
こんにちは、くららです。
宙組公演『黒蜥蜴』が開幕しました。春乃さくらさん演じる黒蜥蜴の評判がすこぶる良いですね。
宝塚ニュースの初日映像を見ましたが、春乃さんの黒蜥蜴が妖艶で、また耽美で、歌もお上手で特別印象的でした。
タイトルロールに偽りなし!男役トップを凌駕する出番とセリフ量
宝塚史上珍しいトップスターとトップ娘役が同等でライバル
宝塚歌劇団の長い歴史の中で、今回の『黒蜥蜴』のように、トップスターとトップ娘役が同等でライバルというのは極めて珍しいと思います。
1 トップ娘役が明確な主役(タイトルロール)を演じる。
2 トップスターとトップ娘役が同格・同サイズでポスターに並ぶ。
3 異例の公演解説。トップスターとトップ娘役が対等なライバルとして描かれるのは、極めて異例だと思います。
二人の人物がいる。一人は探偵・明智小五郎。そして、もう一人。未だその正体も、所在も知る者のいない盗賊・黒蜥蜴。
目抜き通りがイルミネーションに華やぐクリスマス・イブの夜、二人の運命が交錯しようとしている……。 引用「黒蜥蜴公演解説」
膨大なセリフ量と戯曲の難解さをねじ伏せる「圧倒的な技術」
そして幕が開くと春乃さくらさんが大絶賛されています。トップ娘役の春乃さんの方が、トップスターの桜木さんよりも、台詞も心情場面も多くて、完全にタイトルロールそのものだとか。そして一切違和感なく主役として成立させているそう。
三島戯曲の難しい言い回しも、歌うように滑らかに表現されているとか。
膨大な量の台詞が、歌うようにスラスラと出てきて、噛むこともセリフを飛ばすこともなく、あれほど落ち着いて完璧にこなせるのは凄すぎると。
舞台を支配する圧倒的な表現力と美
そして、 妖艶・耽美・エキセントリックな「舞台を支配する表現力」が素晴らしいそう。
いろんな表情や声色を使い分けていて、客席を引き込む力が凄くて、周りを巻き込むカリスマ性と、怪しい色気に圧倒されるとか。
とにかく素晴らしいそうです。
異色のトップ娘役春乃さくらさんについて
トップ娘役は、大半が予定調和のレール上
宝塚の多くのトップ娘役は、文化祭のヒロイン、初詣ポスター、阪急電車ポスター、研2〜3での新人公演初主演、バウや東上公演のヒロインと、劇団が用意したステップを順調に駆け上がっていくのが「王道」です。
102期の春乃さくらさんと同期の舞空瞳さん、潤花さんは、共に文化祭のヒロインで、舞空さんは初詣ポスターモデルで、順調に抜擢されてトップ娘役への道を歩まれました。
異例の「無冠」からの大逆転
しかし、春乃さくらさんの歩みは、その予定調和とは真逆のものでした。
春乃さんに大きなチャンスが巡ってきたのが、新人公演の最上級生「研7」の『NEVER SAY GOODBYE』(2022年4月14日)のヒロイン・キャサリン・マクレガーでした。宝塚での新人公演は中止でした。東京では上演されて、ライブ配信もされました。数々のナンバーを美しい声で歌い上げて、話題でした。
その直後、桜木みなとさん東上主演『カルト・ワイン』(2022年6~7月)で、初ヒロイン。
2023年2月7日、「宙組 次期トップスターに芹香斗亜、次期トップ娘役に春乃さくらが決定しました」と発表されました。その約10日前に真風さんと潤さんの退団公演『カジノ・ロワイヤル』の配役発表で、原作のヒロインのヴェスパー役が、春乃さくらさんだったことで、「もしかして春乃さんが次期トップ娘役?」と噂はされていました。
1月の芹香斗亜さんディナーショー『KISS -kiki 』に、春乃さんは、風色日向(102期)さん、真白悠希(104期)さん、葉咲うらら(106期)さんと共に出演されていました。
新人公演初ヒロインから4作目でトップ娘役就任
2022年4月14日の新人公演の初主演をつとめて、それから約1年2カ月後、2023年6月12日付で宙組トップ娘役に就任されました。異例のはやさでした。
愛希れいかさんは新人公演ヒロインから3作目てトップ娘役就任
元月組トップ娘役の愛希れいかさんも、新人公演のヒロインからトップ娘役への道のりが、とても短かったと言われています。
娘役転向後、「アルジェの男」で新人公演初ヒロイン、次の明日海りおさん主演東上公演「アリスの恋人」で東上公演初ヒロイン、霧矢大夢・蒼乃夕妃トップコンビ退団公演「エドワード8世」で2度目の新人公演ヒロイン、そして2012年4月23日付で月組トップ娘役に就任。
愛希れいかさんも、「ホップ・ステップ・ジャンプ」でトップ娘役に就任されましたが、期間としては春乃さんが本公演が1作多かったですが、異例の速さです。
春乃さくらさん「雲外蒼天」
当時、芹香斗亜さんの相手役(次期トップ娘役)は他のスターが予定されていたと思います。しかし、週刊誌の報道などによって、人事の急な路線変更となり、劇団は「どんな過酷な状況下でも、舞台を成立させられる本物の実力者」ということで、高いスキル(歌唱力・品格)の春乃さんに白羽の矢が立ったのだと思います。
その後もトップお披露目公演で悲しい出来事があり、宙組全体が激しい逆風に晒され、精神的にも厳しい状況の中を過ごされたと思います。
しかし春乃さんは「トップ娘役」という重責を背負いながら、一歩も引かずにただひたすら自らの芸を磨き続け、毎回見事な舞台の技術と姿でファンを魅了し、天真爛漫な「陽」のオーラを放ち、元気を与え続けてくれました。
舞台人としての圧倒的な「芸の力」で、様々なよどみを浄化してきたのが、春乃さくらというタカラジェンヌの凄みだと受け止めています。
雲外蒼天(うんがいそうてん)
「どんなに厚い雲に覆われていても、その上には青空が広がっている」ということから、「苦難や試練を努力して乗り越えれば、その先には必ず素晴らしい明るい未来や成果(青空)が待っている」という意味を持つ四字熟語で、私の好きな言葉です。
春乃さんは「雲外蒼天」をまさに体現している方だと思います。
トップ娘役の「最長の経験値」が、三島戯曲の闇を照らす
現在、春乃さくらさんは宝塚の全トップ娘役の中で、経験値が一番長いトップ娘役さんです。(5作目)、学年は天紫珠李さんに続く102期の研11のベテラン娘役さん。
早くに抜擢された若手トップ娘役には出せない、じっくりと下積みで培ってきた「大人の包容力」と「安定感」があるからこそ、今回の『黒蜥蜴』という劇団史上初の快挙が成立したのだと思います。
劇団は、男役を主役にするために設定を改変するのが常ですが、今作は江戸川乱歩・三島由紀夫の原作段階から100%女性が主役の物語です。それを設定変更せず、男役トップと「同格」としてタイトルロールを任せたのは、劇団が「春乃さんは守られるヒロインではなく、舞台そのものを支配できる「男役と対等の役者」」と公式に認めたからだと思います。
宙組問題
宙組の3年前の悲しい出来事は、ファンの胸中に、割り切れない、複雑な「モヤモヤ」としてまだ残っています。
次期トップ娘役候補?と思われるきよら羽龍さん、山吹ひばりさんがいらっしゃるのに、事件の影を残す天彩峰里さんが、娘役2番手の重要なポジション(岩瀬早苗/桜山葉子の二役)で重用されていることに、疑問の声を寄せる方もいらっしゃいます。もしかして違う立場から見れば、天彩さんも被害者のお一人かもしれません。私のような一ファンには全容がわかっていません。
そして組長の松風輝さんが今回の公演で退団されます。その退団を遅いという方もいらっしゃいますが、次期組長の愛すみれさんが決定するまで、松風さんは責任を負い続けていらしたのかもしれません。
春乃さくらさんは、重苦しい宙組の空気を、圧倒的なエネルギーと桁外れの技術で一瞬にして吹き飛ばしてくれ、天真爛漫な「陽」のオーラを放ちながら、舞台の真ん中で堂々と輝く姿は、今の宙組を観る客席にとって最大の救いだと思います。
客席が抱える複雑なモヤモヤは、『春乃さくら最強伝説』によって跳ね返されるのかも、と初日を観劇した方々の熱狂的なレポを読みながら思いました。
桜木さん水美さんの力も大きい
宝塚は男役至上主義ですが、この作品は従来の宝塚の「男役ファースト」の構造に風穴を開ける作品で、挑戦的だと思います。
しかし、トップスター桜木みなとさん・2番手水美舞斗さんという最強の男役2人がガッチリと脇を固めているからこそ、春乃さくらさんが真ん中の位置に立つという大胆な構造が、最高のエンターテインメントとして成立しているのだとも思います。観劇が楽しみです。
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