上田先生から戦友と言われる珠城さん
こんにちは、くららです。
『桜嵐記』の感想を書こうとしながらも、なかなか進みません。すべてが素晴らしすぎて、私の拙い文章では、伝えきれないのです。

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『桜嵐記』は最高の作品

『桜嵐記』は、珠城さんの退団公演として、初日から最高の出来だと思いました。

凛々しく、美しく、逞しく、雄雄しく、優しく、情深く、誠実…
端正な顔立ち、男役として恵まれたスタイルなどのビジュアル面も、今までで最高に美しい!
所作も殺陣も並外れて決まっていて、誰よりも低く腰を落とし、背中から語ってくる男役の哀愁。
お腹の底から出している力強い太い声や歌声が、武将らしい。

珠城さんのもつ全ての良さが余すことなくこの作品で披露されていて、楠木正行と言う人物が珠城さんにドンピシャリの役なのです。
珠城さんの有終の美・男役集大成に違いありません!そして後々に語り継がれる名作になると思います。

「戦友」というキーワード

この作品の素晴らしさの根底にあるキーワードをweb記事でみつけました。

「これまで数々の月組作品を手がけ、成長を見守ってきた人が珠城にあてて書いた役なのだから、期待は裏切らない。愛のエールを感じた。戦友と言って下さる上田先生の愛情にこたえて男役の集大成をお見せしたい」と珠城も公演に向けて笑顔で話していた。引用朝日新聞デジタル

(朝日新聞の有料記事ですが、無料会員に登録すると、この記事は月5本まで最後まで読むことができます。)

上田久美子先生と珠城さんの強い信頼関係をあらわしたものです。
先生自らが生徒のことを「戦友」と呼ばれるとは、とても深い絆で結ばれているということですね。

上田先生と珠城さんの関係

2010年『ジプシー男爵』、2012年『エドワード8世』と、上田先生は珠城さんの出演の新人公演の演出を担当されました。

2013年『月雲の皇子』上田先生の演出家デビュー作品であり、珠城さんのバウ初主演作でした。好評を博し年末には「天王洲銀河劇場」で東上上演されるほどでした。

2018年『BADDY-悪党は月からやって来る-』は、上田先生の初の大劇場でのショーデビュー作品であり、珠城さん主演でした。

2021年『桜嵐記』が上田先生による珠城さんの退団公演作品です。

お二人がご一緒だった作品は、数としては多くありませんが、その繋がりの深さは作品の数では無いのでしょう。
上田先生は『演者が内面に持っているものが、役に反映されるので、「役者は人間力が大切」』とよく仰っています。

ある退団者のメッセージで、上田先生から「新人公演の役を演じる前に、まず人間を作り直しなさい」とアドバイスをされた、というニュアンスの話をされていたことを記憶しています。私の記憶の中に残っているものなので、表現方法、ニュアンスなど大分違っているかもしれません。
他の生徒さんの多くのお話を聞いても、とても厳しいご指導をされ、常に高みを目指されている先生という印象があります。
しかし珠城さんには全幅の信頼を置かれ、「戦友」という関係性が、宝塚の公式ページで上田先生の『桜嵐記』についてのインタビューからも十分伝わってきます。

正行は真面目すぎるほど真面目な武将で、決して人の道に外れるようなことはしない、道徳心を持って生きているところが魅力だと思います。ある種の公共心と言うのでしょうか、他者のために行動する人物として描きましたが、個を犠牲にして耐え忍ぶという日本的な一面は、珠城自身の誠実で真っ直ぐな人柄に大変合っています。引用演出家 上田久美子が語る『桜嵐記』の見どころ

演者が内面に持っているものは、役にも反映されますが、“正義の人”である正行の言葉に真実味を持たせるということを、珠城なら充分に満たしてくれるのではないでしょうか。それでも単なる綺麗ごとにならず、心に響くような実(じつ)のある演技をしてくれると期待しています。引用演出家 上田久美子が語る『桜嵐記』の見どころ

「主人公像は幹が太く大きく、まっすぐな木」をイメージして書かれたと上田先生は珠城さんに話されたそうですが、珠城さんは芯のある大木のような、堂々たる若武者ぶりを演じておられます。

3年前に「BADDY」を上演の際も、上田先生が珠城さんについて下記のように語っていらっしゃいました。

彼女が真ん中にいると、何をやっても大丈夫だと思える、支柱としての強さを感じました。
このショーも、珠城がいると創る側の不安が全くない、不思議な安心感があります。それは組のトップとして貴重な素質だと思いますね。
『月雲の皇子』では、徳が高く賢くて、人に対して優しさや情を捨てられない木梨軽皇子(きなしかるのみこ)役を演じてもらいました。
当時も彼女の“人間力”が活かされていましたね。もともとそういうものが備わっていないと、薄っぺらな芝居になってしまう役。でも、珠城はそれを兼ね備えているから説得力がありました。
今回のバッディは木梨軽皇子とはまた違いますが、彼女が地球の人たちを混乱させる、暴れん坊のような悪党を演じても、彼女自身が持っている人間としての“陽”の面、情や心のあるところが反映され、イヤな悪党には決してならない魅力的な悪党を演じてくれると期待しています。引用演出家 上田久美子が語る『BADDY』の見どころ

珠城さんの集大成のための上田先生の集大成

タカラジェンヌに退団は宿命です。
上田先生は、いつかはやって来る珠城さんの退団の時のために、『桜嵐記』を長く温めながら作っていらしたようです。
宝塚の中でも天才と言われている上田先生ですが、『桜嵐記』では心憎いばかりにその実力が全方位に対して遺憾なく発揮されています。
上田先生の珠城さんへの思いのこもったエールがこの作品を通して感じられました。そして珠城さんはそのエールに100%の完成度でこたえていらっしゃいます。
珠城さんなのか正行なの分けて考えられないくらい、神ががった珠城さんの正行です。

昨日、娘役さんが公家や若武者に配役されていたことの意味を書きましたが、この作品には他にも様々な配慮がなされ、意味がこめられているように感じます。見れば見るほど、様々なものを感じとることができるスルメ作品でしょう。

衣装、舞台装置などのビジュアル面、音楽面なども、とても素晴らしいです。

心に残った河内音頭

今回私の中に強く残ったのは、楠木正成の生誕の地・大阪の千早赤阪村に伝わる「河内音頭」です。昔ながらの素朴な「河内の~ どっこいしょ」という音頭でした。

この音頭は、芝居のはじめの方から、何度もみんなに歌われていました。
特に後半、父親役の輝月ゆうまさん演じる楠木正成の歌う河内音頭にのせて、珠城さんがスローモーションで命からがらに戦いながら、自らも歌に声を合わそうとされているころは、圧巻でした。一番の涙腺崩壊シーンのような。
退団者の颯希有翔さんが歌うところもありました。

観劇後も私の中では、ショーの主題歌よりも、この「河内音頭」が頭の中でリフレインしました。

この作品の良いところは、涙腺崩壊だけで終わらなところです。
沢山涙を流しますが、心に何か清々しいものが残ります。

まだはじまったばかりなのでネタバレを回避したいと思いますが、最後は出陣式になります。
上手の花道から出陣式にあらわれた珠城さんは、「お別れを!」と言って銀橋を渡られ、凛々しく下手花道にはけて行かれて幕となります。

出来るなら、下手側に座って、花道にはける珠城正行を最後まで見送りしたいと思いました。
しかし5月のチケットは、緊急事態宣言のために売り止めになっています。
昨日観劇した知人によると、平日なので空席が多かったそうです。
何と勿体ない!
以前から月組の作品は、初日の幕が開いてから、評判で次々に売れていく傾向にありました。
初日近くに『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』を観た時は、その帰りに多くの方がチケットカウンターに列をつくっておられました。ノロノロとしていたら売り切れてしまいました。

コロナ禍で観劇を控えていた方も、この作品の評判を聞いて、観たいと思っている方は多いことでしょう。
5月の売り止めは本当に残念ですね。
6月21日(月)が宝塚大劇場での千秋楽です。
6月は満席で盛り上がることでしょう。

8月15日の珠城さんのご卒業の日まで完走されることを願っています。

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