やり手の「エリザベート」初演の雪組プロデューサー
スカステニュースで、小池修一郎先生をはじめ、一路真輝さん、花總まりさんらが、オーストリア政府より「オーストリア共和国有功栄誉金章」を授与されている光景が放送されました。
ウィーンミュージカルが日本での成功により、オーストリアの歴史、文化をより広めた功績を称えてとのこと。

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宝塚の初演「エリザベート」上演からはや24年も経つのですね。小池先生より
「『エリザベートの舞台を観て、素晴らしい舞台だけど、こんなに難しい内容のものは宝塚でやることは絶対無いだろうと思って帰りました。その翌年一路真輝さんの退団公演としてどうだろうと、雪組のプロデューサーだった古澤真さんから提案がありました。こんなに日本で愛されるミュージカルになるとは、オーストリアの国の方々にも認めていただくものになるとは、本当にありがとうございました。」というご挨拶がありました。

『ロスト・エンジェル』とは?

先日退団されたばかりの、涼風真世さんの大ファンの美弥るりかさんが「宝塚おとめ」の「演じてみたい役」として長年書き続けていたのが、『ロスト・エンジェル』メフィストフェレスでした。
「どんな役なのだろう?」と調べたところ、1993年に涼風真世さんが退団公演「グランドホテル」の宝塚大劇場公演と東京宝塚劇場公演の間に バウホール公演の主演として演じられた公演の役であることを知りました。
そして『ロスト・エンジェル』について調べると、面白い発見があったのです。エリザベートつながりの。

「エリザベート」楽曲は、初演の3年前に使われていた

『ロスト・エンジェル』では、エリザベートの楽曲4曲が使われていました。
それは小池先生が手掛けられた「エリザベート」の初演の3年前になります。

『ロスト・エンジェル』と検索すると、現在その舞台の一部の動画を見ることができます。
歌詞は違いますが、麻乃佳世さんが「私だけに」を、涼風さんが「最後のダンス」をかなり長く歌われていました。「闇が広がる」もありました。

『ロスト・エンジェル』でエリザベートの曲が使われた経緯

92年に「エリザベート」の初演公演がウィーンで行われました。
小池修一郎先生がウィーンに滞在中に、現地のCDショップで店員からおすすめの曲をたずねたところ、その初演の舞台の「エリザベート」のCDをすすめられて購入されました。
それを聞いた小池先生は、それらの楽曲がとても気に入って、ウィーンの関係者に頼み込んで楽曲の使用の許可を願ったそうです。
その結果、4曲だけ使用の許可がおりて、「ロスト・エンジェル」公演の中で、それらの楽曲4曲を使用されました。
1993年のことです。雪組「エリザベート」初演が1996年ですから、その3年前になります。
私は『ロスト・エンジェル』の上演がキッカケで、小池先生が希望して「エリザベート」の上演に繋がったのかと思っていましたが、そうでは無かったようです。

「エリザベート」上演は雪組プロデューサーの熱意から

今回の授与式での小池先生のインタビューでは、雪組の古澤真プロデューサーから提案されたと仰っていましたが、一路真輝さんのインタビュー記事によると、プロデューサーの熱意に小池先生が負け、一路真輝さんが説得されたような感じだったそうです。

古澤さんは当時、宝塚歌劇団の中で唯一、物語の筋などを理解した上で『エリザベート』を観られた人だったんです。
それで絶対、宝塚に合っていると確信を持たれたんですね。そこで私が古澤さんに呼ばれて説得され、演出家は人間以外の演出をさせたらピカイチと言われた小池修一郎先生が良いと言われて(笑)。でも小池先生は当時、舞台は観たけれどドイツ語ですし、曲は世間に知られているけれども、良いとも悪いとも分からないと、ちょっと尻込みされていらしたんです。
それで私と花總まりさんと小池先生でウィーンへ観に行って、宝塚らしいアレンジが加えられるのならば、とても良い作品だね。という話になり、そして今日に至るんです。引用:
一路真輝さんに聞く 歌の魅力。エリザベートのこと京都芸術劇場 春秋座 studio21

死神を宝塚で演じるという新しい発想

小池先生は『こんなに難しい内容のものは宝塚でやることは絶対無いだろうと思って帰りました』と話されていたように、実際のウィーンでの「エリザベート」の舞台はグロテスクな描写もあり、さらに「死神」を宝塚の主演男役スターが演じるというのは、従来は考えられないことでした。

1 従来は「男性」を演じるのが男役。
2 1974年「ベルサイユのばら」で男装をしている女性「オスカル」を演じるようになり、男役の幅が広がりました。
3 1996年「エリザベート」で、人間でない「死神」をも男役が演じるようになりました。
それ以降も宝塚の男役が演じる幅は広がっています。
昨年は『ANOTHER WORLD』で天界が舞台となりました。

宝塚で「エリザベート」を上演するにあたり、雪組の古澤真プロデューサーが実際に契約をされたそうですが、その陰には今回「オーストリア共和国有功栄誉金章」を同じく授与された、「コーディネーター」のウィーン在住の小熊節子さんの、幅広い人脈を駆使されての協力が大きかったと言われています。

「エリザベート」を通して、ウィーン劇場協会との良い関係が築かれたので、今度の月組の『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』の上演に至ったのでしょう。
千秋楽を終えたばかりの月組のトップコンビ 珠城りょう君と美園さくらちゃんがウィーンを訪れ、上演中の「I AM FROM AUSTRIA」のキャストの方々と会われたそうですね。
日本とオーストリアが国交を樹立して150周年となる記念の年の「I AM FROM AUSTRIA」、今までとは違った風が舞台に吹きそうで、期待しています。

小池修一郎先生と各組プロデューサーの手腕に期待

各組のプロデューサーは、「組の社長」のようなものと思っていましたが、今回の初演の「エリザベート」の話を通して、作品を提案し、スタッフや生徒を説得し、版権ものの契約をとるのも、組のプロデューサーの仕事だということを知りました。(25年前の話ですから、現在は違うのかも?)

平成時代に、小池修一郎先生によって「エリザベート」を上演して成功したことで、海外ミュージカルを積極的に宝塚が上演するようになり、現在の大人気の「宝塚」に繋がっていると思います。
平成のはじめは、4組で「ベルサイユのばら」が上演されましたが、その後「エリザベート」の上演が無かったら、宝塚は今ほどの隆盛を誇ることが出来なかったのではないかな?とも思います。
小池先生もはじめは、脚本・演出を中心にされていましたが、「エリザベート」から潤色・演出を担当され、手腕を発揮されるようになりました。
そのはじめの一歩が「エリザベート」でした。

小池先生の手腕は「令和」でも変わらず必要です。
今度の雪組の大劇場お正月公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』は、ギャング映画を題材にしていますが、脚本・演出/小池 修一郎となっています。
原作の悲惨な部分を取り上げてお正月の作品にはふさわしくないと心配している方もいらっしゃいますが、不要な部分は削られて「オーシャンズ11」と同じようなエンターテインメント性の高い作品に生まれ変わるのではないかな、と期待しています。

いつまでも素晴らしい「エリザベート」の花總まりさん

宝塚の初演でエリザベートを演じられてから24年、現在も帝国劇場 ミュージカル『エリザベート』で、エリザベート役で6・7・8月3か月連続上演中です。
今回は宝塚を昨年卒業した愛希れいかちゃんとWキャストですが、全く年齢の差を感じさせない、初々しさも貫禄も兼ね備えているシシィ。
「オーストリア共和国有功栄誉金章」は、初演の花總まりさんにも授与され、授与式での映像を拝見しましたが、「エリザベート」をまだまだ10年でも続けられそうな若々しさ。
関西でも同じWキャストで「エリザベート」をぜひ上演して欲しいと切望しています。

初演に下級生でまだ歌が得意ではなかった花總まりさんを抜擢したのも、雪組プロデューサーの英断だなと感じています。
当時の雪組の古澤真プロデューサー、今回授与式の映像にも映っていらっしゃいました。
今は何をされているのかな?と調べてみたら「宝塚舞台」の社長をされていました。

現在の雪組のプロデューサーも、早霧せいなさんのお披露目公演に「ルパン三世」を選びその後も2.5次元の舞台を成功させ、望海風斗さんの相手役に真彩希帆ちゃんを選び、「究極の歌うまコンビ」で舞台を堪能させてくれて、やり手だなぁと感じています。

今ファンが一番気になっている、組替えなども、各組のプロデューサーの手腕にかかっているのかな?
過渡期を迎える宝塚ですが、「エリザベート」を初上演した雪組プロデューサーのように、ファンが楽しめる宝塚をプロデュースしていただきたいと思います。

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