退団者餞別と実力主義について思う事
こんにちは、くららです。
以前から書いていて、「やぱりやめておこう」と掲載をやめていた記事があります。
日曜日の千秋楽の乙羽映見さんが素晴らしく輝いていたからこそ、書きたいと思います。
私の偏見、思い込み、独りよがりに満ちた内容であること、ご容赦ください。

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乙羽映見ちゃんについて

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』で乙羽映見(96期)さんが演じた“謎の貴婦人”の、伸びやかで澄んだ心に響く歌声、高貴な品性と輝きと素晴らしい演技…
最後の光の女神デーヴァ様の白い髪飾りは、首が長くてスタイル抜群な美しいえみちゃんだからこそ映えるもので、後光がさすほど光り輝いていました。

えみちゃんの役は、『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』の作品を盛り立てる「影の主役」のような印象も抱きました。
初日に観劇した時は、その活躍ぶりと素晴らしさに本当に感動しました。
えみちゃんが本公演でこんな大きな役を演じたのは、この公演が最初で最後でした。
「餞別」という言葉で片づけるには、大きすぎる適役でした。

この作品は、植田景子先生の作品です。
乙羽映見さんの活躍と植田景子作品は切ってもきれない関係があります。
スカイステージ「メモリーオブ乙羽映見」で語られた内容も含めて、えみちゃんの宝塚人生を振り返りたいと思います。

2013年『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-』植田作品で抜擢

『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-』は、えみちゃん自身も「ターニングポイント」になった作品だと語られていました。
囚人」として、牢獄の中で「わたしは生きたい」という信念のあるソロ曲を、心を込めて美声を響かせて聞かせてくれました。
当時のトップスターの蘭寿とむさんも、その歌のシーンでは毎回涙を流していらしたそうです。

その次の蘭寿とむさんサヨナラ公演『ラスト・タイクーン』では、「或る女」という空想の女性役。
一言セリフがあるだけで、立ち姿だけで魅せる役でしたが、印象的な「或る女」の一シーンでした。

2015年『カリスタの海に抱かれて』の新人公演は、専科の美穂圭子さんが演じたアニータ・ロッカ役。
美穂圭子さんから沢山アドバイスをもらい、銀橋でソロ曲を歌うことをはじめ、歌の多い役で、迫力ある歌声で「歌える娘役」を印象づけてくれました。

『新源氏物語/Melodia』宝塚大劇場を休演

新人公演では、仙名彩世さんの朧月夜役がつき、ショーでは、初エトワールに抜擢されながらも、宝塚大劇場は全部休演されました。
東京公演から復活されました。エトワール代役は、仙名彩世さんでした。

『ME AND MY GIRL』新人公演では、マリア公爵夫人役。(本役:桜咲彩花・仙名彩世)(宝塚大劇場2幕、東京宝塚劇場1幕)
細かく役作りができなかったことが、自分の中では心残りのある役だそう。

2016年最後の新人公演『金色の砂漠』では、花野じゅりあさんの「賊の女ラクメ役」。新公長の期としてのまとめ役と男前な女役が素敵でした。本公演では、ギィとタルハーミネのシーンでの迫力ある影ソロが素晴らしかったです。

『新源氏物語/Melodia』まで上り調子だった中、大劇場公演を休演してしまったことは、とても残念でした。
それから役付きが、それまでの順調路線から少し外れていった印象でした。
花組には歌える娘役さんが詰まっていたので。
『Santé!!〜最高級ワインをあなたに〜』でトリプルエトワールを務められましたが、その後一人でのエトワールを務めることは無かったです。

2017年『ハンナのお花屋さん』植田作品で抜擢

サラ・ウォーレン役は、瀬戸かずやさんと夫婦役で、明日海りおさんとは、3人が同級生という設定で、「グッドフレンズ」を3人で歌うシーンもありました。
この公演は別箱公演ですが、植田景子先生の作品なので、良い役です。。

博多座『あかねさす紫の花』では、天比古を優しく包み込む慈愛と強さをもつ小月を好演されました。
情感のこもったソロも素晴らしかったです。(これは植田作品ではありません。博多座公演なので良い役でした) 

研3の時の『近松・恋の道行』(脚本・演出/植田景子)では、オーディションだったので、日本舞踊は苦手だったけと必死にお稽古して、「お初」の役がもらえ、相手役の柚香光くんとずっと練習を続け、助けてもらいながら頑張ったそうです。
その当時の頑張りを今なお続けていらして、芸事に対して真っすぐで、努力を惜しまず、精進してこられたからこそ、サヨナラ公演の光り輝いた活躍に繋がったのだと思います。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』で有終の美を飾る

この役を演じられて、感謝な気持ちで一杯だそうです。
景子先生から「大役だから、がんばってね!」と言われ、1対1で細かくアドバイスをもらって、それを踏まえて役作りをしていったそうです。

「自然界の女神」は、「神」という存在なので、シャーロットの人生や青い薔薇の精のエリュの人生についても、全てこうなるとわかった上で、みんなを見ているという感じで、シャーロットが経験しなければならないことを経験させているという立ち位置にいるそうです。

ご自身の宝塚人生も、休演を経験して、今の自分に繋がるため経験しなければならないものだったのだなと思うし、休演があるから、気持ちに寄り添ってあげることのできるもの、と達観されたようなお話をされていました。

全てを包み込むこの役は、順風満帆な宝塚人生とは言えなかった、えみちゃんだからこそ、演じあげることのできた役ともいえるでしょう。

ショー「シャルム!!」でも冒頭からの歌をはじめ、ダンスシーンや、退団者餞別シーンで、有終の美を飾られています。

この退団公演で初めて、乙羽映見さんの実力の素晴らしさを知った方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

路線スターは、もれなく活躍の場が与えられます。しかし路線で無ければ、違います。

路線でなければ、作・演出の先生によって活躍の場が違う?
お芝居が植田景子先生の作品で無かったら、ここまで大きな役はふられることはなかったでしょう。(私だけの思いかもしれませんが、)
植田作品でなかったら、これほど印象深い歌姫としての素晴らしさを、知らしめる機会が無かったのではないでしょうか?
作・演出の先生によって、実力を発揮する場が左右されるとしたら、宝塚にとって機会損失の残念な話だと思います。
えみちゃんは、植田先生の作品で退団できて幸せだったと思います。

そして、もう一つ私が感じているのは、
路線でなければ、通常公演では実力を十二分に発揮できない?
退団の餞別公演では、十二分に実力を発揮できる場が与えられる場合が多いです。
これは裏を返せば、通常公演では、持っている実力を十二分に発揮させないということ。

実力あるタカラジェンヌの「宝の持ち腐れ」的な部分は、多々見受けられるように感じています。
宝塚はスター制度で成り立っているので、「路線スターが輝かなければならない
路線で無ければ、ダンスの実力は総じてその他大勢扱い。
(歌の実力者は使われる傾向にありますが、埋もれている「歌ウマさん」もいます。)

宙組 実羚淳くんの退団公演での活躍

現在大劇場で上演中のショー『アクアヴィーテ!!』での、ゆいちぃ(実羚淳)のダンスでのソロの活躍は素晴らしいです。
特にトゥシューズをはいてダルマを着てのキレッキレっのダンスには、超絶な脚長というだけでなく、真っすぐ伸びる脚の角度、踊りのセンス、目を見張るものがあります。他のシーンも。

95期生。2014年『ベルサイユのばらオスカル編』新人公演でアンドレ役『PHOENIX 宝塚!!』フラミンゴSで脚光をあびましたが、それ以外はそれほど目立った活躍はありませんでした。男役群舞ではいつもキレッキレのダンスを披露していましたが。
9月のバウ『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』では、フィナーレのダンスで、主演の瑠風輝くん、鷹翔千空くんと共に3人で目立っていましたが、それは退団を前提の抜擢だったのか…

古株の宝塚ファンなので、また昔のことを書きますが、昔の宝塚はダンスの得意な人は、ダンスのシーンでは光る活躍をしていました。室町あかねさんなど。
今はダンスの真ん中を担当するのは、トップスターをはじめ番手のついているスターですが、昔は「ダンスの人」に活躍の場がありました。

「ロックオペラ モーツァルト」は実力主義舞台

星組「ロックオペラ モーツァルト」は完全に実力主義の舞台になっていました。
歌える人にしかソロを歌わせない、踊れる人にしか踊らせない。が徹底していました。
フィナーレナンバーのダンスも、出演者みんなが踊っているわけでは無く、朝水りょうくんと星蘭ひとみちゃんは出演していませんでした。
ソロ曲も歌が得意な人しか歌っていませんでした。
実力重視の適材適所に配役をしてクオリティの高さを追求している作品のように感じました。
こういうやり方は、今までの宝塚では無いものです。
最強の実力者、礼真琴くん率いる星組だからこそ。
これから、こういう方向性も目指していくのなら、「路線」に関係なく、実力者を重用していくことが必要でしょう。

日の目を浴びていない「実力者」が、退団公演だけでなく、通常公演でも活躍の場が与えられると良いなと、乙羽映見ちゃんや実羚淳くんを見て感じたことでした。

月組の餞別公演

月組『I AM FROM AUSTRIA』での退団者は次の3名です。(2019年12月28日退団予定)
・叶羽 時(96期)
・陽海 ありさ(99期)
・椿 ここ(104期)

陽海ありさちゃんはサヨナラ公演ということで、紫門ゆりやさんと、晴音アキちゃんと一緒にセリフのある警官役を演じています。
スカステの「ほっぷ アップ月組」で、ありさちゃんが凄く緊張していて、声が出ないことをみんなで話題にしていました。
「ほらっ、このページ」というセリフの声が出なくて、「ほっかいどうの、ほっきょくクマ」とお稽古をつけてみたり
「ごきげんよう」は、「ゴマ~」というお稽古をしたり。
今の鬼門は「もしかして」だそうで、「もずくをもっと」とか発声して、声が出る練習をしているようです。

初日を観た時から、ありさちゃんの肩に力が入ってしまて、他の出演者より、少し浮いていることを感じましたが、退団の「餞別」として、セリフのある役を与えられるのも、大変なようです。
ありさちゃんにアドバイスしながら、みなで見守っているようで、月組の温かさを感じました。

ありさちゃんは、新人公演では叶羽時ちゃん演じるホテルのフロント係のアンナ役を演じていました。
叶羽時ちゃんも今回サヨナラ公演なので、アンナ役は舞台をダンスしながら横切ったり、結構セリフもある目立つ良い役です。
新人公演を観劇した時、最後のご挨拶の時ありさちゃんは、笑顔いっぱいでしたが、緊張したことでしょう。東京でも新公があります。

新人公演というのは、次に繋げるための訓練の場だと思います。
今回娘役さんの役が非常に少なくて、その貴重な一つを退団者の餞別にするのは、本来の新人公演の主旨と違うように思いますが、最後の記念として良い役で飾るのが宝塚の温かさなのでしょうか?
花組、宙組、月組とみて、「退団者餞別」にも、いろいろな形があるなと思いました。
「宝塚人生」の最後を幸せに終えられることが一番大切なのでしょう。

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