退団者と集合日は緊張と悔しさの嵐 By早霧せいな
昨日は宙組の集合日でした。全国ツアー「追憶のバルセロナ/NICE GUY」の千秋楽が月曜日で、中3日で本公演のお稽古というのは、毎度のことながら過酷なスケジュールですね。
元雪組トップスター早霧せいなさん著の『夢のつかみ方、挑戦し続ける力-元宝塚トップスターが伝える-』をつい最近読みました。
その中には、今だから話せる、宝塚時代の様々な思いが語られていました。
決して暴露本ではありません。当時の正直な思いが綴られた心が温まるものでした。

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集合日について

集合日は緊張と悔しさの嵐という、集合日のタカラジェンヌの気持ちが語られているところがありました。

ちぎさんは、二番手になるまで、集合日が怖くて仕方無かったそうです。
集合日に香盤表(お芝居の配役、ショーの出番)が発表されるから。
いい役がもらえなかったらどうしよう。セリフが少なかったらどうしよう。」と不安で朝から緊張をし通しだったそうです。

二番手になると、「主な配役」としてポスターに載ったり、載らない場合でも事前に、役名が紹介されたりするので、自分がどんな役を演じるのか、心構えができた状態で集合日を迎えられて気持ち的に楽だったそうです。

しかし、ほとんどの生徒は、集合日に香盤表と台本を見て、初めて自分の役を知ることとなります。
最下級生でも、中堅でも、上級生でも、集合日に役付きについて緊張するのは同じでしょう。
本公演は、宝塚大劇場と東京宝塚劇場で同じ公演を約1ヵ月あまり上演するので、お稽古期間も合わせると長い場合は約半年近く同じ作品に携わることになります。

思うような役をもらえないと、最初は落ち込み、そんな状態を半年近く引きずるのは、自分自身しんどいし、「自分自身が腐っている」ような気持になってしまうこともあったそうです。
人間なので、気持ちの落ち込みや嫌な気持ちになったりすることは当然ですが、ちぎさん自身はできるだけマイナスの気持ちは表に出せないように努めていらしたようです。

ちぎさんは順調に「男役路線」を進んでこられたように思っていましたが、初配属の宙組での新人公演主演は研6の時でした。決してはやい抜擢ではありません。
和央ようかさん退団公演の「NEVER SAY GOODBYE」で、新人公演初主演。次の貴城けいお披露目・退団公演の「維新回天・竜馬伝!」で、2度目の新人公演主演。
バウ・ワークショップ「殉情」で、バウホール公演初主演をし、中日劇場「外伝ベルサイユのばら」でメインキャラクターの役替わりをして、役付きが良くなった後、雪組に組替えになりました。

下級生時代は、同期の男役で2番目の成績だったので、ショーの見せ場のダンスのシーンに入れずに、よく悔しい思いをされていたようです。
例えば男役が16人が出演するシーンでは、下級生は出られる人数が決まっていて、成績が良い子から順に選ばれるそうです。
ちぎさんより下の学年にその学年の男役で1番の子がいたら、同期の男役で2番のちぎさんではなく、その下級生が選ばれることがあり、メンバーに入れない悔しさを味わったそうです。

香盤表を見て落ち込むたびに、悔しい気持ちをバネに「いつか私もあの中に入りたい、そのためには成績を上げなければ」と練習に励んだそうです。
入団時、研1、研3、研5の終わりごろに試験があります。その試験結果が香盤に反映するので、舞台での成果よりも、試験の成績なのですね。
ファンからみると、舞台での結果がその後の活躍に結びついていくのかと思っていましたが、研5までは「成績」優先なのですね。
「路線」という枠組に入ってしまったら、また違うのでしょう。

舞台をみているだけの私は、「序列社会」の中で悔しい思いをバネに頑張っているタカラジェンヌの心情に目を向けることは、ありませんでした。
今回ちぎさんの本を通して、「いい役がもらいたい。多くのセリフを。ショーの見せ場に出たい。」と、上を目指して努力を続けているタカラジェンヌの一面を知りました。
華やかな舞台のバックグラウンドでは、そういう努力が積み重ねられ、切磋琢磨されているのですね。

ちぎさんは雪組に組替えになった時も、「同期や上級生と競わされているみたい」というシーンがよくあり、チャンスではあるけれど精神的にきつい時期を通られたようです。
しかしライバルであっても、人間的な関係性は温かいものだったようです。「ライバルであっても良き仲間」というのが宝塚の良い所ですね。

ちぎさんは、「宝塚は常に人と比べる環境です。自分とも周りとも闘いながら過ごしてきました」と書かれていました。
「宝塚は序列社会である」ことは、ファンも承知で応援していますが、当のご本人たちの精神的なプレッシャーの大きさも改めて感じました。
そういう中で頑張っているタカラジェンヌは尊いなと思います。

宙組『El Japón(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ(aquavitae)!!』

昨日6名の退団者の発表がありました。
93期のもんちさん(星吹彩翔)、
94期のゆみちゃん(桜音れい)、まりあちゃん(愛咲まりあ)、
95期のゆいちぃ(実羚淳)と舞台を支えてきた中堅の実力ある方々の退団は寂しいです。

全国ツアーでは、もんちさんのフランス人のアズナワール役、金髪の軍服姿が目立って印象的でした。そして何と言っても歌声が素晴らしかった。
バウ『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』でのフィナーレでは、ゆいちぃさんは、瑠風・鷹翔と3人で目立つところで踊っていましたが、驚くほどの脚と手の長い、スタイリッシュなダンスはとても印象的でした。2月のバウ「パパアイラブユー」でも存在感がありました。

昨日付けで、陽雪アリスちゃん(102期)と愛彩めありちゃん(104期)が退団されました。これからの幸せをお祈りします。

『イスパニアのサムライ-』について
配役発表がありましたが、公演解説だけでは、理解しようとしてもなかなか難しいです。
ヒロイックで快活な娯楽作品と書いてありました。
ヒロイック【heroic】とは、勇ましいさま。雄々しいさま。英雄的。
快活とは、気持ちや性質が明るく元気のよいさま。
そして娯楽作品ということなので、英雄の活躍する明るい、楽しい作品と受け止めていいのな?

それぞれの役に付いて
星風まどかちゃん演じるカタリナに邪な欲望を抱く大農場主は、ドン・フェルディナンド役の英真なおき?それとも芹香斗亜くん演じるアレハンドロ?
芹香斗亜くん演じるアレハンドロは、悪い役では無く、真風涼帆演じる蒲田治道の味方なのかも?
  キキちゃんの黒い役を見てみたいですが、ポスターを見る限りでは悪そうではありません。
和希そらくんの、藤九郎はどんな役?
  全ツで「Sの頭文字で四天王」と言われただけかもしれないけど、主要なメンバーに入って欲しいと願っています。
・奴隷として農場に売られ脱走した日本人少女は?はる:天彩峰里 あるいは、しず:夢白あや?
・治道はかつて心惹かれた女性は、藤乃:遥羽ららかな?
・全ツでも存在感があった留依蒔世くんの“道化セバスティアン”が面白そう。
留依蒔世くんも和希そらくん同様に、活躍を見たい人です。
バウで活躍した瑠風輝くんも。

宙組は歌が上手な実力派が多いのに、次の公演から紫藤りゅうくんも組替えしてくるし、他の組に比べて歌えるスターがいっぱいです。
なぜ宙組に集中しているのか不思議です。

ショー『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』は、香り高く、味わい深い、大人の飲み物のウイスキーがテーマ。
宙組らしい洗練されたスタイリッシュなショーになることでしょう。

宙組のみなさんも、昨日の集合日を緊張して迎えられたのでしょうね。
ポスターが今一つでも、制作発表が無くても、素敵な作品になると期待しています。

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