こんにちは、くららです。
花組『エリザベート』に関心が寄せられる中で、「ダブル2番手」聖乃あすかさんと極美慎さんの「どちらが花組次期トップ?どちらが組替え?」と強い関心が寄せられているようです。大作『エリザベート』上演後の大激震を予想する声も少なくありません。

歴代理事長の変遷に見る「組替え」の思想

今回は、宝塚の歴代理事長(経営トップ)の思想と、近年の劇団が置かれた状況を冷静に紐解きながら、未来を見ていきたいと思います。

過去のような「生徒をコマのように動かす雑な組替え」の時代はすでに終わりを迎えており、今回の「花組W2番手」という異例の人事の裏には、生徒を守りつつ未来を繋ぐ、村上社長の極めて慎重な「青写真」が描かれているように感じています。

宝塚における組替えやスターの配置は、その時々のトップの経営方針によって180度変わります

植田紳爾体制(1996〜2004):システム改革と「大シャッフル」の功罪

演出家出身である植田氏の時代は、まさに「動」の時代でした。1998年の宙組誕生に伴う5組体制化、迅速な東京通年公演化など、これらは劇団という巨大な組織をダイナミックに動かすための改革でした。

2000年6月1日に「新専科」導入。各組の2番手3番手10人が「専科」に異動しました。結局そのうち6人は組に戻りトップスターに就任しました。【花組の匠ひびき(1作)、月組の紫吹淳、雪組の香寿たつき、星組の絵麻緒ゆう(1作)、彩輝直、宙組の湖月わたる】2001年5月16日には「21人の大規模組替え」発表もありました。

当時は、生徒をまるでパズルのピース、あるいは「コマ」のように頻繁に異動させる体質が顕著でした。環境の激変に伴う生徒たちの精神的・肉体的負担は計り知れないものがあったと思います。

小林公一体制(2004〜2015):拡大路線の「適正化」とパズル人事

創業者一族である小林氏の時代は、植田氏が広げた大風呂敷を経営的に着地させる「事後処理と経営基盤安定」の期間でした。
小林体制でも組替えは「多め」でした。
「A組のトップが辞めるから、B組の2番手を移動させ、C組の3番手をB組へ……」という、玉突き型のパズル人事が繰り返されていました。

小川友次体制(2015〜2021):戦力固定がもたらした「ウナギ登り」の黄金期

この流れをガラリと変えたのが、阪急電鉄のビジネスマンとしてプロ野球の球団経営のような視点を持っていた小川氏でした。海外ミュージカルの積極導入などでも大活況を牽引。

生徒を頻繁に動かすことをやめ、「組の固定化とブランド化」を断行しました。明日海りおさん、望海風斗さん、真風涼帆さんといった強力なトップスターを据え、組替えを最小限に抑えて「組の絆」を前面に押し出しました。トップ娘役については、就任1作前組替え、研4で就任という早期抜擢はありました。路線スターは番手が上がる前に組替え。(月城かなと、朝美絢、永久輝せあなど)

木場健之体制(2021〜2023):地味ながらも小川路線を継承

基本的には小川氏の「戦力固定・組の絆重視」のやり方を忠実に継承していました。コロナ禍という未曾有の危機において、過度な人事異動を避け、目の前の公演を成立させることに注力していました。

そんな中で2023年、あまりにも悲しい出来事が起きてしまいました。

村上新体制の組替えに対しての思い

木場氏の引責辞任を受け、2023年12月に就任した村上浩爾氏(現在は株式会社化に伴い代表取締役社長)は、劇団の「構造改革」という重い十字架を背負っています。

村上社長は、2026年の新春インタビューにおいて、組替えについてこう語っていました。

「組み替えをしてもらった生徒のみなさん、大変だったと思いますけど、組み替えをして今までより更に活躍をして欲しいと思いを込めています。また、受け入れる各組の皆さんにとっても新しい気づきや刺激を受けるということで、その相乗効果を発揮していただければと思っております。」

この言葉の通り、村上体制における組替えは、決して過去のような「組織の都合でコマを動かす雑な人事」ではありませんでした。
その延長が、今回の星組・極美慎さんの花組への組替えと、花組生え抜き・聖乃あすかさんとの「ダブル2番手」就任です。

この二人の並びは、ただの「話題作り」に留まらない、凄まじい相乗効果を生み出しています。

もともと極美慎さんは、「小顔長身」というずば抜けたビジュアルとキラキラしたスター性で絶大な人気を誇っていました。
一方、正統派美人の聖乃あすかさんは、ビジュアル面では完璧ながらも、極美さんの強烈な個性の前には少し控えめに見える部分もありました。しかし、今年2月のダブル2番手体制以降、聖乃さんの快進撃が始まり、「美人なのに面白い」というギャップを自ら「おもしろジェンヌ」として売り出し、その親しみやすさで人気が爆発的に急上昇しています。

先日のFNS歌謡祭で見せた、「花組男役5人」の格好良いビジュアルは世間でも大きな話題となりましたが、その中心で極美さんと聖乃さんは、それぞれが全く異なる魅力で新しいファンを獲得しています。

さらにファンを熱くさせているのが、『エリザベート』での配役。
二人に与えられたのは、フランツ・ヨーゼフ役とルイジ・ルキーニ役。
宝塚の男役としてこれ以上ない試練であり、同時に最高の格式を持つ大役です。
この大きな壁を二人で競い、補い合いながら乗り越えたとき、二人がいつかそれぞれ別の組でトップスターとして輝くための「土台」を完成することになるでしょう。

一部からは「同期で競わせるのは不穏だ」「エリザベート後にどちらかが弾き出されるのでは」という邪推も聞こえます。
しかし、劇団は今、一人のスターに過度な負担をかけることを避ける傾向にあります。

極美さんと聖乃さんを花組で並べたのは、お互いに2番手としての重責やプレッシャーを分散し、男役としての「箔」を同時進行で付けるための、村上社長流の「守りながら育てる」人材配置だと感じています。

タカラジェンヌの精神的負担と、これからの「最小限の組替え」

多くの宝塚ファンは、「次は誰が動くのか」「大組替えがあるのではないか」と期待混じりの予想・妄想・噂をささやき合います。

ですが、劇団の現状を考えれば、今後も組替えは必要最小限に留まると私は思っています。

タカラジェンヌにとって「組替え」とは、私たちが想像する以上の精神的負担を伴うものだからです。
宝塚歌劇団は、単なる芸能事務所ではありません。各組には独自の暗黙のルール、人間関係、学年の上下関係、そして伝統があります。

序列が上になればなるほど、異動先での振る舞いや、その組の生え抜き生徒・ファンへの配慮など、全神経をすり減らすことでしょう。

全く別世界の組に飛び込むことは、ジェンヌのメンタルヘルスを考慮する現在の劇団において、最も慎重にならざるを得ない劇薬かもしれません。

劇団員を守り、過度な負担を減らす改革を進めている村上社長が、生徒を傷つけるような大シャッフルを行うことはないと思っています。

このブログの妄想記事について

私は「勝手な自分よがりの妄想です」と、いろいろと注釈をつけてこのブログに妄想を記すことがあります。それにも関わらず、「勝手な妄想」に対して、強い批判が送られてきます。一部馴染の方からは、妄想でも良いから書いて、という要望もあり…。

書きたくない心境ながらも、少し書こうかと書くと、傷ついて大撃沈してしまいます。人の心を傷つけるような妄想を書いて、「何が傷つくだ!」と、またご批判がくるかもしれません。

これぐらい、生徒さんたちの人生に寄り添い、彼女たちの限られた輝きの時間を愛しているファンの方たちにとって、いちファンの「勝手な人事妄想」でさえ、デリケートな許せないものなのだと感じています。申し訳ありません。でも、その方にとって許せないものであっても、それを待っている人もいるのです。このあたり誰もが目にするブログ運営の難しいところです。やめてしまうのが一番良いかも。

花組『エリザベート』という大作の上演後は、何らかの動きはあるかもしれません。しかしそれは、誰かを追い落とすためのものではなく、綿密に計算された「次の世代への穏やかなバトンタッチ」であるはずです。

聖乃あすかさんと極美慎さん。二人のスターが花組の舞台で並び立つ奇跡の時間を堪能しながら、劇団が描く優しくも確かな青写真が、美しい大輪の花を咲かせる日を心から楽しみに待ちたいと思います。

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