宙組『夢現の先に』初日観劇感想
こんにちは、くららです。
バウ『夢現の先に』の初日を観劇してきました。
生駒怜子先生のバウデビュー作です。

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『夢現の先に』感想

公演解説、先行画像、ポスターと公表されるたびに、今までの宝塚には無かった不思議な世界観に「いったいどんな作品?」と「?」だらけでした。

しかし何の心配も不要でした。とっても楽しめました。
メリハリのきいたハートフルで心にしみこんでくる素敵な作品でした。
テンポ良い会話で繰り広げられていって、笑いあり、ちょっと涙あり。
主演の鷹翔さんや、亜音有生さんの持ち味がとってもいかされていました。
最下級生までセリフや歌がありました。(「黒い影」のダンサーには無かったですが。)
出演者一人ひとりがイキイキとして、若さと活気があふれていて、爽やかな印象が残りました。

手島先生作曲のナンバーも、心に響きました。
さらに「ザ・宝塚」なダンディなフィナーレもついていて、多幸感でいっぱい。

学生時代に小劇場作品を制作主演されていたという生駒怜子先生。
キラリと光る発想力とセンスをお持ちで、これからにとても期待できそうです。

次々に、持ち味の違う新しい先生がデビューされていて、将来が明るいです。

主要な役について

「彼」…鷹翔千秋

鷹翔さんのちょっと他の人とテンポの違う個性と、人の良さが「僕」にマッチしていて、素朴で奥手で不器用な「僕」を好演されていました。
心のうちをダンスで表現するところも多く、流れるようなダンスも、そして確かな歌唱力の歌も、また「クスッ」と笑いをさそうようなコミカルな演技も、何もかも巧みで自然体で、「僕」の心に惹きこまれました。
そして「僕」の変化が、とても伝わってきました。

「彼」…亜音有星

整ったビジュアルで、天真爛漫な明るい笑顔で、夢の世界の羊や住人たちを動かしていて、「僕」もその中に巻き込まれていきます。

圧倒的な陽のオーラで、物語を当たり前に感じさせてくれる説得力があります。
「彼」もとりわけピュアで、明るさの裏に「陰」を抱えていて、それを漂わせながら、終盤の展開にもっていくバランスが上手でした。

実力派で少し地味めの鷹翔さんと華とオーラの亜音さんの対比も面白いです。

「彼女」…山吹ひばり

純真でまっすぐなヒロインを、ていねいに演じられていました。
以前に気になっていた「アニメ声」は全く気にならず、歌がお上手なので、しっかり歌詞が伝わってきます。

山吹ひばりさんは、特に瞳が綺麗です。そして可憐でビジュアルが抜群なので、舞台にいるだけで「ヒロイン」です。

綺麗なのに華というかオーラは不足気味なので、自信をつけたら、それらも兼ね備わるようになるのかな?と思います。

衣装にも意味があった

宇宙服のような独特の不思議な衣装には意味がありました。

悪夢にうなされるのが日常だった「僕」のトラウマやしがらみが、宇宙服のような重い服にしばられていることを意味していました。
「僕」は、それらから逃げたくても逃げられない状態でしたが、「彼」と夢の中で出会ったことから変わっていきます。
劇中、心の変化が衣装に反映していました。

「彼」も、「僕」に似た衣装を着ていました。
「彼」の正体がわかっていくところが、このストーリーの肝なので、これ以上は書きません。

宝塚では男役さんはスタイルの良くみえる衣装を身に着けるものですが、こういうダボっとした衣装を着せたのも、新しい先生のチャレンジでしょう。
鷹翔さんも亜音さんもスタイル抜群なので、ダボっとした衣装でも全然格好良かったです。

若手さんも活躍

105期の泉堂成くん大活躍

亜音有星さんの次に活躍していたのは、白い羊「メロ」役の泉堂成くん。(105期)

モフモフの衣裳の白い羊役は多いのですが、最初から舞台に出ていたのは下の3人(匹)だけ
メル(白い羊)…花菱りず(97期)
メラ(白い羊)…澄風なぎ(99期)
メロ(白い羊)…泉堂成(105期)

その後、メメの湖々さくらさんメイの奈央麗斗さん(107期)メアの栞菜ひまりさんが、場面ごとに1匹ずつ増えていきました。

泉堂くんは、羊の可愛い格好をしているのですが、一人だけ舞台の上でも、すごく存在感がありました。
華があって色気があって、メロ役で、客席をメロメロ惹きこんでいきそうな感じ。

そして、他の羊たちとは違う視点で「彼(亜音)」のことを心配していて、一人だけ他の場所で佇んでいたり、歌のシーンもありました。
「彼(亜音)」が成長していくための重要な存在でした。

一転、フィナーレでは格好良い男役姿でキザな視線を客席に送っていました。研4とは思えません。

この公演で「絶賛売り出し中」といった感じでした。

105期の大路りせさんは2役

お花屋の店員フランクと「黒い影」のダンサー役。
フランク役は結構セリフもあって、朝木さんと歌も。

「黒い影」は若手男役さんたち6人のダンスチームです。
大路さんはこちらでも活躍。
鳳月杏さんに似ている波輝瑛斗さん(106期)もダンサーとして頑張っていました。

大路さんは手堅い役で活躍、泉堂さんはメロ役を変化球を投げながら変えていきそうな予感。

白い羊のメイ役の奈央麗斗(107期)さん

奈央さんのメイは、2番目に加わっていました。お顔が整っているので羊もとっても可愛い。泉堂メロ羊と寝転がってキャッキャッと仲良くしているシーンもありました。このあたりも変わっていく予感。

「僕」の少年時代を演じた風翔夕さん(107期)も歌もお芝居もお上手で、重要な役割を果たされていました。

107期は最下級生ですが、奈央さんは最後のご挨拶が上級生の中に混じっていました。泉堂さんと大路さんは、更にかなり後ろに位置していました。推されている105期と107期。

月組の『応天の門』の新人公演の主要な役に105期と107期が抜擢されました。宙組も若手が抜擢されていきそう。

残念ながら退団される朝木陽彩さん

この公演で退団される朝木陽彩さん(104期)は、フィナーレのデュエットダンスの影ソロで透き通った美声を堪能させてくれました。
お花屋さんシーンで、大路さんとデュエットもされていました。
宝塚屈指の情感あふれるエンジェルボイスの娘役さん。
本当に退団が残念です。

宝塚らしいフィナーレ(若央先生振付)

大人っぽい雰囲気のフィナーレ

本編が夢の世界のファンタジー的な感じがありましたが、フィナーレは大人っぽい宙組らしいものでした。

男役群舞
⇒娘役群舞
⇒鷹翔ソロダンス
⇒亜音加わる、男役加わる
⇒亜音センターで、後ろの男役たち入れ替わり(この間、鷹翔早替わり)
⇒鷹翔・山吹デュエットダンス

鷹翔さんがとてもダンディで、トップスターのように全体をピシっと締めていらっしゃいました。
鷹翔さんさんのスローなソロダンスも決まっていました。長身でスタイルが良いので、ショーの真ん中が似合います。

また、亜音さんがショーシーンでは一際華やかで勢いがあるので、鷹翔さんに負けていません。

山吹さんは長身で首が長くてデコルテが綺麗なので、肩を出したドレスがとてもお似合いでした。

カーテンコールの鷹翔さんのご挨拶

1回目
「幸せな気持ちで初日を迎えられました。今日のことを絶対に忘れないと思います。全身全霊で僕と生き抜き、走り抜いていきます」

2回目
「幸せ過ぎて夢の中にいるみたい。現実ですね。新年早々に1年分の幸せを使い切ってしまった思いです。千秋楽までまだ使い切ったらダメですね。ありがとうございました」

3回目
「今回の作品で卒業してしまう朝木。美声でデュエットを踊れること幸せに思っています」

4回目 客席スタンディング
胸に手をおいて「こんなに愛を下さる皆様へ私たちからおまじないを送りたいと思います」
出演者全員が「モフモフ」と言いながらポーズ。

「幸せのお返しができたので、今日は悪夢を見ることがないと思います。明日みてしまうかもしれないので、明日も見に来てください」

ここまでブログを書いた所でスマホを見ると、宙組バウホール公演中止(1月6日~1月10日)のお知らせに気づきました。
鷹翔さんと出演者たちの初日の舞台をやりきった、イキイキとした幸せいっぱいの表情がまだ脳裏にやきついているので、なかなかこの現実を受け入れることができませんでした。

初日の公演の終了後、外に出ると「スマホで星組公演の中止延期」を知った人たちが、「〇枚チケットが飛んだ」などと嘆かれていたので、それを聞いた人たちも皆スマホを見ていて、私も見ました。中止期間延期とのこと。私のチケットもダメになってしまいました。どうか1月14日から再開できますように。

宙組のバウ組の方々は、明日に思いを馳せて終演を迎えられたと思います。
誰一人として「明日から中止になる」なんて思ってもいなかったでしょう。
午後8時45分にLINEが入っていたので、出演者たちが知ったのも家に帰られてからでしょうか。何と残酷なこと…。

1月12日から公演が再開されると、8公演できます。
1月16日(月)午後2時30分千秋楽公演が配信予定です。

どうか12日から千秋楽まで絶対に上演できますように。

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