、パーシーの本役だった安蘭けいさんとさゆみさんの対談がありました。
ほとんど舞台経験の無いさゆみさんが新人公演で主演をするということは、周りにも大変な驚きと心配だったようで、安蘭さんの大きな器と助けに支えられたようです。
3年前の『龍星』の時にトウコさんが早めに行って自主稽古をしている時に、さゆみさんは一人でお稽古をしていて、その時から二人でお話をする機会があり、トウコさんはさゆみさんの度胸や感性をかって、成長を楽しみにされていたようです。

トップスターでお忙しいのに、トウコさんは舞台初心者のさゆみさんに、新公主演のために、いろいろと教え、励まし、支えられたようです。
「トウコさんが本役さんでなかったら、今の私はいません」とさゆみさんはこたえていました。

安蘭さんもトップスターになるまで、いろいろなご苦労を経験してきた方。何としても成功させてあげたいと思われたのでしょう。
『必死に努力を重ねて、出来ないからこそもっと頑張らなきゃあという姿勢がをみんなが見ているから、共感し、応援したくなり、ファンの人たちもそうなのだと思う』と、トウコさんは仰っていました。

スカイステージ「紅5」の成功とMC力

そして「新公主演」をしたからといって、誰もがスターになっていくわけではありません。
さゆみさんの端正な美貌とプロポーションの良さと華やかさ、それに加えて舞台度胸があり、飾らないユニークなキャラクターや、誠実な熱い姿勢が広く伝わり、ファンが増えていきました。
スカイステージのニュースで、新公の様子が流されるのも、ファン獲得に大きい要素があったと思います。

そして2007年に『Brilliant Dreams「紅ゆずる」~personal~』で星組若手メンバーと結成した「紅5」が放送されて、注目されるようになりました。
トーク力があることから、スカイステージの「MC」としても活躍するようになりました。
「Brilliant Dreams+NEXT 紅ゆずる編(全6回)」が放送されて、各回「紅5」メンバーが出演して最終回はコンサート(2011年12月に)も行いました。
「紅5」の人気は不動のものになりました。

別箱公演での活躍
2011年1月2月『メイちゃんの執事』柴田理人 東上別箱初主演
2012年9月『ジャン・ルイ・ファージョン』ジャン・ルイ・ファージョン東上別箱主演

時のチャンスを自分のものにして、トップスターに昇りつめていった紅ゆずるさん。
時のチャンスを自分のものにできたのも、誰からも、紅ゆずるさんが愛されていたから。それは誰に対してもやさしく、誠心誠意だったから。
多くの経験が彼女自身を大人へと成長させ誰よりも心根が優しく人を思い遣れる“人”にさせていったのでしょう。』(By斎藤義正先生)

明日でさゆみさんの宝塚大劇場公演は千秋楽です。
明日の天気予報は雨でしたが、晴になったようです。
ファンの心は涙雨ですが、「カラっと明るく宝塚を卒業したい」というさゆみさんの粋な心遣いが、天にまで届いたようです。
素晴らしい千秋楽になりますように。

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