宙組全国ツアー『追憶のバルセロナ/NICE GUY!!』感想 衝撃的に素敵!
昨日、「宙組全国ツアー」梅田芸術劇場での千秋楽を観劇してきました。
梅田での千秋楽で、全国にはこれから出発されます。

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お芝居『追憶のバルセロナ』、ショー『NICE GUY!!』共に衝撃的に「かっこいい!」が満載で、とても満足度が高い作品でした。
もう1度観たいところ、チケットが手に入らないのが、残念!

「男役、1.2.3.4、娘役1.2.3.4.」が揃った豪華な陣容

男役をするために生まれてきたような真風涼帆さん。その男らしさがこの2作品で存分にいかされていました。
男役としてのカッコ良さと個性が光る芹香斗亜さん。持ち前のコメディセンスもショーで発揮されていました。

宙組はトップ、二番手のバディ感が売り
その二人が2トップに近いような、持ち味の違う魅力が拮抗している点、バディ感が、他の組とは違う宙組の特徴。
お芝居、ショーともに、その特徴がしっかり活かされていて、素敵すぎでした。

成長著しいまどかちゃん
星風まどかちゃんの娘役としての成長が著しく、芝居、ショーともに「星風まどかここに有り」という感じで、実力でもビジュアルでも輝いていました。
特にお芝居のイザベル役は、情熱的で勝気で、あばずれなロマの役で、まどかちゃんの持ち味とは全く違う新境地を魅せてくれました。黒塗りも。
そういう役を、品を保ちつつ情感あふれる形て演じることができるのが、まどかちゃんに芝居のセンスがあるから。
ショーでは、かわいい真っ白のプリンセス衣装から、アダルトな黒ドレスまで、何でも素敵に着こなしていました。
「オーシャンズ11」のテス役を経験してから、大きく壁を打ち破ったように思います。

全ツで卒業のまいあちゃん大活躍


「三拍子そろった期待の娘役さん」だったのに、全国ツアーで退団してしまう華妃 まいあちゃんには、最大の「はなむけ」公演となっていました。

お芝居では、Wヒロインのようなセシリア役
真風さん演じるフランシスコの許嫁であり、その後芹香さん演じるアントニオの妻になる重要な、華のある娘役の役。初演では白羽ゆりさん。

ショーでは
・薔薇のシーンでの伯爵夫人の歌唱(初演・美穂圭子)
・風のシーンでの、風のソロ&センター
・星風まどかちゃんのソロの場面で、留依蒔世くんとデュエダン、リフト(「不滅の棘」で留依蒔世くんとは兄弟役でした)
・エトワール
とにかく、これでもかという程、見せ場たっぷり。ご自慢の脚線美も。
歌える、踊れる貴重な娘役さんだった痕跡を刻まれての退団。
現在99期で新公の最終学年ですが、それまでに新公主演ヒロインをやって、実力派娘役として重用されていたら、この時期での退団にはならなかったのでしょうか?
宙組の99期の方は、不遇な時があったと聞くだけに、実力がありながらもチャンスが与えられなかったことを残念に思いました。

娘役は、遥羽ららちゃん、天彩峰里ちゃんが、トップ娘役に続く位置にいます。
お芝居が上手な遥羽ららちゃんと歌が得意な天彩峰里ちゃん。
お芝居での遥羽ららちゃんのアンジェリカの演技はいじらしさが伝わってきてとても良かった。
天彩峰里ちゃんの歌声は、いつも絶品。

男役の番手について

桜木みなとくんが、プログラムでも3番手扱いで、3番手羽根を背負って降りてきました。
芝居でも初演では次の公演からトップになることが決まっていた朝海ひかるさんのロベルト役。
朝海ひかるさんがとても男くさく演じていたのに比べて、顔は濃く演じていましたが、個性としてはまだ濃さが少し足りない感じが。
ショーでも3番手としての位置で、歌のシーンが多く与えられ、頑張っていました。

和希そらくんは、肩羽根で4番目降り。はじめての一人降りです。
プログラムの掲載サイズは、通常扱いですが、芹香さん、桜木さんと同じ豪華な飾りのジャケットを着たプロマイドだったので、大躍進。スチール販売メンバーにも。

お芝居では、フランシスコの召使のフェイホー役を軽妙に演じていました。
言葉を発する度に笑いをとっていました。間がよく、お芝居の勘のよさを感じます。

初演は、音月圭さんが演じていましたが、「こんなに笑いを取っていたかしら?」と思ったので、わざわざ17年前のものを再度見てみました。
普通に台詞を言っているだけでした。演出も違うでしょうが、そらくんの芝居力を感じました。
ショーでも、かずみボーイ先生がほめていらしたように、踊っても歌っても、決まっていました。
特に総踊りでみんながジャンプしている時など、そらくん一人だけ誰よりもジャンプが安定していて、ダンスの基礎力がずば抜けているように思います。
4番手ということで、ショーでもセンター部分や目立つ位置にいることが多く、探さなくても目に飛び込んでくるし、キレッキレっに踊っているので、すぐにわかります。
本公演でも、この調子で躍進してくれたらいいなと、そらくんファンとしては思っています。

『追憶のバルセロナ』について

再演ものなのに、あてがきのように宙組の主要メンバーに役が嵌っていて、それぞれの持ち味がとてもいかされていて、初演より魅力的です。
17年前のものに比べて、2番手アントニオに歌のシーンが増え、誠実な人となりがより深く伝わってきました。
キキちゃんの熱演もあるでしょうが、組のトップ、2番手としての良い関係性が、そのまま芝居のフランシスコとアントニオの親友設定に繋がり、その後の波乱があっても、信頼を取り戻していく関係性を深めていました。
初演時は、専科の未沙のえるさん演じたイアーゴーの役と貴城けいさんが演じたジャンがもう少し深く描かれていたので印象的でしたが、今回は寿つかささんと凛城きらさんが熱演されたものの、出演場面がカットされていたため、イアーゴーの役がそれほど印象に残りませんでした。
専科の方が減ったので、「オーシャンズ11」の時も未沙のえるさんの役を寿つかささんが演じていましたが、そのあたりが今の宝塚が直面している時代の変化かなと思いました。
寿つかささんもお芝居は上手ですが、未沙のえるさんのような芝居の天才とは、やはり違います。

和希そらくんのように、一言で笑いをとれる、天性の芝居心をもっている実力者は、やはり重用した方が、芝居に面白味が増すと思います。

留依蒔世くんと天彩峰里ちゃんの正しい使い方
初演では、ジプシー歌手として、未来優希さんと愛耀子さんが、素晴らしい歌声を聴かせてくださっていました。
それが「配役発表」では、役名が初演と色々違うため心配しましたが、適材適所に配役されていました。
宙組で歌手と言えば、留依蒔世くんと天彩峰里ちゃんです。その二人に歌を聞かせるシーンがもれなく与えられていて安心しました。
留依蒔世くんはショーでも活躍していて、嬉しかったです。

17年前は「ジプシー」という言葉が「ロマ」に置き換え
ジプシー」は「差別用語」「放送禁止用語」と認識する風潮が強まり、差別的な表現を避けるという意図から「ロマ」という言葉に置き換えられるようになったそうです。
今回は「ロマ」に統一されていました。

『追憶のバルセロナ』の魅力について

コスチュームもの、スパニッシュ、カーニバル、舞踏会、軍服、戦闘、立ち回りなど、宝塚らしさ満載の作品です。
高身長でカッコイイ真風・芹香が、様々なコスチュームで魅せてくれつつ、友情と恋と革命などの芝居の展開も破綻なく惹きつけられる良作です。
正塚晴彦先生の作品ですが、17年前はこういう良作が当たり前につくられていたのだなと、改めて関心しました。

正塚先生が大劇場作品に登板されることもありますが、残念ながら17年前の『追憶のバルセロナ』ほどの力量は感じられません。
あてがきで素晴らしいオリジナル作品を多くうみ出し続けられていた柴田侑宏先生も7月にご逝去されました。、

宝塚には、多くの先生が在籍され、新人の先生も次々とデビューされていますが、柴田先生や正塚先生がご活躍されていた頃に比べ、オリジナル作品が面白くなくなっていると思います。
次回作『El Japón(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-』もポスターからして、あまり期待できない雰囲気が…(観ると良作なのかもしれませんが)
『追憶のバルセロナ』が大劇場作品だったら、何回でも観て楽しめれるのにと、本当に残念に思いました。
このくらいのクオリティの高い作品が普通に大劇場で観れたら、有難いと思います。

『NICE GUY!!』の魅力について

『NICE GUY!!』は、7年前大空祐飛主演のショーの再演でした。私は7年前観劇していないので、カッコ良い場面の連続のとてもスタイリッシュなショーに衝撃を受けました。
夢夢しいプリンセスとプリンスの幻想的なプロローグから、ソフト帽で印象的な振りのシーン、ティーチャー芹香のコメディタッチのトンデモシーン(ここだけ新設、イケメン・オークションがこれに)『薔薇の棘』の妖華なシーン、ジャズで踊りまくるシーン、風のシーン、などなど。
-その男、すずほによる法則-「男の美学」を追求した、男役の魅力にあふれるショーがかつてあったこと、そしてそれがすっぽり真風さんをはじめ今の宙組にはまっていること、素晴らしい!
私は2012年から全組観るようになったので、大空祐飛さんの主演の舞台は残念1本も観れていません。

藤井大介先生の作品、最近マンネリ化しているようなところがあるので、「7年前の斬新さを」再びと思いました。
次回宙組本公演『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』では、『NICE GUY!!』と同じような衝撃的な感動を味わえたら…。
話が感想から、違う方向に向いてしまいましたが、

全国ツアー『追憶のバルセロナ/NICE GUY!!』は、衝撃を受けるほどの感動作品です!

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