男役が娘役に転向する時、可能性
こんにちは、くららです。
宝塚の世界は秘密のベールに包まれています。
宝塚ファンの関心事は人事の事。
いろんなことを勝手に「こうかな?」「ああかな?」と思ったり。

退団された方の発言で、「そうなんだ!」とわかることが多いです。
元雪組の大湖せしるさんが、宝塚史上初、11年目での娘役転向について語られていました。
大湖せしるさんは、トップ娘役には就任されませんでしたが、大人っぽくて美しい魅力的な女役を次々に演じられていました。
今回は「娘役転向」について深掘りしていきたいと思います。


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ブログでご紹介しなきゃあと思いながら書き忘れていたことがあります。
27日は月組公演の予習と復習ができる映画が放送されます。

月組公演の予習と復習ができる映画

『華麗なるギャツビー』
BSプレミアム
6月27日(月) 13:00〜15:23 
(2013年「THE GREAT GATSBY」レオナルド・ディカプリオ)

『今夜、ロマンス劇場で』
フジテレビ系列
6月27日(月) 夜9時〜
(2018年 綾瀬はるか、坂口健太郎)

「華麗なるギャッツビー」は予習に、「今夜、ロマンス劇場で」は復習に最適です!

大湖せしるさんについて

88期生、雪組に配属。
公称身長が166cmなので、男役さんとしては小柄。
ハーフっぽい、キュートな整ったお顔立ちが魅力でした。
当時の若手ホープの登竜門であるスカイ・フェアリーズとして活躍されていました。

研7の時に新人公演初主演

しかしその直後に、1期上の早霧せいなさんが宙組から雪組に組替。
似たような雰囲気の男役さんだったので、私は大湖せしるさんや89期の蓮城まことさんにとって不利だと思いました。
早霧せいなさんが活躍されていく分、路線スターとしてお二人に更なる道がなかなか開かれていかなかったように感じました。

2012年5月28日付で、娘役へ転向。研11。

2013年 バウホール「春雷」彩凪翔主演で初ヒロイン。

2014年 バウホール公演「パルムの僧院」彩風咲奈主演で、星乃あんりとWヒロイン。

2015年 望海風斗主演東上公演「アル・カポネ」でヒロイン。(波線下)

2016年5月8日、「るろうに剣心」東京公演千秋楽で退団。

娘山に転向して5年間、雪組を代表する娘役さんとして大きな実績を残されて、惜しまれる中退団されました。

在学時、在団時の心境

音楽学校時代から、「男役か?娘役か?」と迷っていたそう。
入学するまでパンツを穿いたことがなくて、男役ができるか不安だったけれども、宝塚は男役が花形で、「できるなら男役の方が良いよ!」と周りからも言われて男役に決められたそう。

入団してからショーなどで娘役が時々回ってくると、とても心地良く、2期上の緒月遠麻さんからも「娘役のとき、いきいきしてるよね~」と言われたことがあって、納得したそう。

娘役転向に対しての劇団の姿勢

Q:劇団や周りから転向をすすめられたことは?
一度もないそうです。

『ロミオとジュリエット』(2011年1~ 3月)の愛役から、娘役に心が揺さぶられるようになって、その直後が契約更新。

契約更新時の話
理事長、組のプロデューサーと話をするそう。
そこで「娘役への転向を考えています!」と大湖さんが突然発言してしまったそう。

雪組のプロデューサーにも相談していない、突然の思いつき。

劇団の対応は?
男役10年目なので、「とりあえずよく考えてください」という話で保留

そこから1年悩んで、「やっぱり後悔の無い宝塚人生にしたいな」と思って転向を決められたそう。

娘役に転向するまで1年間の保留期間があったことは、この記事で初めて知りました。
男役が娘役に転向する場合、劇団は慎重な姿勢なのですね。

しかも「男役10年」と言われるように、10年の経験を積んだ男役さんは貴重なので、余計に慎重になるのでしょうか。

→『ドン・カルロス』『Shining Rhythm!』の千秋楽の翌日、2012年5月28日付で、娘役へ転向
研11。在団11年目で男役から娘役に転向というのは宝塚史上初だったそう。

自分の宝塚人生を満喫したい思いで娘役に転向しただけなのに、彩凪翔さん主演の『春雷』でヒロインをすると聞いた時は、驚きすぎて本気で椅子から落ちたそう。
娘役に転向して約1年後でした。

絶世の美男の彩凪翔さんと絶世の美女の大湖さん主演の原田諒先生の素晴らしい作品でした。
その後、雪組の無くてはならぬ娘役さん(女役さん)として活躍されていきます。

今度、雪組和希そらくん主演で『心中・恋の大和路』が再演されますが、壮一帆さん主演の『心中・恋の大和路』でのかもん太夫役がとっても良かったです。

退団を決意した時
大湖さんは、直観を大事にして生きていらっしゃるようです。
退団のことは何も考えていなかった時に、稽古場でプロデューサーが「次の公演はるろうに剣心です」と発表にこられ、漠然と一本物で卒業したいという希望と和物が好きということで退団の直観がわいてきて、その日の稽古終わりにプロデューサーのところに行って「次で辞めます」と伝えられたそうです。

プロデューサーから「辞めて何するんですか?」と聞かれ、「いや、さっき退団を決めたから何も決まっていません」と答えると「2、3日考えてください」と言われたそう。

退団の時期は個人の判断に委ねられているのだなと思いました。
流石に演目を聞いてその場で判断したと応えると、「考えてください」と言われるのも仕方ないですね。

トップスタートップ娘役番手のスター等だったら、次の次の配役くらいまで考慮されていると思うので、突然の退団希望は通らないと思います。出版物の関係もあります。

しかしそうでないスターさんたちは、公演の演目が発表されたタイミングで、その公演で退団したいと希望すると通るのでしょう。
ファンに退団が発表されるのは、退団公演の集合日です。
もしかして、集合日までに退団を申し出れば、受理される可能性もあるのかもしれません。

私も、大湖さんの娘役転向されたことは、大正解だったと思います。
現在も2.5次元ミュージカルを中心に、活躍の場を広げていらっしゃいます。

「男役か?女役か?」の最終判断は本人の自由意志なのでしょう。
愛希れいかさんも悩んでいる時に、劇団では無く、龍真咲さんにすすめられて娘役転向の決断をしたと話されていました。
男役さんが娘役の役ばかり振られると「男役としてやっていけるだろうか?」と不安になったりするようですが、明日海りおさんの場合「男役をするんだ」という堅い意志を貫かれたようでした。

宝塚で「男役か?女役か?」は本当に大きな選択なので、自由意志で選択できることは大切だと思います。

娘役転向後、私設ファンクラブは?

男役さんには、男役ファンとしてファンがついていて、私設ファンクラブがある場合もあります。
男役であろうが娘役であろうが、そのスターさんのファンだから、と拘らないファンもいれば、娘役に転向したスターは応援したくないというファンもいるでしょう。
このあたり、学年が上がってファンがついているスターには、問題点でもあるでしょう。

娘役転向について

男役から娘役に転向してトップ娘役に就任される方は、過去はとても多かったです。

4組、転向娘役トップ時代

昭和56〜57年4組全て転向娘役さんがトップ娘役だった時代がありました。
花組……若葉ひろみさん
月組……五條愛川さん
雪組……遥くららさん
星組……姿晴香さん

遥くららさんが、鳳蘭さんのトップ時代に娘役に転向して、スケールの大きな娘役として大好評だったので、「転向娘役さん」がとても重宝されていた時でした。

トップ娘役を務めた転向娘役さん

雪組 鮎ゆうきさん(71期)
・1988年~1991年12月26日退団。
『華麗なるギャツビー/ラバーズ・コンチェルト』が退団公演でした。
今度月組で上演されますね。本当に美しすぎるデイジーでした。

宙組 紫城るいさん(83期)
・1公演だけ娘役トップ
『ガイズ&ドールズ』新人公演でのアデレイド役がきっかけで、その後娘役へ転向されたそう。

月組 愛希れいかさん(95期)
研3で娘役へと転向。その後「アルジェの男」で新人公演初ヒロイン、明日海りお主演東上公演「アリスの恋人で初ヒロイン、2012年 霧矢大夢・蒼乃夕妃退団公演「エドワード8世」で、2度目の新人公演ヒロイン。4月23日付で、月組トップ娘役に就任。

娘役に転向直後からヒロインを総なめして、トップ在任期間は6年7か月。花總まりさん、遥くららさんに続く、歴代3番目の記録です。

活躍した転向娘役さん
・千紘れいかさん(月組 78期)

・天勢いずるさん(雪組 83期)

・大湖せしるさん(雪組 88期)

・純矢ちとせさん(宙組 89期)

転向娘役として、愛希れいかさんの活躍が記憶に新しいですが、90期生代で目立つ活躍をされたのは、愛希れいかさんだけですね。意外と少ないことに驚きました。

100期以降の転向娘役さん

101期の天紫珠李ちゃん、102期の蘭世恵翔ちゃんが娘役転向した時は、いつかトップ娘役に就任されるのかな?と思っていました。
しかしその可能性は現在???です。

天紫珠李ちゃんについて

愛希れいかさんのバウでのプレサヨナラ公演の『愛聖女(サントダムール)』で、珠李ちゃん大抜擢されていて、「ポスト愛希れいか」感が満載でした。

先日の暁千星さん東上主演「ブエノスアイレスの風」でヒロインをつとめていましたが、波線上に位置していませんでした。
2019年轟悠さん東上主演『チェ・ゲバラ』で、初ヒロインを演じられていましたが、波線上に位置していませんでした。
2021年珠城りょうさん主演『幽霊刑事〜サヨナラする、その前に〜』でもヒロインでした。これも波線上ではありませんでした。

2020年『赤と黒』(御園座)ではマチルド役でした。
安蘭けいさんが星組トップ時代に『赤と黒』で主演した時に、次期トップだった柚希礼音さんが演じた役を月城かなとさんが、夢咲ねねさんが演じた役を天紫珠李ちゃんが演じていました。
月城かなとさんはトップに就任されましたが、天紫珠李ちゃんはトップ娘役に就任していません。

良い役を演じ続けられていますが、波線上のヒロインに位置したことはまだありません。今度の『グレート・ギャツビー』では、マートル・ウィルソン役で彩みちるちゃんと共に「娘役2」的な役です。
「ポスト愛希れいか」として期待されているように見えますが、今一歩その後が明確ではありません。

11月の鳳月杏さん東上主演『ELPIDIO(エルピディイオ)』~希望という名の男~で、ヒロインのパトリシアに抜擢されると、「ポスト愛希れいか」度が高くなると思いますが、どうでしょう?

蘭世恵翔ちゃんについて

「エリザベート」で、少年ルドルフ役に抜擢され、新人公演では女役マダム・ヴォルフで活躍。
2019年『夢現無双』では、風間さんの代役で男っぽい役。ショー『クルンテープ 天使の都』では通しの少年役がとても似合っていました。

2019年8月22日付で娘役へ転向。研4でした。
その直後の『I AM FROM AUSTRIA』 新人公演では、ロミー・エードラー(本役:海乃美月)で芝居上手で歌えて華やかで、娘役としての今後にとっても可能性を感じました。
2020年2月、『出島小宇宙戦争』ヘレーネ役で、個性的な役を魅力的に巧みに演じられていました。

「Brilliant Dreams#141「暁千星」~personal~」では、娘役転向のことで悩んでいて、暁さんに励まされたことを話されていました。
なかなか新人公演ヒロインや大きな役はまわってこないのが残念。
これからの活躍を期待しています。

宙組の100期の愛海ひかるさんが娘役に転向されて、「シャーロックホームズ」の新人公演のヴィクトリア女王がとてもお上手で期待していましたが、退団されてしまって、とても残念です。

以前に比べて娘役に転向する方が減っているように思います。
転向娘役さんだからこその魅力もあります。
大湖せしるさんのような「転向娘役サクセスストーリー」をまた見てみたいなと思っています。

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