1作トップ就任の匠ひびきさん
昨日2000年の「新専科」のことを書きましたが、「新専科制度」で1作だけ花組のトップをつとめて退団されることになった匠ひびきさんは、今でも気になっている忘れられないトップさんです。

その1作「琥珀色の雨にぬれて/カクテル」の公演中に脊髄炎という病に襲われて、千秋楽の3日前から足が動かなくなった中、何とか千秋楽まで舞台を務められました。
その大劇場での「琥珀色の雨にぬれて/カクテル」千秋楽公演の映像が、昨日スカステで放映されていました。

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最後の3日間は、家では歩けなくて這っているような状態だったそうですが、舞台では代役をたてることもなく普段通りに出演されました。千秋楽映像でも、重い大きい羽根を背負って大階段を降りておられました。
お芝居では、歩く動作がぎこちなく、痛みを我慢しておられることが伝わってきました。
ショーでは、上半身の動きだけで踊ってましたが、気迫が満ちていて、決して不自然ではありませんでした。

ダンスの名手だったので、普段は誰よりも足があがるキレのあるダンスを踊られる方でした。
足が動かせないこと、普段のダンスができないことが、ご本人にとって一番の無念だったと思います。
ショーでは涙を流されているシーンが多かったです。激痛もあったのかもしれません。

千秋楽なので、サヨナラショーまでされていました。
サヨナラショーでは、大階段で10段目までがあがることも難しく、演出の正塚晴彦先生と藤井大介先生に肩を貸してもらって上らせてもらったそうです。
足をあげることが出来ないので、衣装のズボンも抱えてもらって履かしてもらったり、客席から見えない所では何もかも周りの人に助けてもらいながら、舞台の上に立っておられたようです。

緑の袴姿で大階段を降りてこられる時は、花組のみんなと手をつないでいました。
足の感覚がないため草履が脱げないようにゴムでぐるぐるに巻いて止めていたそうです。
そんな草履では足が滑ってしまう危険性があるので、皆で手をつないで降りてこられたのですね。

最後のご挨拶は、匠さんの心からの思いが伝わってくるものでした。

3日前から足が動かなくなりました。
最後の3日間、このマイクの前に立ちたくて、花組の仲間にスタッフの皆様に裏の方々に全ての方に支えられて舞台に立つことができました。
ただこの3日間、はじめて宝塚を観た方には、申しわけなく思っています。
わたくし匠ひびき、15年前の春この姿で入団してきました。本当は泣き虫で根性も無くて、同期の中で一番年下で一番甘えたで、ダメな私でしたが、私が出会ったすべての方々が頑張れといつも背中を押してくださいました。
そのおかげでしっかり目を見開いて舞台に立つことができました。この宝塚で出会ったすべての方々に感謝の気持ちで一杯です。
なによりも客席からあたたかく見守ってくれたファンの方々に感謝の気持ちで一杯です。
花組のみんな、本当にありがとうございました。

体の痛みがひどくなってからは、幕が閉まるとともに崩れ落ちてしまうような状態だったそうです。
あまりの痛みだったので、最後の3日間の記憶は無いそうです。
そこまでの極限状態にあっても、プログラム通りに舞台をつとめようとされるタカラジェンヌの意志の強さはスゴイです。

千秋楽後すぐに治療に専念されましたが、そんなに簡単に治る病いではありませんでした。

東京宝塚劇場公演の前に予定されていたドラマシティ公演・匠ひびきリサイタル『ダイヤモンド・アイズ』での主演は休演となりましたが、当初からメンバーだった花組の12名がいろんなジャンルにわたってのダンスショーを披露しました。

東京宝塚劇場公演も前半は休演され、最後の1週間のみショーに出演され千秋楽を迎え、退団されました。

その後も舞台で活躍された時期もありましたが、現在も闘病されています。ファンに向けて匠ひびきインスタを公開されています。(現在インスタはゴールデンウィーク明けまでお休みされるとのこと。)
愛華みれさんとの「マグノリアホールコンサート」や東京銀座でのコンサートも予定されているようです。

宝塚でおこるドラマを越える悲しいこと

くららは、「琥珀色の雨にぬれて/カクテル」を匠さんが元気な時に観劇していました。
「カクテル」は、匠さん・チャーリーさんのサヨナラのために作られたショーでした。
「CHARLIE」と電飾が灯され、匠さんと花組生一人ひとりが銀橋でタッチしていったり、匠さんが肩車されて花組生みんなから声援をおくられたり。
匠さんへのはなむけに終始したショーで、「匠さん良かったね」と思いながら見ていました。

なので、そのショーに匠さんが出演できないことが悲しすぎました。
東京公演の残り1週間以外は、匠さん不在でそのショーを盛り上げるのは、花組生もつらかったと思います。

1回だけのトップ就任・退団公演で、こんな悲しいことが起きるとは、誰もが信じられない受け容れがたいことだったと思います。
匠さんの現在の病は、当時の脊髄炎とは違うもののようですが、はやく回復されることを願っています。

1作だけのトップ就任・退団について

匠さんは1作だけのトップ就任をそのまま受け容れられていましたが、同じように雪組でトップ1作での就任・退団になった同期の絵麻緒ゆうさんは、快く思っていなかったようで、記者会見で「1作だけの就任・退団は、劇団が決めたことだ」とはっきり話されました。
同時に娘役トップに就任した紺野まひるさんも、絵麻緒さんと一緒に1作トップで退団されました。
劇団側は、紺野まひるさんには長期に渡ってのトップ娘役就任を希望していたように見受けられたので、「劇団の思い通りにはならない」ことを劇団側は思い知ったのでは、と感じました。

絵麻緒さんの1作トップ公演『追憶のバルセロナ』は、今度宙組の全国ツアーで再演されることになっています。
ショーの『ON THE 5th』はマンハッタン五番街をテーマにしたものですが、アメリカの同時多発テロ事件をイメージさせる内容があったため、世の反感をかいました。
「GOD BLESS AMERICA」は八百万の神を信じている日本人が発信するものではなく、宝塚の浅い宗教観は、注意するべき点があると、その当時から感じています。

サヨナラ公演『Cocktail』は、藤井大介先生の酒レビュー1弾!

今度2019年宙組 真風涼帆主演『アクアヴィーテ!!』が上演されることになりました。

第1弾
『Cocktail』 2002年花組(匠ひびき)
第2弾
『Santé!! 〜最高級ワインをあなたに〜』2017年花組(明日海りお)
第3弾
『アクアヴィーテ!!』 ウィスキーがテーマ 2019年宙組(真風涼帆)上演予定

2017年の『Santé!! 〜最高級ワインをあなたに〜』が上演された時は、藤井大介先生から案内があったようで、2002年の懐かしいシーンもあって、とても楽しみにしていらして、観劇されたことを、インスタにあげられていました。

今年の『アクアヴィーテ!!』も、藤井大介先生に誘われて観劇されるでしょう。
チャーリーさんが舞台に立てるようになるまで、お元気になれますように。
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