2人のトップ娘役
こんにちは、くららです。
昨日の退団発表を受けて、鳳月さんと天紫さんの退団会見がありました。
全身真っ白のスーツを素敵に着こなしていらした鳳月さん。胸元のレースがゴージャスで、白のロングドレスが眩いばかりに美しかった天紫さん。

鳳月さんは、お披露目公演が終わった時に「4作」と決められていたそうです。
そして、天紫さんもトップ娘役に就任した時から、同時退団を決めていらしたとか。

鳳月さんがトップスターとして様々な役に挑戦されたことで、宝塚の男役の幅と深みがとても広がりました。鳳月さんと天紫さんが見せてくれた芝居巧者のコンビネーションは、芝居の月組の真骨頂でした。

2人のトップ娘役候補

前回、月組の次期トップ娘役について少し触れました。
今回は、もう少し深掘りしていきたいと思います。

次期トップスターへの就任が確実視されている風間柚乃さん
現在、次期トップ娘役の有力候補としてファンの注目を集めているのが、圧倒的な実力派の白河りりさんと、王道の可憐さを誇る花妃舞音さんです。

風間さん東上主演『稲妻開化譚』でのヒロイン決定により白河さん一歩リードとの見方もありますが、ビジュアル抜群の花妃さんとの「おだまのん」コンビを推す声も多くあり、まさに「実力派」か「ビジュアル派」かで意見が割れています。

10年前「平成のゴールデンコンビ」と言われた「ちぎみゆ」コンビ

娘役の慕い芸が求められた時代

10年ほど前を振り返ってみると、雪組の早霧せいなさん咲妃みゆさんは、その圧倒的な実力と息の合った演技から「ちぎみゆ」という愛称で親しまれ、とても人気がありました。

娘役が一歩引いて男役に仕える「伝統的なトップコンビ売り」が主流であり、娘役の慕い芸が求められ、それが最高の萌えを生み出していました。

現在の宝塚のトップコンビ

しかし、現代の宝塚のトップコンビは、夫唱婦随というより、「対等の関係」です。
花組の永久輝せあさんは、相手役の星空美咲さんの慕い芸を軽くいなして、「対等であること」をいつも求めていらっしゃるように感じています。

お互いが独立した高いスキルを持ち、舞台上でバディ(相棒)のように対等にぶつかり合う関係性が今の宝塚の主流になっていると思います。

それに伴い、娘役同士も「誰かの影」になるのではなく、個々のスターとして実力を競い合う環境が作られています。

現在白河りりさんと花妃舞音さんは、「娘役2」という対等な立場で、『RYOFU』『水晶宮殿(クリスタルパレス)』で、切磋琢磨しながら活躍されています。

この姿が、「現代の宝塚のあり方」だと私は感じています。

小池修一郎先生と植田紳爾先生の違い

小池修一郎先生は過去の雑誌の寄稿などで、宝塚のスターシステムへの敬意を払いつつも、演出家(クリエイター)としての本音を以下のように語っていらっしゃいました。

「トップスターという存在が固定されているのですから、演目によって相手役を変えるほうが物語のバリエーションは増えると思います」

小池先生は、『エリザベート』『ロミオとジュリエット』など、海外のミュージカルを数多く宝塚に導入し、大ヒットさせてきた立役者です。

月組の『1789』でトップ娘役の愛希れいかさんにマリー・アントワネットや役を振ったことは当時としては画期的なことでした。

海外ミュージカルは元々、固定のコンビのために書かれたものではなく、「役のイメージや音域に完璧に合うキャスト」をオーディションで選んでいます。そのため、一本物の大作を多く手掛ける小池先生だからこそ、より「作品至上主義」という立場に傾いていらっしゃるのだと思います。

一方、植田紳爾先生(元劇団理事長・『ベルサイユのばら』などの演出家)は、どちらかというと伝統的な「スターシステム」や「男役と娘役の型(美学)」を非常に重視されます。植田先生の作品では、トップ娘役が固定されているからこそ表現できる「古き良き宝塚の形式美」や「男役の影として寄り添う娘役の美しさ」が強調されることが多く、小池先生の「作品ごとに変えた方が面白い」という革新的な意見とは対照的なスタンスです。

現在、宝塚は改革途上です。長い間、男役像や娘役像も植田先生が代表される考え方の上にありましたが、小池先生の柔軟な考え方を積極的に取り入れていくことも必要なのではと私は思っています。

10年前は「ちぎみゆ」のお慕い芸が人気の一つでしたが、今の観客はそういうものではなく、「高いレベル」を求めているように思っています。

40年前の星組「Wトップ娘役」体制

1985年星組・峰さを理さんのトップ時代、南風まいさん湖条れいかさんの「Wトップ娘役」体制の時期がありました。

首席入団の3拍子揃った実力派の南風まいさんがトップ娘役に就任されていましたが、ショー作品でビジュアル派で娘役らしい持ち味の湖条れいかさんと峰さんが組んだシーンが評判が良かったことから、その次の芝居のヒロインは湖条さんになり、ふたりが「Wトップ娘役」として活躍していました。

作品のカラー(大人のメロドラマか、王道のラブロマンスか)や演目によって、峰さんの相手役を2人が交互に、あるいは作品内で競うように務めていました。先に湖条さんが退団され、南風さんは次の日向薫さんの単独トップ娘役としても活躍されました。

「実力」と「ビジュアル(可愛さ)」、まさに現在の白河さんと花妃さんの関係性に似たバランスだったように思います。

宝塚で「Wトップ娘役」体制だったのは、この時だけでしたが、この体制が復活しても面白いのではないかと私は思っています。

舞空瞳さん退団後、礼真琴さんの相手役について、劇団は

固定的なトップ娘役は当面の間設けず、公演ごとに柔軟な配役を行って参ります。

と発表されていたと記憶しています。

もし月組が「白河りり・花妃舞音」の2人をどちらも手放したくない場合、あるいは風間さんのマルチな才能を活かすために、あえて1人に固定せず、作品ごとに2人を使い分ける(あるいは他組からの組替えを待つ)という選択肢も面白いのではないかと感じています。

さて、どうなるのでしょうか?見守っていきたいと思います。

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